4thアルバム(オペラ座の夜 – A Night at the Opera (1975年))があまりに素晴らしかったので彼らのアメリカでのブレイクのきっかけともなった3rdアルバムをレビュー。
実験性の塊のような4thアルバム「オペラ座の夜 – A Night at the Opera」に比べればシンプルな構成の曲が多くアメリカのマーケットを意識したと思われるハードな曲も数曲収録されているが、コーラスをうまく絡めている点とメロディー自体が素晴らしい点から良質なポップソングとなっている。
モンスターアルバムを生み出す前の「クリエイティビティ大爆発」前夜という感じという印象を持つアルバム。
「曲解説」
1 Brighton Rock
「賑わう港町」を思わせるSEではじまりハードロック的な刻みリフを中心に展開される疾走感がある曲。
そこに「幸福感」すら感じるフレディ・マーキュリーのボーカルが合わさる事で「これぞ!クイーン」としか言えない「風景の見える物語性のある音楽」になる。またブライアン・メイ(g)のエフェクティブなプレイはまるで「万華鏡」のようだ。
2 Killer Queen
サイケデリックな雰囲気のあるヒットソングで相変わらずコーラスワークが素晴らしい。この時代のギタリストでは個人的にブライアン・メイ(g)が一番好きだ。曲自体がしっかり機能するようにあまり弾き過ぎない点が素晴らしい。「弾き過ぎない」はイケてるギタリストの共通点だと思う。
4 Flick Of The Wrist
何かに追われるような切迫感と重さを感じる曲。サビではボーカルラインとカラフルなコーラスワークが重なり「開放感」を感じることができ、
サビが終わるとまた「切迫感と重さのある」展開に戻る。エンディングは「重さ」と「開放感」が同居した何ともいえないカオス感がある。
8 Stone Cold Crazy
アンプのハウリングのような音ではじまるクイーン流スラッシュメタルとも言える曲。ウォームなギターサウンドは健在で「メタル」な質感はない。今作の中で明らかに異質な1曲。