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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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00年代にシンプルでガレージやハードロック、パンクをルーツに持つギターロックが躍進するキッカケを作った1枚。

当時のシーンはUSヘヴィロック勢が隆盛を極め「過剰にメランコリック」なUKロックが大量発生していた。また前衛的なアーティストは冷たい質感を持ったエレクトロニカを導入する傾向が顕著になり、HIP HOPやR&Bが音楽チャートを席巻したりと何かと過剰な状況であった。

そんなタイミングでリリースされたのが本作「Is This It(イズ・ディス・イット)」当時、ガッツリと「冷凍系エレクトロニカ」に傾倒していた筆者はザ・ストロークス(The Strokes)をはじめとするロックンロール・リバイバル勢に対してそこまでの熱量を持てなかった。当時の筆者には彼ら(リバイバル勢)は懐古主義に写ったからだ。

「ターニングポイント」と言われる今作を「現在の感覚」で冷静に聴いてみるとどう感じるのだろうか?!と思い聴いてみたところ、何故今作が「ターニングポイント」となり得るのかがよく分かった。「90年代的な過剰性」がなく、90年代の「新しかった部分」のみを吸収して60年代ギターロックをアップデートしているという印象を持った。90年代的なものに対するある種のアンチだが90年代を通過しないとありえないサウンドを出している存在それがザ・ストロークス(The Strokes)でありアルバム通して11曲36分というミニマムな構成も魅力。

    「要点」

  • 「モダンな建築物」のようなシンプルなサウンド
  • 90年代を通過しないと出てこないミニマリズム

「曲解説」

2 The Modern Age , 3 Soma , 4 Barely Legal 

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド直系のニューヨークバンドらしく極限までシンプルに削ぎおとされたサウンドはまさに「モダン」で「淡々と揺れるメトロノーム」のようなミニマリズムを感じることができる。

このモダンで冷静な質感は90年代のポストロックや風景画のようなエレクトロニカに通じるものがあり、彼らは「懐古主義」どころか様々なジャンルの質感を音に反映させていると感じる。

またジュリアン・カサブランカス(vo)のボーカルは太くて存在感があり、アナログな音で形成されたミニマムで鋭角的なモダンなサウンドと一見ミスマッチに思えるが、うまく調和しており「冷静なギターロック」を「しれっと終わらせず」熱量を与えている。
5 Someday

クリーンなフレーズとクランチなカッティングでシンプルにまとめられ「売れた90年代バンド」ではあまり聴くことができないタイプのサウンドではあるのだが、90年代を通過しないとこの質感は出ないだろうというタイプの曲。
8 Hard to Explain

ギターフレーズが「たったの5音」で構成される(wiki)というミニマムな本作を象徴する曲で、一度聴くと必ず覚えることができ「下校時の夕日」を思わせるエモいイントロが秀逸。淡々と繰り返される8ビートと最小限の「ダカ、ダカ、ダカ、ダカ」というギターフレーズで展開され、サビではジェットコースターに乗っている気分を味わえるボーカルラインが登場する。

あくまでイメージだが「アミューズメントパーク」ではなく「遊園地」のジェットコースターという感じでエモい。

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