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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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レディオヘッド(Radiohead)が90年代の神アルバム「Ok Computer」をリリースした97年、ブラー(Blur)がエレクトロニカやプログレの影響を大胆に反映させアーティストエゴを爆発させた「13」をリリースした98年など、90年代後半はまさにUKロック黄金時代といっていい時代だった。そんな中でスーパーグラス(Supergrass)もまた独自進化した傑作アルバムをリリース。

率直な感想を述べると聴いてビックリしたアルバム。デビュー作の「元気の良いギターロック」に乗せて歌われる良質なボーカルラインの数々を聴いて非凡なポップセンスを持つバンドという認識はあったのだが、今作のクオリティは筆者の想像を遥かに超えていた。

90年代オルタナ・グランジの影響がほとんどなく当時、頻出した「メランコリックな質感」もあまり感じさせず明らかに傾倒していると感じるジャンルも見当たらない。そして何より特筆すべきは当時多くのアーティスティックなバンドが取り入れた「エレクトロニカ」や「ポストロック」以降の「冷凍された音像」を取り入れずに独自としか言いようがない作品になっている点が凄い。

    「要点」

  • 予想を遥かに超えた進化
  • オリエンタルな匂いと圧倒的なポップセンス

「曲解説」

1 Moving

宙に浮いているかのような浮遊感を感じるサイケデリックな冒頭から踊れるソウルのようなノリノリの展開に変貌する。オリエンタルな雰囲気もあり異国のカーニバルを連想してしまう曲となっている。「本当にスーパーグラスの作品なのか??」と感じてしまう程の進化。
2 Your Love

「トコッ、トコッ、トコッ、トコッ」と鳴らされるトライバルなリズムアプローチが「1 Moving」同様のオリエンタルな異国感を感じる。「揺らいで消える紫の煙」を思わせるギターフレーズが夢見心地な気分になる1曲。
4 Beautiful people

日本の歌謡曲のように聴こえるボーカルラインを持つ曲。デビューアルバム 「I Should Coco」のレビューでも書いた通りスーパーグラスのメンバーは「日本の音楽を聴いているのでは?」と思えるほどボーカルラインがどこか日本人の琴線に触れ、リスナーをノスタルジーな気分にさせる。
7 Mary

アーバンな雰囲気のするキーボードと歪みの残響が心地よく珍しく壊れた質感のノイズギターが登場する。ソウルフルな女性ボーカルをゲストに招いており共に歌われる「ア〜、ア〜、ア〜、ア〜、アヤヤ〜♪」というサビのボーカルラインが秀逸。
10 Born Again

「真冬の誰もいない海」のようなクリーンアルペジオが繰り返される曲。この曲もゲストの女性ボーカルとのデュエット(?)が素晴らしく、メランコリックな雰囲気を醸し出している。

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