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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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スペースメン3 (Spacemen 3)の元メンバーが中心になって結成されたスピリチュアライズド(Spiritualized)が97年にリリースした作品Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space(宇宙遊泳)。

本作に触れてみてとにかく「ぶっとんでる」「バグっている」という感想をもった。アルバムタイトル通り無条件に「宇宙」が目に浮かぶ浮遊感と重さと煌びやかさを感じるサウンド。この宇宙空間を不穏なホーンセクションとシンセ(キーボード)、壊れた質感のギターサウンドが縦横無尽に暴れ頭の中に様々なイメージを連想させる。

本当に宇宙を遊泳しているかのような錯覚すら味わえるため、「音楽を聴いた」というよりかは「宇宙をテーマにした実験的な映画」を見たという感覚に襲われる。97年はレディオヘッド(Radiohead)、ザ・ヴァーヴ (The Verve)、マンサン(Mansun)が傑作をリリースした激動の1年だったが、その激動の1年の中で最もアバンギャルドで「ぶっとんでる」過激な作品は間違いなく本作だと断言だと思われる。文句なしで「神作」。

    「要点」

  • バグった宇宙空間
  • アバンギャルドと言っていい実験性

「曲解説」

1 Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space

「宇宙と交信する電波」のような電子音と壮大なストリングスを中心に展開される。宇宙を彷徨っているかのような浮遊感を感じる事ができる本作「宇宙遊泳」にぴったりなオープニングソング。
3 I Think I’m in Love

クラフトワークのような伸びやかなシンセ音が心地よく無条件に宇宙を連想する。2:30分頃に数秒ブレイクした後に「船が港を出港した」かのように曲が動きはじめる。その後は、空間を揺らすミニマムなホーンの音と心地よいボーカルラインが淡々と繰り返される。あまり抑揚がなく淡々と続くタイプの曲なのだが不思議とダレる感覚はない。
4 All of My Thoughts

ピアノの調べとそこに光を差し込むようなオルガンの音で構成される冒頭だが、1:00分頃を境に突如、転調して狂ったようなホーンと重力のようなベースラインが登場しまるで暴風雨を思わせる展開に移行する。その後は「静かなパート」と「暴風雨」を繰り返すという展開、最後は宇宙に包み込まれるように静かに終わる。
6 Electricity

「直線的でビーム」のようなシンセと壊れた質感のあるギターサウンドを中心に進行される作品中で最もアバンギャルドな曲。 ここでも時空がバグらせる狂ったようなホーンセクションが登場する。このバグったような展開は最後まで続く。
8 The Individual

宇宙的なビジュアルが嫌でも目に浮かぶ壮大なインスト。「錆びついたドアのドアノブを回す」ようなザラついたギターノイズと不規則にそして不穏に鳴り響く狂気じみたホーンの音のみで構成される。
10 No God Only Religion

「高速で逆回転」しているかのような電子音と「軍歌」のようなタフさと貫禄をもったホーンセクションがBPMとは別の疾走感を感じる。「光のシャワー」のような電子音も降り注ぐ。目を閉じて見えてくるビジュアルはやはり宇宙。

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