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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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金属的なリズムと「冷徹なマシン」を思わせる歪んだギターサウンドが特徴HR/HMとは明らかに異なり「ハード」「ヘヴィ」などという形容詞はあまり似合わない。人の温かさや鼓動を全く感じさせない「無機質で冷たい音像」は破壊を楽しむロボットのような不穏さを感じる。

この「無機質な冷たさ」は80年代ヘヴィミュージックと90年代ヘヴィミュージックを分ける重要なポイントであり、またインダストリアルロックは日本のカリスマ的アーティストやバンドにもインスピレーションを与えており、hide(X JAPAN(エックスジャパン))、BUCK-TICK(バクチク)、THE MAD CAPSULE MARKETS(ザ・マッド・カプセル・マーケッツ)などに多大な影響を与えた。ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)が築いたインダストリアルな質感がなければ、今日のヘヴィロックシーンは全く別のものになっていたと思われる

    「要点」

  • 金属的で無機質な冷たさ
  • hide、BUCK-TICKなどに多大な影響

「曲解説」

1 N.W.O.

「ドド、ドド」というシンプルなマシンビートの上に「金属を砕いた」ような音やセンサー音が渦巻き不穏な空気を醸し出す。時折、「空気を切り裂く叫び」のようなノイズが鳴り響く曲で80年代メタルには見られない凶暴さを感じるオープニング。
2 Just One Fix

「銃の乱射」のような音が鳴り響く物騒なイントロからスラッシュメタルのようなヘヴィなザクザクギターと「サイレン」のような高音ノイズが鳴り響き、サンプリングされたヒステリーな叫び声が四方八方から聴こえては消える。またボーカルは激しく歪んで「呪縛」のような怪しさがありダークなヘヴィロック的「おどろおどろしさ」ではなく、「不穏」という言葉がピッタリなサウンドといえる。
4 Hero

「人の温かみや鼓動を一切感じないマシン」のような質感の高速スラッシュメタルリフが終始鳴り響き、時折、「Hero!」という歓声のような声が挿入される。中間部では早弾きのギターソロも披露され本アルバムの中で最もメタル要素が強い曲(3:38〜)「早送りしていたビデオテープがピタッと止まった」ような細切れのブレイクが数回入り意表を突かれる。
5 Jesus Built My Hotrod

マシンのようなギターリフが鳴り響き、エフェクトのかかったボーカルはhide/XJAPANに近いものがある。hide/XJAPANはミニストリー(Ministry)に相当影響を受けているに違いない(2:40〜)金属的なマシンビートが強調される展開となり淡々と進行される。終盤は複数のギターが複雑に絡むジャンクで疾走感のあるサウンド。
7 Corrosion

アバンギャルドなノイズと金属的なマシンビートを中心に進行する曲。「野獣の叫び」のような「Corrosion」という凶暴なシャウトを連呼(2:07〜)リズムがバグりはじめ線切りのような「ザザザザ」という高速のリズムが挿入される。この曲でも「不穏なサイレン」のようなフレーズが登場し不穏な空気感を醸し出す。複雑に重ねられた金属的なノイズのぶつかりが最後まで続く。

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