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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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アルバムジャケットに映るメンバーの写真からは同世代バンド達のような「エッジ」や「シュール」を感じることはなく100% 「素」である。ボーカルのリヴァース・クオモ(vo)は昔ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N’ Roses)に憧れていたそうだ(wiki)グランジ旋風が吹き荒れていた当時「人間には色んな意味で向き不向きがある」ということを彼らはいち早く察知したのだろう。

ウィーザー(Weezer)の音楽はグランジでもオルタナでもヘヴィロック系でもない。ギターサウンドのトーンは「どんよりした晴れ」というイメージで、尖っている同世代バンドのような「象徴的な音やフレーズ」があまりない。だがしかし、「ビートルズ的なハーモニー」や「爽やかさ」「メルヘンな雰囲気」など他の同世代バンドが色んな意味で手を出しづらところを自然体で取り入れている点がウィーザー(Weezer)の個性と言える。ウィーザー(Weezer)の音楽には「絶望」も「ヘヴィネス」も「過剰なメランコリック」もない。ただただシンプルで自然体なギターロックである。

    「要点」

  • サウンド・ルックス的に100%「素」
  • ビートルズ的なハーモニーや爽やかさがある

「曲解説」

1 My Name is Jonas

「スピード感のあるオルゴール」のようなアルペジオで幕をあける。メインリフはざっくりとしたウォームな響きでグランジやヘヴィロックのようなエッジのたったものではなく「どんよりしたな晴れ」のようなトーンになっている(2:02〜)リヴァース・クオモ(vo)の「yeah!」という掛け声の後にリズムがタイトなエイトビートになり疾走する。終盤は(2:42〜)ハーモニカの音色が流れて曲にレトロな哀愁を加味する。
2 No One Else

ざっくりしたリフが鳴り響くシンプルなミドルテンポの曲(1:22〜)初期ビートルズのようなメロウなハーモニーによるサビのボーカルラインが素晴らしく(1:58〜) ギターソロは「少し肌寒い春風」のような爽快さを感じる。歌詞の内容は思春期の恋愛における束縛をテーマにしていると思われる。
3 The World Has Turned and Left Me Here

「ゴォォ」と鳴り響くプチ轟音ギターの上を「メリーゴーランゴに乗っている」ようなメルヘンなアルペジオがクルクル回り曲がはじまる。プチ轟音ギターは終始鳴り響きUKバンドのようなメランコリックさを感じ、またサビのボーカルラインはやはりメロウで良質(4:08〜)微かなハウリング音が鳴り響き「夢から覚める」ように曲は終わる。
5 Undone –- The Sweater Song

冒頭は「真夏の月」のようなダークで少しキラキラしたアルペジオが淡々と鳴り続ける(0:52〜)気怠いボーカルラインと少し遅れたリズム感のあるハードなギターサウンドが鳴り響く。このハードなギターサウンドは最後まで続いていく(3:38〜)壊れた質感のノイズギターが顔を出すがノイズの上に「フゥゥ〜♪」というコーラスを入れるところがこのバンドらしい。最後はサンプリングされたピアノの音やバイクのエンジン音など様々な音が挿入され静かに終わる。
7 Say It Ain’t So

冒頭はジャジーな渋い雰囲気の中、アダルトで囁くようなリヴァース・クオモ(vo)のボーカルラインが聴ける。開始からしばらく経ち「渋い曲も1曲くらいあってもいいな」と思っていた矢先(1:14〜)空気を引き裂くようなハウリングとハードなギターサウンドが鳴り響きラウドな展開になる。「ジャジーな展開」と「静を切り裂くラウドな展開」で構成される曲となっている(3:15〜)「空にむけて光を放つ」ような音色の泣き系ギターソロが登場。「静」→「動」のダイナミズムを生かしたアプローチなど本作の中で同世代のバンド達に最も近い匂いがある曲。
9 Holiday

ダイナミックで雄大なボーカルラインが印象的でハードなギターサウンドが全面に出てくる(1:38〜)ハードなサウンドが一時的に「ベースラインと指パチンと独り言のようなボーカルライン」のみの構成に変化するが(2:08〜)ハウリングが鳴り響くのを皮切りにしてハードなギターサウンドが再開される。最後はハウリングが鳴り響く中、「光に包まれる」ようにして終わる。

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