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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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「これまでリリースしたアルバムは本気を出していなかったのか?!」と思えるほどに劇的な変化を見せた傑作アルバム。

「サイバーな質感』「地下の実験室のような不穏な空気感」「未知の生物が誕生したかのような獣的な爆発性」といった要素を持つハードでアバンギャルドな側面と「6 JUPITER」「7 さくら」で聴けるような浮遊感を感じる独自のバラードが絶妙なバランスで配置されている。

デビュー作〜アルバム「悪の華」までに彼らが作り上げた「ギクシャクしたニューウェイブ×ビートロック」の良いところを継承しつつ一線を超えたダークサイドに足を踏み入れている。wikiを見ると今作からメインソングライターの今井寿(g)が本格的に機材を揃え曲作りをはじめたり、ギターシンセを使うようになったそうだ。本作以前は作りたい音はあるのだが今井寿(g)の意図がメンバーや制作関係者に伝わらず本領を発揮できていなかったのだろうと思われる。

アメリカの音楽シーンに激震が走った91年は日本でもバクチク(BUCK-TICK)やルナシー(LUNASEA)などがニューウェイブの独自進化のような問題作をリリースし後続のアーティストに多大な影響を与えた。バクチク(BUCK-TICK)は今作を境にダークサイドのどっぷり使ったアルバムを数作リリースすることになる。

    「要点」

  • ダークサイドに足を踏み入れたサイバーな狂った質感が魅力
  • 今井寿(g)のイメージが明確に具体化できたアルバム

「曲解説」

2 MACHINE

サイバー質感と疾走感を感じることができるハードなニューウェイブチューン。「タカ、タカ、タカ、タカ」という一人時間差のようなギターフレーズがニューウェイブ風。前半は低音を活かした歌声でダークに淡々と展開されるが(1:52〜)不穏なノイズと「宙に浮かぶ近未来のバイクに乗っている」かのようなサイバーな疾走感を味わえるギターソロの出現で状況が一変する。ギターソロは以降は、前半と同じボーカルラインが少し狂ったようなテンションで歌われサウンドも近未来のバイクにのって高速を疾走するイメージを連想できるスピード感がある。
3 MY FUNNY VALENTINE

「ダークでサイバーな地下の実験室」のようなミドルテンポの曲。ツインギターが絡みつくように不穏な響きを奏で、また未知の生物が誕生したかのような電子音が不気味さを演出する(1:58〜)「ダークな世界観にそよ風が入り込む」ような安堵感を感じるサビのボーカルラインが歌われるが、ツインギターはサビでも容赦なく耽美的でダークなフレーズを奏でる(3:08〜)暗い部屋の中で輝く「極彩色の光」のようなギターソロが登場。終盤は開放的なサビが2回繰り返されるが曲のダークさは一貫している。
4 変身[REBORN]

「地下の実験室で生まれた未知の生物が暴れ始めた」ような狂気的なスピードチューン。ダークな静寂の中で不穏でな電子音が鳴り響く展開、この空気を「制御不能な光線のようなサイバーなサウンドが切り裂く。曲を通してこのサイバーなギターサウンドが暴れまくる(2:01〜)人間不信を思わせるような狂気的なシャウトが響く(2:20〜)一旦、冷静になったような淡々としたアルペジオが流れるが、その後、すぐに「全てを切り刻むノコギリ」のようなギターソロが鳴り響く。終盤はこれまで以上にハードになりカオスな様相を呈し(3:52〜)この世の終焉を告げるような消防車のようなサイレンが響く中、最後は櫻井 敦司(vo)の掠れたシャウトで幕を閉じる。
6 JUPITER

聖母マリアのような幽玄なコーラスと星野英彦(g)による12弦ギターのコードが印象的な名バラード。曲を通して神聖でシリアスな雰囲気が漂い、音から眩しすぎる光を感じることが出来る。櫻井 敦司(vo)の歌声はセンチメンタルかつエモーショナル。歌詞の内容は「亡くなった母親の事」と「自身の後悔」について歌っている(2:36〜)今井寿(g)のギターソロが始まるがサビのボーカルラインをなぞった珍しく?!シンプルなものになっている。(3:08〜)「雅」という言葉がぴったりのチェロのメロディーが登場し曲に柔らかい春風が吹く。最後は全ての風が止まり静かに終わる。
7 さくら

「天空の城」を思わせる雅で浮遊感のあるミドルテンポの曲。ヴァースは「天空の城から見渡す夜空」のように涼しい展開で、きらめく星のようなキーボードも散りばめられている(2:17〜)「ちぎれた身体」「ごまかす痛み」という過激な歌詞を合図にサウンドは熱量を帯び始めるが、サビのボーカルラインは淡々とした語りのようなものとなっている。この曲の歌詞も「後悔」がテーマになっていると思われる。(5:20〜)この曲も今井寿(g)のギターソロもボーカルラインをなぞったシンプルなものになっている。「6 JUPITER」同様に「この曲は「歌」を聴かせる曲だ」という無言のメッセージを感じる。
8 Brain,Whisper,Head,Hate is noise

密室で行われる未知の生物の生誕祭のような怪しい雰囲気。今井寿(g)によるアナーキーなラップ風ボイスも登場する実験的な曲。ヤガミトール(dr)によるレッド・ツェッペリン(LED ZEPPELIN)風のヨレた質感のドラムが不思議とマッチしている。91年の日本のメジャーシーンでこの曲を演れるのは色んな意味でB-Tだけだと思う。
9 MAD

ミニマムで歪んだギターリフがリフレインされるサイバーパンク。脳みそを刺激する神経質で電流のようなノイズがあらわれては消え、BPMはゆったりとしているがマッハの速度を感じる事ができる。歌詞の内容は「狂っている事に気づいていない男」による嘆きというところだろうか。
10 地下室のメロディー

「パンドラの箱が開いたような不吉な電子音で幕をあけるB-T流デジタルハードコア。エフェクトのかかった櫻井 敦司(vo)の捲したてるようなボーカルは正体不明の黒い物体に追いかけられるような恐怖を感じる。(1:53〜)淡々としたサビの後は一時的に「全てが終わったような終幕感」が流れ、「電気で動く鳥のさえずり」のような直線的な電子音が鳴り響く。(2:15〜)ギターソロの後ろでは「やばい液体が溢れた」ようなノイズが鳴っている。

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