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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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TM NETWORKのブレイクを決定付けた出世作で前半はテンポが早くノリのいい曲が中心で後半はバラード中心という構成になっている。

じっくり本作を聴いた率直な間奏としてはここまで「ファンク」「プログレ」のテイストをもっているグループだとは思わなかった反面、90年代TKサウンドのような極彩色なサビのボーカルラインなどはほとんどなく、どちらかというと玄人好みな曲が多いと思った。

時折、聴く事ができる90年代エレクトロニカ風のシンセサウンドやプログラミングされた機械的なボーカルラインなどは87年当時の日本の音楽シーンでは相当な異彩を放っていたと思われる。

87年は「ボウイ(BOØWY)」「米米CLUB」が傑作をリリースしているが彼らに比べるとTM NETWORKは少し不器用であると感じる。「ビートを強調したアグレッシヴさ」や「振り切れた異国感」といったある種のわかりやすさが少ないと感じるからだ。本作を聴いてメインソングライターのTKこと「小室哲哉」が「90年代にヒットソングを連発し稀代のヒットメーカーになる」と予想できる人はあまりいないハズである。

    「要点」

  • ボーカルラインのメロディーは意外とスルメタイプ
  • 都会的なシンセとファンクなベースラインが特徴
  • 時折、見え隠れするプログレ匂

「曲解説」

2 Maria Club (百億の夜とクレオパトラの孤独)

「賑やかな都会の休日」のような抑えられないワクワク感を感じるシティーロック。イントロ・間奏部ではエッジの効いた最小限な手数の歪んだギターサウンドが鳴り響き、リフレインされるミニマムなシンセリフの合間をゴージャスで少しコミカルなホーンセクションが踊る。(1:02〜)Bメロの裏では「プールの水面の上で踊る光」のようなエレクトロニカ風の揺らめくシンセフレーズが登場し、少しシリアスなムードを与える(1:17〜)サビは「都会の雑踏をすり抜けた」ような解放があり、(1:28〜)90年代のTKサウンドでも頻繁に聴く事ができる「wow wow wow wow」というコーラスが飛び出す。
3 Don’t Let Me Cry (一千一秒物語)

弾力のあるベースラインが脳にゴリゴリくるファンクチューン。ひんやりと冷たいディスコ風のシンセと規則正しいマシンビートは「誰もいない深夜のオフィス街」を思わせ、ミニマムなカッティングギターが曲に「急ぎ足」のようなスピードを与えている。
4  Self Control (方舟に曳かれて)

直線的なビートとループされる「Self Control 」というボーカルラインが、当時「近未来」だったと思われる代表曲。Aメロのシンセフレーズはサビのボーカルラインを淡々となぞるが、Bメロでは華やかに弾ける。1:30〜 壮大なストリングスとサイバーな質感のノイズギターが登場、1:52〜 「螺旋階段を早足で降りる」ようなプログレ的なギターフレーズも聞く事ができる。やはりこの曲でもミニマムなカッティングギターが曲にスピードを与える。最後は「未来」のような眩しい光に包まれワープするように終わる。
6 Fighting (君のファイティング)

強い風が吹く街で一人で佇むような雰囲気のバラード。涼しく淡々と進行するヴァースと力強いサビという構造。サビのボーカルラインは珍しくハードなロック的な熱量がある。2:44〜 「移り変る街」のようなサックスソロがノスタルジック。
7 Time Passed Me By (夜の芝生)

「目の前にでかい夕日が浮かんでくる」ようなアコースティックバラード。ゆったりとしたアフリカンなパーカッションとストリングスが空気感を演出。サビが2回あるような抑揚があるサビのボーカルラインを宇都宮 隆(vo)がしっとりと歌い上げる。(2:40〜)夕暮れ感を醸し出すゴスペル風コーラスがエモく、歌詞の内容は「戻れないあの日」のようなイメージ。
9 Fool On The Planet (青く揺れる惑星に立って)

「宇宙から舞い降りた」ような神秘的なシンセフレーズと雄大なメロディーラインが印象的な曲。ヴァースは昼間から少しアルコールを飲んだアーバンな休日のような雰囲気だが、「空まで届く」ようなボーカルラインをもつサビがダイナミック。1:58〜 間奏では一時ハードロックのようにハードに畳み掛けたり3:23〜 少し酔っているようなサックスソロが登場したりと一筋縄ではいかないプログレ感が魅力。

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