ヘヴィメタルといっても過言ではない位にハードでヘヴィなアルバム。前作「SURVIVE」で見られた「ハードさ」「ヘヴィネス」を更に推し進め、
少しリラックスしたアコースティックな数曲以外はアナログでハードなサウンドで埋め尽くされている。ミスター・ビッグ(Mr. Big)のメンバーがレコーディングに参加しておりテクニック面でも高度であると思われる、本作はハードロック的な音以外とはあえて距離を置いるかのような印象すらある。
唯一、非ハードロック的な要素として確認できるのは、「3 Brotherhood」「7 その手で触れてごらん」で聴けるような空間的でクリアなギターサウンド
この要素はもしかするとV系の影響なのかもしれない?!と推測してみる。
それ位にソングライターである松本 孝弘(g)は幅広く様々な音楽をチェックしているという感想を筆者は持っている
「曲解説」
1 F・E・A・R
前作よりタイトでパワフルなドラムが非常に目立つオープニング曲。ヘヴィロックといってもいい位に重低音が効いた歪んだ刻みギターリフが印象的で(2:06〜)稲葉浩志(vo)が相変わらずノリのよいシャウトを聴かせてくれる。本曲は過去のBzの曲で重要な要素となっていた煌びやかなキーボードやシンセ、キャッチーなホーンセクションなどが一切入っていない。
2 ギリギリchop
スラッシュメタルのような時速200kmレベルの疾走感を感じる曲。ギターサウンドは80年代スラッシュメタルのようなザクザクした歪みリフではなく、金属的なギラつきがありながらも松本 孝弘(g)らしいコクのあるトーンとなっている(2:15〜)浮遊感があり高速で回転するUFOを思わせる驚愕のベースソロが登場する。色んな意味で「なんだこのベースソロ?!と思いwikiをみるとまさかのビリー・シーン/ミスター・ビッグ(Mr. Big)(2:21〜)ギターソロもベースソロに負けないテクニカルな内容となっており光沢があるビームのような音色は高崎晃/ラウドネス(LOUDNESS)を思わせる。本曲も終始疾走するハードチューンとなっておりポップなテイストは一切ない。
3 Brotherhood
「神聖な雰囲気のある音色のアルペジオが印象的なパート」と「「乾いた空気感」を感じることができるハードサウンドなパート」で構成されるバラード。派手な歪みギターリフはなく全体のダイナミズムを重視している(4:48〜)ハードなサウンドが「ボタンをポチり」と押したようにガラリと神聖な雰囲気にかわる。この唐突な雰囲気の移行はどことなくオルタナっぽい。
4 ながい愛
LOVE PHANTOMにも通じるような重厚で真っ白なストリングスが流れるが、その空間をギターリフが黒く染め一気にヘヴィロックになる。Aメロ、Bメロ、サビで全て違うギターリフが弾かれるというギターリフオリエンテッドでやりたい放題なハードチューン。「Aメロ/不穏でダークな質感のエフェクティグなリフ」「Bメロ/煌びやかで開放的なラフなリフ」「サビ/ザクザク切り刻むハードリフ」(3:18〜)ハードなサウンドの残響を残す中でイントロでも流れたストリングスが一時流れるが、その空気を次は強烈に歪んだ汽車の音のようなギターサウンドが切り裂く。終盤はストリングとハードなサウンドが同居した展開となる。
5 夢のような日々
SEはプライベートのメンバー会話(wiki)乾いた空気感を感じるアコースティックソングでキラキラしたキーボードやドリームなオルガンがポップ感を与えてくれる(1:51〜)ギタリスト松本 孝弘(g)がサビを歌うというまさかの展開。5曲目にして非ハードロック/非ヘヴィメタルな登場して少しほっとする。
6 銀の翼で翔べ
タイトルからしてハードな曲をイメージするが、やはりハードな曲。うねるヘヴィなギターリフとそのリフの合間を縫うように鳴らされるパンチの効いたホーンセクションがキャッチー(2:18〜)ギターソロと並走する形でブルースハープのソロが鳴り響く。ハードな曲だがキャッチーでポップな質感もある。
7 その手で触れてごらん
「鏡の世界」のような透明感と浮遊感を感じる。U2のような空間系サウンドとダイナミックでハードなサウンドが同居している曲(2:28〜)ヒソヒソ話のような囁きが挿入され一時的に歪みが減少するが、すぐに更にハードになったサウンドが鳴り響き最後まで続く。
8 流れゆく日々
「「誰もいない部屋」のようなクリーンなアルペジオと「散歩」のようなゆったりとしたリズムで構成されるヴァース」と「ザラついた質感のギターサウンドとタイトでパワフルなリズム」で構成されるサビが中心となる。イントロや中間部で挿入されるフレーズは80年代ブリティッシュメタルのような聴いているだけで自分がRPGゲームの主人公になったような錯覚を味わえる叙情フレーズ(3:10〜)縦横無尽に駆け回る稲妻のようなテクニカルなギターソロが登場。全体を通してやはりPRGゲーム的メタル感を感じる曲
11 SHINE
哀愁のフラメンコギター(多分)によるイントロが印象的。その後は、ハードでダイナミックなサウンドに移行して底の方でうねるベースラインがこの曲に浮遊感を与えている(2:42〜)サークルの飲み会のような手拍子と歓声が挿入され、サビのボーカルラインはどことなくラテンの香りがする。本作を締めくくるにふさわしくハードで疾走感のある曲となっている。