「曲解説」
1 Protection
モノトーンなアルペジオと「ガラスの破片」のようなギターフレーズが静かにリフレインされるメランコリックなスローバラード(2:38〜)アシッドハウスのような弾力性のあるスライムビートが曲に歪み感を与える。中盤以降は美しい旋律を奏でるボーカルラインの裏で「静かな雨」のようなピアノが存在感を放つ。曲を通して「曇りの日の憂鬱な早朝」を連想するような気怠さがあり、最後は降り注ぐ雨音とピアノの旋律だけが静かに鳴り響く。
2 Karmacoma
「酩酊」のような質感のリズムと「囁く」ようなラップが「宴」のような雰囲気を醸し出すダビーなヒップホップ。リズムは「先住民の足跡」のように「ドシドシ」と強くシンプルに響き渡る(2:08〜,3:38〜)吹奏楽器が「強い風」のように神聖な質感のオリエンタルな旋律を奏でる。淡々とした展開の曲だがダレることなく常にシリアスな緊張感が保たれている。
3 Three
「神秘的で真っ白な空間」を連想する幻想的な曲。「Three」「Three」「Three」とタイトルを連呼する男の声がシュールで耳に残る。リズムアプローチは「海中の泡」のように静かであり、音響として機能している。
4 Weather Storm
「しっとり雨が降るアーバンな街角」のようなジャジーなインスト。「しっとり降る雨」のようなジャジーなピアノとは対照的なディープで分厚いベースラインが曲を引っ張る。中盤以降はストリングス風シンセサウンドが目の前に「霧」のように現れる。
5 Spying Glass
「ガラスの世界」のような揺らめきと残響が心地よいダブチューン。時折挿入されるカラフルなギターサウンドの断片はリスナーの脳を突き刺す。中盤以降は「1 Protection」同様にアシッドハウスのような弾力性のある低音が登場。終盤は全ての音が「無邪気な動物達」のように目の前に飛び出さんばかりの勢いで鳴り響く。
6 Better Things
「くぐもったベースライン」と「ドリーミーな音響」が印象的な神聖なバラード。この曲でも「ガラスの破片」のようなギターサウンドの断片がリフレインされている。中盤以降は「ノスタルジーな故郷」のようなストリングスが登場し曲に深みを与えている。
7 Euro Child
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)とも共通する「揺れるサウンドレイヤー」を持つダークなヒップホップ。「yeah、yaah」という女性コーラスはビビッドで強烈な響きを持ち「呪縛」のように脳裏に刻まれる。「二日酔いのような気怠さ」と「昨日のハイな思い出」が同居しているようなイメージの曲。
8 sly
「春のような爽やかさ」と「曇り空のような憂鬱さ」が同居しているミドルテンポの曲。クラシカルな弦楽器とストリングスが気怠い音響の中を優雅に踊る(2:56〜)「ガラス細工」のような透明なサウンドと分厚いベースサウンドが絡まりアクセントとなる。
9 Heat Miser
「クリスタル」のような質感のピアノサウンドとダビーなリズムアプローチが「霧」のような雰囲気を醸し出すインスト。直線的に「記号」のように鳴り響く分厚いベースラインがピアノの美しく耽美な旋律をより引き立てる(2:20〜)「光線」のような質感の電子音は「早朝の曇り空を羽ばたく鳥」のように自由だ。
10 LIght My Fire(Live)
ライブ音源をラストに挿入するセンスが非ロック的であり、歓声の存在もあり「賑わう市場」のような雰囲気を持つ曲である。トラックは「ビームや銃声をサンプリング」しておりストリート感がある(1:40〜)長年開いていなかった扉を開けるようなラッパが渋く響き渡る。