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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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「ハードコアパンク、ヘヴィメタルからの影響を全く感じさせない空間的なサウンド」「神秘的でマニアックに尖っている歌詞」などが印象的で、本人たちが望む望まないは別としてルナシー(LUNAEA)の伝説のインディーズアルバム「LUNASEA」と共にV系クラシックとして後続のアーティストに多大な影響を与えたインディーズアルバム。

「眩しすぎる光」のようなken(g)のギターサウンドは他のダーク系バンドでは中々聴けない類のものであり曲に不思議な開放感を与えており、ニューウェイブ的なミステリアスさやダークさを強調したサウンドであっても閉ざされた感があまりしないのはken(g)のセンスによるところが大きいと思われる。

93年リリースのインディーズアルバムではあるが後のラルクサウンドの原型が砂漠の砂に埋もれて存在している、そんなアルバム。

    「要点」

  • V系クラシックとして後続のアーティストに多大な影響
  • 神秘的でマニアックに尖っている歌詞

「曲解説」

1 Shutting from the sky

「これぞラルク!」という煌びやかさと浮遊感を感じるオープニングソング。ユートゥー(U2)からの影響を感じさせるイントロのディレイサウンドは、 ルナシー(LUNASEA)の名曲「MOON」と並びディレイを活用した名フレーズであると思う。歌詞の内容はネガティブにダークに塞ぎ込んでいた主人公が 光の世界の美しさに惹かれ「もう過去には戻れない」というニュアンスの内容。「高速のメトロノーム」のようなディレイサウンドが奏でるモノトーンな響きと 「光が降り注ぐ」ような伸びやかなギターサウンドの対比が印象的でインディーズアルバムの1曲目からして既にken(g)サウンドが完成されている。
2 Voice

耽美的なギターフレーズが空を舞うニューウェイブチューン。マイナー調のコードストロークは「酸性雨」のような煌びやかさがあり(2:55〜)ミステリアスな響きのアルペジオのバックで「天に届く光」のようなアンプのハウリングが鳴り響く。
3 Taste of love

「夜の砂漠」のような雰囲気をもつダークなギターポップ。歌詞の内容はとにかく強烈で濃厚なMの匂いがするものとなっており、絶対的な美を持つ者に対する狂おしい愛情というところだろうか(2:50〜)ギターソロは「闇を舞う紫色の蝶」のようにダークな質感で曲のミステリアスさを助長する。
4 Entichers

メランコリックで「雨が降るパリの街」のような質感の曲(1:15〜)「狂おしい」というワードの登場と共に「脅迫観念」のような黒い影が現れ転調がはじまる。中間部では不気味さを演出する鐘の音が鳴り響く。「メロウなシャンソン」のようなサウンドが不穏な音を更に強烈に引き立てている。
5 Floods of tears

「比喩に比喩を重ねた意味が分かりそうで分からない歌詞」が美しいサイケな曲。終始「ガラスの破片」のような質感のアルペジオがリフレインされ、ベースラインは「うねる波」のような存在感を放つ。ギターソロは「夕暮れの海辺」を連想するようなメロウさと輝きを放つ(4:14〜)コーラスをかけ多重録音されたクリーンなギターサウンドは「終幕」のように退廃的である。終盤は「二度と戻れない夏」のようなセンチメンタルさをもつストリングスが登場して 最後はサビのメロディーを奏でるオルゴールが静かに流れる。
6 Dune

砂の街を舞台にした禁断の愛をテーマにした耽美ギターチューン。「月」「砂丘」「宴」という言葉がリスナーの想像力を強く刺激。歌詞の内容はhyde(vo)以外のシンガーが歌うのは許されない「灼熱の恋」のようなイメージ。サウンドはザ・スミス(The Smiths)のサウンドにロック的なエッジを効かせたようなイメージで流れるような旋律が見事である。
7 Be destined

「神」「園」「十字架」というフレーズがミステリアスではあるが、サウンドはサクッとしたハードなニューウェイブといった感じの曲(2:31〜)tetsuya(b)による早弾きベースラインは「長い蛇」のような存在感がある(2:41〜)現実と空想の境目がグチャグチャになっているようなhyde(vo)の語りはルナティックで恐怖すら感じる。
8 追憶の情景

「古いアルバムをめくりセンチメンタルな思い出に浸る昼下がり」のような質感のアコースティックバラード。後の名曲「Singin’ in the Rain」と同様に「しっとりと雨が降り注ぐ街角」を連想する雰囲気がある(3:47〜)「迷子」のような質感のスパニュシュなギターソロから空間的でエフェクティブなコードストロークが鳴り響く展開に移行。終盤はtetsuya(b)のベースラインがhydeのボーカルラインに「黒蛇」のようにディープに絡みつく。
9 As if in a dream

hyde(vo)が「ラルク史上最高の曲」だと言い(wiki)、グレイ(GLAY)のリーダーTAKUROに多大な影響を与えたラストソング。「退廃的な世界に僅かな光が差し込む」というV系なら誰もが目指すサウンドを最小限の手数で描いている(1:25〜)「海面に浮かぶ光」のようなディレイサウンドがセンチメンタルな質感の曲に光沢を与えている。終盤に登場する「ネオンカラー」のような電子音には彼らの音楽的な懐の深さを感じる。

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