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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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前作までの初期三部作のサウンドの良い部分を継承しつつもポップミュージックとしての強度を劇的に高めた名作。

これまでセルフプロデュースでアルバムを制作してきた彼らが「岡野ハジメ」や「佐久間正英」などの実力派プロデューサーを招いて作成された初めてのアルバムであるが、次作以降も「岡野ハジメ」をプロデューサーに迎えている事からメンバー的にも確実な手応えを感じたアルバムであると思われる。

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)が得意としている80年代UK耽美ギターポップのような曲も極限までサウンドをシンプル化し歌詞の内容を最大公約数化する事でこれまでとは別次元のポップネスを感じることができる。「4 flower」「8 風にきえないで」などは90年代を代表する素晴らしいギターポップ曲と言えるだろう。

インディーズ時代からのファンの中には今作の「ポップな変化」に戸惑ったファンも多く存在するかもしれないが今作がなければダークで耽美的だが力強いポップネスが存在する傑作アルバム「HEART」は生まれなかったと断言できる為、ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel) のキャリアの中でターニングポイントと言えるアルバムとなっている。

    「要点」

  • 実力派プロデューサーを招いて制作されたアルバム
  • ポップミュージックとしての強度を劇的に高めた傑作
  • キャリアの中でターニングポイントと言えるアルバム

「曲解説」

1 Fare Well

前作「heavenly」に収録されている「4 ガラス玉」に通じるバラードからエモーショナルで壮大なメロディーを持つロックに移行するオープニングソング。初期3部作にはないタイプの熱量があり、曲を通して「卒業式」のようなセンチメンタルさと力強さがある。
2 Caress of Venus

これまでのラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)からは考えられないカラフルなダンスビートが印象的なアッパーチューン。ノリノリのダンスチューンではあるが80年代耽美派UKギターロックのような「海辺」を連想する雰囲気を持ち、前作までのサウンドの良いところを踏襲しつつも新機軸を試みた曲と言えるだろう。
3 Round and Round

90年代グランジを意識したであろうと思われるダークでヘヴィなロックチューン。歌詞はロックな曲にピッタリの「大人に対する拒絶」を歌っているがサビのボーカルラインは弾けており、コーラスの「round in merry world♩」は非常にポップで同年代のルナシー(LUNASEA)や黒夢の曲には絶対に出てこないテイストである。このポップに対する柔軟な姿勢がラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)の個性と言える。
4 flower

全てのティーンエイジャーに聴いてもらいたい胸キュン・ギターポップな名曲。男性の女々しさを全面に押し出した「起こされるのを待っているのに」という歌詞は当時斬新な響きをもっていた。サウンド的には彼らが得意とするメロウなギターポップを極限まで削ぎ落としたものとなっている。
5 “good-morning Hide”

「渦巻き」のようなベースラインが新鮮なグルーヴィーな曲。グルーヴィーではあるがハードロックやサイケのような質感はなくカラフルで軽やかなハウスミュージックのような雰囲気がある。終盤は「はしゃいだ後に感じるわずかな喪失感」のようなメランコリックなアルペジオが存在感を増す展開となる。
6 the Fourth Avenue Café

「雨音」のようなピアノとゴージャスなホーンセクションを導入した「アーバンな街角」のような質感の曲。ken(g)のギターサウンドは「4 flower」同様に最小限の手数でメロウなフレーズを奏でている。
8 風にきえないで

ポップなボーカルラインが弾けるギターポップ。サウンド的には前作「heavenly」にも通じるメランコリックさもあるが、 「答えを見つけた」かのようなアグレッシヴな演奏もありポップに突き刺さる。歌詞の内容は恋に恋する十代の爆発しそうな感情といったところだろうか。
10 Dearest Love

「光が降り注ぐ」ようなken(g)のディレイサウンドが印象的な眩しすぎるバラードでhyde(vo)のボーカルは叶わぬ願いのように儚い(1:50〜)レディオヘッド(radiohead)の名曲「creep」を参考にしたと思われる唐突なブラッシングノイズが挿入され(3:08〜)バイオリンが「むせび泣き」のような旋律を奏で曲に優雅な渋みを与える。中盤以降は壊れた質感のグランジギターが空間を切り裂きアクセントとなっている。

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