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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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前作「FAKE STAR」が可愛く思える程に放送禁止レベルの反逆ソングが多く収録されている5thアルバム。

前作「FAKE STAR」に収録されていたパンクソングの強度を更に高めたサウンドに乗せて歌われる歌詞は、音楽業界だけに留まらずテレビやV系シーンまでをディスりの対象としており、もはや「痛快」の域である。反面、「12 NEEDLESS」「13 Like @ Angel」などの歌詞は反抗期男子のフラストレーションを代弁したような歌詞は非常に繊細でこの二面性が清春(vo)の魅力なのだろう。この時期の清春はファッションリーダーとしてもまさに神の域で中高生男子から絶対的な支持を得ていた。

    「要点」

  • 放送禁止レベルの反逆ソングを多く収録
  • 「12 NEEDLESS」の歌詞は反抗期男子のフラストレーションを代弁

「曲解説」

1 MIND BREAKER

「ザクっ」とした歪んだギターサウンドが中心となって展開されるヘヴィロック。タイトルである「MIND BREAKER」というフレーズをメロディックに歌い上げるサビが非常に頭に残る(2:05〜)間奏部ではヘヴィなサウンドの上を「金縛り」のような清春(vo)の声が空間を舞う。
2 DRUG PEOPLE

ビジネス最優先の音楽業界をディスった歌詞と挑発的なラップ風歌唱が印象的なファンクロック。サウンド自体は「砂鉄」のような歪みを感じるギター、強烈にうねるベースラインとタイトなドラムのみで構成されているシンプルなものである。
3 DRIVE

「ザクっ」とした音質のシンプルなパンクロック。時折現れる幽玄なシンセサウンドはまるで「白い煙」のようだ。歌詞は現在では間違いなくリリース出来ない類のものでありセックスドラッグを前面に押し出している(1:58〜)BPMが急速に落ち人時(b)のベースリフが繰り返しリフレインされる、このあたりは作曲者の特権と言えるだろう。
4 C.Y.HEAD

ミニマムなリフがリフレインされるド直球のパンクロック。音楽評論家に対して「たいした文章も書けない」「君の頭はプラスティックだ」と真っ向から喧嘩を売る歌詞が痛快。C.Y.HEADは「cutting your head」の略であると思われる。
5 CAN’T SEE YARD

腐った音楽産業や業界人を気持ちいい位にディスる曲で清春(vo)のボーカルはエフェクトでガッツリと歪んでおり、反抗期の男の子の気持ちを代弁するかのような熱量がある。
6 DISTRACTION

ギターとベースがユニゾンする分厚いリフが印象的がパンクチューン。音楽業界のみならず「ロッカーではない子供向けタレント」にまでディスりの範囲を広げた反逆ソング。サビで登場する「オーオーオッ」という野太いコーラスはまるで自分が「勇敢な勇者」になったかのような錯覚をリスナーに与える。
7 Spray

抜群のメロディーラインを持つノリノリのパンクソング。気持ち良い位に攻撃的なディスりソングが続いた後に登場するこの曲の歌詞は、「Sprayで描いた夢は叶うから」と優しくそして力強くティーンエイジャーにエールを送るという内容になっている。「手に負えない不良が時折見せる優しさ」は、「普通の人の優しさ」の10倍評価されるのと同じ法則でこの曲の歌詞は普通のミュージシャンが書いた歌詞の10倍優しくリスナーに響く。
9 BLOODY VALENTINE

伝説のシューゲイザーアーティスト/マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)を意識したと思われる浮遊感と透明感をもつ歪みソング(2:22〜)久しぶり感のある耽美的でエロティックなギターサウンドが登場し、その後は強度を増したうねる歪みとガラスの破片のようなクリーンサウンドが絡まる(3:40〜)ボーカルラインの後ろで「隠しアイテム」のようなクリーンアルペジオがミステリアスに響く。
11 NITE&DAY

「刹那的な恋愛を映画にした」ようなメロウなアコースティックソング。全編を通して「霧の中にいる」ような心地よいウエットな質感がありメロウな歌詞が数段メロウに切なく響き渡る。「繊細な男女の心の揺れ」を描いた歌詞がとにかく素晴らしい。
12 NEEDLESS

「全力疾走」のようなスピード感をもつメロディックなパンクソング。反抗期男子の気持ちを代弁している歌詞が生々しく、そして繊細な響きをもっている。「昔話好きな大人から逃げたい」という気持ちは若気の至りだが、確かに10代のある時期はそういう気持ちが自分にもあったような気がする。「あの頃の気持ち」を思い出させてくれる名曲である。
13 Like @ Angel

全ての塞ぎ込む思春期期男子に「ナイフで窓を削り天使の羽を広げて羽ばたこう」とエールを送るメッセージソング。「窓のない部屋で膝を抱えている」というフレーズは思春期特有の陰鬱さを端的に表した名フレーズだと思う。
14 BAD SPEED PLAY

BADなSPEEDを体感できる強烈なハードコアソング。歌詞は当時頻出していたモノマネV系バンドの事を痛烈にディスっていると思われる内容であり、現在の音楽シーンでは明らかに発売できないレベルの反逆ソング。「12 NEEDLESS」「13 Like @ Angel」という反抗期・思春期の少年の気持ちを代弁したような素晴らしいパンクソングの後で、しかもラストソングにこの曲を配置するあたり「さすが」としか言いようがない。

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