前作の流れを汲んだソウル・ジャズテイストはもちろん「レゲエ」「ファンク」なども消化したアルバムとなっており、彼らがTKサウンド(ファミリー)の中でも特別な立ち位置にいることが分かる濃厚なサウンドを展開している。
その濃厚なサウンドを中和するように「優雅さ」「心地よさ」を感じるストリングスや「静かに時を刻む」ような質感のカッティングギターが多くの曲で採用されており「4 Happening Here」はレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)の
ファンクソングをTKがアレンジしたような質感の曲となっている。
また「9 R&R,Who?“t”KOO-L」には90年代的なストリート感がありグランジやミクスチャーからの影響をわずかながらに感じる事ができる。
「曲解説」
1 BRAND NEW TOMORROW(Album Version)
「晴天のような青さ」と「心地よい風」のようなストリングが印象的なポップソング。サビはしっかりと抑揚がありYU-KI(vo)のパワフルな歌声を引き出している(3:33〜)前作からの流れであるソウルな質感が強調されて、そのまま渋みのある洗練されたサックスソロに繋がる。終盤はサビがリピートされる展開だがソウルフルな女性コーラスのサポートもありこれまでよりも華やかに響く。
2 ALL YOU NEED IS LOVE
恍惚感を感じるオルガンとパワフルでシンプルなドラムをフィーチャーしたミドルテンポの曲。Aメロは「淡々とした語り調」でサビは「メインボーカル以上に目立つソウルフルな女性コーラス」がボーカルラインに華を添える(3:13〜)ストリートを連想する様々な人のサンプリングボイスが挿入され曲をさらにファンキーにする。
3 Xmas dance wiz U(HAPPY NEW YEAR)
X’masが近くワクワク感と冬の冷たさをパッケージングしたアーバンなソウル。「静かに時を刻む」ようなカッティングギターが印象的(2:50〜)少しだけセンチメンタルでコクのあるギターソロ(3:33〜)秘め事のようにきらめくアルペジオが滑らかに流れる。歌詞の内容は渋いサウンドとは裏腹に「X’masやnew yearを君と一緒に踊りたいと願う」シンプルなラブソングとなっている。
4 Happening Here
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)のファンキーな曲をTKがアレンジしたような曲でこの曲でも「静かに時を刻む」ようなカッティングギターと「曇り空」のような質感のアルペジオが導入されている。インダストリアルな質感の硬質なビートと「ガラス玉」のような透明感をもつ電子音も印象的。クールなYU-KI(vo)とDJ KOOのラップも披露されヒップホップ色が強い。
5 Hold the Line
「優雅」なストリングスやバイオリンを導入したエモーショナルなバラード。この曲でもカッティングギターが静かに時を刻み、
ベースラインは「雨雲」のような湿り気とディープさを感じるものとなっている。
7 teens
「放課後」のような開放感とノスタルジーを感じる歌謡テイストが強いバラード。「夕日」のような包容力をもつコーラスが曲に眩しさを与えYU-KI(vo)のボーカルを支えている(1:56〜)「センチメンタルな思い出」のような渋いサックスソロが登場。歌詞の内容も「恋しいけど、もうあの日には帰れない」というセンチメンタルなものとなっておりサウンドを言語化したような内容となっている。
9 R&R,Who?“t”KOO-L
ジャンクなロックサウンドを1.5倍速にしたようなイメージのファンキーチューン。SEではおそらくではあるがパブリック・エナミー(Public Enemy)の音源がサンプリングされており「DJスクラッチの断片」「アーバンな質感のカッティングギター」
「大粒の雨のような質感のドラム」なども随所に挿入される。縦ノリと横ノリが良いバランスで融合されており、ついついリズムをとってしまう。
10 HOT WINTER NIGHT~samuiyorudakara~
ヒットシングル「寒い夜だから…」をレゲエ調にアレンジしておりアシッドハウスにジャズテイストを反映させたオリジナル版とは全く異なるフィーリングをもっている。「牧歌的な夏のような雰囲気のサウンドの上で歌われるサビの歌詞「寒い夜だから」は心地よいシュールさがある(2:38〜)「青い残像のような質感のギターソロは非常にサイケデリックであり不思議なトロピカル感もある。