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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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シリアスで張り詰めた空気感があった前作・全前作の反動からか全体を通してラフな印象をうけるアルバムとなっており、ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)などからの影響を感じる強烈に歪んだインダストリアル・サウンドやエイフェックス・ツイン (Aphex Twin)以降のエレクトロニカ・サウンドなどを曲に反映させている。

また本作は「シリアスなサウンドにシュールな歌詞を乗せるという方法論」を試した作品でもあると思われ「2 キャンディ」「3 チョコレート」の歌詞は「櫻井敦司(vo)どうしたの?!」と 一瞬思ってしまう「不気味な甘さ」を感じるし「5 Tight Rope」における「ゆらゆらら」というラインはコミカルですらある。

本作を一言で言うなら「模索」という表現がぴったりではないかと思う。

    「要点」

  • ・前作の反動からか全体を通してラフな印象をうけるアルバム
  • ・これまでにはない「不気味な甘さ」を感じる歌詞が登場

「曲解説」

1 Maria

不思議な重力感を感じる歪んだロックチューン。ドラムの音色が非常に鮮やかでリスナーの耳にダイレクトに突き刺さってくる。ギターサウンドは前作とは異なる質感で「ダーク×耽美」なB-Tクラシカルなトーンとなっている。
2 キャンディ

ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)からの影響を感じる「インダストリアルな歪み」を強調したノイズチューン。ザラつくノイズサウンドとは対照的に櫻井敦司(vo)のボーカルには半透明のように響く音響処理が施されている。凶暴なノイズサウンドにのせて歌われる歌詞は「キャンディー=君」という前作からは考えられない色んな意味で甘い内容となっている。
3 チョコレート

「地を這う」ような低音ギターリフが印象的なインダストリアル・チューンでまるで「戦場にいる」ようなカオス感を感じる曲となっている。歌詞の内容は意味不明(0:56〜、2:36〜)「DJスクラッチをサイケ×メロディックにアレンジした」ようなセンス抜群のギターサウンドが「濃厚なチョコレート」のように響き渡る。
5 Tight Rope

「雲の中にいる」ような白さを感じるアンビエントテクノソング。曲を通してシリアスで神聖な雰囲気を感じるサウンドが展開されるが、反面、歌詞は軽やかで「ゆらゆらら」なるラインが登場。シリアスなサウンドにシュールな歌詞をのせる方法論は、鳴っているサウンドは全く異なるが「2 キャンディ」「3 チョコレート」と同様であると感じる。
6 idol

表情豊かでデリケートな電子音とシンプルなギターロックが並行する曲。本作の中で最もシンプルであり、サビは「破壊」「神」というワードが登場するがメロディックでつい口ずさみたくなる類のものとなっている。
7 Living on the Net

「ストリート感のあるHIP HOPをB-T流にアレンジした」ような曲でジャンクで壊れたなサウンドで埋め尽くされている。今井寿(g)によるラップ風・早口歌唱も登場。
9 IN

リバーヴのかかった音響が印象的な耽美ギターポップ。揺らめくスローなギターサウンドが終始鳴り響き「ハワイの海辺」のような空気感を演出している。
10 Ash-ra

タイトなビートとド派手なサビのボーカルラインが印象的なスピードチューン。ベースがミニマムなリフを奏でツインギターは「サイバー×耽美」な空間構築に徹している。「全て呪うような愛のリズムで熱いダンスを踊ろう」という無理難題をあなたに提案する歌詞はミステリアスとしか言いようがないものである。(3:50〜)これまでの激しさが嘘のように「バラの花びらが揺れて床に落ちるまでを超スローにしたようなピアノによる静パートが挿入される。
11 COSMOS

「夢見心地な音響」と「全てを包み込むような優しさ」が同居した浮遊感たっぷりのB-T流エレクトロニカソング(3:58〜)「ラストソングだからこのまましっとり終わるだろう」というリスナーの気持ちを見透かすように縮れたノイズサウンドが空気を乱す。最後は「全てが宇宙にかえる」ような静けさで幕をとじる。

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