検索画面を消す
検索画面を消す
live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

投稿詳細ページ

X JAPANのカリスマギタリストhideのソロデビューアルバムであり「インダストリアル」「オルタナ」「グランジ」などのハードな歪みを大胆に取り入れた作風となっている。

hideの魅力はエッジのたったサウンドやマニアックな響きを主にしたサウンドを作りつつも、そこに「おもちゃ」や「ゲームセンター」のようなポップネスを反映できる点であろう。80年代UKギターポップのような「4 EYES LOVE YOU <T.T.VERSION>」ワルツ調のギターサウンドを響かせる「8 A STORY」などはhideの音楽的なキャパシティーの大きさを感じさせる。

「2 DICE」「13 TELL ME」のギターソロはエックスジャパン(X JAPAN)風のハモリフレーズでありhideからエックスジャパン(X JAPAN)ファンに対するプレゼントのようであり、「14 HONEY BLADE」における「神登場のミステリアスな語り」は後輩であるルナシー(LUNASEA)に対するhideからの「愛のあるイジリ」であると思われる。

    「要点」

  • ・エッジのたったサウンドやマニアックな響きを主にしたサウンドを作りつつも、 そこに「おもちゃ」や「ゲームセンター」のようなポップネスを反映
  • ・「2 DICE」「13 TELL ME」のギターソロはエックスジャパン(X JAPAN)風のハモリフレーズ

「曲解説」

1 PSYCHOMMUNITY

X JAPANのメジャーファーストアルバム「BLUE BLOOD」に収録されているオープニング「PROLOGUE (〜WORLD ANTHEM)」を思わせる曲で、「中世ヨーロッパに建てられたドイツの古城」のような叙情性を放つHRインスト。
2 DICE

当時の日本のメジャーシーンでは「斬新すぎたインダストリアル・ビート」を大胆に反映させたファストチューン。ギターサウンドは「金縛りのようなメタリックな音響」となっており「叩きつけるような直線的なビート」が大きな存在感を放っている。歌詞は「目の前にうつる全てが化け物に見える」尖ったセンスをもつ異端な10代に対するメッセージソングのようなイメージで「世間や大人に縛られず自分の思い描く花を咲かせればいい」という内容(1:10〜)「13 TELL ME」同様にX JAPAN風の流麗なハモリギターソロが登場(2:28〜)「ピィ〜、ピィ〜」というフィードバックノイズが鳴り響き最後までアグレッシヴに攻めきる。
4 EYES LOVE YOU <T.T.VERSION>

「80年代UKギターポップ」のような透明感とメロウネスを感じる曲だが歌詞には「絶望」や「狂気」という過激な言葉が登場して不思議なミスマッチがある。この曲のクリーンなギターフレーズはX JAPANでは聴けない類のものであり当時ファンに大きな衝撃を与えたハズだ。
5 D.O.D.(DRINK OR DIE)

ザクザクしたスラッシュメタル・リフが空間を切り裂く凶暴なハードコアチューン。hideの声にもエフェクトがかけられており、サビではhideが得意としている「早口呪文歌唱」が冴え渡る。「2 DICE」同様に海外のインダストリ系アーティスト/ミニストリー(Ministry)からの影響を感じる「コアなインダストリ感」を導入しているが「おもちゃ」のようなポップネスも同時に感じる事ができる曲となっている(1:54〜)ブレイクの後、BPMが倍速位に速くなりスラッシュに畳み掛ける。
7 DOUBT <REMIX VERSION>

「サイバーな爆発」のような強烈な歪みが炸裂するサイボーグロックの名曲。終始「分厚いモザイク」のような音響感でhideのボーカルにはやはりエフェクトがかけられており間違いなく「シラフではないブチ切れたテンション」で狂ったように畳み掛ける。「俺とよく似た歌うたい」なる歌詞からおそらくではあるが、自分(hide)のスタイルを表面的になぞってアナーキーを気取っている痛い人達を痛烈に批判していると思われる。そんな気がする。
8 A STORY

「よく晴れた夏の日のメランコリックな思い出」のような浮遊系バラード。ワルツ調の流れるようなアコースティックサウンドを導入しており、hideの音楽的なキャパシティーの大きさに驚く。
9 FROZEN BUG ’93 <DIGGERS VERSION>

「壊れたラジオ」のような無秩序な歪みが歪(いびつ)な空間を構築する曲。ボーカルラインは「ミニマムなヘヴィリフ」のようだし、サウンド的にも「かき混ぜたグランジロック」のようなイメージなのだが不思議とポップな響きを感じるhideマジックを堪能できる(2:35〜)「悲鳴を洗濯機にぶち込んだ」ようなアバンギャルドノイズが登場、その後は「享楽的なバカンス」のようなトロピカルサウンドが鳴り響きアクセントとなる。
11 BLUE SKY COMPLEX

タイトル通り「BLUEなSKY」を連想するホーンセクションを大胆にフィーチャーしており、アグレッシヴなハードサウンドとホーンセクションが「仲良く喧嘩している」ようなイメージの曲で「音同士が殺しあわないギリギリの距離感」が面白い。
14 HONEY BLADE

「穏やかヴァース」→「アグレッシヴなサビ」に移行するグランジソング(2:15〜)ルナシー(LUNASEA)のインディーズ時代の名曲「CHESS」における 「ダークでミステリアスな語り」と共通する語りパートが挿入される。「神」というフレーズも登場。。hideによる愛のある後輩イジリだと思われる。
15 50% & 50% <CRISTAL LAKE VERSION>

ラテン調のアコースティックサウンドが印象的なリミックス。牧歌的なバイオリンの音色や軽やかなパーカッションの響きが「田舎の花畑」のような空気感を醸し出しす(3:52〜)「のどかな空気」を引き裂くように突如、アグレッシヴなハードサウンドが鳴り響く展開はインパクト大。

このレビュー記事をSNSでシェア