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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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90年代にミリオンヒットを連発した音楽ユニット・ザード(ZARD)が初めてミリオンセラーを記録したアルバム。

サウンドは王道J-ロック・J-ポップをベースにしたものとなっており「強烈にノーマルなサウンド」である。ザード(ZARD)というユニットの魅力は「内向的な綺麗なお姉さん」坂井泉水の心のドアにアクセスしたような気分に浸れる過去の回顧をベースにした歌詞にこそあると筆者は考える。インターネットがまだ普及していない時代において「女性の本音」には非常に価値があった。

またほとんど全ての曲に言えることだが優等生的なバランス感覚をもっており「激情」や「刹那」に流されることなく一般的な「ノーマルさ」を保ち続ける。当時の日本ではリスナーに「非日常」を提示するアーティストが注目される事が多かったと思われるが、ザード(ZARD)が持つ強烈な「ノーマルさ」は多くの人たちに支持された。

    「要点」

  • ・ザード(ZARD)というユニットの魅力は「内向的な綺麗なお姉さん」坂井泉水の心のドアにアクセスしたような気分に浸れる過去の回顧をベースにした歌詞にこそあると筆者は考える
  • ・「激情」に流されない優等生的なバランス感覚

「曲解説」

1 揺れる想い

「眩しい季節」のような雰囲気を感じる王道J-ロックで「揺れる想い」という浮遊感溢れるワードを力強く歌いあげるサビがインパクト大で強烈な歌謡性を感じる。サウンド的には「何気なく過ぎ去る日々」のように鳴り響くシンセやBメロの裏で鳴る空間系ギターサウンドが清涼感を演出している。
2 Season

「眩しい10代の記憶」を回顧するようなバラードで歌詞にも「アルバム」「輝く季節」というワードが登場する(2:35〜)ギターソロは「叙情的なハードロックフレーズをJ-ポップ化」したようなものでありメロディックな旋律を奏でる。
3 君がいない (B-version)

リラックスした雰囲気のミニマムなアコギのコードワークを中心に展開されるヒットシングル。歌詞に登場する「君が嘘をつくなんてね」「刺激というスパイス」などのラインから考察すると、おそらくではあるが「無口な彼氏の浮気」によって関係が破綻した過去の恋愛テーマにしていると思われる。「君がいない」という虚無感さえ感じるワードをシンプルに歌い上げるサビでは、ボーカルラインの後ろで「君との思い出」のような華やかなホーンセクションが鳴り響き「君の不在」の大きさを逆説的に演出している。
4 In my arms tonight

チューブ(TUBE)のギタリスト・春畑道哉が作曲を担当したJ-ロックバラードで空間系のエフェクトをかけたギターサウンドが浮遊感を演出している。歌詞は「忘れられないあの人」に対するエモーショナルな思いをテーマにしたもので「揺れる想い」なるワードも登場する。
6 負けないで

「パステルカラーの季節に恋した彼」に対して「負けないで」とエールを送るヒットシングル。当時は「負けないで」というワードから受験生に対する応援歌的な扱いを受けていた。イントロでは何故か60年代サイケのようなキーボード(オルガンかも?!)が登場する。
7 Listen to me

分厚いベースラインがリフレインされる曲で「そよ風」のようなコーラスや「HEY!HEY!」という威勢の良い掛け声が曲にポップネスを与えている。歌詞は満員電車に揺られてオフィスに向かうOLの憂鬱な気持ちを代弁しつつも、エネルギッシュに「ありふれた日常のキャパシティを超えなくちゃ」と自分自身を奮い立たせるという内容。
9 I want you

「ハードでゴージャスなギターの刻み」と「アーバンな音響」が同居している曲で本作の中で最もロック的な熱を感じる事ができる。歌詞は「マンネリ気味の二人の関係性」を良い意味で壊したいという内容。
10 二人の夏

空間系のエフェクトをかけた透明なギターサウンドが印象的なセンチメンタル・バラード。歌詞はザード(ZARD)得意の「過去の回顧」をベースとしたものとなっており「夏を一緒に過ごした元カレ」をバス停で偶然見つけた主人公が、「あの頃には戻れない」というセンチメンタルを感じつつも、形はかわってしまったけど大事な人だからあなたの写真はずっとしまっておくという内容。

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