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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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前作「GO FUNK」で提示したファンクサウンドと「悪ふざけ」のようなぶっ壊れた歌詞をハードに叩きつけた5thアルバム。

「ポップスとしての強度」や「前衛性」といった文脈においては傑作であった前作「GO FUNK」と比較するとやや劣ると感じるが、本作も他のアーティストではありえない「米米CLUB的やりすぎ感」が満載のアルバムとなっている。サウンド面で気になる点は「気怠いハードロックテイスト」を「3 FUNK FUJIYAMA」「8 Javaza Hat」などで取りれている点である。「グランジ上陸前夜の89年」に米米CLUBは「ハードミュージックの次なる一手」を模索していたのかもしれない!というのは深読みだろうか。

本作には神作「KOMEGUNY」で聴けた「トロピカル」なポップネスは微塵も存在しておらず「絶対に同じ事なんてするもんか?!」というアーティストとしての強烈なこだわりが感じられる。

    「要点」

  • ・ファンクサウンドと、「悪ふざけ」のようにぶっ壊れた歌詞をハードに叩きつけた5thアルバム
  • ・「気怠いハードロックテイスト」を「3 FUNK FUJIYAMA」「8 Javaza Hat」などで取りれている

「曲解説」

2 Funk-a-ねーちゃん

「この大バカ者!」という強烈なワードで幕をあける米米流ハードファンク。 「グイグイ攻めてくる」立体的なベースラインと「涼しげでアーバン」なカッティングギターを中心に展開される曲なのだが、ジェームス小野田(vo)のボーカルがあまりに強烈なので正直サウンドが耳が回らない。唇を高速で揺らす「ブルブルブルブル」という音をここまでリフレインする曲は筆者が知る限りこの曲だけである(3:16〜)リズムアプローチに南米の打楽器風のダンサブルなものが加わり、そこにサイケな光が顔を出す。終盤は「スーパーファンキー・レイディー」という「ファンキーの極み」とも言えるフレーズが祝祭性マックスのサンバティックなサウンドの上で「嫌になる位」にループされる。
3 FUNK FUJIYAMA

「ルーズで気怠いハードロックバンドがコミカルなファンクにチャレンジした」ようなイメージの曲。「強烈な和の匂い」を放つ歌詞は一度聴いたら頭から離れない類のもので「サムライ」「寿司」「芸者」「腹切」など外国人に受けそうなジャパニーズフレーズをふんだんに盛り込んでいる。最後はジェームス小野田(vo)による「イヤッホー」というご機嫌なシャウトで幕を閉じる。
4 Beautiful

「黄昏のオフィス街」のような雰囲気が濃厚なファンクバラードで「ガラス細工」のように繊細なカッティングギターが曲にアーバンな質感を与えている(2:06〜)「3 FUNK FUJIYAMA」での悪ふざけが嘘のようにサックスソロが渋く響き渡る。歌詞は「カフェの窓から雨に濡れ佇む君を見つめる」というナルシスティックな内容となっている。
5 Let’s Go!

ボーカルラインとリズムの速度が「心地よくズレている」ギターポップでタイトなファンクサウンドと清涼感があるピアノサウンドが混ざり合っている。歌詞は「あっ玉の中confusion」という意味不明なラインがインパクト大でリスナーに「混乱した時はrice show timeに夢中になろう」と提案するナチュラルに狂った内容となっている。
8 Javaza Hat

濃厚なブルージーを感じるハードロックサウンドをフィーチャーした曲でオールドスクールなヨレたギターリフが鼓膜に絡みつく。ドラムサウンドは非常にパワフルで「本当に外国のハードロックドラマーが叩いた」ようなクオリティーとなっている。
9 Kung-fu Lady

「耽美ニューウェイブ的なミステリアスな音響が強調されたヴァース」と「華やかホーンサクションをフィーチャーしたサビ」を中心に展開される曲。ギターソロはマニアックなエフェクトをかけたサウンドとなっており「サイケなおもちゃ」のようなイメージである(2:42〜)タイトル(カンフー)にちなんだ「アチョー」というシャウトがコミカルに響き渡る。
10 俺をもとめてる~Everyone Is Searching For Me

「ピクニック」のようなワクワク感と「夢の中」のような浮遊感が同居したアーバンなポップソング。前作「GO FUNK」がオリコン1位になり嬉しすぎて作った曲(wiki)との事で自意識過剰なタイトルは明らかにネタであろう。
11 Forever

ジェームス小野田(vo)がコミカルな声でクサイ愛情表現を過剰にシリアスに歌うなんとも言えない曲。ベースラインは一癖あるこの曲の中でも「寸分の狂いなく淡々とそしてダークに時を刻んでいる」。
14 ア・ゲ・ハ

リラックスしたアコースティックギターの音色がカールスモーキー石井(vo)のボーカルを優しく包み込むバラード。歌詞は「アゲハ蝶のように夢に向かって飛んでいけ」とリスナーにエールを送る内容であると思われる。

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