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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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「1 BLOWIN’」
「ジェットコースターに乗った」ようなスピードを感じるサビのボーカルラインがとにかく素晴らしいゴージャスなシンセロック。「風に揺れる心を抱えながらも答えを探す旅を止めてはいけない!」とリスナーに提案する歌詞がとにかく秀逸である。ビーズ(B’z)のヒットシングルの歌詞によく見られる傾向として「主人公や第三者が感じている悩みや不安」に対して課題解決策を提示する事が挙げられる。この曲の歌詞もまさに「B’zのヒット方程式」にずばり当てはまる歌詞の内容となっている。

好きなアーティストが「自分達が感じるような類の悩み・不安に対する課題解決策をロックサウンドやデジタルサウンドに乗せて歌って提案してくれるのである。B’zファンの方にとってはシングルCD1枚1000円という価格設定は非常にリーズナルブである。この稲葉浩志(vo)による「課題解決型の作詞」は見事と言うほかなく見事な付加価値として機能している。

サウンド的にはデジタルビートを強調したサウンドからハードロックに移行する過渡期的な内容となっている(2:16〜)アコースティックギターのコードに乗せて「風をうけても立ち上がる君に対する賞賛」を歌い上げる静のパートが挿入され、サビのボーカルラインの体感速度を更に上げている。

「2 TIME 」
目の前に「どこまでも広がる海」が広がるようなスケールを感じるエモ系バラードの名曲。「何もない午後の入江を往く船をただ見つめていた」という歌詞は「近い将来に起こる2人の別れを予見する」ような文学的な静けさを感じさせる神ラインである。

後悔する過去を思い出す時に「どうすれば時が戻る」と思う事はよくある事だが、本作のサビでは「どうすれば時が戻る」というラインだけではなく「どうすれば時が過ぎる」というラインも登場する。「どうすれば時が過ぎる」なる感情は現状のあまりの悲しさや辛さに耐えられない時にしか湧き得ない感情である。(2:55〜)「逃げ出したくなる時にそばにいてくれるのは誰なのか?」「くだらない事で一緒に笑いあえるのは誰なのか?」と自身に問いかけ「いなくなった君の存在の大きさを再認識する歌詞」がシリアスにそして重くリスナーの心に響き渡る。

「今どこで何をしている?」や「言葉はいつも役に立たない」というフレーズからも分かるようにこの曲の歌詞は、ただ「恋人と別れた」だけではなく「人生で欠くことが出来ない重要なピースを失った」ような強烈な喪失感をテーマにしていると思われる。稲葉浩志(vo)のボーカルも「感情が完全にのっている」事から、おそらくではあるが自身の失恋体験をベースに書かれた生々しい感情であると思われる。

終盤は松本孝弘(vo)のディープなギターサウンドが「氾濫する思い」のように濃厚に響き渡る。

    「要点」

  • ・「1 BLOWIN’」稲葉浩志(vo)による「課題解決型の作詞」は見事と言うほかなく見事な付加価値として機能している
  • ・「2 TIME 」「何もない午後の入江を往く船をただ見つめていた」ラインは文学的な静けさを感じさせる
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