「曲解説」
1 Noise Low3
「情報過多」のようなインダストリアルノイズが「テレビ画面に映る砂嵐」のようにザラついた質感で鳴り響くインスト。攻撃的音響とは対照的に人時(b)のベースラインは「砂時計」のように淡々と時を刻む。
2 FAKE STAR
前作「feminism」に収録されていた「カマキリ」に近い質感のサウンドを聴かせるデジロック風のパンクチューン。洋楽アーティストのモノマネになる位なら「FAKE扱い」されても構わないと高らかに宣言し、また商業主義な音楽業界をバッサリと切り捨てている。最後は「狂い果てた後」のような清春(vo)のシャウトが炸裂する。
3 BEAMS
1曲目2曲目の暴れっぷりが嘘のようにスペーシーな浮遊感を感じるポップソング。歌詞の内容は「自身の無神経な一言に対する後悔」と鮮やかな彼女についてであり、パンクな反抗ソング「2 FAKE STAR」の歌詞を書いた人物が書いたとは思えない少しメルヘンな内容となっている。
4 BARTER
高速のエレクトロビートが終始リフレインされるインダストリアル風ロックチューン。「詞は誰に書かせようか?」「二番煎じあたるから」など、やりすぎな音楽業界批判を展開している。
6 SEE YOU
冷たく耽美的なV系ソングをポップパンク化したような曲。歌詞はエモく「長い片思いの終わり」をテーマにしているが、内省的な内容ではなく「恋の終わり」=「卒業」と捉え未来に向けて一歩踏み出そうという前向きなものとなっている。
7 REASON OF MY SELF
「深夜徘徊」のようなダークさと足音を感じるサウンドをもつ曲であり、歌詞は「遠回りしてもしてもいいから自分たちのやりたい事をやっていく」と決意表明するような内容となっている。「昨日いた場所、立つのを拒んでいる」という歌詞からは「常にオリジナルでいたい」という強烈な熱量を感じる。
9 SEX SYMBOL
「砕けたグラス」のような質感のミニマムな歪みギターリフがリフレインされ「畳み掛ける」ようなテンションで展開されるエロい系パンクソング。間奏部では「行為後」のような脱力感と「嘲笑」のような清春の笑い声が虚しく響くパートが挿入されアクセントとなっている。
10 Cool Girl
「ドッドッドッドッ」という「大きなドット」のような人時(b)のベースが存在感を放つ曲。コード進行はニルヴァーナ(Nirvana)的な混沌とした質感で歌詞は「9 SEX SYMBOL」同様にエロい系である。サビでは「Cool Girl」というワードに呼応するかのように「炭酸飲料」のような清涼感を感じるシンセサウンドが挿入される。
11 S.O.S
ローファイな質感の低音と「疾風」のようなシンセサウンドを中心に展開されるデジタルパンク。イントロとアウトロで登場する透明でエッジのたった電子音は規則正しく「ミステリアスな記号」のように鳴り響き非常にインパクトがある。「悪趣味な君は僕がFavorite」という歌詞は「Sなのか?Mなのか?」もはやよく分からない。
14 ピストル
ミニストリー(Ministry)彷彿の強烈な歪みをもつインダストリアルなイントロから「極彩色の部屋」のような質感のカラフルなポップソングに転調するインパク大の曲。「疾風」のような電子音が部屋の中を駆け巡りデジタルな質感を曲に与えている。歌詞は壊れた内容で「壊れていく、撃ち殺せないピストル」についてである。
15 夢
極限までそぎ落とされた音数で展開される「誰もいない真っ白なベッド」のような哀愁を感じるメランコリックなバラード。壊れた質感のサウンドが多いアルバムの中で「安堵の時間」と言える静寂が存在し、清春の歌声は「本当の俺」のような素顔感がある。
16 H・L・M」 is ORIGINAL
「15 夢」という最後にピッタリな曲の後に用意されている「壊れたルービックキューブ」のようなマニアックな歪みチューン。清春のボーカルラインは呪文風でオリエンタルな浮遊感を感じるものとなっている。カラフルでバグった電子音が所狭しと自由に踊り、リスナーの頭を心地よく混乱させる。