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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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ビジネス性を完全に無視するかのように「ミステリアスな我が道を行っている」2ndアルバム。

本作で聴く事ができる淡々とした冷たいサウンドは「ポップ・ミュージック」の体裁すら気にしておらず「ポップ・ミュージック」としての体裁を保っている曲は「7 A Forest」位であり、ロバート・スミス(vo)のボーカルラインも「耽美な音響」として機能している。

この「難解なアルバム」は明らかに「スルメタイプのアルバム」であり「リスナーを非常に選ぶタイプの作品」であることは間違いない。 この作品の本当の良さを理解するには少なくとも10回は聴く必要があるだろう。

賛否両論必至のアルバムだが2ndアルバムにして、ここまで「独自を貫けるアーティスト」は非常にレアであると感じる。1stアルバムで僅かながらに感じた「パンクの残り香」は本作には微塵も残っていない。

    「要点」

  • ・淡々とした冷たいサウンドは「ポップ・ミュージック」の体裁すら気にしていない
  • ・賛否両論必至のアルバム。2ndアルバムにして、ここまで「独自を貫けるアーティスト」は非常にレア

「曲解説」

2 Play for Today

淡々としたプラスティックなビートの上を「無表情」なベースラインと「クリスタルの破片」のような透明感を感じるギターサウンドが踊る。「ポップソングとしての意味合い」を拒絶するようなシャープで冷たい音像はまるで「ポストロック」のようである。
3 Secrets

「静かに時を刻む針」のようなギターサウンドと「虚しい独り言」のようなベースラインが印象的なスローテンポの曲。終盤はミステリアスなピアノが挿入され物悲しさが強調される。
4 In Your House

「暗闇の中で揺れるキャンドル」ような音響が幽玄な雰囲気を醸し出しているスローでマニアックな曲。淡々と鳴り響くクリアなアルペジオは「暗闇の中で青く妖しげに輝く光」のようである。
5 Three

「ミニマムミュージックの巨匠/スティーヴ・ライヒ(Steve Reich)の曲に二ューウェイブアレンジを施した」ようなイメージの曲でチープなリズムの上でミニマムでビビッドな電子音が無造作に点灯する。
7 A Forest

「霧に包まれている」ような音響の中で高音を活かしたベースラインがミステリアスな旋律を奏でる曲。十分にマニアックな曲ではあるが難解な本作の中では最も「ポップ・ミュージックの体裁」をもつ曲であると言えるであろう。ロバート・スミス(vo)のボーカルラインは 抜群のメロディーセンスをあえて抑えているかのように「耽美な音響」として機能している。
8 M

コーラスがかかったマイナー調のコードストロークとベースラインが「複雑なツインギター」のように絡まるのだが「ロック的な熱量」は皆無で冷徹なまでに「音響」として機能している。このアルバムに収録されている多くの曲にも同様の事が言えるが、淡々として冷たいのに不思議とダレる事はなく「リスナーを耽美な空間に引き込む」。
10 Seventeen Seconds

「ナチュラルなメランコリア」を感じる二ューウェイブチューン。クリアで空間的なギターサウンドは「メロディーや旋律と距離を置いている」ようなイメージであり「無国籍な浮遊感」を演出している。

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