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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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鬼才/ロバート・スミスの頭の中にある「濃厚な音世界」を妥協なく描き切った神作で全編を通して「強烈でタイトなビート」を導入しており、ギターサウンドからも「強烈なサイケ」を感じる事ができる。

初期3部作同様に音数的にはミニマムではあるのが、これまでの彼らとは明らかに異なる質感のサウンドとなっている。本作で聴く事ができる「狂気じみたダークなサイケデリック」は「箱庭的でモノトーン」な初期作に「濃厚な色彩」を加えたようなイメージである。

また本作の緊迫したレコーディングでメンバーの不仲はピークに達し、本作リリース後のツアーでベーシストであるサイモン・ギャラップが脱退(wiki)する事態となった。本作に限らず「音楽的な充実」と「メンバー間の緊張感」はどうやら正比例する傾向にあるようだ。

    「要点」

  • ・収録曲は8曲と少ないのだが濃厚な内容となっている神作
  • ・ザ・キュアー (The Cure)がもつ狂気性とダークネスをビビッドに感じる事ができる

「曲解説」

1 One Hundred Years

冒頭から「神経質」なインダストリアルビートと「脳みそをグラグラと揺らす」サイケなギターサウンドが炸裂し、これまでのザ・キュアー (The Cure)の曲とは明らかに異なる濃厚さを感じる曲。ロバート・スミス(vo) のボーカルラインはリスナーを「異空間へと誘う呪文」のようにミステリアスではあるが同時に「不思議なポップネス」もあり強烈なインパクトを残している。
2 A Short Term Effect

「濃厚な中東の匂い」を感じる浮遊系サイケチューン。ロバート・スミス(vo) の声にはマニアックなディレイ処理が施されている。この曲のギターサウンドも「1 One Hundred Years」同様にインパクト大であり「酩酊」ように揺らめくサイケな音響を聴かせてくれる。この「ぶっ飛んだ」サイケな音響はマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)に近いものがある。
3 The Hanging Garden

鋭角的なビートとそれに呼応するベースラインを中心に展開されるビート・オリエンテッドな曲。「シリアスな現実」のようにタイトなリズムとは対照的にギターサウンドは「半透明の煙」のように揺らめくサイケフレーズとなっている。タイトルの和訳は「吊るされた庭」であり、内容も意味不明なものとなっている。
5 The Figurehead

退廃的なアルペジオがシリアスな雰囲気を演出する曲で、ビートは「大粒の酸性雨」のようである。音数は少ないのだが各パートが「自分の音」を迷いなく鳴らしており「ダークサイドの異端な熱量」を感じる。
6 A Strange Day

「視界にうつる全てが軽く歪んでいる」ような音響が印象的なサイケチューン。ビートは他の曲と同様に鋭角的なマシンビート風になっている。ギターサウンドはどこからどこまでが「リフ」で「ソロ」なのかの区別がつかない不思議なものとなっているが強烈に耳に残る。歌詞の内容は「3 The Hanging Garden」同様に意味を理解するのが難しい類のものだが、おそらくではあるが「現実逃避」をテーマにしていると思われる。
7 Cold

分厚いシンセサウンドを前面に押し出しており曲を通して「魔界」のような雰囲気を醸し出すゴスソング。時折挿入される「砕けたグラス」のような音が絶望的な暗闇の中に僅かな透明感を与える。
8 Pornography

「アナーキーで無秩序なタップダンス」のようなビートの上で不穏な音響とノイズが渦を巻く暗黒アバンギャルドチューン。中盤以降はロバート・スミス(vo) のボーカルも加わるが狂ったサウンドの中を「迷子」のように彷徨う。

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