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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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音楽史を激震させた前作「KID A」から約半年後にリリースされた神アルバム。

「KID A」同様に「エレクトロニカ以降の音楽」からの影響を前面に押し出しているのだが「KID A」で鳴らされた「氷の世界」「真っ白な空間」と形容したくなるサウンドとは異なり「オーガニックでどこかノスタルジー」な音世界が魅力的な作品となっており、ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada) 、ムーム(múm)などの「オーガニックなエレクトロニカ・アーティスト」からの影響をブルースやジャズなどの音楽と絡める事で「前衛的でありながら強烈なノスタルジーと哀愁」を感じる唯一無二の音世界を構築している。

コアな音楽ファンの中には「KID A」ではなく本作を「レディオヘッド(Radiohead)の最高傑作」と評価する者も少なくはない。本作で聴くことができるトム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「虚無的でありながらもディープ」なものとなっており、ギターロック期とはまた別のベクトルで「リスナーの感性に深く突き刺さる」ものとなっている。

    「要点」

  • ・「強烈なノスタルジーと哀愁」を感じる唯一無二の音世界
  • ・コアな音楽ファンの中には「KID A」ではなく本作を「レディオヘッド(Radiohead)の最高傑作」と評価する者も少なくはない

「曲解説」

1 Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box

冷たく規則正しいリズムの上で「シュールな儀式」を連想するエレクトロビートがミステリアスに鳴り響くリズムオリエンテッドなオープニングチューン。前作「KID A」同様に厳選された「エレクトロニカ以降の音響とビート」を大胆に取り入れてはいるのだが、前作より無国籍が強調されていると感じる。
2 Pyramid Song

前作「KID A」に収録されいた「How to Disappear Completely」同様に幽玄な雰囲気を醸し出しているピアノバラードで恐怖感と不気味な寒さを感じるストリングスを大胆にフィーチャーしている。歌詞の内容は「死後の世界で生前の事を追憶した」ような内容となっている。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「この世の全てに絶望している」かのように虚無的でありながらも同時に灼熱の熱さも感じさせるものとなっている。
3 Pulk/Pull Revolving Doors

「タイムマシーンにのって時空をワープする」ような雰囲気を醸し出しているマニアックなインスト。「ガラスの破片」のような鋭角的なビートと「オーガニックで牧歌的」な音響を見事に絡めており、オーガニックなエレクトロニカ・アーティスト「ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada)」 からの影響が感じられるが模倣にはならずレディオヘッド(Radiohead)らしく「ロック的なエッジ」が感じられる。
4 You and Whose Army?

「強烈なノスタルジー」を感じるオーガニックなジャズバラード。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「天国にいるおじいちゃんが子供達に優しくそしてディープに語りかける」ような質感である。
5 I Might Be Wrong

乾いたギターリフが無感情にリフレインされるギターロックで「KID A」以前のエモーショナルなサウンドではなく「冷凍庫の中にいる」ような冷たさを感じさせる。「ストイックなまでに感情を抑制する」様はドライアイスのよに冷たく熱い。
7 Morning Bell

「KID A」に収録されていた「Morning Bell」は冷たいエッジが強調されたサウンドが魅力的であったが、このAmnesiacバージョンは「恍惚」のような眩しさを感じさせるアレンジとなっている。本アルバムを構成する重要な要素である「ノスタルジー」「オーガニック」 「虚無感」「ミステリアスな熱さ」などが総動員されており収録曲の中で「最も本作を象徴している」曲なのかもしれない。
10 Like Spinning Plates

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)が発明した「極彩色のサイケデリアを無理矢理に逆回転させた」ようなトリップ必至の神曲。歌詞は難解で一度見ただけでは理解が難しい内容ではあるが、おそらく「弱い者が存在してくれるからこそ強い者が栄える」という「世のダークサイドに対して虚無感を吐き出した」ものであると思われる。
11 Life in a Glasshouse

「悟りを開いた老人のディープな嘆き」のようなトム・ヨーク(vo ,g)のボーカルが秀逸すぎるジャズバラード。枯れた渋みが強調されたトランペットの音色が、この曲に「幼少期のセンチメンタルな思い出」のような強烈なノスタルジーを与えている。

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