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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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小室哲哉以降のシンセサイザー・キーボード中心の「J-ポップ・シーン」において「これぞ!王道」というポップチューンでヒット曲を連発したEvery Little Thing(ELT)のデビューアルバム。

サウンドの多くは「都会的でシャープなシンセ・キーボード」と曲に力強さを与える「ハードロック調のギターサウンド」が中心となっており、また「クールだが可愛い」という持田香織(vo)のルックスとキャラクターは不思議な存在感を放っている。

だが筆者が思うにEvery Little Thing(ELT)の最大の魅力は、適度に垢抜けて整合性のサウンドでも持田香織(vo)のルックスとキャラクターでもなく「全ての経験は自分が成長する為に必要なのだ」と言わんばかりの「ポジティヴなスタンス」にこそある。「失恋」をテーマにしたバラードであっても本作の歌詞には「センチメンタルやメランコリックな気分に浸る気配がほとんどないのである。

例えば「4 Season (Album Version)」「11 I’ll get over you」などは「失恋・別れ」をテーマにしたバラードだが「4 Season (Album Version)」では「明日への希望」に対して言及しており、また「11 I’ll get over you」では失恋を経た自分は「今よりも強くなれる」と「近い未来の自身への期待」を歌っている。

この一貫した「前向きな姿勢」は非常に好感がモテる。

    「要点」

  • ・小室哲哉以降のJ-ポップシーンで「これぞ!王道」というポップチューンでヒット曲を連発したEvery Little Thing(ELT)のデビューアルバム。
  • ・Every Little Thing(ELT)の最大の魅力は「全ての経験は自分が成長する為に必要なのだ」と言わんばかりの「ポジティヴなスタンス」にこそある。

「曲解説」

1 Future World

フラストレーションを歌いながらも「ただ刺激が欲しい」と漠然と願う歌詞が多くの中高生に支持されたヒットシングル。シャープなシンセサウンドが中心となっているのだが、伊藤一朗によるハードロック調のギターワークが非常に目立っている。
2 Feel My Heart (Album Mix)

「近未来都市」のような雰囲気を醸し出すスピーディーなシンセポップ。歌詞は「自分に正直に行動を起こさないと夢や思いは叶わないよ!」と10代の背中を強く押すポジティヴなものとなっている。サビのボーカルラインはおそらく「鍵盤で作られたメロディー」であり良い意味で「機械的な無機質さ」が新鮮である。
4 Season (Album Version)

イントロでTOTOの大ヒット曲「アフリカ」を引用している(wiki)失恋バラード。歌詞は子供のようにはしゃいだあの日にはもう帰れないけど、過去の経験を糧にして「明日への希望」を探したいというニュアンスで失恋ソングであっても常に前向きなスタンスである。「あなたと同じ未来を見つめるほど大人じゃなかった」というラインから主人公の恋愛相手は年上であり、破局理由は端的に言うと「価値観の相違」であろう。
5 二人で時代を変えてみたい

「TKサウンド登場以前のJ-ポップ」にありがちなバラード。歌詞は他の曲とは毛色がやや異なり「良くも悪くも昭和な匂い」がする。調べてみると本作の中で唯一メンバー以外の人物である永岡昌憲氏が作詞を担当している。
6 たとえ遠く離れてても・・・

「タイトルからも察しがつくが「切ない遠距離恋愛」をテーマにしている曲。歌詞は五十嵐充が担当しているが 「女性らしい可愛さ」を強調してものとなっている。「離ればなれになって「やさしさ」の意味知った」というラインはやはりポジティヴであり「どのような経験であっても全て自己成長につなげる」というELT的スタンスは健在である。
7 micro stress

ギタリスト/伊藤一朗による19秒のギターインスト。ライトハンド奏法を駆使していると思われるテクニカルでスピーディーなフレーズはまるで「F1レース」のようだ。
8 Dear My Friend (Album Mix)

ヘヴィなギターリフとギラギラと大袈裟なシンセを中心に構成されるシンセロック。サウンドとは対照的に歌詞は日常的なワードで埋め尽くされており「友達から恋人にはなれないが、これからも大切な友達でいて欲しいと強く願う」という内容。「男女の友情は成立する派・しない派」によって評価の分かれる歌詞と言えるだろう。 この曲でもやはり「いつか最高の自分に生まれ変われる気がするよ」と全ての経験を前向きにエネルギーにかえようとしている。
9 Looking Back On Your Love

「2人違う場所でしか果たせない夢がある為、愛が重くなった過去の恋愛」について歌った王道J-ポップバラード。「好きだけど夢のために分かれる」という設定はビーズ(B’z)の某名バラードに近いものがある。
11 I’ll get over you

持田香織(vo)のボーカルが本作の中で最もエモーショナルなミドルテンポの曲。歌詞は別れを決意した主人公が恋人との記憶を辿るというものだが、やはりこの曲でも最後は「今よりも強くなれる」と近い将来、失恋によって得るであろう深い悲しみを出来る限りポジティヴィに捉えようとしている。

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