「曲解説」
1 Cups
前作・前々作とは明らかに異なる透明感を感じるアッパーチューン。ダークな質感のミニマムなビートの上を氷のような質感の電子音が踊る。
ボーカルは相変わらず無機質なロボット風ボイスである。中盤以降はBPMが早くなりダンスミュージックらしいアッパーさを持ち始める。終盤は「電子バリア」のような歪みと「ネオンカラーのビーム光線」のようなシンセが空間を支配する展開となり、様々な人の声を早送りしたような音響も挿入される。
2 Push
「難解なエレクトロニカ」のような立体的でミニマムなビートと冷たいピアノがリフレインされる曲。カール・ハイドのボーカルはメランコリックでダークなラップのような趣である(2:10〜)「不吉な影」のようなもやっとした電子音が遠くのほうでダークに鳴り響く。終盤は「電撃」のような電子音などが存在感を発揮するが最後は唐突に途切れるように終わる。
3 Jumbo
「夏の海」を思わせる透明でブルーな音響と「ビビッドに歪んだビート」が共存しているサウンドでどことなく三ツ矢サイダーを連想する曲。中盤からは「きらめくバブル」のような電子音がループされ目の前が光で溢れる。アナログな音は入っていないが「メロウな80年代ギターポップ」を聴いた後のような清涼感と晴れやかさを感じる。
4 Shudder / King Of Snake
「電撃」のような切り裂く電子音がリフレインされるアッパーチューン(2:50〜)清涼感を感じるピアノ風ミニマムリフが「電撃」のような電子音をさらに激しく響かせる。カール・ハイドのボーカルはマークパンサー的な「ファンキーな語り」のようなものとなっており、中盤以降はストリート感のある音の断片が挿入され曲にさらなるスピードを与えている。最後はシリアスな雰囲気が漂う独り言で幕を閉じる。
5 Winjer
「空を飛んでいる」ような浮遊感となんとも言えない不穏さが同居している曲。ビートは「鼓動をテクノ化」したような質感であり、ボーカルは囁くような呪文風ボイスである。
6 Skym
「マニアックな儀式」のような雰囲気をもつ幽玄なバラード。「地球儀を指でクルクル回す」ような質感の電子音がループされ、ボーカルラインは「異空間」のように不穏である。
7 Bruce Lee
金属的な響きを持つ無機質なアンダーワールド(Underworld)流ヒップホップ。DJスクラッチやカール・ハイドのラップも歪んでおり、まるでインダストリアルロックを聴いているような気分になる曲(3:47〜)熱量が高くファンキーな展開の裏で「どんよりした雨雲」のような陰鬱な電子音が姿を表す。この辺りのニューウェイブ的センスはアンダーワールド(Underworld)ならでは。
9 Push Downstairs
「氷の世界」のような冷たいサウンドをバックにメロディックな呪文が不穏に鳴り響くミステリアスな曲。
10 Something Like a Mama
Something Like a Mama(ママのようなもの)というタイトルとは裏腹に「何もない真っ白な空間」のような空虚さをもつサウンドが展開される。
中盤以降はビートの粒がタイトに鳴り響き、歪んだ電子音なども登場するが空虚な雰囲気は終始保たれる。
11 Moaner
「酸性雨が降るジャングル」のような質感の極彩色なアシッドハウス。リズムはディープな四つ打ちでビビッドに歪んだ電子音はリスナーの頭の中で縦横無尽に暴れる。カール・ハイドのボーカルは扇動のようなテンションとなっている