ゲストボーカリストにノエル・ギャラガー(オアシス(Oasis)と
ボビー・ギレスピー / プライマル・スクリーム(Primal Scream)を招いてレコーディングされた3rdアルバム。
本作では「クラフトワーク(Kraftwerk)のようなクラシカルなテクノ」「ミニマムミュージックのようなトランス状態を体感できるハードコアテクノ」「アシッドハウスにモザイクをかけて再構築したサウンド」など幅広いサウンドが展開されているが、多くの曲で「眩しすぎる光」や「酩酊のような揺れ」を感じる事ができサイケデリックに対する傾倒を感じる。
1st 2ndアルバムで聴けたロック的で直線的なブレイクビーツは今作ではあまり登場しないが、今作のバグったサイケな音響サウンド1st 2nd以上の激しさでリスナーの脳を刺激する。
「曲解説」
1 Music:Response
1st2ndアルバムには収録されていないタイプのピコピコ系スペーシーテクノ。
「Music:Response」というタイトルを呟く無機質ボイスはクラフトワーク(Kraftwerk)風。
煌びやかな電子音が浮かんでは消え「カラフルな蛍光灯が張り巡らされた空間」を連想する。
2 Under the Influence
空間系電子音が高速でループされるBPM速めのハードコアテクノ。ミニマムミュージックのように同じフレーズをリフレインすることでリスナーをトランス状態にするという類の曲となっている。リスナーを突き放すようなエッジを感じる曲ではあるが、随所に挿入される女性のサンプリング・ボイスが不思議なポップネスを演出している。
3 Out of Control
サイケな光に包まれるスペーシーな名曲。ゲストボーカルであるボビー・ギレスピー / プライマル・スクリーム(Primal Scream)が、神作「Screamadelica/プライマル・スクリーム(Primal Scream)1991年」彷彿の気怠いボーカルを披露(4:26〜)恍惚すら感じる「白昼夢」のような眩しすぎる光に包まれ、まるで体が宙に浮くような錯覚を感じる。それ以降に展開される「時空が歪んだような電子音」や「スライムのような弾力性があるビート」との絡み合いはプログレ的ですらある(6:16〜)インドの宮殿のような雰囲気を醸し出すギターフレーズが登場してアクセントになっている。
4 Orange Wedge
「歪んだ空間」に放り込まれたようなイメージのサイケソング。全ての音が酩酊時のように揺れており、やはりここでも真っ白な光が目の前に浮かんでくる。
5 Let Forever Be
前作「5 Setting Sun」同様にノエル・ギャラガー(オアシス(Oasis)をゲストボーカリスに迎え「蜃気楼」のような揺らめきを感じるサイケな名曲。
立体的なブレイクビーツは「レッド・ツェッペリン(LED ZEPPELIN)的なドラムリフ」のようである。BPMはゆったりとしているが「頭の中を通り過ぎる光」のような直線的な音響はリスナーにマッハの速度を感じさせる。
7 Asleep from Day
囁くような儚い女性ボーカルの歌声をフィーチャーした曲で「オルゴール」のようなキラキラした音やミニマムなアルペジオなど他の曲ではあまり聴けないタイプの音も登場する。足元が微妙に浮いているような浮遊感は新機軸と言ってもよく最後はキラキラしたオルゴール風サウンドが物悲しく孤独に鳴り響く。
8 Got Glint?
アシッドハウスに強烈なモザイクをかけて再構築したような曲。リズムはディープで淡々とした四つ打ちとなっている(1:25〜 , 2:33〜 , 4:32〜)モノトーンな空間を「太古の風」のような質感の美しい旋律がすり抜ける。この美しい旋律は本曲のサビと言っていい位にインパクトがある(2:50〜)「終焉」のようなラッパが「懐かしい思い出」のようなメロディーを奏で(3:08〜)歪んだサンプリングボイスは「溢れ出す液体」のようにドロっとした質感である。
9 Hey Boy Hey Girl
「Hey Boy , Hey Girl , sister DJ , here we go!」というフレーズがキャッチーなダンスチューン。
「陽炎」のような揺らめきと「二日酔いの朝に見る太陽」のようなチカチカした眩しさを感じる雰囲気があり(2:48〜)「渋みのあるサックスの音の断片をループさせた」ような強烈なサウンドが登場、非常に耳に残る。
11 Dream On
「センチメンタルな夏の思い出」のようなドリーミーなシューゲイザーソング。アコースティクギターと儚いボーカルラインをフィーチャーしたサウンドは「早朝の海辺」のような質感であり、デリケートで揺らめくようなサウンドレイヤーはリスナーに様々なエモい風景を連想させる。