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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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90年代オルタナに急接近した前作「Blur」でブリットポップ云々ではなく90年代を代表するアーティストとなったブラー(Blur)。今作は「エレクトロニカの冷たい質感」「プログレ的な重さ」「さらに増幅させたノイズ」などが特徴と言える内容になっており「前半はメロディー重視」で「中盤から後半に掛けては実験性重視」といった感じである。

正直に言うとブラー(Blur)というバンドがここまで筆者好みな音をやるとは思わなかった、、「7 Battle」「9 Trailerpark」のような曲は当時の最先端といっていい尖りっぷり。「98年にこれはやりすぎではないか??」商業性無視にもほどがある。13曲収録で収録時間77分という長尺なのが筆者的にはマイナスポイントではあるが、。本作を聴いてオアシス(Oasis)より「ブラー(Blur)の方がロックじゃね?!」状態になっている。

    「要点」

  • エレクトロニカ、プログレに急接近
  • アーティストエゴ大爆発の傑作
  • レディオヘッド(radiohead)の傑作KID Aと共通する冷気

「曲解説」

1 Tender

ノイズ多めだった前作の反動なのか、海辺を連想するような開放的なアコースティックギターと牧歌的とも言える「カモン、カモン、カモン」というノスタルジーなサビのボーカルラインが心地よい曲。彼らの真骨頂である「ひねくれたポップネス」はあまり感じずどっしりとした貫禄がある。
2 Bugman

前作の歪み感をさらに増幅させたようなノイズポップ。ザラついたノイズはジーザス&メリーチェイン (The Jesus and Mary Chain)のようだ。間奏部でノイズはさらに激しくなりどこかにワープしてしまうような錯覚に陥る。対照的にボーカルライン・歌い方は「かわいい」と言ってもいい位に甘いというブラーらしい構造。自分たちが作るものはどんなサウンドを導入したとしても「ポップ」なのだという強い意志を感じる。
3 Coffee & TV

Tahiti80(タヒチ80)のようなフレンチポップを思わせる曲。この曲もグレアム・コクソン(g)がヴァースを歌っている。やはりこの人の声は抜群に良い!気怠くて雰囲気抜群。
6 B.L.U.R.E.M.I.

「2 Bugman」と同じ趣向のバグったようなノイズポップ。だが、最後の30秒だけエイフェックス・ツイン (Aphex Twin)のようなアンビエントテクノになる展開。
7 Battle

冒頭は「氷の世界の山奥に隠されているクリスタル」のような透明感を感じるブラー史上、最もシリアスな雰囲気。だがブラー(Blur)が何の仕掛けも用意せずこの展開を続けるわけもなく、2:15分頃から「目に映る全てを霧で覆う」ようなノイズギターが現れ視界が真っ白になる。その後、ノイズは消え去るが「以前とはどこか違う微妙な感覚」だけは残ったままで曲は進行される。その後は、荒涼とした世界を不規則な残響やノイズが切り裂きまくるというパンチの効いたプログレ曲。2000年にリリースされたレディオヘッドの神アルバム「キッドA」の空気感に近いものがある。
9 Trailerpark

ポーティスヘッド(Portishead)のような異国感あるダークさとアンビエントな氷の音色と壊れた質感のノイズギターが同居。浮かんでは消える蜃気楼をじっとみているような気分になる神曲。

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