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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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硬質かつシリアスな作風でアーティスティックな印象があった前作「JUST A HERO」の反動からか?!シンプルなビートとキャッチーなボーカルラインが目立つアルバムとなっている。

本作には80年代中頃〜後半にかけてティーンエイジャーであった者なら一度は聴いた事があるであろう「1 B・BLUE」「2 ONLY YOU」などのボウイ(BOØWY) を象徴するシンプルなビートロックが収録されており、トータルで見て彼らのパブリックイメージに最も近いアルバムとなっている。また本作はオリコンチャート1位を獲得した大出世アルバムでもあり、世の中にバンドブームなる現象を起こす一つのキッカケにもなった。

世の中に ボウイ(BOØWY)のコピーバンドが大量発生しロックバンドとして「完全に天下を取った」ボウイ(BOØWY)だが、同時に売れたことによってアイドル扱いされるようになった自分達に違和感を感じるようにもなっていった。ある意味、近い将来に起こる解散を決定つけたアルバムであると言える。

    「要点」

  • ・ボウイ(BOØWY) を象徴するシンプルなビートロックが収録されており、トータルで彼らのパブリックイメージに最も近いアルバム
  • ・オリコンチャート1位を獲得した大出世アルバム

「曲解説」

1 B・BLUE

「シンプル」と言う言葉を具現化したような8ビートが心地よいビートロック。名曲「マリオネット」と共にボウイ(BOØWY)というバンドのパブリックイメージを作り上げた曲で難解であった前作「JUST A HERO」からの反動なのか?!非常にポップな躍動感を感じるサウンドとなっている。歌詞は「不器用で傷つけあった過去の恋愛」をテーマにしつつ「もう一度飛ぶのさ」と力強く宣言する内容となっており「ナイーヴな湿り気」は一切感じない。
2 ONLY YOU

煌びやかなギターサウンドに乗せて「お前に対する真っ直ぐで熱すぎる愛情」を歌うロックチューン。氷室京介(vo)がここまで前向きなラブソングを歌ったのは筆者の知る限り初めてである。この曲におけるドラムプレイも「1 B・BLUE」同様に「晴れ渡る青空」のように果てしなくシンプルである。
4 BEAT SWEET

布袋寅泰(g)特有の不思議なコミカルさを感じるギターリフを中心に展開されるロックチューン。歌詞は「男の下心を気持ち良い位に全肯定」した内容となっており、要約すると「君とはじめて会った日から、その白い素肌の事ばかりを考えるようになり、みだらな夢ばかり見ている」というもの(1:58〜)ギターソロはピッキングハーモニクスを交えたフレーズとなっており「揺らめく」ようなエフェクトもかけられている。
5 NOISE LIMITTER

ドラムマシーン風の高橋まこと(dr)のドラムプレイが印象的な曲で「カチッ」としたメカニカルなサウンドがメインとなっている。終盤に「呑気」と形容しても良い「子供向けアニメ的な音響」に転調するというまさかの展開を見せる。
7 B・E・L・I・E・V・E

シンセの連打が「過去のメモリーを思い起こさせる」ように鳴り響くバラード。サビのボーカルラインはボウイ(BOØWY)史上最も「安らぎ」を感じるメロディーとなっている。「ゆったりと時が流れる」ようなギターソロなどは、インディーズ時代から激動の日々を送ってきたボウイ(BOØWY) に与えられた「束の間の休息」のようである。
10 WORKING MAN

鋭角的なインダストリアルビートで幕をあける疾走感抜群のロックチューン。作詞はなんと松井恒松(b)が担当。タイトルにもなっているWORKING MANとは「パンを食えて飛び乗る」というラインから推測するとおそらくサラリーマンの事であろう。初期のボウイ(BOØWY)は「サラリーマンという存在そのものに対する強烈な嫌悪感」をパンキッシュに吐き出していた訳だが、この曲の歌詞にはサラリーマンに対して「哀れな奴ら」的な同情がありつつも応援歌的なエッセンスもある。彼らのこの心境の変化は、以前のレビューでも触れたが「他者を否定・批判するだけの歌詞」はある意味「居酒屋で無駄な熱量を発するサラリーマン」と本質的には変わらないという「パンクの矛盾」に気付いたからではないだろうか?!
12 DRAMATIC?DRASTIC!

トーキング・ヘッズ (Talking Heads)を意識した音創りをした曲(wiki)サビ裏でボーカルラインと同様のメロディーを「煙」のようなサイケな音色で奏でるギターサウンドがインパクト大(2:12〜)ギターソロは「トロピカルな妄想」を具現化したようなラインとなっており、布袋寅泰(g)のタイトなリズム感を堪能する事ができる指弾きフレーズとなっている。
14 SENSITIVE LOVE

「曇り空」のようなどんよりした音響の中でクリーンなアルペジオが存在感を放つラストチューン。歌詞は「いつの間にか冷めていた恋愛感情」についてである。

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