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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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「アーバンな冷気」を感じるシンセサウンドやマシーンビートを大胆に導入し、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)やニュー・オーダー (New Order)などの前衛的なアーティストからの影響を強く感じる硬質でシリアスな作風となっているボウイ(BOØWY)の4thアルバム。

アルバム全編を通して布袋寅泰(g)のギターサウンドは非常に実験的で「アヴァンギャルド」と形容しても良い内容となっている。特に「5 Justy」で聴けるギタープレイは特筆すべき「完璧な内容」と言ってよく布袋寅泰(g)史上TOP3に入るクオリティなのでは?!と筆者は感じる。

また氷室京介の作詞もこれまでと比べて「難解でマニアックな言葉」をチョイスしており「5 Justy」における「エスプリック」「ボナンザグラム」※クロスワードクイズの一種※「11 Welcome To The Twilight」における「アレスクラ」(ドイツ後で「It’s ok」の意味)など、実験的なサウンドにナチュラルに融合するシュールなものが多くなっている。本作は「ノリの良いロックを求めるリスナー」にはリアクションの難しいアルバムなのかもしれないが「シリアスなニューウェイブサウンドが好きなリスナー」には高評価を得るそんなアルバムだと思う。

    「要点」

  • ・硬質でシリアスな作風となっているボウイ(BOØWY)の4thアルバム
  • ・「5 Justy」で聴けるギタープレイは特筆すべき「完璧な内容」と言ってよく布袋寅泰(g)史上TOP3に入るクオリティなのでは?!
  • ・氷室京介の作詞に関しても「エスプリック」「ボナンザグラム」「アレスクラ」などの「難解でマニアックな言葉」をチョイスしている

「曲解説」

1 Dancing In The Pleasure Land

冷気とエッジを感じるシンセサウンドとクラウディーな布袋寅泰(g)のギター音色が印象的なダンサブルな曲(1:56〜、3:05〜)「ウ〜ッ、ハッ」というボウイ(BOØWY)らしからぬワイルドなコーラスが登場し、一時的に「先住民の宴」のような展開となる。終盤はチープなリズムトラックが挿入され、タイトルである「Dancing In The Pleasure Land」というフレーズが連呼される。
2 Rouge Of Gray

ドラムマシーンのビートを大胆に導入しており、おそらくではあるがニュー・オーダー (New Order)からの影響をダイレクトに曲に反映していると思われる。曲を通して「24h稼働する最先端の工場」のようなタイトさとメカニカルな質感がある。サビ裏で聴ける布袋寅泰(g)のトリッキーで耽美的なサウンドが「妖しい光」のように曲を彩っている。
3 わがままジュリエット

アーバンな泣き系ギターフレーズで幕をあける名バラード。シンプルでタイトなリズムの上を「ガラス細工」のような電子音が踊り、布袋寅泰(g)のギターサウンドは最小限の手数で音響構築に徹している(1:30〜)氷室京介がファルセットを使い「空回りして愛も夢も何も残っていない現状」を壊れそうな位に切なく歌い上げる。歌詞の内容は「夢を追いかければ追いかけるほど、傷つけあった過去の悲しい恋愛体験」についてである。
5 Justy

「神秘的な呪文」のようなギターリフが冴え渡るボウイ(BOØWY)屈指のイカしたニューウェイブチューン。サビ裏でも容赦なくイントロのギターリフを弾いており、氷室京介(vo)のボーカルより明らかに目立っている(2:07〜)ギターソロはオリエンタルでミステリアスな雰囲気があり「階段を転がり落ちる」ようなある種の危険性も感じる。最後はビビッドでアヴァンギャルドな音響がリスナーの視界を極彩色に染め上げる。本作のギタープレイは布袋寅泰(g)史上TOP3に入るクオリティであると思わる。それ位に「完璧」で全てのギタープレイヤー必聴の内容となっている。
7 1994 -Label Of Complex-

布袋寅泰(g)のファンキーなカッティングギターが「ガラス瓶」のようにキラめいている曲で「海辺に佇む」のようなメロウネスと切なさ、「高層ビル」のような艶やかなアーバンさが同居している曲。ギターソロは立体的な響きでありウォームな松井常松(b)のベースラインが非常によく目立つ。
8 ミス・ミステリー・レディ

メカニカルなリズムアプローチの上を布袋寅泰(g)の煌びやかなギターフレーズが踊るダンスチューン。サビのボーカルラインの後ろでは「カラフルな火炎放射」のような布袋寅泰(g) のアヴァンギャルドなギターサウンドが唸りをあげる。歌詞の中にも「アヴァンギャルド」というワードが登場。タイトル通りミステリーな内容となっている。
9 Blue Vacation

「深海」のようなBlueを感じる曲。サビはメカニカルなビートの上で氷室京介(vo)と布袋寅泰(g)がデュエットする展開となっておりインパクトがある。
11 Welcome To The Twilight

「眩しい季節」のような音響を感じるラストチューン。実験的で冷たい質感を前面に出したシリアスなサウンドが多い本作の中でこの曲がもつ「健全な清々しさ」は一種の救いとも言える。シンプルなサウンドとは異なり歌詞は一癖あり、見慣れない「アレスクラ」なるワードが登場。ドイツ語で「It’s ok」との意味があるそうだ。

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