「曲解説」
1 INSTANT LOVE
前作には気薄であったカラフルさを感じる軽やかなギターポップで「6弦を親指で押さえたフォーム」でマイナーコードをカッティングする布袋寅泰(g)らしいファンキーなフレージングが曲に疾走感を与えている(1:07〜、2:06〜) 「ふと冷静になった深夜」のような沈むマイナーコードがかき鳴らされ「パキッ」とした金属的なビートが曲に緊張感を与えている。氷室京介(vo)のボーカルは前作までのそれとはまるで別人のようであり「弾けるパート」と「あえて抑制させるパート」を使い分けるモダンなものとなっている(2:40〜)キラキラした眩しい電子音が現れリスナーを夢の国に誘う。終盤は浮遊感の伴うエフェクトが掛けられベースがマニアックなメロディーを奏でる。
2 MY HONEY
「スペーシーな音響の中でタイトなロックソングを奏でた」というイメージの曲。所々で挿入される布袋寅泰(g)によるエフェクティヴなギターサウンドが「怪しい光」のように曲の中で異彩を放っている。歌詞の中に出てくる「かわいすぎるぜ」というラインにはビックリさせられる「尖ったパンキッシュな歌詞」を求める初期ファンの方はこのフレーズに対して当時どのようなリアクションを示したのか非常に気になる。
4 FUNNY-BOY
「難解で神秘的なRPGゲーム」を連想するシンセサウンドをフィーチャーしたニューウェイブ・ギターソングで布袋寅泰(g)がフェイバリットに上げているアーティスト/エックス・ティー・シー(XTC)からの強い影響を感じられる曲となっている。「早足」のような疾走感と知性を感じるデリケートな音響が混ざりあう「アートヤンキー」なロックチューンである。
6 TEENAGE EMOTION
遊び心を感じる電子音やエフェクトをかけた歪んだコーラスが印象的なジャンクチューン。この曲における松井常松(b)のベースラインは「凸凹した歪なフロア」のように立体的であり珍しくエゴイスティックなラインとなっている。(1:52〜)強烈に歪ませた音色によるベースソロが披露され曲そのものに縮れた質感を与えている。
7 LONDON GAME
コミカルなポップソングの中に時折「歪んで狂ったパンクパート」が挿入される凝った曲。歌詞の内容はおそらくではあるが「髪を立てた自称パンクス達」を小馬鹿にしたものと思われる。本作/INSTANT LOVEはボウイ(BOØWY)にとって「パンクからの脱却」というテーマもあると思うのだが、そういう意味においてはこの曲の歌詞は最も本作を象徴していると言ってもいいと思う。
8 SYMPHONIC
布袋寅泰(g)のファンキーなカッティングギターがメランコリックソングをズタズタに切り裂く実験的な曲。この曲のカッティングフレーズを人差し指を伸ばすフォームで弾くことはある種不可能である(2:40〜)「ぶっ壊れた」とした言いようのない布袋寅泰(g)のアヴァンギャルドなノイズプレイが強烈な爪痕を残す。
9 THIS MOMENT
ダビーな音響の中、松井常松(b)のベースラインが「孤独な足跡」のようにダークに響わたりボウイ(BOØWY)ソングの中で唯一レゲエを感じる曲となっている(2:27〜)ギターソロはポストパンクの神アーティスト/ザ・ポップ・グループ(The Pop Group)に影響をうけたと思われる内容であり、不協和音を効果的に取り入れている。最後は「夢の中で見た夢」のようなドリーミーな電子音に包まれる展開となる。