「曲解説」
1 疾風のブレードランナー
「春の訪れ」のような暖かさを感じる音響に包まれるオープニングソング。アナログなバンドサウンドに伸びやかな電子音が絡みついて、曲全体から確かな光と清々しさを感じる事ができる。歌詞も過去最高レベルに前向きな内容で「祝福」なる非B-Tなワードも登場する。
2 21st Cherry Boy
「フゥ〜、フゥウウ〜ウ」という「春風」のようなコーラスに多くのファンが驚愕したと思われるキャッチーなポップチューン。タイトル「21st Cherry Boy」と繰り返される「I wanna be a toy」というフレーズはT・レックス(T. Rex)の名曲を意識していると思われる。
3 WARP DAY
アコースティックギターによるクリアでミニマムなフレーズがリフレインされるアンビエントな質感の空間系ソングで音響系・ポストロックからの影響を感じられる。音数は少なく音には洗練されたオーガニックな質感がある。この「厳選された感」のある音はまるでハイセンスなセレクトショップのようである。
4 謝肉祭-カーニバル-
「3 WARP DAY」同様にデリケートな音響に包まれるアンビエントな質感のバラード。ギターサウンドは「空間を静かに漂う」ように流れリフやフレーズではなく完全に「音響」である。櫻井敦司(vo)のボーカルはファルセットで透明感のある美しさを醸し出している。
6 Long Distance Call
ミニマムで冷たいアコギのアルペジオを中心に展開されるエモーショナルバラード。歌詞は戦場に向かう若者が遠く離れた母親に電話してストレートに愛情を伝えるという内容である。気のせいかもしれないが詞の世界に「母親」が登場する歌を歌うときの櫻井敦司(vo)はいつも以上に声に繊細な感情が反映されていると感じる。
7 極東より愛を込めて
ダークなシンセサウンドが「脅迫観念」のように迫り来るアッパーチューン。「愛」という非B-Tなワードが頻出する歌詞がインパクト大で「争いのない世界」をテーマにしていると思われる。「汝の敵を愛する事ができるか?!」という歌詞には「争いをはじめるのも人」だけど、同時に「争いのない世界の実現をを拒んでいる」のもまた人なんだよという皮肉めいたものを感じる。
9 Brilliant
アコースティックなオルゴール風サウンドがループされるドリーミーなバラード。歌詞はイマージネーションによって様々なイメージが頭の中に浮かぶものとなっている。筆者としては「戦場で亡くなった息子に対して母親が独り言で語りかける」ような内容であると考察している。
10 Kingdom come-moon rise-
「強い北風」のような音響を感じる浮遊ソングで全てのパートが「空を漂うような浮遊感」をもっている。終盤は縮れた電子音だけがミステリアスに響き渡る。
11 Continue
「ディープでバグった密室」を連想するインスト。「これぞB-T」というアバンギャルドなノイズと音響が次々と現れる(2:03〜)その合間をアンビエントで氷細工のようなフィールングの電子音が美しいメロディーを奏でる。ノイズとアンビエントで美しいメロディーの共存はテクノ界のレジェンド / エイフェックス・ツイン(Aphex Twin)からの影響を感じさせる。