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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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カラフルなデジタルサウンド・B-T化したエレクトロニカサウンドをバンドサウンドに絡め、これまでのB-T作品の中でも最も「カラフルな音響」を感じられる作品となっいる。

前作「SEXY STREAM LINER」で習得したデジタルサウンドとの共存をよりナチュラルな形で表現しており「1 Baby, I want you.」「4 細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」などは「歌われいる内容のアブノーマルさ」とは対照的に非常にポップである。「7 女神」における「静」→「動」への移行を強調したダイナミズムはこれまでありそうでなかった展開でありストレートにオルタナ系ギターロック・アーティストからの影響を反映したものとなっている。また歌詞は相変わらずマニアックかつアブノーマルなものが多く、クイズ番組風の「2 CHECK UP」やクローン羊をテーマにした数え歌風の「4 細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」などはB-T以外では色んな意味で成立しないと思われる。今作のポップに対する挑戦が次回以降の作品にどのように反映されるか非常に楽しみである。

    「要点」

  • ・これまでのB-T作品の中でも最も「カラフルな音響」を感じられる作品
  • ・「4 細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」クローン羊をテーマにした数え歌風の曲

「曲解説」

1 Baby, I want you.

これまでのバクチク(BUCK-TICK)ソングには登場しなかった類のカラフルなデジタルビートが終始鳴り響く、トロピカルでセクシーなエロい系アッパーチューン(2:30〜)「ガラスの世界に迷い込んだ」ようなエレクトロニカパートが挿入される(3:00〜)櫻井敦司(vo)によるシャウトの後に「縮毛」のように縮れたビーム風ギターサウンドが曲に強烈な歪みを与える。
2 CHECK UP

ハードなロックサウンドに乗せて「リスナーにシリアスなクイズを出す」というアイデアが斬新すぎるB-Tらしいシュールソング。時折、登場する今井寿(g)のボーカルは「ぶっ壊れたクイズ番組の司会者」のようだ(3:43〜)ギターソロはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)のギターソロに「UFO」を思わせる浮遊感を加味したピィーピィー系ノイズソロであり「曲が持つインパクト」に負けない内容となっている。
3 GLAMOROUS -FLUXUS-

「海中にいる」ような浮遊感とブルーを感じる耽美なギターポップ。サビは非常に開放的なボーカルラインとなっており、歌詞にもあるよう「扉を突き抜けた」ようなフィーリングである。またサビでは「光のシャワー」のような電子音がリスナーを光の世界へと誘う。
4 細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM

タイトルからしてマニアックな匂いが濃厚なデジタルチューンで歌詞の内容は「クローン羊:ドリー」からヒントを得たものらしい(wiki)。サビは「ドリーが1匹、ドリーが2匹」というまさかの「数え歌」である。この曲をメジャーシーンでリリースできるのはバクチク(BUCK-TICK)だけだ(2:11〜)ギターソロは「錆びついたドアノブを強引に回すような歪み」を感じるサウンドとなっている。
6 Death wish

縮れたような歪みを感じるギターリフを中心に展開される曲で歌詞は「設定を把握するのが困難」なものであるが、おそらくでは「救いようのない男」をテーマにしていると思われる。「キリストに似た男がドクロマークの翼で飛んでいる」との事です。
7 女神

「神秘」を感じる音響が印象的な曲で「ミステリアな静パート」→「ダイナミズムを強調したサビ」に移行する展開はレディオヘッド(Radiohead)やスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)からの影響を感じる。90年代オルタナからの影響をここまでダイレクトに反映している曲は捻くれアーティスト日本代表のB-Tにしては珍しい。
8 サファイア

「メランコリックな昼下がり」のような質感のサイケな歪みチューン。「どこから、どこまでがサビなのか?」の判断が難しい曲で櫻井敦司(vo)のボーカルラインは終始「途切れそうな囁き」風となっており、メロディックでメロウなラップ風・女性コーラスが非常に目立つ(2:56〜)「空けてはいけない扉から溢れる光」のような不気味な眩しさを感じる今井寿のソロパートが鳴り響く。
10 FLAME

ミニマムでエレクトロな音響がリフレインされる耽美なラブソング。サビでは「空を舞う」ような浮遊感を感じるギターサウンドが櫻井敦司(vo)のボーカルラインを力強く支えるという展開をみせる。歌詞は珍しく(?!)ポジティヴに「キミ」に愛情を伝える内容となっており、サビで登場する「揺れている影一つ」という表現は秀逸である。

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