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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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「1 悪の華」
「自分たちの進む方向性が完全に見えた」と言わんばかりの勢いとダークさを感じるヒットシングル。「シンプルなエイトビートロック」と「バクチク(BUCK-TICK)独自のギクシャクしたニューウェイブサウンド」を融合させ、ボウイ(BOØWY)以降のギターロックシーンの中で圧倒的な個性とデカダンスな新感覚を提示している。当時の日本の音楽シーンで「ダーク×デカダンス」な質感のロックソングがオリコンチャート1位を記録する事はとてつもない快挙でありバクチク(BUCK-TICK)の存在がなければ90年代のV系ムーブメントはまた違ったものになっていたと思われる。

リフレインされる「ミニマムでメタリックなニューウェイブリフ」
「メロディックな東洋音階を駆使した不思議な音程感があるギターソロ」
「ギターソロの直後に登場する「不気味な静けさ」を感じる単音フレーズ」

「悪の華」の魅力はなんといって今井寿(g)のギターサウンドで「覚醒前夜」のキレキレなフレージングを聴かせてくれる。 歌詞の内容は「これからが本当の自分たちのスタート地点である。」という熱い内容であると思われ、彼等らしくアブノーマルに「狂い出したBLUE BOY」という表現で熱量を表現している。

「2 UNDER THE MOON LIGHT」
樋口 豊(b)が初めて作詞にトライしたバラード。 最低限のB-Tらしさを守りつつも「恋人を失った喪失感と悲しみ」をストレートに表現した歌詞は、B-Tソングの作詞を担当する櫻井 敦司(vo)・今井寿(g)が描くアブノーマルなものとは異なる個性があり「good-bye my love , good-bye your love」というワードを中心に展開されるサビは非常にポップである。

サウンド的にはシンプルでラフなカッティングギターと「星々」のような質感のエフェクティヴなギターサウンドを中心に構成されている曲であり、B-Tソングには珍しく「ナチュラルな浮遊感」を感じるサウンドとなっている(1:26〜)ビートルズ(The Beatles)からの影響を感じる「フゥ〜」というメロウなコーラスが登場(2:00〜)ギターソロは「夕暮れの海辺」を連想するサウンドでありサーフミュージックのような質感がある。 他の曲にはない質感や雰囲気を感じるこの曲は「作詞者=樋口 豊(b)」の意向が大幅にサウンドに反映されているのかもしれないと感じる。

アルバム「悪の華」にもヤガミトール(dr)が作詞を担当した「DIZZY MOON 」という曲が収録されている。「DIZZY MOON 」もまた最低限のB-Tらしさをまもりつつ独自のテイストを打ち出している佳作である。普段、作詞を担当しない人に作詞者を任せるのは「面白い化学反応を生みだす」最もシンプルな方法論なのかもしれない。

    「要点」

  • ・覚醒前夜」のキレキレなフレージングを聴かせてくれる今井寿(g)
  • ・異色バラード「2 UNDER THE MOON LIGHT」は樋口 豊(b)が初めて作詞にトライ
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