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live at the indoor
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検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

マイナー調のアルペジオがメインリフとなっており、一度聴いたらキャッチーなメロディーが頭の中で必ずリフレインされるボウイ(BOØWY)の代表曲。

ボウイ(BOØWY)というアーティストは若者の「社会」や「学校」に対する「反発を代弁してくれる存在であるという先入観」が筆者にはあったので、はじめてこの「Marionette」を聴いた時は「サラリーマン的人生」を否定した反抗的なパンクソングであると感じた。(実際、初期の彼らは学校や教師、サラリーマンを真っ向から否定するようなパンクな歌を歌っていた。)だが大人になった現在の感覚で冷静に「Marionette」の歌詞を考察してみると、この曲は「反抗的なパンクソング」ではなく寧ろ「ロックミュージシャンとして成功をおさめ、かつてほどハングリーではなくなってしまった自分達に対する危機感」を歌っている「自己啓発的な内容」であるという事に気付いた。

「鏡の中に写っているマリオネット」とは「何にも考えずにタイムカードを押しているサラリーマン」の事ではなく作詞者である氷室京介(vo)自身であろうし、 「あきらめ顔の良く出来た歯車」というフレーズは決してスマートな表現ではないが、ビッグになり保守的な考えが芽生え出したボウイ(BOØWY)の事を指しているのではないだろうか?!

学校や社会に対する反発を代弁してくれる存在として若者からの圧倒的な支持を得たボウイ(BOØWY)だが「ビッグになりすぎてしまった」事でかつて自分達が牙を向いていた「社会」や「学校」のような「権威性」をボウイ(BOØWY)自体が持ち出しはじめた事に氷室京介(vo)はいち早く気づいてしまったのかもしれない。 ここで言う権威性とは「偉い」とかではなく社会からの「圧倒的な承認」を意味しており、 事実、80年代中頃〜後半は世の中にボウイ(BOØWY)のコピーバンドが大量発生した。

この曲には短期間でミュージックシーンの頂点に立った彼らならではの苦悩が詰まっている。

    「要点」

  • ・鏡の中に写っているマリオネット」とは「何にも考えずにタイムカードを押しているサラリーマン」の事ではなく作詞者である氷室京介(vo)自身のことだと考察。
  • ・ビッグになりすぎてしまった」事で「社会」や「学校」のような「権威性」をボウイ(BOØWY)自体が持ち出していた事に氷室京介(vo)はいち早く気づいてしまったのかもしれない。

マイナー調のアルペジオがメインリフとなっており、一度聴いたらキャッチーなメロディーが頭の中で必ずリフレインされるボウイ(BOØWY)の代表曲。 ボウイ(BOØWY)というアーティストは若者の「社会」や「学校」に対する「反発を代弁してくれる存在であるという先入観」が筆者にはあったので、はじめてこの「Marionette」を聴いた時は「サラリーマン的人生」を否定した反抗的なパンクソングであると感じた。

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「アーバンな冷気」を感じるシンセサウンドやマシーンビートを大胆に導入し、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)やニュー・オーダー (New Order)などの前衛的なアーティストからの影響を強く感じる硬質でシリアスな作風となっているボウイ(BOØWY)の4thアルバム。

アルバム全編を通して布袋寅泰(g)のギターサウンドは非常に実験的で「アヴァンギャルド」と形容しても良い内容となっている。特に「5 Justy」で聴けるギタープレイは特筆すべき「完璧な内容」と言ってよく布袋寅泰(g)史上TOP3に入るクオリティなのでは?!と筆者は感じる。

また氷室京介の作詞もこれまでと比べて「難解でマニアックな言葉」をチョイスしており「5 Justy」における「エスプリック」「ボナンザグラム」※クロスワードクイズの一種※「11 Welcome To The Twilight」における「アレスクラ」(ドイツ後で「It’s ok」の意味)など、実験的なサウンドにナチュラルに融合するシュールなものが多くなっている。本作は「ノリの良いロックを求めるリスナー」にはリアクションの難しいアルバムなのかもしれないが「シリアスなニューウェイブサウンドが好きなリスナー」には高評価を得るそんなアルバムだと思う。

    「要点」

  • ・硬質でシリアスな作風となっているボウイ(BOØWY)の4thアルバム
  • ・「5 Justy」で聴けるギタープレイは特筆すべき「完璧な内容」と言ってよく布袋寅泰(g)史上TOP3に入るクオリティなのでは?!
  • ・氷室京介の作詞に関しても「エスプリック」「ボナンザグラム」「アレスクラ」などの「難解でマニアックな言葉」をチョイスしている

「曲解説」

1 Dancing In The Pleasure Land

冷気とエッジを感じるシンセサウンドとクラウディーな布袋寅泰(g)のギター音色が印象的なダンサブルな曲(1:56〜、3:05〜)「ウ〜ッ、ハッ」というボウイ(BOØWY)らしからぬワイルドなコーラスが登場し、一時的に「先住民の宴」のような展開となる。終盤はチープなリズムトラックが挿入され、タイトルである「Dancing In The Pleasure Land」というフレーズが連呼される。
2 Rouge Of Gray

ドラムマシーンのビートを大胆に導入しており、おそらくではあるがニュー・オーダー (New Order)からの影響をダイレクトに曲に反映していると思われる。曲を通して「24h稼働する最先端の工場」のようなタイトさとメカニカルな質感がある。サビ裏で聴ける布袋寅泰(g)のトリッキーで耽美的なサウンドが「妖しい光」のように曲を彩っている。
3 わがままジュリエット

アーバンな泣き系ギターフレーズで幕をあける名バラード。シンプルでタイトなリズムの上を「ガラス細工」のような電子音が踊り、布袋寅泰(g)のギターサウンドは最小限の手数で音響構築に徹している(1:30〜)氷室京介がファルセットを使い「空回りして愛も夢も何も残っていない現状」を壊れそうな位に切なく歌い上げる。歌詞の内容は「夢を追いかければ追いかけるほど、傷つけあった過去の悲しい恋愛体験」についてである。
5 Justy

「神秘的な呪文」のようなギターリフが冴え渡るボウイ(BOØWY)屈指のイカしたニューウェイブチューン。サビ裏でも容赦なくイントロのギターリフを弾いており、氷室京介(vo)のボーカルより明らかに目立っている(2:07〜)ギターソロはオリエンタルでミステリアスな雰囲気があり「階段を転がり落ちる」ようなある種の危険性も感じる。最後はビビッドでアヴァンギャルドな音響がリスナーの視界を極彩色に染め上げる。本作のギタープレイは布袋寅泰(g)史上TOP3に入るクオリティであると思わる。それ位に「完璧」で全てのギタープレイヤー必聴の内容となっている。
7 1994 -Label Of Complex-

布袋寅泰(g)のファンキーなカッティングギターが「ガラス瓶」のようにキラめいている曲で「海辺に佇む」のようなメロウネスと切なさ、「高層ビル」のような艶やかなアーバンさが同居している曲。ギターソロは立体的な響きでありウォームな松井常松(b)のベースラインが非常によく目立つ。
8 ミス・ミステリー・レディ

メカニカルなリズムアプローチの上を布袋寅泰(g)の煌びやかなギターフレーズが踊るダンスチューン。サビのボーカルラインの後ろでは「カラフルな火炎放射」のような布袋寅泰(g) のアヴァンギャルドなギターサウンドが唸りをあげる。歌詞の中にも「アヴァンギャルド」というワードが登場。タイトル通りミステリーな内容となっている。
9 Blue Vacation

「深海」のようなBlueを感じる曲。サビはメカニカルなビートの上で氷室京介(vo)と布袋寅泰(g)がデュエットする展開となっておりインパクトがある。
11 Welcome To The Twilight

「眩しい季節」のような音響を感じるラストチューン。実験的で冷たい質感を前面に出したシリアスなサウンドが多い本作の中でこの曲がもつ「健全な清々しさ」は一種の救いとも言える。シンプルなサウンドとは異なり歌詞は一癖あり、見慣れない「アレスクラ」なるワードが登場。ドイツ語で「It’s ok」との意味があるそうだ。

「アーバンな冷気」を感じるシンセサウンドやマシーンビートを大胆に導入し、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)やニュー・オーダー (New Order)などの前衛的なアーティストからの影響を強く感じる硬質でシリアスな作風となっているボウイ(BOØWY)の4thアルバム。 アルバム全編を通して布袋寅泰(g)のギターサウンドは非常に実験的で「アヴァンギャルド」と形容しても良い内容となっている。特

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実験性とポップネスが高次元で結びついたボウイ(BOØWY)の3rdアルバム「BOØWY」。

バンド名をアルバムタイトルに起用する場合、その多くは自信作であるケースが多いのだが本作もそのケースに見事に当てはまる名作となっている。本作は初めて海外レコーディングを行ったアルバムでもありこれまでの作品と比べると「モダン」という表現がピッタリである。

前作から本格的に本領を発揮し始めた布袋寅泰(g) のギターは更に独自性を高めており「1 Dreamin’」「5 ホンキー・トンキー・クレイジー」などでは「曲が求める音のみを提供するプロデューサー的視点」を感じるし、多くのギタリストに多大な影響を与えた「6 BAD FEELING」などではポジティヴな意味で弾きすぎなやりたい放題感がある。

また歌詞の内容にも大きな変化があり、反抗的・挑発的な歌詞をもつ「1 Dreamin’」「6 BAD FEELING 」などの曲であってもアルバム「MORAL」に収録されていた「パンクソング的な痛さ」を感じないフィーリングとなっている。「1 Dreamin’」の歌詞は「サラリーマン的人生を真っ向から否定しつつも「I ‘m only dreaming’ = 私はただ夢を見ているだけ」と自身の「ある種のクサさ」を開示している点に潔さを感じる事ができ「6 BAD FEELING」 のサビの歌詞は「アッパッパーなladyに対する嫌悪感」を言語化しているが、エモーショナルになる訳でもなく「大人の対応」と言わんばかりの落ち着きを感じる事ができる。

本作はセンスとやる気に満ちた若者たちが「大人の余裕」をもちはじめ、 冷静にそして大胆に自分たちの音楽を作り始めた。 本作「BOØWY」はそんなイメージのアルバムである。

    「要点」

  • ・「1 Dreamin’」「サラリーマン的人生を真っ向から否定する歌詞を前面に押し出しているが、ファーストアルバム「MORAL」に収録されているパンクソング的な痛さは感じられない。
  • ・「6 BAD FEELING」サビでは「アッパッパーなladyに対する嫌悪感」を淡々と吐き出しているが、 初期のようなパンク的なオラオラ感はなく「大人の対応」というクールさがある。

「曲解説」

1 Dreamin’

「ファンファーレ」のようなサックスサウンド(シンセかも?!)で幕をあける華やかロックチューン。「サラリーマン的人生を真っ向から否定する歌詞」を前面に押し出しているが、ファーストアルバム「MORAL」に収録されているパンクソング的な痛さは感じられない。痛さを感じない理由は何かを否定しているだけではなく、自分自身の熱い願望(「I ‘m only dreaming’ = 私はただ夢を見ているだけ」)を歌っている前向きさがあるからであろうと思われる。そう「他者を否定・批判するだけ」ならそれこそ「居酒屋で無駄な熱量を発するサラリーマンと変わらない」というパンク的な矛盾に彼らはいち早く気づいてしまったのだろう。
2 黒のラプソディー

「路地裏」のようなダークさと「繁華街」の華やかさが同居した曲で「花束」のようなサックスサウンドを大胆にフィーチャーしている(1:50〜) 布袋寅泰(g)のギターソロは「ガラス細工」のようなエッジを感じさせる音質となっており、松井常松(b)のベースラインは「点をピンポイントでメカニカルに突く」ようにイメージであり存在感を放っている。
3 Baby Action

「散歩のようなヴァース」と「疾走感全開のサビ」との対比が面白いミニマムなギターポップ。歌詞は「軽い遊びのつもりだったけど、あいつにハマってしまって忘れられない。もうイヤだ」という内容。イントロとアウトロだけ何故か?!「パキッ」としたゴージャスなインダストリアル風サウンドとなっている。
5 ホンキー・トンキー・クレイジー

「タップダンス」のようなリズムとキャッチーなサックスが印象的なポップチューン(2:30〜)曲のクオリティーを劇的にあげるソウルフルな女性コーラスが登場して曲に「パーティー」のような開放感と華やかさを与えている。タイトルは意味不明だが、おそらくデヴィッド・ボウイ(David Bowie)のアルバム「Hunky Dory」からヒントを得ていると思われる。
6 BAD FEELING

著名ギタリストに多大な影響を与えた名ギターリフがスペーシーな音響の中で踊るニューウェイブ・ファンク。筆者もこの曲のギターリフのコピーにトライした事があるが、この曲のギターリフはシンプルなフレーズではあるのだが布袋寅泰(g)特有のリズム感に慣れるまでが非常に難しかったと記憶している。サビ前に登場する「イマジネーション通りに腰振るのはやめてくれ」という「イマジネーション溢れるライン」はヒムロック以外のシンガーからはまず出てこないラインであろう。サビは「アッパッパーなladyに対する嫌悪感」を淡々と吐き出すという内容であるが、初期のような「パンク的なオラオラ感」はなく「大人の対応」というクールさがある。またこの曲でも「5 ホンキー・トンキー・クレイジー」同様に「タップダンス風」のリズムが存在感を放っている。
8 DANCE CRAZE

ミニマムなロックンロールリフが「ねずみ花火」のように同じところをクルクルとループする冒頭から徐々に近未来的にカラフルで壊れた展開に移行する実験的なサウンドで「クラフトワーク(Kraftwerk)とT・レックス(T. Rex)」が共演したようなイメージの曲となっている。作詞は「ジョナ・パシュビー」という外部クリエイターが手がけており、ボーカルは布袋寅泰が担当している。
9 ハイウェイに乗る前に

イントロからノリノリのテンションを感じさせるロックンロールチューン。サウンドは実際に「ハイウェイに乗っているような疾走感を判じるパート」と「都会をすり抜けたようなナイーヴな開放感を感じるパート」が主となり構成されている。歌詞の内容は「アッパーな上にいい女であるオマエを忘れる為に強がってハイウェイを走り抜ける男の心情」と言ったところだろうか。
10 CLOUDY HEART

「機械仕掛け」のような緻密さと「ガラス越し」のようなフィーリングを感じる曲でバラード調から疾走感溢れるサビに移行する展開となっている。歌詞は「軽いはじまりだったけど、案外長く続いた恋の終わり」をテーマにしており「若すぎて無責任であった2人の日々」を氷室京介(vo)が切なく振り返っている。終盤はスペーシーなシンセサウンドが存在感を放ち、主人公の「CLOUDYな心情」を表現している。

実験性とポップネスが高次元で結びついたボウイ(BOØWY)の3rdアルバム「BOØWY」。 バンド名をアルバムタイトルに起用する場合、その多くは自信作であるケースが多いのだが本作もそのケースに見事に当てはまる名作となっている。本作は初めて海外レコーディングを行ったアルバムでもありこれまでの作品と比べると「モダン」という表現がピッタリである。 前作から本格的に本領を発揮し始めた布袋寅泰(g) のギタ

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デビューアルバム「MORAL」から別人のような変化を遂げた2ndアルバム。

メンバー構成が6人から4人となった事で各メンバーのパートがより目立ち音に躍動感とビビッドな色彩が感じられる。またプラスティックで衝動的なパンクサウンドにのせて「教師」や「サラリーマン」に対する苛立ちや嫌悪感を挑発的な言葉にして吐き出していた氷室京介(vo)のボーカルは「弾けるパート」と「あえて抑制させるパート」を使い分けるモダンなものとなっている。

歌詞に関しては前作同様のわかりやすく挑発的な内容は「7 LONDON GAME」位となっており、 アルバム全体から「パンクとは距離を置きたい」という明確な意思を感じる。ちなみに「7 LONDON GAME」では「髪を立てた自称パンクス達」を小馬鹿にしていると思われる。

本作はスタジオワークを学んだ布袋寅泰(g)のアイデアが思う存分発揮されており、エフェクティブでアバンギャルドなギターサウンドが随所に散りばめられている。「8 SYMPHONIC」で聴くことができる「曲そのものをズタズタに切り裂くようなギターカッティングはまるで「モラル」という名の檻の中に閉じ込められていたライオンが暴れ始めたような凶暴性すら感じさせる。

本作は本当の意味でのボウイ(BOØWY)のデビューアルバムと言っていい内容となっている。

    「要点」

  • ・アルバム全体から「パンクとは距離を置きたい」という明確な意思を感じる。
  • ・「7 LONDON GAME」では「髪を立てた自称パンクス達」を小馬鹿にしていると思われる。

「曲解説」

1 INSTANT LOVE

前作には気薄であったカラフルさを感じる軽やかなギターポップで「6弦を親指で押さえたフォーム」でマイナーコードをカッティングする布袋寅泰(g)らしいファンキーなフレージングが曲に疾走感を与えている(1:07〜、2:06〜) 「ふと冷静になった深夜」のような沈むマイナーコードがかき鳴らされ「パキッ」とした金属的なビートが曲に緊張感を与えている。氷室京介(vo)のボーカルは前作までのそれとはまるで別人のようであり「弾けるパート」と「あえて抑制させるパート」を使い分けるモダンなものとなっている(2:40〜)キラキラした眩しい電子音が現れリスナーを夢の国に誘う。終盤は浮遊感の伴うエフェクトが掛けられベースがマニアックなメロディーを奏でる。
2 MY HONEY

「スペーシーな音響の中でタイトなロックソングを奏でた」というイメージの曲。所々で挿入される布袋寅泰(g)によるエフェクティヴなギターサウンドが「怪しい光」のように曲の中で異彩を放っている。歌詞の中に出てくる「かわいすぎるぜ」というラインにはビックリさせられる「尖ったパンキッシュな歌詞」を求める初期ファンの方はこのフレーズに対して当時どのようなリアクションを示したのか非常に気になる。
4 FUNNY-BOY

「難解で神秘的なRPGゲーム」を連想するシンセサウンドをフィーチャーしたニューウェイブ・ギターソングで布袋寅泰(g)がフェイバリットに上げているアーティスト/エックス・ティー・シー(XTC)からの強い影響を感じられる曲となっている。「早足」のような疾走感と知性を感じるデリケートな音響が混ざりあう「アートヤンキー」なロックチューンである。
6 TEENAGE EMOTION

遊び心を感じる電子音やエフェクトをかけた歪んだコーラスが印象的なジャンクチューン。この曲における松井常松(b)のベースラインは「凸凹した歪なフロア」のように立体的であり珍しくエゴイスティックなラインとなっている。(1:52〜)強烈に歪ませた音色によるベースソロが披露され曲そのものに縮れた質感を与えている。
7 LONDON GAME

コミカルなポップソングの中に時折「歪んで狂ったパンクパート」が挿入される凝った曲。歌詞の内容はおそらくではあるが「髪を立てた自称パンクス達」を小馬鹿にしたものと思われる。本作/INSTANT LOVEはボウイ(BOØWY)にとって「パンクからの脱却」というテーマもあると思うのだが、そういう意味においてはこの曲の歌詞は最も本作を象徴していると言ってもいいと思う。
8 SYMPHONIC

布袋寅泰(g)のファンキーなカッティングギターがメランコリックソングをズタズタに切り裂く実験的な曲。この曲のカッティングフレーズを人差し指を伸ばすフォームで弾くことはある種不可能である(2:40〜)「ぶっ壊れた」とした言いようのない布袋寅泰(g)のアヴァンギャルドなノイズプレイが強烈な爪痕を残す。
9 THIS MOMENT

ダビーな音響の中、松井常松(b)のベースラインが「孤独な足跡」のようにダークに響わたりボウイ(BOØWY)ソングの中で唯一レゲエを感じる曲となっている(2:27〜)ギターソロはポストパンクの神アーティスト/ザ・ポップ・グループ(The Pop Group)に影響をうけたと思われる内容であり、不協和音を効果的に取り入れている。最後は「夢の中で見た夢」のようなドリーミーな電子音に包まれる展開となる。

デビューアルバム「MORAL」から別人のような変化を遂げた2ndアルバム。 メンバー構成が6人から4人となった事で各メンバーのパートがより目立ち音に躍動感とビビッドな色彩が感じられる。またプラスティックで衝動的なパンクサウンドにのせて「教師」や「サラリーマン」に対する苛立ちや嫌悪感を挑発的な言葉にして吐き出していた氷室京介(vo)のボーカルは「弾けるパート」と「あえて抑制させるパート」を使い分ける

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ジャパニーズロックの土台を作り後続に多大すぎる影響を与えたボウイ(BOØWY)のデビューアルバム。

「スタジオに行って演奏しただけ状態のサウンドクオリティに布袋寅泰が失望した」という逸話がある。 本作の反省を活かして布袋寅泰がスタジオワークに本格的に意識を向けはじめるキッカケになった。本作の存在なくして色んな意味で後のボウイ(BOØWY)サウンドは存在しない為、まさに原点と言えるアルバムである。

本作はボウイ(BOØWY)が6人編成の時にリリースされた唯一のアルバムであり、サウンドのクオリティに関しては後のアルバムと比較した場合に明らかに劣る事は間違いないのだが、「学校」「教師」「サラリーマン」に対する「強烈なフラストレーション」を叩きつける衝動的でパンチの効いた歌詞がプラスティックで未完成なパンク風サウンドを強引に引っ張っているようなイメージである。

「サラリーマンを小馬鹿にした歌詞」で溢れる本作を現在リリースすれば間違いなくSNSで大炎上するであろう。また布袋寅泰(g)のギターワークもまだ本領を発揮しているとは言えず、おそらくではあるが「パンク以降」の流れ中でまだ「明確な答え」が見えていないという印象を受ける。

    「要点」

  • ・「スタジオに行って演奏しただけ状態のサウンドクオリティに布袋寅泰が失望した」という逸話がある。
  • ・「サラリーマンを小馬鹿にした歌詞」で溢れる本作を現在リリースすれば間違いなくSNSで大炎上するであろう。

「曲解説」

2 IMAGE DOWN

「平行移動のコード進行」によって構成されるイントロのギターリフが印象的なボウイ(BOØWY)の代表曲。 ドラムのビートはまるで「ロボットのパンチ」のようにタイトである。歌詞の内容は「尻の軽い女に対する強烈な皮肉とディスり」であり、「英語数学まるでダメだけどあっちのほうはインテリジェンスかい?!」というラインには何とも言えないユーモアがある。終盤は熱量を増したビートの上で氷室京介(vo)がタイトルである「IMAGE DOWN」というフレーズを「鬼」のように連呼する。
3 SCHOOL OUT

偉そうに説教してみても結局は「自分の身の保身以外何も考えていない先公」(ツッパリ的に言う)に対する苛立ちを元不良の氷室京介(vo)が「決まったレールの中でズレちゃう不良達」の代わりに吐き捨てるシンプルなパンクチューン。布袋寅泰(g)のギターフレーズはシンプルではあるが他のパンクギタリストにはありえない色彩を感じる(1:57〜)何から何まで処分で片付ける学校という名の腐ったシステムに対して氷室京介(vo)が「怒りを通り越した哀れ」をもって「本当の事を見失うぞ」と警告する静のパートが挿入される。
4 ÉLITE

腐りきったエリートサラリーマンに対する怒りをぶちまけたパンクチューン。氷室京介(vo)はサラリーマンをした事がないのに何故?!ここまで生々しい歌詞を書けるのだろうか?!。おそらくであるが、氷室京介(vo)という人は音楽云々ではなく「フラストレーションをブチまける為の手段」としてロックに興味をもったのではないだろうか?!教師やサラリーマンなど「自分には到底理解が及ばないこれらの人たちに対する嫌悪」が若かりし頃の氷室京介(vo)に大きなイマジネーションとある種のモチベーションを与えたに違いない。
6 NO N.Y.

「女神」のようなbeauty faceをもつ女を愛してしまった男の心情を歌っているプラスティックなフィーリングのポップチューン。「あいつを愛したらNY、NY」というラインは今聴いても全く意味不明である。歌詞はサックスプレイヤーである深沢和明が担当。下世話な話ではあるが、深沢氏はこの曲の作詞印税だけで相当な額を手にしているハズである。
7 MASS AGE

布袋寅泰(g)のギターが「90年代UKギターロック」のような音色を聴かせる珍しいタイプの曲。歌詞は「腰を下ろすのはまだまだ先」なるラインなどからおそらくではあるが、腐ったサラリーマンを強烈に小馬鹿にしたものであると思われる。まくし立てるような氷室京介(vo)のボーカルのバックでは牧歌的とも言える深沢和明(sax)のサックスが響き渡る(1:20〜、2:10〜)「woo、woo、woo、woo」という布袋寅泰(g)のコーラスは少し狂気じみた脱力感を感じる(1:40〜)「ミスターダウンピッキング」こと松井常松(b)がスラップを披露する立体的なベースソロを奏でる。
9 RATS

調子の良い時だけ「飲み行こう」などと言ってきて都合が悪くなれば「知らんフリ」という、よくありがちなサラリーマン上司を完全に小馬鹿にしている曲。サウンドは最小限の音数で構成されており、松井常松(b)の立体的なベースラインが非常によく目立つ。所々でエレクトロニカのような透明な電子音が登場し曲に色彩を与えている。この電子音の配置は「音楽的多重人格」を自称する布袋寅泰(g)のチョイスによるものであろう。
10 MORAL

「人間の暗部」にスポットを当てた歌詞は現在ではリリースが難しい類であり、正直そう何度も聴くような内容ではないが、おそらくではあるが「人の不幸に群がるマスコミ」や「偽善者」を痛烈に皮肉った内容であると思われる。おそらくではあるが、現在の氷室京介(vo)はこの曲をリリースした事を後悔しているであろう。
11 GUERRILLA

「9 RATS」同様にサラリーマンを完全に小馬鹿にしている曲。「山ほど仕事が待っているのか、いないよな」というラインは働くふりだけしている「働かないおじさん」の腐った実情をズバリ指摘している。また仕事終わりのビアホールで「振り向く女は会社の仲間さ」というラインはコント的であり「頭を使った覚えはないのさ」「悩む事などありもしないのさ」などのラインはやりすぎでもはや笑えない。氷室京介(vo)のサラリーマンに対する嫌悪感と苛立ちは相当なものである。
13 ENDLESS

「魔界の入り口に立っている」かのような不穏な音響を前面に押し出したシュールとしか言いようのない曲。 (0:20〜)透明でメロウなポップソングに移行するまさかの展開を見せ、氷室京介(vo)の歌声は「教師やサラリーマンに対する苛立ちを吐き捨てた人物」と同様とは思えない程に優しくそして温かい。

ジャパニーズロックの土台を作り後続に多大すぎる影響を与えたボウイ(BOØWY)のデビューアルバム。 「スタジオに行って演奏しただけ状態のサウンドクオリティに布袋寅泰が失望した」という逸話がある。 本作の反省を活かして布袋寅泰がスタジオワークに本格的に意識を向けはじめるキッカケになった。本作の存在なくして色んな意味で後のボウイ(BOØWY)サウンドは存在しない為、まさに原点と言えるアルバムである。

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