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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

日本の音楽シーンにおいてバクチク(BUCK-TICK)と共に「インダストリアル・ボディミュージック」からの影響を色濃くサウンドに反映させた先駆的ユニット/ソフトバレエ(SOFT BALLET)のデビューアルバム。

ほとんど全ての曲に「立体的」「凸凹」と形容したくなる潤ったビートを導入しており「ダークで怪しげなサウンド」ではあるのだが不思議な躍動感を感じるというタイプの曲が多い。本作を聴く限りではこのソフトバレエ(SOFT BALLET)というユニットはハナから「ダークでダンサブルなボディ・ミュージックをやる」為に結成されたのでは感じる。それ位に全ての曲に統一された空気感がある。また多くの曲でアシッドハウス的な音響を導入しており曲に躍動感を与えている。アシッドハウス・ムーブメントがソングライターである藤井麻輝・森岡賢に与えた影響は決して少なくないであろう。

コンセプトが明確である種「カチッ」としたサウンドとは反対に遠藤遼一(vo)のボーカルはある時は「ラッドテイストな野太い声」であり、またある時は「ねっとりとしたナルシズムを感じるもの」となっており良い意味で自由気ままな印象を受ける。

    「要点」

  • ・「インダストリアル・ボディミュージック」からの影響を色濃くサウンドに反映させた先駆的ユニット
  • ・「ダークで怪しげなサウンド」ではあるのだが不思議な躍動感を感じる

「曲解説」

1 BODY TO BODY

神秘的な音響と立体的なダンスビート、「金属」を叩いたようなインダストリアの響きが印象的なヒットシングル。ダークなサウンドとは裏腹に遠藤遼一(vo)のボーカルはラッドテイストな野太い声となっている。「デュリーダン、デュリーダン」と聴こえるファンキーなコーラスはインパクト大(2:08〜)アシッドハウスを思わせる潤った音響に包まれ「鳥の鳴き声にエフェクトをかけた」ような電子音が存在感を放つ。
2 HOLOGRAM ROSE

「激しい雨」のようなドラムサウンドの上にイマジネーション豊かなカラフルな電子音が踊る激しいエレクトロポップ。この曲でもアシッドハウスを思われる「スライム」のようなビートが曲に躍動感と潤いを与えている。
3 WITH YOU

「カメラのシャッター」を思わせる効果音がリフレインされ「地下室」のような不穏な空気が濃厚に漂う曲。終盤は「不穏な空気」と「享楽的でカラフルな音響」が混ざり合う展開となっている。時折「ビーム」のようなギターサウンドが挿入される。
5 KO・KA・GE・NI

「テクノポップ」のような東洋音階と「空を舞う」ような浮遊感が印象的な曲。歌詞を見てみると「赤い丘を過ぎる雲」なるフレーズが登場し、遠藤遼一(vo)のボーカルは「ねっとりとしたナルシズム」を感じるものとなっている。
6 L-MESS

「怪しい宴」をインダストリアル・ボディミュージックで表現したようなイメージの曲。エフェクトのかかったボーカルは恐怖感が強調されており「呪縛」のようである。「鳥の鳴き声を電子音に変換した」ようなイメージのアシッドハウス的アプローチと「硬質な箱を強パンチで殴る」ようなシンプルなビートが印象的である。
7 SPINDLE

「凸凹したモノトーンなフロア」を連想するビートオリエンテッドな曲。この曲でも「ジャングルにいるような錯覚を覚える」アシッドハウス的な潤った音響を導入している。歌詞は他の収録曲同様に意味深なものとなっているが、おそらくエロティックな内容であると思われる。
9 EARTH BORN

「氷の迷宮」のような冷気を感じる耽美チューン。「冷たいクリスタル」を連想するシンセとパンチの効いたビートを中心に構成されるシンプルなサウンドとなっているが「万華鏡」のようにカラフルなイメージが頭の中に浮かぶ曲となっており、リスナーのイマジネーションを刺激する。
10 BLACK ICE

「7 SPINDLE」同様に「凸凹したモノトーンなフロア」を連想するビートが存在感を放つアッパーチューン。アルバムの中で最もアッパーな曲をアルバムの最後に配置するセンスに「相当なひねくれ」を感じる。シンセサウンドは「デパートの屋上で催されるヒーローショー」のような華やかさを感じるさせ、 終盤は低音が強調された展開となり生ドラムの連打やインダストリアル・ビートなども挿入される。

日本の音楽シーンにおいてバクチク(BUCK-TICK)と共に「インダストリアル・ボディミュージック」からの影響を色濃くサウンドに反映させた先駆的ユニット/ソフトバレエ(SOFT BALLET)のデビューアルバム。 ほとんど全ての曲に「立体的」「凸凹」と形容したくなる潤ったビートを導入しており「ダークで怪しげなサウンド」ではあるのだが不思議な躍動感を感じるというタイプの曲が多い。本作を聴く限りではこ

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イギリスのロック専門誌である『ケラング!』が最高得点5点をつけた(wiki)ザ・マッド・カプセル・マーケッツ(THE MAD CAPSULE MARKETS)の8thアルバム。

hideや今井寿(BUCK-TICK)など前衛的な音楽を常に求めている同業者に大絶賛されたノイズサウンドは、当時日本よりも海外で熱烈な支持を受けた。彼らの音楽的な特徴を挙げるとインダストリアルロックの創始者/ミニストリー(Ministry)やドイツのデジタルハードコア・アーティスト/アタリ・ティーンエイジ・ライオット(Atari Teenage Riot, ATR)からの影響があげられる。全編にわたり「不穏」で「マシーン」を連想する無機質な冷たさがあり健全なラウドミュージックとは明らかに異質である。

暴走するビートや「狂った扇動者」のような破壊的な絶叫とラップをこれでもかと畳み掛けるサウンドは痛快の域であるが、彼らが「コアなだけのノイズまみれアーティスト」であれば本作が日本のオリコンTOP10に入る事は難しかったハズである。「3 | ̄|_ (PULSE)」「12 MIDI SURF」ではメロディックパンクのようなフックのあるボーカルラインが聴くことができる。この時折登場する「歌心あるメロディーライン」の有無が海外インダストリアル・デジタルハードコア勢と良くも悪くも違う点であると筆者は思う。

    「要点」

  • ・hideや今井寿(BUCK-TICK)など前衛的な音楽を常に求めている同業者に大絶賛されたノイズサウンド
  • ・時折登場する「歌心あるメロディーライン」の有無が海外インダストリアル・デジタルハードコア勢と良くも悪くも違う点

「曲解説」

1 TRIBE

絶叫を交えたハイテンションなボーカルラインがインパクト大のデジタルハードコア。リズムはタイトなボディーブローのようなドラムとシンプルで無機質な四つ打ちによって構成されている(2:34〜)「不法侵入者を知らせるセンサー」のようなノイズサウンドの登場からループ風のギターソロに突入するという展開をみせる。
2 OUT/DEFINITION

暴走するビートと「狂った扇動者」を思わせるラップがマニアックな雰囲気を醸し出しているインダストリアルチューン。ギターリフはラウドではあるが「マシーン」のような冷たさがある(1:35〜)間奏部では「ドットにモザイクをかけたようなビート」が挿入されアクセントとなっている。
3 | ̄|_ (PULSE)

メロディックパンクのようなボーカルラインとストリートテイストが色濃いアグレッシヴなラップを中心に構成されるハードなパンクチューン(1:40〜)転調が入り「これまでとは違うメロディーライン」が展開されるが、その後は「何事もなかった」かのように元の展開に戻るという凝られた展開をみせる。
7 ISLAND

陽気なバイブを感じるマッド流歪んだポップソングかと思わせておいて、突如、狂ったようなハードーコアチューンに変貌するインパクト大の曲。歌詞の和訳を見たところおそらく「呑気な休日」をテーマにしていると思われるが意味深な内容となっている。
8 RESTART!

狂気的な複数の絶叫が空間的に絡まるハードチューンでリズムは「冷徹なマシーン」のようなインダストリアルビートである。
9 JAG

タイトなドラムと潤ったブリブリのベースラインが不穏な空気感を演出している曲。ボーカルはラップというより「怪しげな呪文」のようである。最後は空間系エフェクトをかけた単調なギターサウンドだけがミステリアスに響き渡る。
12 MIDI SURF

「3 | ̄|_ (PULSE)」同様にメロディックパンク風のサビのボーカルラインが印象的な本作のラストチューン。ギターリフは「記号」のようなイメージであり音響として機能している(2:08〜)「カラフルなスライムが目の前に大量発生した」ような潤った音響に包まれるアバンギャルドな展開をみせる。

イギリスのロック専門誌である『ケラング!』が最高得点5点をつけた(wiki)ザ・マッド・カプセル・マーケッツ(THE MAD CAPSULE MARKETS)の8thアルバム。 hideや今井寿(BUCK-TICK)など前衛的な音楽を常に求めている同業者に大絶賛されたノイズサウンドは、当時日本よりも海外で熱烈な支持を受けた。彼らの音楽的な特徴を挙げるとインダストリアルロックの創始者/ミニストリー(

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「1 THE LAST SONG」
「激動の過去を静かに冷静に振り返る夜」のような雰囲気が漂う再結成前のラストシングル。

ピアノの旋律は「自分の命はそう長くないと悟った老人」のようにゆったりとそして深い響きをもっており、ストリングスは「星さえも見えない都会の夜」のようにディープである。歌詞は生々しく、そして繊細なものとなっており「血まみれになりながらも激動の音楽シーンを駆け抜けたYOSHIKIの心の葛藤と傷」が描かれているのだが「傷つくだけ傷ついてわかったはずの答えをどうしてまだ問いかけてる」というラインをTOSHI(vo)が歌うとまた別の意味合い(洗脳の団体とX JAPANの間で揺れる心)にも聴こえるから不思議である。「繊細な感情を全て絞り出した」この歌詞は非常に美しく、そう何度も出てくるような内容ではないと思われる。

またこの曲はエックスジャパン(X JAPAN)の曲ではあるのだがYOSHIKIによる「シリアスな語り」が曲の中で大きなウエイトを占めておりTOSHIのボーカルが聴けるのはサビのみとなっている。だが、この曲におけるTOSHIのボーカルは登場時間こそ短いが過去最高レベルにエックスジャパン(X JAPAN)ファンの心に突き刺さる(3:12〜)ギターソロはhide(g)が最も得意とする「ボーカルとバトンタッチして続きのメロディーをギターで歌う」メロディックなものとなっており孤独に震えるYOSHIKIを眩しい光で包み込む。

(6:25〜)BLUE(悲しみ)、RED(怒り)を見たYOSHIKIが濡れたままの心で次章に進もうとするが、やはり心の葛藤と傷は消えずに最後まで明確な答えを見つけられないという「内省の極み」のような歌詞が続き出口は見えない。終盤は「自分の命はそう長くないと悟った老人」が青春時代を思い出し1人で海辺を散歩するようなイメージで淡々とそして静かにピアノの旋律だけが鳴り響く。

    「要点」

  • ・「傷つくだけ傷ついてわかったはずの答えをどうしてまだ問いかけてる」というラインをTOSHI(vo)が歌うとまた別の意味合い(洗脳の団体とX JAPANの間で揺れる心)にも聴こえるから不思議である。
  • ・血まみれになりながらも激動の音楽シーンを駆け抜けたYOSHIKIの心の葛藤と傷が描かれている歌詞が秀逸

「1 THE LAST SONG」 「激動の過去を静かに冷静に振り返る夜」のような雰囲気が漂う再結成前のラストシングル。 ピアノの旋律は「自分の命はそう長くないと悟った老人」のようにゆったりとそして深い響きをもっており、ストリングスは「星さえも見えない都会の夜」のようにディープである。歌詞は生々しく、そして繊細なものとなっており「血まみれになりながらも激動の音楽シーンを駆け抜けたYOSHIKIの心

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イギリス出身のボーカリスとKen Lloyd(vo)とのちにhydeと共にヴァンプス(VAMPS)を結成するK.A.Z(g)を中心に結成されたオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)の3rdアルバム

このオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)は、日本より先にアメリア西海岸でライブを行う(wiki)など「向こうのハード系アーティスト」が日本で活動しているようなイメージのアーティストであり、音楽性も「他のハード系アーティスト」とは明らかに異なる「ナチュラルな洋楽感」を感じるものとなっている。

90年代後半の日本の音楽シーンにおいて「グランジ的な気怠さやノイズ」を曲に反映したアーティストは勿論存在していたのだが、彼らの多くは自分達の音楽に「ひと癖加える為」の手段として「グランジ的な気怠さやノイズ」を起用していたような印象があるのだが、このオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)というアーティストは、USグランジ・オルタナなどと一切の距離を置かずに「自然に湧き出るもの」というスタンスでナチュラルにUSハードサウンドを聴かせてくれる。

    「要点」

  • ・イギリス出身のボーカリスとKen Lloyd(vo)と後にhydeと共にヴァンプス(VAMPS)を結成するK.A.Z(g)を中心に結成
  • ・USグランジ・オルタナなどと一切距離を置いていない

「曲解説」

1 YOU

サイバーで歪んだ音の断片が「DJスクラッチ」のようにリフレインされるヘヴィロック。ヘヴィなサウンドの中に所々「不気味な静けさを感じる静のパート」が挿入されており、ヘヴィなサウンドが一層ヘヴィに響き渡る仕掛けとなっている。「FXXK YOU!」を連呼するKen Lloyd(vo)の怒りに満ちたシャウトは当時隆盛を極めていたUSヘヴィロックと共振する。
2 COME ALIVE

「静」→「動」のダイナミズムを強調したグランジ的な展開とK.A.Z(g)の「どんよりした曇り空」のようなギターサウンドが印象に残る曲。Ken Lloyd(vo)のボーカルラインは「泥水」のような質感で曲にダーティーな質感を与えている。
3 CRAZY

レディオヘッド(radiohead)の2ndアルバム「The Bends」からの影響を感じるシンプルなエモーショナルロック。K.A.Z(g)のギターサウンドは「気怠くスロー」であり主張は控えめなのだが独特の存在感がある。Ken Lloyd(vo)のボーカルは「痛み」と「喪失感」をエモーショナルに表現しており、歌詞は「君の不思議な薬でしか止まることのない痛み」についてである。
4 30

「スペーシーな音響のループ」と「ハイテンションなグランジロック」が並走するサビがインパクト大の曲。Ken Lloyd(vo)のボーカルはやはり怒りに満ちている。
6 ALIEN

「気怠い黄昏」のようなアルペジオを中心に展開されるダークなバラード。多重録音されたKen Lloyd(vo)のボーカルが幻想的な雰囲気を醸し出している。
7 GIRLIE BOY IMITATION #6

重低音が強調されたヘヴィリフが躍動するハードチューン。K.A.Z(g)のギターサウンドはあまりエフェクターを使っていないウォームな響きだが不思議とヘヴィに響き渡る。この不思議なヘヴィ感はトニー・アイオミ/ブラック・サバス(Black Sabbath)を彷彿とさせる。
8 NO MEDICATION

「地下のダークな実験室」のような音響を感じるサイバーなロックチューン。DJスクラッチや「動物の鳴き声にエフェクトをかけた」ような効果音がアクセントとなっており、サビは「USロック以上にUSロックな響き」である。
9 PLASTIC WINGS

「ザクザクした刻みリフ」と「空間を構築する立体的なアルペジオ」の対比が面白く、メランコリックだが疾走するタイプの曲でスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)からの影響を感じられる。Ken Lloyd(vo)のボーカルは耽美的なファルセットを活用している
11 GOODBYE

退廃的でダークなUKロックをパンク調に演奏したようなタイプの曲。K.A.Z(g)のギターサウンドはシンプルではあるが「マイナー調のディープなコードワーク」「直線的なオクターブ奏法」を効果的に使い存在感を放っている。
12 YOUR YESTERDAY

クラシカルな弦楽器の調べが「黄昏の港町」を連想するバラード。「僅かな望み」のようなアルペジオがセンチメンタルな響きのKen Lloyd(vo)のボーカルを優しく包み込む。

イギリス出身のボーカリスとKen Lloyd(vo)とのちにhydeと共にヴァンプス(VAMPS)を結成するK.A.Z(g)を中心に結成されたオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)の3rdアルバム このオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)は、日本より先にアメリア西海岸でライブを行う(wiki)など「向こうのハード系アーティスト」が日本で活動しているようなイメージのアー

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ルナシー(LUNASEA)サウンドに宇宙的で神聖な雰囲気を持ち込んでいる「音楽マニア」SUGIZOのソロデビューアルバム。

「ドラムンベース」「トリップホップ」など当時の前衛音楽からの影響をSUGIZOなりに解釈した「アバンギャルドでダークなサウンド」が堪能でき、「5 Le Fou」「16 LUNA」などではスティーヴ・ライヒ(Steve Reich)彷彿のミニマリズムを導入している。97年にこのサウンドは斬新を超えており、現在のように「全世界がオンラインで繋がっている環境」が97年当時に存在すれば、間違いなく海外のコアな音楽ファンに大絶賛されていたはずである。また同年にリリースされたルナシー(LUNASEA)のもう一人のギタリスト/イノラン(INORAN)のソロアルバムも「トリップホップ」からの影響を大胆に反映させた耽美サウンドとなっており「神作」となっている。

本作に収録されているほとんど全ての曲で「ミステリアスなダークさ」と「耽美さ」がナチュラルに漂っておりV系サウンドのベーシックはSUGIZOが生み出したと言っても過言ではない。偉そうなことを言って恐縮だが本作はSUGIZO自身がボーカルを務めた曲で一部ミスマッチな質感があったので惜しくも「傑作」だが、一部のボーカルのミスマッチさえなければ文句なしに「神作」であった。どのような音を鳴らしても「SUGIZO流」になる「個の強さ」は圧巻であり日本が世界に誇れる才能である。

    「要点」

  • ・「ドラムンベース」「トリップホップ」など当時の前衛音楽からの影響をSUGIZOなりに解釈したアバンギャルドでダークなサウンドが堪能できる
  • ・V系サウンドのベーシックはSUGIZOが生み出したと言っても過言ではない

「曲解説」

1 LUCIFER

ヘヴィなギターサウンドの断片がミステリアスな浮遊感をもつ空間で輝き、リズムアプローチは「迷走」のようなドラムンベースという「音楽マニア」SUGIZOらしい前衛的なアッパーチューン(2:52〜)SUGIZOらしいロングローンのギターソロが空間をアブノーマルに支配する(4:04〜)「can I fly?can you fly?」という宇宙的な響きのコーラスが登場、このコーラスは後にリリースされるルナシー(LUNASEA)の曲「LOVE ME」のコーラスのプロトタイプ的な響きがある。
2 THE CAGE

たっぷりとリヴァーヴをかけた残響ギターサウンドが心地よいドラムンベースチューン(2:40〜)ディープで耽美的なアルペジオが鳴り響く中、SUGIZOによるミステリアスな語りがはじまる。その後は「わずかに燃える炎」のような幽玄なバイオリンサウンドが挿入されるという「凝りに凝られた」展開をみせる。最後は静寂の中「強烈にモザイクがかかった液体」のようなサウンドだけが鳴り響く。
3 KANON

「UK産ダークなヒップホップ=トリップホップ」からの影響を感じる耽美チューン。ボーカルはゲストボーカリストが務めSUGIZOはコーラスを担当している。SUGIZOのコーラスは「メタリックな水面」のような質感でセンス抜群、曲に「ヘブン」のような浮遊感をもたらしている。
4 EUROPA

クリアで「水晶玉」のような神秘性を感じるアルペジオがインパクト大のインスト。全編に渡りSUGIZOらしい「凝りに凝られた」ギターサウンドで埋め尽くされている。終盤はマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)彷彿の「ディープでエロスな音響」が存在感を放つ。
5 Le Fou

アンビエントなアルペジオがミニマムにループされる神インスト。神聖でシリアスな音響は「暗闇の中に天使が舞い降りる」イメージを連想する。時折、挿入されるSUGIZOのバイオリンサウンドの断片が神聖な音響の中でヒステリーに響き渡る。
6 BEAUTY

「金属ボックスをハンマーで叩いた」ようなパンチの効いたリズムがインパクト大の我流トリップホップで「酔っ払いが吹いた」ようなバグったサックスサウンドが曲にサイケな揺らめきを与える(2:00〜、4:10〜)唐突な転調が入り「退廃的メルヘンワールド」のような静パートに切り替わるという意外性のある展開(3:48〜)ギターソロはトム・モレロ/レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)のアバンギャルドサウンドにSUGIZOが「宇宙的なアレンジ」を施したような内容となっており、リスナーをアナザーワードルへと誘う。
7 CHEMICAL

「不気味な影に追いかけられる」ような切迫感を感じるリズムオリエンテッド・チューン。この曲でも「6 BEAUTY」同様に唐突な転調が入り「メルヘンティックな静パート」が挿入される。空間を漂うように流れる「和の旋律」が非常にミステリアスである。
9 MISSING

浮遊感溢れる音響と「アバンギャルドなタップダンス」のようなドラムンベースの対比が面白い曲(1:58〜、4:18〜)無条件に宇宙を連想する残響ギターサウンドが挿入される。歌詞は哲学的な内容で「果てない宇宙」をテーマにしていると思われる。
11 KIND OF BLUE

「天空」を連想する音響の中を「孤独」なサックスが自由に舞うインストでリズムはドラムンベース風である。時折、挿入されるギターサウンドは「直線的なネオンカラー」のような質感で曲に彩りを与えている。ギターソロは勿論の事、アバンギャルドで「巨大な鳥の狂った鳴き声」のようである。
13 DELIVER…

フレンチポップのようなメロウネスが印象的な空間系ソングでゲスト・女性ボーカリストの声は曲と非常にマッチしている(2:22〜)金属的でパンチの効いたビートが挿入される、その後に登場する歪んだギターサウンドはまるで「戦争が始まった」かのような壊れっぷりで「良質なフレンチポップソング」として成立していた曲をズタズタにする。良くも悪くもSUGIZOの「捻くれイズム」が凝縮されたような曲となっている。
16 LUNA

ミニマムなアルペジオがループされる幻想的なラストソング。歌詞はSUGIZOの娘「LUNA」の誕生に伴う感動を言語化したものである(3:50〜)子供の泣き声と「寂れた街」のような孤独を纏ったピアノの旋律が静寂の中で響き渡る。最後は幻想的な音響の中で波の音だけが流れる。

ルナシー(LUNASEA)サウンドに宇宙的で神聖な雰囲気を持ち込んでいる「音楽マニア」SUGIZOのソロデビューアルバム。 「ドラムンベース」「トリップホップ」など当時の前衛音楽からの影響をSUGIZOなりに解釈した「アバンギャルドでダークなサウンド」が堪能でき、「5 Le Fou」「16 LUNA」などではスティーヴ・ライヒ(Steve Reich)彷彿のミニマリズムを導入している。97年にこの

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