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live at the indoor
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検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

デビューアルバム以上に様々な音楽要素を取り入れた作品となっており、本格的な海外進出を意識して作成したであろうハードな曲も収録されている2ndアルバムで「X JAPANのギタリストhide」ではなくソロアーティストhideとして見事なオリジナリティを提示している。

「USインダストリアルロックに対する日本からの回答」とも言える「サイボーグロック」を音楽シーンに提案したhideであったが、hideから感じる「DJのような目利きセンス」をもったUSヘヴィロックアーティストはあまり見た(聴いた)事がないので、是非、hideには海外進出を果たして向こうでも大暴れしてほしかった。

筆者のイメージではあるがhideというアーティストは「自身(hide)が初めてロックミュージックを聴いた時に感じた衝撃をリスナーに提示」 するという事に最も大きなモチベーションがあるアーティストなのでは?と感じる。

    「要点」

  • ・hideから感じる「DJのような目利きセンス」をもったUSヘヴィロックアーティストはあまり見た(聴いた)事がないので、 是非、hideには海外進出を果たして向こうでも大暴れしてほしかった。
  • ・「X JAPANのギタリストhide」ではなくソロアーティストhideとして見事なオリジナリティを提示

「曲解説」

2 ERASE

ダンサブルなビートを感じる横ノリのロックチューンでギターサウンドには「DJスクラッチ」のような鋭角性がある。
3 限界破裂

ミニマムで性急なパンクサウンドにのせて「出会うのが遅すぎたせいで君を傷つけてしまう」というナイーヴな歌詞をアグレッシヴに歌い上げる曲(2:20〜)ギターソロは「メタリックに揺らめく」サイケサウンドとなっており、ギターソロの後には「迷走」のようなベースソロも披露される。
4 DAMAGE

「地下の実験室で行われる破壊的な実験」のような歪みチューン。冷静に聴いてみるとゆったりしたBPMのリフロックなのだが「ハイテンションでルナティックな歪みボーカル」が曲にBPMを大幅に上回るスピード感を与えている。
5 LEMONed I Scream (CHOCO-CHIP version)

ひんやりとしたサイケデリックを感じるドリーミーなギターポップ。サビのボーカルラインはフリッパーズ・ギター(Flipper’s Guitar)風であり、おしゃれカフェで流れていても違和感なくマッチすると思われる。「I scream」と「アイスクリーム」をかけた歌詞は脱力感すら感じさせる。
6 Hi-Ho

ラテンなビートを感じるダンサブルなロックチューンで「ハウスミュージックに影響を受けているグルーヴィーなUKロックバンド」のような雰囲気もある。歌詞は「無駄だらけだが天才肌であるアーティスト」に対するリスペクトをファンキーに言語化したようなイメージである。
7 FLAME

「ギターロック期のレディオヘッド(radiohead)のようなダイナミズム」を感じるオルタナチューン。激しいサウンドとは対照的にhideのボーカルは「何気ない日常」のように淡々としているが、歌詞は「悲しみは消えないけど、星の嘆きを聞けば小さな事だ」というラインからもわかるようにシリアスなものとなっている。
8 BEAUTY & STUPID

「恋」と「行為」をかけたアニマルな歌詞がインパクト大のノリノリな曲。先に惚れてしまい「追いかける側の苦悩」が詰まった歌詞だが、一度聴けばスグに覚えてしまう「突き刺さるポップネス」を感じる。
10 BACTERIA

バグった重力を感じるブチギレたサイボーグロック。終始「暴風雨」のような強烈なノイズが吹き荒れ「USヘヴィロック勢に対する宣戦布告」のようなサウンドとなっている。hideのボーカルは「ヒリヒリとしたメロディックな音響」のようである。
11 GOOD BYE

「手に持ちきれないもの全てにgood byeしよう」という前向きなのか後ろ向きなのかよくわからない不思議な歌詞が印象的でサウンドはローファイで「どんより曇った早朝」のような気だるさを感じる。
14 POSE

ブレイクビーツや四つ打ちを取り入れた凝ったリズムアプローチが印象的なダンサブルなヘヴィロック(1:35〜、3:10〜)「流れるアクエリアス」のような流麗なピアノの旋律が挿入されハードなサウンドの中に幻想の華が咲く。hideのボーカルは「デビル」のような凶暴さを感じさせるものとなっている。

デビューアルバム以上に様々な音楽要素を取り入れた作品となっており、本格的な海外進出を意識して作成したであろうハードな曲も収録されている2ndアルバムで「X JAPANのギタリストhide」ではなくソロアーティストhideとして見事なオリジナリティを提示している。 「USインダストリアルロックに対する日本からの回答」とも言える「サイボーグロック」を音楽シーンに提案したhideであったが、hideから

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X JAPANのカリスマギタリストhideのソロデビューアルバムであり「インダストリアル」「オルタナ」「グランジ」などのハードな歪みを大胆に取り入れた作風となっている。

hideの魅力はエッジのたったサウンドやマニアックな響きを主にしたサウンドを作りつつも、そこに「おもちゃ」や「ゲームセンター」のようなポップネスを反映できる点であろう。80年代UKギターポップのような「4 EYES LOVE YOU <T.T.VERSION>」ワルツ調のギターサウンドを響かせる「8 A STORY」などはhideの音楽的なキャパシティーの大きさを感じさせる。

「2 DICE」「13 TELL ME」のギターソロはエックスジャパン(X JAPAN)風のハモリフレーズでありhideからエックスジャパン(X JAPAN)ファンに対するプレゼントのようであり、「14 HONEY BLADE」における「神登場のミステリアスな語り」は後輩であるルナシー(LUNASEA)に対するhideからの「愛のあるイジリ」であると思われる。

    「要点」

  • ・エッジのたったサウンドやマニアックな響きを主にしたサウンドを作りつつも、 そこに「おもちゃ」や「ゲームセンター」のようなポップネスを反映
  • ・「2 DICE」「13 TELL ME」のギターソロはエックスジャパン(X JAPAN)風のハモリフレーズ

「曲解説」

1 PSYCHOMMUNITY

X JAPANのメジャーファーストアルバム「BLUE BLOOD」に収録されているオープニング「PROLOGUE (〜WORLD ANTHEM)」を思わせる曲で、「中世ヨーロッパに建てられたドイツの古城」のような叙情性を放つHRインスト。
2 DICE

当時の日本のメジャーシーンでは「斬新すぎたインダストリアル・ビート」を大胆に反映させたファストチューン。ギターサウンドは「金縛りのようなメタリックな音響」となっており「叩きつけるような直線的なビート」が大きな存在感を放っている。歌詞は「目の前にうつる全てが化け物に見える」尖ったセンスをもつ異端な10代に対するメッセージソングのようなイメージで「世間や大人に縛られず自分の思い描く花を咲かせればいい」という内容(1:10〜)「13 TELL ME」同様にX JAPAN風の流麗なハモリギターソロが登場(2:28〜)「ピィ〜、ピィ〜」というフィードバックノイズが鳴り響き最後までアグレッシヴに攻めきる。
4 EYES LOVE YOU <T.T.VERSION>

「80年代UKギターポップ」のような透明感とメロウネスを感じる曲だが歌詞には「絶望」や「狂気」という過激な言葉が登場して不思議なミスマッチがある。この曲のクリーンなギターフレーズはX JAPANでは聴けない類のものであり当時ファンに大きな衝撃を与えたハズだ。
5 D.O.D.(DRINK OR DIE)

ザクザクしたスラッシュメタル・リフが空間を切り裂く凶暴なハードコアチューン。hideの声にもエフェクトがかけられており、サビではhideが得意としている「早口呪文歌唱」が冴え渡る。「2 DICE」同様に海外のインダストリ系アーティスト/ミニストリー(Ministry)からの影響を感じる「コアなインダストリ感」を導入しているが「おもちゃ」のようなポップネスも同時に感じる事ができる曲となっている(1:54〜)ブレイクの後、BPMが倍速位に速くなりスラッシュに畳み掛ける。
7 DOUBT <REMIX VERSION>

「サイバーな爆発」のような強烈な歪みが炸裂するサイボーグロックの名曲。終始「分厚いモザイク」のような音響感でhideのボーカルにはやはりエフェクトがかけられており間違いなく「シラフではないブチ切れたテンション」で狂ったように畳み掛ける。「俺とよく似た歌うたい」なる歌詞からおそらくではあるが、自分(hide)のスタイルを表面的になぞってアナーキーを気取っている痛い人達を痛烈に批判していると思われる。そんな気がする。
8 A STORY

「よく晴れた夏の日のメランコリックな思い出」のような浮遊系バラード。ワルツ調の流れるようなアコースティックサウンドを導入しており、hideの音楽的なキャパシティーの大きさに驚く。
9 FROZEN BUG ’93 <DIGGERS VERSION>

「壊れたラジオ」のような無秩序な歪みが歪(いびつ)な空間を構築する曲。ボーカルラインは「ミニマムなヘヴィリフ」のようだし、サウンド的にも「かき混ぜたグランジロック」のようなイメージなのだが不思議とポップな響きを感じるhideマジックを堪能できる(2:35〜)「悲鳴を洗濯機にぶち込んだ」ようなアバンギャルドノイズが登場、その後は「享楽的なバカンス」のようなトロピカルサウンドが鳴り響きアクセントとなる。
11 BLUE SKY COMPLEX

タイトル通り「BLUEなSKY」を連想するホーンセクションを大胆にフィーチャーしており、アグレッシヴなハードサウンドとホーンセクションが「仲良く喧嘩している」ようなイメージの曲で「音同士が殺しあわないギリギリの距離感」が面白い。
14 HONEY BLADE

「穏やかヴァース」→「アグレッシヴなサビ」に移行するグランジソング(2:15〜)ルナシー(LUNASEA)のインディーズ時代の名曲「CHESS」における 「ダークでミステリアスな語り」と共通する語りパートが挿入される。「神」というフレーズも登場。。hideによる愛のある後輩イジリだと思われる。
15 50% & 50% <CRISTAL LAKE VERSION>

ラテン調のアコースティックサウンドが印象的なリミックス。牧歌的なバイオリンの音色や軽やかなパーカッションの響きが「田舎の花畑」のような空気感を醸し出しす(3:52〜)「のどかな空気」を引き裂くように突如、アグレッシヴなハードサウンドが鳴り響く展開はインパクト大。

X JAPANのカリスマギタリストhideのソロデビューアルバムであり「インダストリアル」「オルタナ」「グランジ」などのハードな歪みを大胆に取り入れた作風となっている。 hideの魅力はエッジのたったサウンドやマニアックな響きを主にしたサウンドを作りつつも、そこに「おもちゃ」や「ゲームセンター」のようなポップネスを反映できる点であろう。80年代UKギターポップのような「4 EYES LOVE YO

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「1 TELL ME」
「新学期のような期待感」と「きらめく宇宙」を感じる軽やかなポップロックで。歪んだギターサウンドは控えめでキュアー(CURE)のような空間系サウンドが印象的である。歌詞の内容は思春期男子に向けられたものだと思われ「幻覚に踊る体」「心とは裏腹のパントマイム」などのラインは、周囲の気をひきたくて「本当の自分ではない役を演じているヤンキー少年」を連想させ、この1曲だけでもhideが十代から熱い支持を受けた理由が非常によくわかる。

(2:50〜)ギターソロはエックスジャパン(X JAPAN)ファンに対して「ご褒美」と言わんばかりの内容で流麗でメロディックなハモリフレーズとなっている(3:01〜) レゲエ的な音響が「シャボン玉」のようなメルヘンさを演出しており、そこにhideの囁き(僕には僕が見えない)が溶け合う。

「2 SCANNER」
ルナシー(LUNASEA)のRYUICHIをゲストに招きデュエットした曲でサウンドはインディーズ時代のルナシー(LUNACY)を彷彿とさせるダークなハードコアチューンとなっている。

気のせいかもしれないがhideとRYUICHIの声質は非常に似ており、歌詞の内容は「DOUBT」に近いもので「むかつくアイツ」に対する苛立ちを全面に押し出したものだが同時に「今のうちにせいぜい吠えておきなさい」という余裕もある。本作はルナシー(LUNASEA)大ブレイク前夜の94年3月リリースの作品となっており、深読みかもしれないがこの時期にRYUICHIを招きハードコア調の曲でディュエットを試みたのは、 hideがRYUICHIに対して「昔(インディーズ時代)の君を思い出せ」というメッセージを伝えたかったからでは??と感じた。93年にルナシ(LUNASEA)がリリースした耽美アルバム「EDEN」には賛否両論があったし、何よりhideはRYUICHIの「ルナティクでダークな独自歌唱」が大好きだったのだろう。

RYUICHIは見事にhideの思い(筆者の妄想)にこたえ、名曲ROSIERで耽美さとアグレッシヴな熱量が見事に絡まった素晴らしいボーカルを披露してくれた。

    「要点」

  • ・「1 TELL ME」の歌詞にある「幻覚に踊る体」「心とは裏腹のパントマイム」などのラインは、 周囲の気をひきたくて「本当の自分ではない役を演じているヤンキー少年」を連想させる
  • ・「2 SCANNER」はルナシー(LUNASEA)の大ブレイクのキッカケの一つでもある

「1 TELL ME」 「新学期のような期待感」と「きらめく宇宙」を感じる軽やかなポップロックで。歪んだギターサウンドは控えめでキュアー(CURE)のような空間系サウンドが印象的である。歌詞の内容は思春期男子に向けられたものだと思われ「幻覚に踊る体」「心とは裏腹のパントマイム」などのラインは、周囲の気をひきたくて「本当の自分ではない役を演じているヤンキー少年」を連想させ、この1曲だけでもhideが

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アルバム全体を通してメランコリックなバラードを多く収録しておりファンの中で賛否両論あったと思われるが「ロックという枠組み」をいい意味で意識していない作品となっている。

全体を通して音響やサウンドから「雨後」「梅雨」のような湿り気を感じる曲が多く「3 MISSING PIECE」はロック的なエモーショナルではなく内省的な叙情性を感じさせる。ノリの良いビートロックを求めるファンには「リアクションの難しいアルバム」かもしれないが、 色彩豊かなメランコリックな音に氷室京介の「アーティスト魂」を感じる事が出来るハズだ。

本作はアメリカでレコーディングされ、またレコード会社を移籍してからの第一弾アルバムでもある為、氷室京介のキャリアの中でも節目とも言える立ち位置にあるアルバムとなっている。

    「要点」

  • ・メランコリックなバラードを多く収録
  • ・音響やサウンドから「雨後」「梅雨」のような湿り気を感じる

「曲解説」

1 STAY

「梅雨時」のような湿り気を感じるオープニングソングでサビのボーカルラインは派手さはないのだが非常にフックがある。歌詞は「誰かを傷つけても構わない、俺の女になれ」という「強引なオレイズム」を感じる内容となっているが、氷室京介がこの「強引なオレイズム」を歌うとナチュラルに「熱いラブソング」に変換されるから不思議だ。これがヒムロックの魔力だろうか。
2 PLEASURE SKIN

「弾けるゴジャース」なホーンセクションをフィーチャーしたミドルテンポの曲でサビのボーカルラインは「ミステリアスな呪文」をスピード感のあるメロディーに変換したようなものとなっている(2:33〜、3:32〜) ギターソロは「濃厚な白い煙」のようなサイケな質感を感じるものとなっている。
3 MISSING PIECE

「雨後の気怠い午前4時」のようなメランコリックさを感じるアーバンなサウンドにのせて「もうここにはいない君」に対する喪失感とノスタルジーを静かに歌い上げるバラード。ボーカルラインは「ゆったり流れる河」のようなもので淡々としているのだが非常に熱量を感じる(3:25〜)ギターソロは「消せない炎」のような質感でリスナーの心をかき乱す。
4 魂を抱いてくれ (ALBUM MIX)

「不器用で尖っている俺だけど、おまえだけには裸の感情をさらけ出せる」という感じの熱い歌詞が魂を揺さぶるバラード。「雨粒のついた曇った窓ガラスをベッドに横たりながらぼんやり見つめる」ようなイメージが浮かぶ冒頭から徐々に熱量を上げていく展開で優雅なストリングスが「ベッドで眠る二人」を優しく包み込むように流れる。
5 WALTZ

「誰もいなくなった部屋のような静けさ」と「しっとりと降り注ぐ雨のような湿り気」が同居しているバラードでアルペジオはまるで「独り言」のような物悲しさを感じるものとなっており、この曲でも「4 魂を抱いてくれ (ALBUM MIX)」同様に優しく優雅なストリングスを導入している。
7 MIDNIGHT EVE (ALBUM MIX)

「賑わう雨の都会」ような雰囲気のアーバンな曲で「艶のあるカッティングギター」が非常に目立つ(1:54〜)「高級飲食店でのディナー」のようなジャズピアノが挿入され曲にアダルトな質感を加えている。
8 SQUALL

「メロディックな暗躍」のようなベースラインを中心に展開されるアーバンポップで「微妙な曇り空」のような空気感はあまり聴く事ができないレアなものだと感じる。歌詞は「魅力度MAXのいい女に対する溢れんばかりの愛情をナルシスティックな言い回しに変換した」ようなイメージでこの歌詞を歌うことが許される日本人ボーカリストは非常に限られると思われる。
9 NAKED KING ON THE BLIND HORSE

エフェクトがかかった氷室京介のボーカルが印象的なハードチューン。メランコリックで「雨後」や「梅雨」を連想するバラードが多いアルバムの中で少し浮いている曲である。筆者の経験則からいってラストソング(10 NAKED KING ON THE BLIND HORSE 2」はリミックス版なのでノーカウント)に アルバムの全体像と毛色の違う曲を配置する時はかなりの高確率で「次作のサウンドを暗示」しているケースが多い。

アルバム全体を通してメランコリックなバラードを多く収録しておりファンの中で賛否両論あったと思われるが「ロックという枠組み」をいい意味で意識していない作品となっている。 全体を通して音響やサウンドから「雨後」「梅雨」のような湿り気を感じる曲が多く「3 MISSING PIECE」はロック的なエモーショナルではなく内省的な叙情性を感じさせる。ノリの良いビートロックを求めるファンには「リアクションの難し

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「アーバンで浮遊感を感じるサウンド」が魅力であった前作から大きくサウンドを変換させたアルバムで気だるくルーズなギターサウンドや「突き抜ける」「エモーショナル」といった表現がピッタリのサビのボーカルラインは90年代初頭に音楽界を席巻した「グランジムーブメント」からの影響を感じる要素である。

グランジ系アーティストは「気怠く・陰鬱なヴァース」→「叫ぶようなエモーショナルなサビ」という構造が特徴であるが、ヒムロックはグランジ的な方法論を理解しつつもモノマネにはならないように細心の注意を払っていると思われ、サウンドがハードになってもサビのボーカルラインは氷室京介特有のメロディックなものとなっている。

本作をシンプルにまとめると「グランジ以降の感覚で再構築されたハードなビートロック」と言えるのではないだろうか。

    「要点」

  • ・「エモーショナルなサビ」「ルーズなギターサウンド」からグランジムーブメントからの影響が感じる
  • ・グランジ以降の感覚で再構築されたハードなビートロック」

「曲解説」

1 VIRGIN BEAT (Re-mix)

「高層ビルの屋上にいる」ような熱い風とビートを感じるサウンドは「ビートロック」をハードにしたイメージであり、前作には気薄であったロック的なエッジが強調されている。タイトルをシンプルになぞるサビのボーカルラインは「ミニマムなギターリフ」のようであり洋楽的(3:00〜)ギターソロは「ハイウェイを走るスポーツカー」を連想するスピードを感じる。
2 BREATHLESS

「モダンでシャープな建築物」のようなミニマムな電子音が印象的で「淡々としたヴァース」→「突き刺さるサビ」に移行するという構造がニルヴァーナ的であるロックソング。サビのメロディーは「洋楽グランジロック的な叫び」ではなく「これぞ!ヒムロック」というグッドメロディーで非常に耳に残る。
3 SHAKE THE FAKE

冒頭で氷室京介による「犬の鳴き声」を思わせるのシャウトも飛び出す曲でグランジ的な「気だるさ」と「ザラついた質感」を大胆に取り入れている。ボーカルは生々しいものとなっており掠れ声もパッケージングされている。「グランジ旋風」が氷室京介に与えた影響は決して少なくないのかもしれない。
4 LOST IN THE DARKNESS

「何もない真っ白な空間」のような空気を感じるロックバラード。ドラムサウンドは手数こそ少ないが「大粒の雨」のようで存在感がある。この曲のサビのボーカルラインはエモーショナルであり非常に熱を感じるものとなっている。またイントロや間奏で登場する「宇宙船」を連想するシンセサウンドは不思議なプログレ匂を放っている(4:02〜)ギターソロは非常にワイルドで「全てを吹き飛ばすトルネード」のようであり早弾きフレーズも飛び出す。
5 HYSTERIA

「酔っ払い」のようなルーズさを感じるダーティーなロック。ギターサウンドは「古着」のようなヨレた質感を演出する音響として機能しているイメージだ。ベースラインは「沼」ような「ダークな湿気」を感じさせるものとなっており、曲の持つダーティーな質感に大きく貢献している。最後はタイトル通りジャンクでヒステリーな悲鳴風サウンドで締めくくられる。このアバンギャルドなサウンドはソニック・ユース(Sonic Youth)を意識しているかもしれない。
6 FOREVER RAIN

「雨後」のような湿り気を感じるバラードでミニマムなストリングスとピアノを導入しておりギターサウンドは泣き系の音色で珍しく?!ブルージーなテイストである(2:50〜)マーチ風のドラムが現れそこから「名作大河ドラマのオープニング」のように弦楽器が重厚で優雅な旋律を奏でる(4:10〜)「全てが終わった」ような静けさの中、独り言のような氷室京介のボーカルがメランコリックに響く。
7 DON’T SAY GOOD BYE (Re-mix)

「海で過ごした短い夏休み」のような開放感を感じる曲でギターサウンドは「揺らめく」ようなサイケ感を演出している。歌詞の内容は開放的なサウンドとは対照的で「過去のさよなら」がだけが消えないというナイーヴなものとなっている。
9 LONESOME DUMMY

「夜のハイウェイ」のようなスピードを感じるノリの良いロックチューン。ハードロック的なリフがリフレインされるがその合間を縫うように鳴り響く煌びやかなキーボードサウンドは「夜空に輝く星々」のようだ。サビではポップでファンキーな女性コーラスを導入しており、曲に華やかさを与えている。
11 TRUE BELIEVER

「夏の終わり」のようなセンチメンタルと熱さが同居しているロックバラード。リスナーに「何事も遅くはない、動き出せ」「愛だけを追いかけて」と熱いメッセージを送る曲でサウンドは「主張少なめのスローなハードロック調」となっており「歌を届ける」ためのサポートという謙虚さを感じさせる。

「アーバンで浮遊感を感じるサウンド」が魅力であった前作から大きくサウンドを変換させたアルバムで気だるくルーズなギターサウンドや「突き抜ける」「エモーショナル」といった表現がピッタリのサビのボーカルラインは90年代初頭に音楽界を席巻した「グランジムーブメント」からの影響を感じる要素である。 グランジ系アーティストは「気怠く・陰鬱なヴァース」→「叫ぶようなエモーショナルなサビ」という構造が特徴であるが

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