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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

「1 月世界」
「本当に月にいる」ような錯覚を味わえる音響に相当な拘りを感じるタイトルトラック。リズムアプローチは「月に足跡を残す」ような淡々としたシンプルなビートであり「空間を漂うアルペジオ」「闇のような重たさを感じる歪み」などギターサウンドにもテーマである「月」のような冷たさと無重力感がしっかりと反映されている。歌詞は「思いついた言葉を羅列した」ようなイメージであり、ボーカルラインは「どこがメロ」で「どこがサビ」なのか曖昧なものとなっている。この曲をシングルカットでリリースするあたりさすがB-Tである。

「2 My baby Japanese」
「コンクリートに頭を打ち付ける」ような強烈なパンチを感じるスローなリズムがインパクト大のサイケなインダストリアルチューン。気のせいかもしれないがこの曲でも「月」を思わせる音響を感じる事ができる。歌詞のほうは「強烈なサウンド以上に強烈」なものとなっており「赤い髪を振り乱し」「頭を叩きつけ」「花園で踊る夢を見ている」などの過激な歌詞が登場する。並のイマジネーションではどのようなシュチュエーションなのか判断がつかないものとなっており、見事にアブノーマルなアナザーサイドを描いている。

「3 無知の涙 HOT remix #001 for B-T」
布袋寅泰がはじめてリミックスを担当した記念すべき曲。 サイバーでメタリックな質感の原曲をジェル状にしたようなインパクト大のサウンドを聴かせてくれる。 ギターリフ以外は原曲のサウンドをまったく踏襲しておらずサウンドを再構築している。 この曲のサウンドを音楽レビュアーっぽく表現すると「ディープでサイバーな布袋流アシッドハウス」といったイメージである。 冒頭で聴ける「上空を舞うヘリコプターの音」は無条件に「布袋寅泰が上空から舞い降りる」イメージが頭の中に浮かぶ。 (3:54〜)「波動砲を音楽化した」ようなアバンギャルド・サウンドがリスナーの脳を刺激する。 終盤は「マシンガン抱いてスローダンス」というシュールワードが呪文のようにリフレインされる。

    「要点」

  • ・「1 月世界」「本当に月にいる」ような錯覚を味わえる音響に相当な拘りを感じる
  • ・「3 無知の涙 HOT remix #001 for B-T」布袋寅泰がはじめてリミックスを担当した記念すべき曲

「1 月世界」 「本当に月にいる」ような錯覚を味わえる音響に相当な拘りを感じるタイトルトラック。リズムアプローチは「月に足跡を残す」ような淡々としたシンプルなビートであり「空間を漂うアルペジオ」「闇のような重たさを感じる歪み」などギターサウンドにもテーマである「月」のような冷たさと無重力感がしっかりと反映されている。歌詞は「思いついた言葉を羅列した」ようなイメージであり、ボーカルラインは「どこがメ

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デジタルサウンドを大胆に導入して「無機質な質感」を強調したサウンドは「地下の実験室」のような静けさを感じさせ、様々な前衛音楽からの影響を受けていると思われるが「B-T独自」としか言いようがないオリジナリティーの塊のようなアルバムとなっている。

本作の素晴らしい点はデジタルサウンドを導入したアルバムによくありがちな「情報過多」に陥る事なくコンパクトな音数にまとめられている点である。また過去のレビューでも触れた「アブノーマル・マニアックなサウンド」をポップソングに落とし込むB-Tマジックは本作でも健在であり、ほとんどの曲で「狂った動物」のようなエッジの効いた音響を聴くことができるが同時に不思議なポップネスも感じる事ができる。

名作「Six/Nine」で頻出したヘヴィなの質感ギターサウンドは本作にはほとんど登場しない。常に変化し続けるB-T(とりわけ今井寿(g))のアーティスト魂には恐れ入る。特に「10 MY FUCKIN’ VALENTINE」はモンスター級の破壊力で全ての音楽ファン必聴のアナーキーソングと言える。

    「要点」

  • ・デジタルサウンドを大胆に導入しており無機質な質感を強調したサウンドは「地下の実験室」のようだ
  • ・「10 MY FUCKIN’ VALENTINE」はモンスター級の破壊力で全ての音楽ファン必聴のアナーキーソング

「曲解説」

1 タナトス

「地下の実験室」のような不穏さを感じるサウンドをデジタルロックに大胆に反映させたオープニングチューン(1:47〜、3:12〜) 「狂った電気ネズミ」のような質感のデジタルサウンドが曲にメタリックなうねりを加える。終盤は今井寿(g)による「レーザービーム」のようなノイズギターが「迷い子」のように空間を彷徨う。終始これまでのB-Tソングにはない「無機質な静けさ」を感じる曲となっている。
2 SEXY STREAM LINER

ミステリアスな音響が「油絵」のように揺らめくジャンクなインスト。リズムアプローチは「アナーキーなタップダンス」のようで無秩序そのものである。 (2:15〜)ニュースキャスターの声をサンプリングしたと思われる声が挿入されミステリアスな雰囲気を助長する。この曲を2曲目に配置するセンスは面白すぎるといしか言いようがない。
3 ヒロイン -angel dust mix-

濃厚なエロスを感じる今井寿(g)のギターサウンドがインパクト大のヒットシングル。リズムはブレイクビーツ風であり「鋭角的」という表現がピッタリである(2:55〜)「珍獣たちが暴れ始めた」ような質感のアシッドハウス・ビートが登場。その後は「眩しすぎる光」のようなギターサウンドがリスナーの視界を真っ白にして最後のサビに移行する。サビの歌詞における「流れるアクエリアス」とは涙の事だろう、多分。
4 無知の涙

ずっしりとした重さを感じるB-T流インダストリアルチューン。「カチッ」としたサウンドとは裏腹に歌詞には「テディベア」「綺麗な髪の少女」などの歌詞が登場。戦場に「綺麗な髪の少女」が一人孤独に佇むビジュアルがイメージできる曲となっている。
6 螺旋 虫

「海の中にいる」ような揺らめきと浮遊感を感じるアンビエントロック(1:56〜)「海底」のような気怠さを感じるギターサウンドが櫻井敦司(vo)のボーカルラインをそっと包み込む。歌詞は非常に文学的で「夜に迷う螺旋の観覧車」なるラインはインパクト大。
7 蝶蝶

「ブタ」になったと思ったら最終的には「バタフライ」になるという歌詞が意味深な曲。作曲はバラードが得意な星野英彦(g)が担当しているが、 本曲はバラードではなくデジタルビート強調したインダストリアル・ロック風となっている。
9 迦陵頻伽 Kalavinka

「マニアックな四文字熟語」のようなタイトルがインパクト大でサウンドはオリエンタルな煌びやかさと優雅さを感じる「独自過ぎるテクノサウンド」となっている。櫻井敦司(vo)のボーカルラインは曲を通して「メロディックな語り調」である(2:54〜、4:33〜)「頭の中に電流が走る」ような電子音が登場し、 そこから「黄金のメリーゴーランド」を思わせる煌びやかな音響フレーズが展開される。
10 MY FUCKIN’ VALENTINE

無機質なテクノサウンドと今井寿(g)のぶっとんだアナーキーラップが最高すぎるアッパーチューン。歌詞がとにかく素晴らしく「頭の中に思い浮かんだバーチャルな衝動」を全て叩きつけたようなものとなっており、「ル」で韻を踏む「病める」「バーチャル」「繋がる」「ケーブル」「乱れる」「ウイルス」などのワードが登場する(2:02〜)「この世を憂う」ようなダークさを感じるアコースティックパートが一時挿入される。
12 キミガシン..ダラ

「夜空を舞う」ような軽やかさを感じるデジタルロックでタイトルとは裏腹に本作の中で最もサビに疾走感がある曲となっている。歌詞は「キミ」に対する愛情をテーマにしたもので間違いないのだが、表現がB-Tらしく捻くれまくっており「ボクガシン..ダラ ヤミニナル」という表現で愛情を表している。

デジタルサウンドを大胆に導入して「無機質な質感」を強調したサウンドは「地下の実験室」のような静けさを感じさせ、様々な前衛音楽からの影響を受けていると思われるが「B-T独自」としか言いようがないオリジナリティーの塊のようなアルバムとなっている。 本作の素晴らしい点はデジタルサウンドを導入したアルバムによくありがちな「情報過多」に陥る事なくコンパクトな音数にまとめられている点である。また過去のレビュー

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シリアスで張り詰めた空気感があった前作・全前作の反動からか全体を通してラフな印象をうけるアルバムとなっており、ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)などからの影響を感じる強烈に歪んだインダストリアル・サウンドやエイフェックス・ツイン (Aphex Twin)以降のエレクトロニカ・サウンドなどを曲に反映させている。

また本作は「シリアスなサウンドにシュールな歌詞を乗せるという方法論」を試した作品でもあると思われ「2 キャンディ」「3 チョコレート」の歌詞は「櫻井敦司(vo)どうしたの?!」と 一瞬思ってしまう「不気味な甘さ」を感じるし「5 Tight Rope」における「ゆらゆらら」というラインはコミカルですらある。

本作を一言で言うなら「模索」という表現がぴったりではないかと思う。

    「要点」

  • ・前作の反動からか全体を通してラフな印象をうけるアルバム
  • ・これまでにはない「不気味な甘さ」を感じる歌詞が登場

「曲解説」

1 Maria

不思議な重力感を感じる歪んだロックチューン。ドラムの音色が非常に鮮やかでリスナーの耳にダイレクトに突き刺さってくる。ギターサウンドは前作とは異なる質感で「ダーク×耽美」なB-Tクラシカルなトーンとなっている。
2 キャンディ

ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)からの影響を感じる「インダストリアルな歪み」を強調したノイズチューン。ザラつくノイズサウンドとは対照的に櫻井敦司(vo)のボーカルには半透明のように響く音響処理が施されている。凶暴なノイズサウンドにのせて歌われる歌詞は「キャンディー=君」という前作からは考えられない色んな意味で甘い内容となっている。
3 チョコレート

「地を這う」ような低音ギターリフが印象的なインダストリアル・チューンでまるで「戦場にいる」ようなカオス感を感じる曲となっている。歌詞の内容は意味不明(0:56〜、2:36〜)「DJスクラッチをサイケ×メロディックにアレンジした」ようなセンス抜群のギターサウンドが「濃厚なチョコレート」のように響き渡る。
5 Tight Rope

「雲の中にいる」ような白さを感じるアンビエントテクノソング。曲を通してシリアスで神聖な雰囲気を感じるサウンドが展開されるが、反面、歌詞は軽やかで「ゆらゆらら」なるラインが登場。シリアスなサウンドにシュールな歌詞をのせる方法論は、鳴っているサウンドは全く異なるが「2 キャンディ」「3 チョコレート」と同様であると感じる。
6 idol

表情豊かでデリケートな電子音とシンプルなギターロックが並行する曲。本作の中で最もシンプルであり、サビは「破壊」「神」というワードが登場するがメロディックでつい口ずさみたくなる類のものとなっている。
7 Living on the Net

「ストリート感のあるHIP HOPをB-T流にアレンジした」ような曲でジャンクで壊れたなサウンドで埋め尽くされている。今井寿(g)によるラップ風・早口歌唱も登場。
9 IN

リバーヴのかかった音響が印象的な耽美ギターポップ。揺らめくスローなギターサウンドが終始鳴り響き「ハワイの海辺」のような空気感を演出している。
10 Ash-ra

タイトなビートとド派手なサビのボーカルラインが印象的なスピードチューン。ベースがミニマムなリフを奏でツインギターは「サイバー×耽美」な空間構築に徹している。「全て呪うような愛のリズムで熱いダンスを踊ろう」という無理難題をあなたに提案する歌詞はミステリアスとしか言いようがないものである。(3:50〜)これまでの激しさが嘘のように「バラの花びらが揺れて床に落ちるまでを超スローにしたようなピアノによる静パートが挿入される。
11 COSMOS

「夢見心地な音響」と「全てを包み込むような優しさ」が同居した浮遊感たっぷりのB-T流エレクトロニカソング(3:58〜)「ラストソングだからこのまましっとり終わるだろう」というリスナーの気持ちを見透かすように縮れたノイズサウンドが空気を乱す。最後は「全てが宇宙にかえる」ような静けさで幕をとじる。

シリアスで張り詰めた空気感があった前作・全前作の反動からか全体を通してラフな印象をうけるアルバムとなっており、ミニストリー(Ministry)やナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)などからの影響を感じる強烈に歪んだインダストリアル・サウンドやエイフェックス・ツイン (Aphex Twin)以降のエレクトロニカ・サウンドなどを曲に反映させている。 また本作は「シリアスなサウンド

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過去、最もレコーディングが難航し「コーラン」の逆回転を無断で使用した事でも一悶着あった問題作。

「90年代へヴィネス」「トリップホップ」「シューゲイザーサウンド」をバクチク(BUCK-TICK)流にアブノーマルに再構築したサウンドは、世界的に見ても「95年当時の最先端」である。今井寿(g)は常に先端音楽をチェックし続けているのだろう。アルバムタイトルは一見すると卑猥だが「音楽業界がsix sideなら自分たちはnine sideに行ってやる」という反逆的な意味合いがあると思わる(筆者の考察)事実、彼らは本作リリース後に自分たちの事務所(有限会社バンカー)を立ち上げ翌年にはレコード会社を移籍している(wiki)

「フラストレーション」「諦念」「偏執的な感情」をテーマにしたものが多く、ある種痛々しいがシリアスにクリエイティヴィティーを突き詰めた結果なのであろう。ヘヴィなサウンドを曲に反映され痛々しい歌詞をもつ本作はファンの中でもおそらく賛否両論あったはずではあるが、筆者としては彼らの「我流を貫く孤高のスタンス」を最大限スペクトしている。

    「要点」

  • ・世界的に見ても95年当時の最先端サウンド
  • ・アルバムタイトルは「音楽業界がsix sideなら自分たちはnine sideに行ってやる」という反逆的な意味合いがある

「曲解説」

1 Loop

「中東的な音響」と「スペーシーな質感」をもつエレクトロニカサウンドをバックに「自然とあなたに対する感謝」を淡々と朗読する衝撃のオープニング。オルタナ・グランジ以降の乾いたカッティングギターは「宇宙を彷徨っている」ような浮遊感と静けさがある。
2 love letter

大胆に90年代へヴィネス導入したロックチューンでヘヴィなリフが目立つ曲ではあるがHR/HM的なグルーヴ感はなく、「ヘヴィなB-Tニューウェイブ」という感じのサウンドとなっている。
3 君のヴァニラ

「ヨレたエロス」を感じるミニマムなオルタナチューン。歌詞の内容はおそらく「刹那的でアブノーマルな恋愛」についてである。(2:31〜)エロティックな展開から「メロウな夏休み」のようなギターソロが登場するが、そこに「B-Tらしい不穏なノイズサウンド」が登場しなんとも言えない空気感が出来上がる。
4 鼓動

「幻」のような雰囲気を感じるB-T流シューゲイザーソング。サビで「感情を解き放つ」ような展開にはレディオヘッド(Radiohead)的なダイナミズムがある。歌詞は「母とこの世に生きる全て」に対する感謝を歌っており、最後は「これまでの事が全て夢であった」かのようなドリーミな揺れる音響に包まれる。
5 限りなく鼠

アリス・イン・チェインズ(Alice in Chains)を彷彿とさせる「泥水」のような重さと気怠さを感じるスローなヘヴィリフを中心に構成されている曲で櫻井敦司(vo)のボーカルは「ホラー映画」のような質感で過去最高レベルにおどろおどろしい。歌詞は「不条理な世の中に対する」諦めにも近い感情を吐き出しており、「道しるべに騙されたように」というラインは秀逸で「救いようのなさ」を端的に表している。
6 楽園(祈り 希い)

全ての音響から「泥酔」のような揺らめきを感じるルーミーでマニアックな曲。「戦争や殺戮が終わらない世界に対する」馬鹿らしさを「神の子が殺し合う愛の園」という歌詞で批判しつつも、そんな世界に対して「何もする事ができない自分」に対する虚無感を歌っている。
9 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり

今井寿がメインボーカルを担当する曲でアルバムタイトルにも深く関係している強烈な歌詞がインパクト大。歌詞の内容は「腐りきった音楽業界」を批判したもであり、「six side is heaven nine side is go」なる歌詞はおそらくではあるが「独立」を暗に宣言していると思われる。それにしてもかっこ良すぎるラインである。
11 密室

ダビーな音響とタイトル通りの密室感を感じる偏執的なラブソング。マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)からの影響を感じる「揺らめくサイケサウンド」を中心に構成されている(1:17〜、2:50〜)狂おしい愛情を歌うボーカルラインの後ろでは「砂嵐」のようにザラついたノイズサウンドが吹き荒れる(1:58〜)ギターソロは「蜃気楼」のようなフィーリングでリスナーの鼓膜に絡みつく。
12 Kick(大地を蹴る男)

グランジをエレクトロポップ化したようなアブノーマルなロックチューン。この曲の歌詞も「9 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり」同様に「独立の決意」を表したものだと思われる。サビのライン「道化師躍れ、それが運命」なる歌詞をここまで楽しそうに歌うシンガーは櫻井敦司(vo)だけであろう。
15 見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ

ニルヴァーナ(NIRVANA)のギターリフを今井寿(g)流にワンコードで再構築したリフが終始リフレインされるダークなギターロック。サウンド自体はシンプルでダイナミックなサウンドであるのに対して、歌詞の内容は非常に癖が強く一聴すると「捻くれすぎた男の嘆き」のようなものに聴こえるが「不条理なこの世界に染まるのは危険だ」と警笛を鳴らすような内容ともとれる。深読みかもしれないが。
16 Loop MARK II

宇宙から「美しい奇跡の星」を静かに眺めるようなスペーシーさと静けさを感じるエンディング。櫻井敦司(vo)が「り・ん・ね」というフレーズを時間をたっぷり使って囁く。

過去、最もレコーディングが難航し「コーラン」の逆回転を無断で使用した事でも一悶着あった問題作。 「90年代へヴィネス」「トリップホップ」「シューゲイザーサウンド」をバクチク(BUCK-TICK)流にアブノーマルに再構築したサウンドは、世界的に見ても「95年当時の最先端」である。今井寿(g)は常に先端音楽をチェックし続けているのだろう。アルバムタイトルは一見すると卑猥だが「音楽業界がsix side

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ダークな無空間の中で今井寿(g)の尖ったセンスが大爆発している神アルバム。

海外の尖ったアーティストのアルバムなども数多く聴いてきた筆者ではあるがこのアルバムで聴く事ができる「マニアックでアブノーマルなサウンド」の数々は衝撃的と言っていい内容となっている。このぶっ飛んだサウンドの提示だけでも十分に凄いのだが、バクチク(BUCK-TICK)の最大の魅力は「ぶっ飛んだサウンド」をポップソング・ロックソングに落とし込める点にあると思う。

マニアックな世界観を持つ「4 青の世界」「5 神風」「9 Madman Blues -ミナシ児ノ憂鬱-」などの曲も彼らの手にかかれば「不穏なワクワク感」を感じる曲になるから何とも不思議である。「金属的でメタリックなエッジ」「揺らめくようなサイケデリック」を多くの収録曲で感じる事ができバクチク(BUCK-TICK)サウンドをより奥深く立体的にしている。

時代が時代であれば彼らは確実に海外のコアな音楽ファンに注目されていたに違いない。

    「要点」

  • ・ダークな無空間の中で今井寿(g)の尖ったセンスが大爆発
  • ・マニアックな世界観を持つ曲もB-Tの手にかかれば「不穏なワクワク感」を感じる曲に変貌

「曲解説」

1 キラメキの中で…

ミステリアスに揺らめくギターフレーズと微かに歪んだ残響を中心に展開されるB-T独自のアバンギャルド・ソング(2:02〜)「酩酊」のような質感のサイケサウンドが揺らめき(3:03〜)「一時停止」のように直線的な残響サウンドが響き渡る。以降は全てのパートが熱量を上げサウンドがより鋭角的になる。「もう少しでキラメキになる」「誰も彼もがキラメキになる」などの歌詞は筆者のイマジネーションでは正直追いつけない類でありサウンド・歌詞共にポジティヴな意味でやりすぎな名曲といえる。
2 Deep Slow

「ローファイな歪み」と「揺らめくような空気感」を感じる曲でグランジをB-Tなりに解釈したような曲となっている。「リズムはひどく狂いはじめた」なる歌詞がとにかく秀逸でシラフでは出てこないと思われる。終盤は直線的なギターリフが更に存在感を増すが、同時にオリエンタルな雰囲気も醸し出すという展開である。
3 誘惑

「地下室で行われるデカダンスで耽美なパーティー」を連想する曲で珍しく(?!)ジャジーなテイストを加えている。ピアノの旋律の間を縫うように時折現れる「揺らめく煙」のようなギターサウンドがインパクト大でB-Tソングの中でも「異色」と言っていい質感の曲となっている。
4 青の世界

「縮れたような強烈な歪み」と「神聖な雰囲気」が同居するヘヴィチューン。冒頭の櫻井敦司(vo)による囁き「青の世界へようこそ」がマニアックな世界観をリスナーに予感させる。「渦巻き」のようなベースラインがとにかく目立つ曲でダークなグルーヴを堪能する事ができる(4:35〜)櫻井敦司(vo)のルナティックなシャウトと共にBPMが急加速してカオスな展開となる。
5 神風

「揺らめく炎」のようなアルペジオを中心に展開される曲で「悪ふざけ」のような櫻井敦司(vo)の語りがミステリアスなムードを醸し出している(2:58〜) 終幕感と妙な祝祭性が混ざったパートから、またも櫻井敦司(vo)の語りが登場。声に「半透明の渦巻き」のようなエフェクトがかけられておりぶっ壊れた感を演出(3:40〜)「センスが狂いそうだ」「センスが暴れそうだ」「回る回る世界が回る」というインパクト大のフレーズが登場。アブノーマルさをポップソングに落とし込むという点においてB-Tの右にでるアーティストはそうはいないハズだ。
6 ZERO

「スライム」のような弾力感を感じる樋口 豊(b)のスラップベースを中心に展開されるスローな曲で櫻井敦司(vo)独自の酔っ払いラップ風歌唱が登場する「ZEROになるさ」というフレーズが頻出するが「青空が優しく手招く」というフレーズからおそらくではあるが「死」をテーマにしていると思われる。
7 ドレス

「天空の城」のような浮遊感を感じる名バラード(0:00〜)冒頭のリズムアプローチはまさかのドラムンベース風。歌詞の内容は「MADの続編」のようなイメージで狂い果てた後に感じる強烈な喪失感を歌っている(2:50〜)「僕には羽がない」という諦念を淡々とメロディックに語りけるようなサビがインパクト大。曲を通してエモーショナルなフックなどは用意されていないが「強い北風」のようなエモーショナルを感じる。
9 Madman Blues -ミナシ児ノ憂鬱-

「200%の負のパワーをもつ超生物の増殖」をテーマにしたマニアック・ソング。今井寿(g)による「welcome to my territory」というフレーズがループされリスナーを異空間に誘う。本曲の歌詞はジャンプ世代の筆者からすると「ドラゴンボールのセル」や「幽遊白書の海藤」を連想する。
10 die

「夕暮れ」のような眩しさを感じるアコースティックサウンドと「引き裂く」ような今井寿(g)のノイズサウンドが不思議とマッチしているバラード。歌詞の内容はB-Tらしく「死」についてである。最後は「全てがバグった」ようなカオスな音響に包まれる展開である。
11 D・T・D

「縮れた電子音」が脳内を駆け巡り曲全体から「濃厚な東洋の匂い」を感じるマニアックチューン。メインフレーズのクリーンアルペジオは個人に「リットン調査団」と聴こえてしまう(3:21〜, 4:07〜,5:25〜)時折、登場する極彩色フレーズは「壊れたメリーゴーランド」のようである。また「醜く歪み出したこの美貌」なる歌詞を歌えるボーカリストは櫻井敦司(vo)位だろう。

ダークな無空間の中で今井寿(g)の尖ったセンスが大爆発している神アルバム。 海外の尖ったアーティストのアルバムなども数多く聴いてきた筆者ではあるがこのアルバムで聴く事ができる「マニアックでアブノーマルなサウンド」の数々は衝撃的と言っていい内容となっている。このぶっ飛んだサウンドの提示だけでも十分に凄いのだが、バクチク(BUCK-TICK)の最大の魅力は「ぶっ飛んだサウンド」をポップソング・ロックソ

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