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live at the indoor
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検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

「FAKE STAR」を自称する黒夢らしい「強烈な我流」を感じるデジタルパンクアルバム。

本作に収録されてる「7 REASON OF MY SELF」の歌詞にもあるようにまさしく「昨日いた場所、立つのを拒んでいる」という内容となっており、前作「feminism 」に収録されていた「カマキリ」のようなパンク・ハードコアテイストの曲が多く収録されている。またヒデ(hide)やバクチク(BUCK-TICK)からの影響を感じられる「インダストリアルな歪み」も多くの曲で導入されておりサイバーな質感がある。

歌詞はサウンド以上にぶっ飛んでおり現在だとリリースが難しいと思われる生々しい音楽業界批判も数曲で歌われている。反抗期における少年のフラストレーションに同調してくれるメッセージが圧倒的に不足していた90年代半ばにおいて、この反逆と言っていい尖った歌詞は非常に存在感があった。

「静寂」を感じるエンディングにうってつけの曲「15 夢」の後にぶっ壊れた「16 H・L・M」 is ORIGINAL」を配置するあたりは正に「FAKE STAR」。

    「要点」

  • 「強烈な我流」を感じるデジタルパンクアルバム
  • 現在だとリリースが難しいと思われる生々しい音楽業界批判

「曲解説」

1 Noise Low3

「情報過多」のようなインダストリアルノイズが「テレビ画面に映る砂嵐」のようにザラついた質感で鳴り響くインスト。攻撃的音響とは対照的に人時(b)のベースラインは「砂時計」のように淡々と時を刻む。
2 FAKE STAR

前作「feminism」に収録されていた「カマキリ」に近い質感のサウンドを聴かせるデジロック風のパンクチューン。洋楽アーティストのモノマネになる位なら「FAKE扱い」されても構わないと高らかに宣言し、また商業主義な音楽業界をバッサリと切り捨てている。最後は「狂い果てた後」のような清春(vo)のシャウトが炸裂する。
3 BEAMS

1曲目2曲目の暴れっぷりが嘘のようにスペーシーな浮遊感を感じるポップソング。歌詞の内容は「自身の無神経な一言に対する後悔」と鮮やかな彼女についてであり、パンクな反抗ソング「2 FAKE STAR」の歌詞を書いた人物が書いたとは思えない少しメルヘンな内容となっている。
4 BARTER

高速のエレクトロビートが終始リフレインされるインダストリアル風ロックチューン。「詞は誰に書かせようか?」「二番煎じあたるから」など、やりすぎな音楽業界批判を展開している。
6 SEE YOU

冷たく耽美的なV系ソングをポップパンク化したような曲。歌詞はエモく「長い片思いの終わり」をテーマにしているが、内省的な内容ではなく「恋の終わり」=「卒業」と捉え未来に向けて一歩踏み出そうという前向きなものとなっている。
7 REASON OF MY SELF

「深夜徘徊」のようなダークさと足音を感じるサウンドをもつ曲であり、歌詞は「遠回りしてもしてもいいから自分たちのやりたい事をやっていく」と決意表明するような内容となっている。「昨日いた場所、立つのを拒んでいる」という歌詞からは「常にオリジナルでいたい」という強烈な熱量を感じる。
9 SEX SYMBOL

「砕けたグラス」のような質感のミニマムな歪みギターリフがリフレインされ「畳み掛ける」ようなテンションで展開されるエロい系パンクソング。間奏部では「行為後」のような脱力感と「嘲笑」のような清春の笑い声が虚しく響くパートが挿入されアクセントとなっている。
10 Cool Girl

「ドッドッドッドッ」という「大きなドット」のような人時(b)のベースが存在感を放つ曲。コード進行はニルヴァーナ(Nirvana)的な混沌とした質感で歌詞は「9 SEX SYMBOL」同様にエロい系である。サビでは「Cool Girl」というワードに呼応するかのように「炭酸飲料」のような清涼感を感じるシンセサウンドが挿入される。
11 S.O.S

ローファイな質感の低音と「疾風」のようなシンセサウンドを中心に展開されるデジタルパンク。イントロとアウトロで登場する透明でエッジのたった電子音は規則正しく「ミステリアスな記号」のように鳴り響き非常にインパクトがある。「悪趣味な君は僕がFavorite」という歌詞は「Sなのか?Mなのか?」もはやよく分からない。
14 ピストル

ミニストリー(Ministry)彷彿の強烈な歪みをもつインダストリアルなイントロから「極彩色の部屋」のような質感のカラフルなポップソングに転調するインパク大の曲。「疾風」のような電子音が部屋の中を駆け巡りデジタルな質感を曲に与えている。歌詞は壊れた内容で「壊れていく、撃ち殺せないピストル」についてである。
15 夢

極限までそぎ落とされた音数で展開される「誰もいない真っ白なベッド」のような哀愁を感じるメランコリックなバラード。壊れた質感のサウンドが多いアルバムの中で「安堵の時間」と言える静寂が存在し、清春の歌声は「本当の俺」のような素顔感がある。
16 H・L・M」 is ORIGINAL

「15 夢」という最後にピッタリな曲の後に用意されている「壊れたルービックキューブ」のようなマニアックな歪みチューン。清春のボーカルラインは呪文風でオリエンタルな浮遊感を感じるものとなっている。カラフルでバグった電子音が所狭しと自由に踊り、リスナーの頭を心地よく混乱させる。

「FAKE STAR」を自称する黒夢らしい「強烈な我流」を感じるデジタルパンクアルバム。 本作に収録されてる「7 REASON OF MY SELF」の歌詞にもあるようにまさしく「昨日いた場所、立つのを拒んでいる」という内容となっており、前作「feminism 」に収録されていた「カマキリ」のようなパンク・ハードコアテイストの曲が多く収録されている。またヒデ(hide)やバクチク(BUCK-TIC

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「やりたい事はなんでもやっちゃおうぜ!」というフリーな発想が他のV系バンドとの圧倒的な差別化を生んだ3rdアルバム。

「8 優しい悲劇」などで聴ける「冷たさと終幕感を感じるコード進行」は日本人独自のものであり非常に個性的である。また「アングラな匂いがするハードな曲」「王道V系チューン」「流れるようなメロディーを持つ歌謡テイスト強めの曲」など、バリエーション豊かな曲が並ぶアルバムではあるのだが「氷のような冷たさ」を多くの曲で感じる事ができる。

ルナシーの代表曲ROSIERのロングヒットにより化粧気バンドが世の中に認知され始めた頃に本作はリリースされたが、本作を最後に黒夢はV系的な表現や世界観から距離を置いたサウンドを模索する事となり90年代末のメジャーなロックバンドの中で最も尖ったバンドの一つとなっていく。本作は黒夢のラストV系アルバムと言えるかもしれない。

    「要点」

  • 「8 優しい悲劇」などで聴ける「冷たさと終幕感を感じるコード進行」は日本人独自のもの
  • 本作を最後に黒夢はV系的な表現や世界観から距離を置いたサウンドを模索する

「曲解説」

2 解凍実験

インダストリアルミュージック的なサイバーな歪み感を持つマニアック曲。「冷凍された心臓をガスバーナーで解凍する」というシュールな歌詞と「悪夢にうなされている」かのような清春(vo)の声が「呪縛」のように空間を支配しアングラな雰囲気を醸し出している。
3 feminism

「氷のような冷たさと終幕感を感じるコード進行」が特徴の疾走系・耽美ギターポップ(2:07〜)「氷の部屋に現れた黒蛇」のようなミステリアスでダークなベースフレーズが圧倒的な存在感を放つ。終盤はドラムプレイがよりタイトに直線的に鳴り響きパンク的な熱量を帯びる為、冷たい音響の曲なのだが曲を全て聴いた後はパワフルなロックを聴いたような感覚を味わえる。
4 眠れない日に見る時計

クランチなカッティングギターを中心に展開されるシンプルなサウンドをバックに「寂しがり屋な男の心情」を清春(vo)が歌い上げる。ギターサウンドは非V系な質感でザクっとしたオクターブ奏法やウォームな歪みが中心となっている。
5 Unlearned Man

歪んだベースとドラムが淡々と鳴り響く上を様々なジャンクなサウンドが無造作に転がり「散らかった部屋」のようなフィーリングを感じる曲である。 終盤は「呪文」のようにサビのボーカルラインが繰り返される。
6 LOVE SONG

耽美的なグッドメロディーが印象的なUKギターポップ風ソング。ギターの臣(g)は「センチメンタル」「どんよりと曇った空」「メタリックなきらめき」などの形容が似合う様々な音色のギターサウンドを聴かせてくれるが、どのフレーズも極めてシンプルでストレートに耳に残る。歌詞の中にある「うるさいsilence」という歌詞はその後「静けさだけがうるさく流れる」というフレーズに進化してSADSのシングル「TOKYO」で歌われる事となる。
8 優しい悲劇

「これぞV系!」という耽美さと終幕感をもつ初期の代表曲。センチメンタルなV系ソングを最小限の音数で見事に完成させている。臣(g)のギターサウンドは他の曲同様にシンプルだが非常に耳に残り、全ての音から「2月」のような冷たさを感じる事ができる。
9 情熱の影―Silhouette―

「バクチク(BUCK-TICK)」のようなサイバーな地下室感を感じるダークなサウンドではあるが、サビは「春の訪れのような華やかさと清々しさ」を感じる一癖ある曲。サビのバックでは「鈴の音」のようなキラメキを持つ電子音が清春(vo)のボーカルラインに寄り添うようにカラフルに優しく響く(2:58〜) 強烈に縮れたノイズサウンドがまるで「電撃」のようにリスナーの脳を刺激。
10 くちづけ

「神聖な雰囲気と浮遊感をもつ耽美サウンド」と「歌謡テイスト」が見事に融合されたバラードで終始「曇りの早朝」のような気怠さを感じるサウンドとなっている。歌詞の内容は「過ちによって二度と戻らない甘い関係」をノスタルジックに描いたようなイメージだ。
11 Miss MOONLIGHT

流れるようなメロディーラインが見事な王道V系なギターポップ。無くした君を「月」に喩えて喪失感を描いた歌詞は日本人の琴線に触れる内容。人時(b)のベースラインは「遠回り」のようにゆったりとスローにサウンドを支えている。
12 カマキリ

「2 解凍実験」ほどではないがアングラな匂いが濃厚なデジロック風ハードコアパンク。マニアックで陰鬱な雰囲気とハードなサウンドが見事に融合されており、後のハードコアパンク路線のプロトタイプとも言える曲となっている。「Easy money island」という歌詞は明らかに「EMI」とかけており闇に音楽業界を痛烈に批判している。
13 Happy Birthday

「これからパーティに向かうようなワクワク感」を感じるポップソング。ギター・ベース・ドラムのみのシンプルな構成だが非常にカラフルな印象であり、 ハードコアパンク曲「12 カマキリ」の後にこのサウンドを聴くと彼らの音楽的な幅広さを痛感する。
14 至上のゆりかご

「小雨が降る深夜の都会」を連想するジャジーなバラード。沈むような質感のダークなベースラインと「砕けたグラス」のような透明で鋭いギターサウンドがアーバンで落ち着いた空気をバサバサと切り刻む。

「やりたい事はなんでもやっちゃおうぜ!」というフリーな発想が他のV系バンドとの圧倒的な差別化を生んだ3rdアルバム。 「8 優しい悲劇」などで聴ける「冷たさと終幕感を感じるコード進行」は日本人独自のものであり非常に個性的である。また「アングラな匂いがするハードな曲」「王道V系チューン」「流れるようなメロディーを持つ歌謡テイスト強めの曲」など、バリエーション豊かな曲が並ぶアルバムではあるのだが「氷の

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前作・前々作同様に様々な音楽的要素をラルクサウンドに反映させているアルバムであり、サックスやピアノ、ホーンセクションを大胆に活用して「渋みのあるジャジーなテイスト」や「カラフルで弾けたポップネス」を曲に反映している。

「1 SEVENTH HEAVEN」「12 Hurry Xmas」などは共にアルバム「True」に収録されていても不思議ではない弾けた質感をもっているし、またエレクトロニカやアンビエントミュージックからの影響を感じられる「冷たくクリアーな質感のサウンド」も登場してこれまでとは違う空気感を演出している。

前作・前々作では割とラフでストレートなサウンドを鳴らしていたken(g)がラルクの代名詞とも言える輝きに満ちたディレイサウンドを聴かせてくれるので、90年代の王道ラルクサウンドが好きなリスナーにとっても入っていきやすいアルバムとなっている。

    「要点」

  • 「渋みのあるジャジーなテイスト」「カラフルで弾けたポップネス」が印象的
  • 90年代の王道ラルクサウンドが好きな人も入っていきやすいアルバム

「曲解説」

1 SEVENTH HEAVEN

アルバム「True」に収録されている「2 Caress of Venus」とも共通するカラフルな光を感じるアッパーなダンスロックチューン。hyde(vo)のボーカルラインは「ラップ」のように歯切れが良くこれまでにはないフィーリングを感じさせ、ギターサウンドは「衛星」のように空間を彷徨っている。
2 Pretty girl

「二日酔い」のようなルーズさがあるロックチューン。ポップなタイトルとは裏腹にビンテージな質感を持つシンプルなギターリフがリフレインされる渋い曲だが、サビの裏ではカラフルなサックスが踊るというポップ職人「ラルク」らしい展開を見せる。hyde(vo)の歌声は低音が強調されたダンディーなテイストのものとなっている。
3 MY HEART DRAWS A DREAM

ken(g)得意のディレイサウンドが「夜空の星々」のように輝く曲。全体を通して「霧」のような透明感があり全てのパートがクリアーに響き渡る。終盤はミニマムでアンビエントな質感のピアノがループされ「冷たい雨」のように降り注ぐ。
4 砂時計

「蜃気楼」のように揺らめくken(g)のディレイサウンドがリフレインされる幻想的な曲(1:24〜)「ガザッ」という唐突なブラッシングノイズとパンチの効いたドラムの連打が挿入されて清涼感のあるクリアーなサビに移行する。終盤は「精神と時の部屋」のような真っ白な空間を思わせるストリングスをバックにアグレッシヴなバンドサウンドが鳴り響く。
5 spiral

「ハリネズミ」のようなインダストリアル・ビートが印象的で密室のような雰囲気の曲で電子音や歪んだギターサウンドが次々と現れ不穏に鳴り響く。終盤はスローなBPMではあるが非常に疾走感を感じるサビが繰り返しリフレインされる。
6 ALONE EN LA VIDA

「ラテン」な異国感と哀愁の風を感じるオーガニックソング。「優雅なストリングス」「小雨のようなスパニッシュギター」を中心に展開される。時折、登場するken(g)のリードギターは「夕暮れを羽ばたく鳥」のように自由である。
7 DAYBREAK’S BELL

「内省派エモバンド」のような透明なギターサウンドと「雫」のようなメランコリックなピアノが絡まるサウンドが「梅雨」のような湿り気と透明感を演出するジャジーな曲。(1:13〜,2:18〜,3:18)サビのボーカルラインは歌謡テイストが強く「川」のように滑らかに流れる。
8 海辺

ヘヴィな歪みと冷たいピアノサウンドの共存が印象的な曲。タイトルとは裏腹に「実験室」のようなダークさがあり(2:47〜)ギターソロはテクニカルなヘヴィメタルフレーズのようだ(3:35〜)これまでのダークさが嘘のように「晴れ渡る空」を連想する爽やかなパートが挿入されるが、それもつかの間すぐに元のダークなサウンドに戻る。終盤はダークなサウンドに「斜陽」のようなken(g)のギターサウンドが僅かな光を差し込む。
9 THE BLACK ROSE

ミニマムミュージックの巨匠「スティーヴ・ライヒ」を思わせるミニマムなピアノの連打で始まるジャジーなヘヴィチューン(0:50〜,1:54〜,2:48〜)サビではhyde(vo)らしい伸びやか高音を活かしたボーカルラインの裏で透明感溢れるピアノが舞い、サビの後はヘヴィなバンドサウンドと並走する形で「渋みのあるワイン」のようなホーンセクションが鳴り響くレアな展開を見せる。
11 雪の足跡

天から降り注ぐ光をスポットライトにしてhyde(vo)がしっとりとエモーショナルに歌い上げるバラード。ローファイな質感のドラムと重厚なバイオリンを中心に構成される曲でありラルクのバラードの中でも指折りにシンプルな構成をもつ曲ではあるが、リスナーにノスタルジーな冬の景色を連想させる。
12 Hurry Xmas

アルバム「True」に収録されていても不思議ではない弾けたポップソング。クリスマスのワクワク感を表現しているようなストリングスとカラフルなホーンセクションが終始曲をリード(1:35〜)ギターソロは「Xmasプレゼントに添えられた花束」のような華やかさがあるジャジーなテイスト。またポップネスの権化のような歌詞から「ラルク」や「ロック」という殻を打ち破ろうとするチャレンジ精神を感じる。

前作・前々作同様に様々な音楽的要素をラルクサウンドに反映させているアルバムであり、サックスやピアノ、ホーンセクションを大胆に活用して「渋みのあるジャジーなテイスト」や「カラフルで弾けたポップネス」を曲に反映している。 「1 SEVENTH HEAVEN」「12 Hurry Xmas」などは共にアルバム「True」に収録されていても不思議ではない弾けた質感をもっているし、またエレクトロニカやアンビエ

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前作「SMILE」からの流れであるアナログでシンプルなサウンドを響かせつつ、エモやポップパンクをルーツにもつアーティスからの影響を感じられる突き刺さるサビのボーカルラインが印象的な10thアルバム「AWAKE」。

名曲「3 叙情詩」に流れる「強烈な和」の響きや「4 TRUST」の無国籍感などは新機軸であり、「11 星空」「12 twinkle, twinkle」などは「メランコリックな質感の曲をポジティヴに響かせる」ラルクマジックが堪能できる。「何をやってもラルクサウンド」になるというポジティヴな悟りすら感じる安心の名作と言える。

    「要点」

  • エモやポップパンクをルーツにもつアーティスからの影響
  • 名曲「3 叙情詩」に流れる「強烈な和」の響き

「曲解説」

1 New World

突き刺さる疾走感を持つサビがエモのようなロックチューン。「青空」のような晴れやかなサウンドであり、ギター・ベース・ドラムが一体となって迫ってくる(2:06〜)「夢の中で見た夢」のようなメロディックな高音ベースソロが踊る。
2 LOST HEAVEN

歯切れの良いクランチなカッティングギターを中心に展開されるメロウなポップソング。サビのボーカルラインは流れるような旋律をもちながらもメランコリックでインパクト大(2:34〜)ギターソロはサビのボーカルラインをなぞるシンプルなもので「凛」とした響きを持つ(3:18〜)メタリックな電子音がチカチカと鳴り響く静パートが挿入させアクセントとなる。終盤は畳み掛けるようにサビが何度もリフレインされそのまま突き進む。
3 叙情詩

オーガニックな生命力を感じる壮大なバラード。カッティングギターを中心に展開される「何気ない日常」のようなヴァースと強烈な「和の響き」を持ち「優雅な風」のような上品な旋律を奏でるサビによって構成されている。どちらかと言うとメランコリックな質感の曲なのだがリスナーを包み込むような不思議な包容力があり、数多く存在するラルクの名曲の中でも特別な存在感を放つ曲である。
4 TRUST

不思議な無国籍感を醸し出すメランコリックバラード。サビではtetsuya(b)の「春風」のようなコーラスがhyde(vo)のボーカルラインと絡まり曲に色彩を与えている。またギターとベースのユニゾンフレーズが随所に挿入され分厚いサウンドを構成している。
5 Killing Me

パンク的なシンプルさと「曇り空」のようなメランコリックが混在する疾走ソング。Bメロのバックではクラシカルな弦楽器が幽玄な旋律を奏で曲にダークな質感を与えており、アグレッシヴなロックチューンでは中々聴くことができないアレンジとなっている。サビは「1 New World」同様にエモーショナルな突き刺さるボーカルラインが印象的である(2:52〜)アグレッシヴなパートの体感速度を上げる為に「どんよりした曇り空」のような質感のメロディックな静寂パートが挿入される。
6 AS ONE

前作から解禁された「ヘヴィメタルな響き」を感じるダークなリフソング。AメロBメロでは「泥水」のような質感のマニアックでディープなヘヴィリフがリフレインされ、サビはメロディー自体はそこまでメロディックではないのだがhyde(vo)が伸びやかなボーカルで歌い上げると強烈にメロディーが頭にインプットされる。
7 My Dear

「センチメンタルな思い出」のようなドリームポップ。hyde(vo)のボーカルは「悟りを開いた老人」のような重みがあり、tetsuya(b)のベースラインはhyde(vo)のボーカルラインに寄り添うようにメロディックである(3:30〜)ザラついたノイズが曲にモザイクのような質感を与え時空が歪んだような展開を見せる。最後は優雅なストリングスだけが物悲しく鳴り響き静寂を感じる。
8 EXISTENCE

USグランジ的な気怠さと確かな光を感じるシンプルなリフロック(1:27〜)「光溢れる空間」のようなサウンドや(2:01〜)リフの裏で闇に流れる耽美なアルペジオの存在から曲をハード一辺倒にさせない工夫を感じられる。最後はダークで淡々とした「暗号」のようなアルペジオだけが静かに流れる。
9 自由への招待

韻を踏んだ歌詞もお見事なラルク系の疾走ソング。サウンドは前作「SMILE」からの流れであるシンプルでアナログな音で構成されている。(2:38〜)ギターソロは非常に短いがken(g)らしい「眩しすぎる光」サウンドを聴かせてくれる。
10 Ophelia

「雨に濡れた都会の朝」のような質感のジャジーなバラード。「スパニュシュなギター」「透明なピアノ」「煙のようなサックス」がアダルトな空気感を構築するが、ベースラインは強烈に歪んだサウンドになっており縮れた光線」のようにリスナーの頭の中を刺激する。
11 星空

メランコリックなUKロック調の曲だがなぜか前向きになれるラルクマジックが堪能できるどっしりとしたバラード。歌詞の内容は「目が覚めれば変わっているといいな」という無邪気な子供のような言葉で平和を願うという内容になっている。
12 twinkle, twinkle

「11 星空」同様にUKロック調のメランコリックソングをポジティヴに響かせるラルクマジックを堪能できる曲。全パートがひとつに溶け合い「油絵」のように揺らめいており、(1:43〜 , 3:28〜 ,4:45〜)ken(g)のギターソロは「早朝の曇り空を自由に羽ばたく鳥」のようだ。

前作「SMILE」からの流れであるアナログでシンプルなサウンドを響かせつつ、エモやポップパンクをルーツにもつアーティスからの影響を感じられる突き刺さるサビのボーカルラインが印象的な10thアルバム「AWAKE」。 名曲「3 叙情詩」に流れる「強烈な和」の響きや「4 TRUST」の無国籍感などは新機軸であり、「11 星空」「12 twinkle, twinkle」などは「メランコリックな質感の曲をポ

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前作「REAL」が集大成的なALL in ONEのような作品であった点、また全メンバーがソロ活動を経た点などから、これまで築き上げたラルクサウンドに各メンバーがソロ活動で得た影響を反映した情報量の多いサウンドになるのでは?と聴く前は予想していたのだが、実際は予想に反してアナログなサウンドを前面に押し出したシンプルなロックアルバムとなっていた。

「2000年頃から世界的なトレンドとなっていたロックンロール・リバイバル的なミニマリズム」「これまで距離を置いているとも感じ取れたスラッシュメタル的なザクザクとした質感」「シンプルなロックソングを華やかに彩る七色のストリングス」これらが今作のサウンド面の特徴としてあげられる。

これまでのどの作品にも必ず存在したUKニューウェイブ的なサウンドがほとんど登場しないという点において本作は異色作と言って良いのでは??という気がする。

    「要点」

  • アナログなサウンドを前面に押し出したロックアルバム
  • スラッシュメタル的なザクザクリフ
  • ニューウェイブサウンドが登場しない異色作

「曲解説」

1 接吻

「アンプ直」のようなシンプルでアナログなギターリフがリフレインされるロックチューン。サビでは光沢感のあるスペーシーなシンセサウンドと優雅なストリングスが流れ、モノトーンになりがちなミニマムなロックソングに華やかさを与えている。
2 READY STEADY GO

アルバム「ark」以降、彼らの十八番となったドライブ感のあるロックンロール系譜の曲(1:00〜)サビは疾走感のあるボーカルラインと光を感じるシンセサウンドを中心に構成されるが、途中からスラッシュメタルのようなザクザクとした質感のリフが挿入されるという盛りだくさんな内容。ソロ活動を経て歌うことの楽しさに目覚めたのだろうか?tetsuya(b)のコーラスが過去最高レベルで目立つ曲となっている。最後はギターとベースがユニゾンする展開で幕を閉じる。
3 Lover Boy

退廃的なムードを持つスラッシュメタルライクな曲。これまでメタルという音楽と距離を置いていた感すらあるラルクが、ここまでスラッシュなザクザクギターリフをフィーチャーしたサウンドを鳴らした事は驚きである(2:28〜)立体的なベースラインがブライクビーツ風のリズムの上で踊り、そこからギターソロに突入する。
5 Time goes on

夢見心地な雰囲気のアコースティックソング。tetsuya(b)が大活躍の曲であり、サビでは「ボーカルライン以上に目立つベースライン」がボーカルとは異なるメランコリックなメロディーを奏で、またhyde(vo)のボーカルラインを包み込むようなコーラスも聴かせる。
6 Coming Closer

スローなギターサウンドが「金縛り」のように鳴り響くシンプルな曲。時折挿入される「ホイッスル」のような電子音や「春風」のようなストリングスが曲にポップネスを与えている。最後は悲壮感漂う重厚なバイオリンだけが流れる少し不気味な展開である。
7 永遠

ザ・ストロークス(The Strokes)のようなミニマムでモダンな質感のロックソング。ken(g)のラフで歪んだカッティングギターがループされリフというより音響的に鳴り響く(3:05〜)ギターソロは非常にインパクトがあり「永遠」というタイトルとは裏腹に刹那的な輝きに満ちている早弾きフレーズである。
8 REVELATION

「砂鉄」ような歪みギターサウンドが重力感を演出するヘヴィチューン。サビのボーカルラインはUSグランジのように「言葉のリフ」という感じである。
9 瞳の住人

「長閑で平和な日々」を連想する優しい音で構成されたバラード。サビのメロディーはこれまであまり聴いたことがないタイプでどことなく中国風。また間違いなく偶然だが浜崎あゆみの某曲のボーカルラインに少し似てるとも思う(4:03〜)ギターソロは「浅い眠り」のような質感で空間を彷徨う。
10 Spirit dreams inside

本作を象徴するラフでアナログなサウンドが響き渡るラストソング(1:48〜)存在感のある分厚いベースリフがリフレインされ、そこにオリエンタルな電子音やken(g)特有の光を感じるギターサウンドが絡まる展開は非常にグルーヴィー。

前作「REAL」が集大成的なALL in ONEのような作品であった点、また全メンバーがソロ活動を経た点などから、これまで築き上げたラルクサウンドに各メンバーがソロ活動で得た影響を反映した情報量の多いサウンドになるのでは?と聴く前は予想していたのだが、実際は予想に反してアナログなサウンドを前面に押し出したシンプルなロックアルバムとなっていた。 「2000年頃から世界的なトレンドとなっていたロックン

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