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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

インディーズ時代にリリースされたバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)の2ndアルバム。本作リリース当時はメンバーが様々な問題に悩まされていた暗黒期であり(wiki)そのダークさは「濃厚な哀愁が漂うアルバムジャケット」にも反映されている。

このバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)というバンドは、ある意味「音楽レビュアー泣かせのアーティスト」であると感じる。様々なアーティスト・サウンドからの影響を受けているのだろうが「全て自然体の自分たちのサウンドに変換」してしまうので「〜からの影響」「〜が好きなのだろう」という文脈で語る事が非常に難しいのである。

このある種「癖のない自然体なサウンド」がリスナーに「ロックを聴いている」という感覚ではなく、どこか「ストーリーを読んでいる(見ている)」という感覚を与えるのであろう。筆者の感覚としてはロックにさほど興味はないが、バンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)は好きという人は結構いると思われる。

歌詞は「前作を更にディープにした」ような内容となっており、ほとんど全ての曲が物語仕立てになっている。とりわけ「人間としてどのように生きるべきか?!」をリスナーに問いかける「2 グングニル」は珠玉の出来。

    「要点」

  • ・本作リリース当時はメンバーが様々な問題に悩まされていた暗黒期であり(wiki)そのダークさは「濃厚な哀愁が漂うアルバムジャケット」にも反映されている。
  • ・癖のない自然体なサウンドはリスナーに「ロックを聴いている」という感覚ではなく、どこか「ストーリーを読んでいる(見ている)」という感覚を与える。

「曲解説」

2 グングニル

ファイナルファンタジーの「召喚獣」が持つ伝説の槍「グングニル」からヒントを得たと思われるタイトルがインパクト大の疾走系ロックチューン。この曲も「ストーリーをポップソング化する」独自の歌詞が秀逸であり「夢を達成できるのは夢を信じ行動した者だけであり、夢などもたない大多数の者たちは、いつも夢を持つ者を馬鹿にしたり「上手くいかなければ良い」と人の不幸や苦難は願っているものだ。だが、君にだけは「そういう人間」にはなって欲しくない。人にどう思われるかを気にせずに自分の信じる道を進むんだというイメージの内容となっている。「ストレートに言語化」すればある種クサくなってしまうような歌詞の内容でも「ストーリーライター」として破格の才能を持つ藤原基央の手に掛かるとスッと耳に入ってくるから不思議である。
3 ベストピクチャー

強烈に歪んだギターサウンドと表情豊かな藤原基央のボーカルが印象的なギターロック(2:50〜)ギターソロはサビのボーカルラインをアレンジしたシンプルなものとなっている。歌詞は考えさせられる内容で「安いアパートに住んで「売れたい・認められたい」為に必死になっている絵描き」と「お城みたいな家に住んでいるけど筆も心も何かに縛られたままの絵描き」という対照的な2人についてである。どちらが良い悪いではなく野心や保身ありきの絵は「純粋に好きで描く絵」には勝てないという事を言っているのであろう。おそらく。
5 ランプ

「ハートの中にある情熱のランプ」についてエモーショナルに歌い上げる曲。歌詞はやはり物語仕立てであり「ハロー、ハロー気付いておくれ」「ハロー、ハロー聞こえるだろう?」などと「ランプ自体」が主人公に話かける。最終的に信じるものは自分自身であり、自分自身が情熱を持てる限り道は開けるという事を歌っているのであろう。
9 グロリアスレボリューション

バンプ流パンクロックという類の曲。この曲に限った事ではないがバンプのサウンドは様々な音楽に影響を受けていると思われるが「アーティスト的な気難しさ」とは一切無縁であると感じる。この曲の歌詞は一見すると訳の分からないものだが、おそらく日常の些細な感情・出来事を言語化していると思われる。

インディーズ時代にリリースされたバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)の2ndアルバム。本作リリース当時はメンバーが様々な問題に悩まされていた暗黒期であり(wiki)そのダークさは「濃厚な哀愁が漂うアルバムジャケット」にも反映されている。 このバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)というバンドは、ある意味「音楽レビュアー泣かせのアーティスト」であると感じる。様々なア

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90年代末に登場した新世代ギターロック・アーティストの中で若者に圧倒的な支持をうけたバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)がインディーズ時代にリリースした1stアルバムであり「全ての曲のレコーディングを2日で終わらせた」逸話がある。

音楽的にはグランジロック、UKロック、邦楽文系ギターロックをうまくミックスしたサウンドでシンプルで良質なものとなっているが、このバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)というアーティストの最大の武器は「日常と一切距離を置かずノンフィクションをフィクションのように描く詩の世界」にこそある。おそらくではあるが作詞者の藤原基央は「日常の本当に些細な出来事に着目し様々な角度から見た世界を考察し続けている」のであろう。

現在ではこの作詞手法を多くのアーティストが参考にしていると思われるが「バンプ登場以前」には中々見られないケースであった。そして会話のような淡々としたメロディーに強力なインパクトを与える藤原基央(vo)「独自の心地よいかすれ声」は言葉を選ばずに言うと「生理的に気持ちいい類の響き」であり、彼らが多くの人から支持を受ける最大の要因であると思われる。

    「要点」

  • ・「全ての曲のレコーディングを2日で終わらせた」逸話もある。
  • ・作詞者の藤原基央は「日常の本当に些細な出来事に着目し様々な角度から見た世界を考察し続けている」のであろう。

「曲解説」

1 ガラスのブルース

繊細そうなタイトルとは対照的にサウンドは「どこまでも晴れ渡る青空」のようなイメージの軽快なロックンロールチューン。歌詞は「星になったガラスの眼を持つ猫が歌っていたブルース」についてであり、歌詞の着眼点がこれまでのアーティストにはないタイプであると感じる。
3 アルエ

『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する少女・綾波レイに対する愛情をテーマ(wiki)にした歌詞がインパクト大の疾走系ロックチューン。1人の女性の内面を深掘りして「俺が守りたい、助けたい」と願う男性的な歌詞は、女性に「助けてほしい」と願うタイプの歌詞が多いアートスクール(ART-SCHOOL)の木下理樹とは対照的であると感じる。
4 リトルブレイバー

良質な少ない音数で奏でられる歪み多めのUKロック風の曲。サビでは「守るべきもの・守るべきヒトがいればリトルブレイバー」と真っ直ぐにエモーショナルに歌い上げる。「普通のボーカル」であればクサさが強調されてしまいそうだが、藤原基央(vo)特有の心地よいカスレ声で歌うと不思議と「アリ」となってしまう。
5 ノーヒットノーラン

「ノーヒットノーランを阻止すべくバッターボックスに立つスラッガーの心情」を綴ったマニアックな歌詞が新鮮な曲。おそらくではあるが、野球観戦や野球マンガなどから歌詞のヒントを得たのだと思われるが、この「日常の些細な感情や出来事と全く距離を置かない」作詞センスは「バンプ以前の音楽シーン」ではあまり見られない類いであると感じる。
6 とっておきの唄

グランジロック的なヨレた歪み要素を邦楽ギターロックに落とし込んだ曲。歌詞は「どんなにめくっても終わりがない魔法のアルバムを2人で作ろう」という、いかにも「女性ファンウケ」しそうな内容となっている。主人公には「君に似合う花をつんだり」する繊細な側面と 嫌がってもムリヤリ連れて行くという強引な側面が存在する。こういうのをモテる男というのでしょうね。
8 バトルクライ

ハードで力強いシンプルなギターロック。この曲のボーカルラインも派手なメロディーを奏でる訳ではないだが強烈に耳に残る。歌詞は夢や目標の大切さを歌っていると思われ最初は嘘でもハッタリでもいいから、とにかく「自分の場所を見つけよう」とリスナーに啓蒙する。

90年代末に登場した新世代ギターロック・アーティストの中で若者に圧倒的な支持をうけたバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)がインディーズ時代にリリースした1stアルバムであり「全ての曲のレコーディングを2日で終わらせた」逸話がある。 音楽的にはグランジロック、UKロック、邦楽文系ギターロックをうまくミックスしたサウンドでシンプルで良質なものとなっているが、このバンプ・オブ・チキン(

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「2 スロウ」「4 光について」という日本のギターロック史に残る名曲が収録されている2ndアルバムでグレイプバイン(GRAPEVINE)のキャリアを代表する作品となっている。

90年代末に多く現れた文系ギターロック・アーティストの多くは「UKギターロック」に多大な影響を受けていたと思われるが、本作に収録されているサウンドはUKギターロック的なナイーヴさの中に「ブルースの匂い」を絶妙に織り交ぜている。このほのかに香る「ブルースの匂い」と個性的ではあるが同時に「不思議な親近感と甘さ」を感じる田中和将(vo)のボーカルがグレイプバイン(GRAPEVINE)の最大の個性である。

また「2 スロウ」における繊細で混沌とした文学的表現は見事と言うほかなく個人的には何故?!彼らがセールス的な大ブレイクを果たさなかったのか?!不思議で仕方がない。

    「要点」

  • ・「2 スロウ」「4 光について」という日本のギターロック史に残る名曲が収録されている2ndアルバム
  • ・UKギターロック的なナイーヴさの中に「ブルースの匂い」を絶妙に織り交ぜている。

「曲解説」

1 いけすかない

「曇り空」のようなUKギターサウンドと「ほのかに香るブルースの匂い」が混ざり合った曲。田中和将(vo)のボーカルラインは日本語らしいイントネーションを活かしたパートと外国語的なイントネーションをしているパートが同居している。この感覚はまるで「邦楽を聴いているが洋楽を聴いている」ようである。
2 スロウ

「深い海」のような音響とギターサウンドが「ギターロック期のレディオヘッド(Radiohead)」のような代表曲。歌詞は「文学的な表現の塊」となっており「知的な若者の恋愛への諦念を言語化した」ようなイメージである。「めぐりあうたびに溺れる」が同時に「探りあうたびに汚れる」というラインは10代にしか理解できない心境ではないだろうか。
3 SUN

「平凡な日の昼下がり」のようなアコースティックソングからサビでエモーショナルに豹変するギターロック。この曲のサビも日本語で歌っているがイントネーションは英語風であり「UKギターロックを聴いている」ような錯覚に陥る。
4 光について

「悟りを開いた文学者が口にしそうなタイトル」の曲。サビのボーカルラインは珠玉の内容で大袈裟なメロディーではないのだが、メランコリックかつ流れるようなメロディーですぐに頭にインプットされる神ラインとなっている。歌詞の内容は 音楽シーンに身を置きこれまでと全くことなる生活を送る中で感じた「繊細な喪失感を言語化した」ようなイメージである。 若い主人公は「何もかも全て受け止められる事」が出来なかったのであろう。この素晴らしいシングル曲が大ヒットをマークしなかった事は個人的に非常に残念だ。
6 Lifework

「ガラス瓶の中で歌っている」ようなエフェクトが掛けられている田中和将(vo)のボーカルが印象的で「気怠いサイケ感」を感じる曲となっている。歌詞は「マンネリ化した交際」や「結婚生活」に対する悟りのようなイメージとなっている。間奏部では「60年代サイケ」のようなオルガンが響き渡る。
7 25

アルバム収録曲の中で最もパンク調の曲なのだが「濃厚な文系ギターロックの香り」がする歪みチューン。間奏部ではブルースハープが披露される。
8 青い魚

「海の中で揺らめく」ようなサイケな音響を感じるカバー曲。ギターサウンドは漂うようなものとなっており音響構築に徹している。歌詞は虚無的と言っていい内容で「全てを失ったものの悟り」のような内容となっている。歌詞に登場する「グロテスクな子供」というラインは中々出てこない表現である。
10 白日

田中和将(vo) のボーカルが一層気だるいブルース調のギターロック。「夢は夢のまま」というラインが「シリアスな現実」のように突き刺さる。歌詞は失恋を経た主人公が「捨てられない言葉」を抱えつつも日常を走り抜けるようなイメージである。
11 大人 (NOBODY NOBODY)

ノスタルジーな雰囲気と肩の力が抜けたリラックス感を感じるアコースティックソング。歌詞は「言葉を発するのは簡単だが、正確に伝えるのは難しい」という内容で主人公は面倒なコミュニケーションにウンザリしているのであろう。
12 望みの彼方

グレイプバイン(GRAPEVINE)の音楽性を「ギュッと凝縮した」ようなエモーショナルな曲。「真夏に咲いた花は枯れて」というラインはまるでアートスクール(ART-SCHOOL)のようである。

「2 スロウ」「4 光について」という日本のギターロック史に残る名曲が収録されている2ndアルバムでグレイプバイン(GRAPEVINE)のキャリアを代表する作品となっている。 90年代末に多く現れた文系ギターロック・アーティストの多くは「UKギターロック」に多大な影響を受けていたと思われるが、本作に収録されているサウンドはUKギターロック的なナイーヴさの中に「ブルースの匂い」を絶妙に織り交ぜている

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デビューアルバムと比べて「内省・回顧」をテーマにした歌詞の内容が増えている2ndアルバム。

イメージ的には「前向きな表現」をより輝かせる為に「センチメンタルな曲や表現をアルバムに配置している」という感じであり、また学生時代の恋愛体験・友情体験をベースにした歌詞も印象的で「5 モノクローム」では「駆け引きだけのチープな高校時代の恋」「6 Hometown」では地元の友達との友情をテーマにしている。

勿論「全ての経験を糧にして自分自身を高める」というELTイズムは本作でも健在であり「独占欲から気持ちを押し付けていた過去の恋愛」を内省しつつも「きっと明日は優しくなれるはず」と前向きに捉えている「3 Face the change (Album Mix)」。傷つけあった過去の恋を歌った代表曲「11 Time goes by (Orchestra Version)」でも色んな角度から過去の反省を表現しているが、「残された傷が消えた瞬間、本当の優しさの意味がわかる」というラインはやはり前向きである。

    「要点」

  • ・デビューアルバムと比べて「内省・回顧」をテーマにした歌詞の内容が増えている。
  • ・学生時代の恋愛体験・友情体験をベースにした歌詞も印象的で「5 モノクローム」では「駆け引きだけのチープな高校時代の恋」をテーマにしている。

「曲解説」

2 今でも・・・あなたが好きだから

タイトルそのままに「過去の短い恋愛に対する未練をストレートに吐露する」バラード。イントロで登場するギターフレーズは泣き系でインパクトがある。1stアルバムでは失恋なども「自分自身の成長に繋がる」と前向きに捉えていた歌詞が多かったが、この曲の歌詞は「回顧とメランコリックな心情」で完結している。
3 Face the change (Album Mix)

「J-ポップとしてスキのない」シンセロック。伊藤一朗のギターサウンドには時折ディレイが掛かっており目立たないが疾走感を演出している(2:52〜)ギターソロは早弾きを交えたテクニカルなフレーズとなっている。歌詞は「強い独占欲から気持ちを押し付けていた過去の恋愛」に対する内省を述べながらも「きっと明日は優しくなれるはず」と何事も「自分自身への成長」に繋げようとするELTらしいものとなっている。
5 モノクローム

ハイスクール時代の忘れられない恋愛を大人になって冷静に振り返った曲。「ごめんねと素直に伝えたい」というフレーズからおそらくではあるが主人公に何かしらの落ち度があり別れに至ったのではないだろうか?!
7 Hometown

「地元の友達との友情」をテーマにした歌詞が印象的なシンセバラード。「私服に着替えて街に出る」というフレーズから主人公はおそらくではあるが「公立の中学」に通っていたと思われる。
8 出逢った頃のように

季節が変わっても色あせない恋愛感情をテーマにしたヒットシングル。今まで以上に夢中になれるのは「夏の魔法」のせいかも?!という発想はどこかチューブ(TUBE)的である。「周囲のみんなの変わっていく姿」「明日のデートの服」を過剰に気にしている事から主人公は中高生であると思われる。
9 Shapes Of Love

「この恋掴み取りたい」と高らかに宣言する曲でサウンドはハードなギターフレーズが非常に目立つ。「恋をゲットしたい!」という類の積極的な歌詞の多くは、主人公が冷静ではなく盲目的なケースが多い傾向にあるのだが、 この曲の主人公は恋とは「形のないものだから」というある種「哲学的な考え」も持っておりそこが面白いポイントであると思う。
11 Time goes by (Orchestra Version)

過去の恋愛に対する内省を歌い上げるヒットシングル。本作のテーマは「内省・回顧」であると思うので色んな意味で本作を象徴する曲であると言える(3:28〜)「残された傷が消えた瞬間、本当の優しさの意味がわかる」というフレーズは「どんな経験もポジティヴに捉える」ELTらしいラインである。

デビューアルバムと比べて「内省・回顧」をテーマにした歌詞の内容が増えている2ndアルバム。 イメージ的には「前向きな表現」をより輝かせる為に「センチメンタルな曲や表現をアルバムに配置している」という感じであり、また学生時代の恋愛体験・友情体験をベースにした歌詞も印象的で「5 モノクローム」では「駆け引きだけのチープな高校時代の恋」「6 Hometown」では地元の友達との友情をテーマにしている。

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小室哲哉以降のシンセサイザー・キーボード中心の「J-ポップ・シーン」において「これぞ!王道」というポップチューンでヒット曲を連発したEvery Little Thing(ELT)のデビューアルバム。

サウンドの多くは「都会的でシャープなシンセ・キーボード」と曲に力強さを与える「ハードロック調のギターサウンド」が中心となっており、また「クールだが可愛い」という持田香織(vo)のルックスとキャラクターは不思議な存在感を放っている。

だが筆者が思うにEvery Little Thing(ELT)の最大の魅力は、適度に垢抜けて整合性のサウンドでも持田香織(vo)のルックスとキャラクターでもなく「全ての経験は自分が成長する為に必要なのだ」と言わんばかりの「ポジティヴなスタンス」にこそある。「失恋」をテーマにしたバラードであっても本作の歌詞には「センチメンタルやメランコリックな気分に浸る気配がほとんどないのである。

例えば「4 Season (Album Version)」「11 I’ll get over you」などは「失恋・別れ」をテーマにしたバラードだが「4 Season (Album Version)」では「明日への希望」に対して言及しており、また「11 I’ll get over you」では失恋を経た自分は「今よりも強くなれる」と「近い未来の自身への期待」を歌っている。

この一貫した「前向きな姿勢」は非常に好感がモテる。

    「要点」

  • ・小室哲哉以降のJ-ポップシーンで「これぞ!王道」というポップチューンでヒット曲を連発したEvery Little Thing(ELT)のデビューアルバム。
  • ・Every Little Thing(ELT)の最大の魅力は「全ての経験は自分が成長する為に必要なのだ」と言わんばかりの「ポジティヴなスタンス」にこそある。

「曲解説」

1 Future World

フラストレーションを歌いながらも「ただ刺激が欲しい」と漠然と願う歌詞が多くの中高生に支持されたヒットシングル。シャープなシンセサウンドが中心となっているのだが、伊藤一朗によるハードロック調のギターワークが非常に目立っている。
2 Feel My Heart (Album Mix)

「近未来都市」のような雰囲気を醸し出すスピーディーなシンセポップ。歌詞は「自分に正直に行動を起こさないと夢や思いは叶わないよ!」と10代の背中を強く押すポジティヴなものとなっている。サビのボーカルラインはおそらく「鍵盤で作られたメロディー」であり良い意味で「機械的な無機質さ」が新鮮である。
4 Season (Album Version)

イントロでTOTOの大ヒット曲「アフリカ」を引用している(wiki)失恋バラード。歌詞は子供のようにはしゃいだあの日にはもう帰れないけど、過去の経験を糧にして「明日への希望」を探したいというニュアンスで失恋ソングであっても常に前向きなスタンスである。「あなたと同じ未来を見つめるほど大人じゃなかった」というラインから主人公の恋愛相手は年上であり、破局理由は端的に言うと「価値観の相違」であろう。
5 二人で時代を変えてみたい

「TKサウンド登場以前のJ-ポップ」にありがちなバラード。歌詞は他の曲とは毛色がやや異なり「良くも悪くも昭和な匂い」がする。調べてみると本作の中で唯一メンバー以外の人物である永岡昌憲氏が作詞を担当している。
6 たとえ遠く離れてても・・・

「タイトルからも察しがつくが「切ない遠距離恋愛」をテーマにしている曲。歌詞は五十嵐充が担当しているが 「女性らしい可愛さ」を強調してものとなっている。「離ればなれになって「やさしさ」の意味知った」というラインはやはりポジティヴであり「どのような経験であっても全て自己成長につなげる」というELT的スタンスは健在である。
7 micro stress

ギタリスト/伊藤一朗による19秒のギターインスト。ライトハンド奏法を駆使していると思われるテクニカルでスピーディーなフレーズはまるで「F1レース」のようだ。
8 Dear My Friend (Album Mix)

ヘヴィなギターリフとギラギラと大袈裟なシンセを中心に構成されるシンセロック。サウンドとは対照的に歌詞は日常的なワードで埋め尽くされており「友達から恋人にはなれないが、これからも大切な友達でいて欲しいと強く願う」という内容。「男女の友情は成立する派・しない派」によって評価の分かれる歌詞と言えるだろう。 この曲でもやはり「いつか最高の自分に生まれ変われる気がするよ」と全ての経験を前向きにエネルギーにかえようとしている。
9 Looking Back On Your Love

「2人違う場所でしか果たせない夢がある為、愛が重くなった過去の恋愛」について歌った王道J-ポップバラード。「好きだけど夢のために分かれる」という設定はビーズ(B’z)の某名バラードに近いものがある。
11 I’ll get over you

持田香織(vo)のボーカルが本作の中で最もエモーショナルなミドルテンポの曲。歌詞は別れを決意した主人公が恋人との記憶を辿るというものだが、やはりこの曲でも最後は「今よりも強くなれる」と近い将来、失恋によって得るであろう深い悲しみを出来る限りポジティヴィに捉えようとしている。

小室哲哉以降のシンセサイザー・キーボード中心の「J-ポップ・シーン」において「これぞ!王道」というポップチューンでヒット曲を連発したEvery Little Thing(ELT)のデビューアルバム。 サウンドの多くは「都会的でシャープなシンセ・キーボード」と曲に力強さを与える「ハードロック調のギターサウンド」が中心となっており、また「クールだが可愛い」という持田香織(vo)のルックスとキャラクター

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