検索画面を消す
検索画面を消す
live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

「エモーショナルでダークな叙情性を放つギターロック」「ドライブ感溢れるラルク流R&R」 インディーズ時代から彼らが得意としている「神秘的・耽美的という形容がよく似合うサウンド」などが幅広く収録されており、 これまでのキャリアの集大成のようにラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Cielの良いところをパッケージングした傑作アルバム。

2000年はV系サウンドの創始者とも言えるルナシー(LUNASEA)が終幕しV系氷河期がはじまった年であるが、 ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)はシーンのトレンドなど関係なしに自分たちのルーツであるニューウェイブに様々な要素を加え、または角度を変えて自分たちらしいサウンドを鳴らし続けた。

V系サウンドが「古いもの」と見なされた90年代末〜2000年代初頭でも彼らが多くのリスナーに支持されたのは、電子音楽やポップミュージックと距離を置かず「曲が良くなるのであれば」という柔軟なスタンスで曲に新しい要素を加えモダンな質感にアップデートし続けたからでは?と思われる。

    「要点」

  • これまでのキャリアの集大成のようにラルクの良いところをパッケージング
  • V系衰退期でも多くのリスナーに支持されたモダンな質感

「曲解説」

1 get out from the shell

「スペーシーなダンスミュージック」のような雰囲気を持つラウドなアッパーチューン(2:20〜)「落雷」のようなken(g)のギターリフとリスナーを扇情するかのようなhyde(vo)の歪んだエフェクトボイスはこれまでのラルクにはない質感であり、ケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)やザ・プロディジー(The Prodigy)などの90年代ビッグビート勢からの影響を彼らなりに解釈しロックとテクノの融合を実践した曲となっている。
2 THE NEPENTHES

名曲「4 Shout at the Devil」とも共通する濃厚なグランジ匂がある曲。本曲のダーティーなギターリフはwikiを見る限り実際にken(g)がグランジバンド/ストーン・テンプル・パイロッツ(Stone Temple Pilots)を聴いている時に閃いたものらしく「泥水」のような重さとディープな響きをもっている。
3 NEO UNIVERSE

恍惚を感じる光が眩しすぎるエレクトロロック。ピコピコ系の電子音が鳴り響く真っ白な空間が、ボーカルラインをよりビビッドに響かせる。
4 bravery

「ガラス越し」のような透明感を持つメロウソング(1:28〜)サビは歪んだグランジーなギターワークと「考えさせられる歌詞」で構成されている。歌詞の内容は「昔はよかったって言うけど、何か知ってるの??」というものであり、変化に対して否定的な人たちに対する皮肉ともとれる内容となっている。確かに懐古主義の人ほど、新しいものを拒絶し挑戦しない傾向が強いと思う。
5 LOVE FLIES

ダークでサックとした質感のギターロック。相変わらずken(g)のギターサウンドはセンス抜群で弾き過ぎず、弾かなさ過ぎずの絶妙な塩梅でキュアー(CURE)のような耽美さとレディオヘッド(radiohead)のようなダイナミズムを曲に与えている。
6 finale

「古いフィルム」のようなザラついた質感をもつダークなバラード。悲壮感あふれるバイオリンが印象的なヴァースと一気に熱量を放出するサビによって構成されている。サビで歌われる「眩し過ぎて明日が見えない」は、Rusty Nail / XJAPANにおける「涙で明日が見えない」に並ぶ名フレーズであると感じる。歌詞の内容はインディーズアルバム「DUNE」に収録されている「6 Dune」に近いものがあり「神も許さない禁断の恋」について。
7 STAY AWAY

アルバム「ark」に収録されていたドライブ感のあるロックチューンと同じ流れの曲。「焼き増しの世界に惹かれない」というフレーズがロックアーティストとしてのプライドを感じさせ、hyde(vo)の歌声はダミ声と言ってもいい位に濁っており、曲にザラついた質感を与えている。
8 ROUTE 666

ミニマムな音数で構成され「石ころ」のように回転するロックンロール(3:07〜)これまでの殻を破った「ウゥゥ〜、レイ♫」というhyde(vo)のファンキーボイスから流れるような旋律をもつギターソロが展開される。
9 TIME SLIP

「早朝」のような空気感をもつセンチメンタルなバラード。ラブソングとも深い人間関係ともとれる歌詞がイマジネーションを刺激し頭の中に様々な情景が浮かんでくる。タイトでシンプルなドラムと「曇り空」のような質感のベースラインからなるリズムの上で「ガラス細工」のようなken(g)のギターサウンドが輝きを放ち、hyde(vo)の歌声には「素顔」のようなナチュラルさがある(2:40〜)「溢れ出す光の洪水」のようなギターソロがリスナーを光溢れる異空間へと誘う。
10 a silent letter

静寂の中、「夜空の星々」のようにきらめくギターサウンドとhyde(vo)のファルセットボイスが圧倒的な存在感を放つ壮大なバラード (3:50〜)「美しい子守唄」のよう女性コーラスが幻想的に鳴り響き幽玄さを曲に加える。終盤は「歪む深海」のようなギターサウンドが曲にモザイクを加えるように響き渡る。
11 ALL YEAR AROUND FALLING IN LOVE

6弦ベースを使用した高音のベースラインがこれまでとは異なる響きを奏でるパワフルなバラード。サビはモザイクがかったように歪むギターサウンドとメロウなアコースティックサウンドが共存するパワフルな展開だが、そのサウンド以上にhyde(vo)のボーカルラインが力強く響き渡る。最後は「星々」のような電子音だけが静かに流れ曲は締めくくられる。

「エモーショナルでダークな叙情性を放つギターロック」「ドライブ感溢れるラルク流R&R」 インディーズ時代から彼らが得意としている「神秘的・耽美的という形容がよく似合うサウンド」などが幅広く収録されており、 これまでのキャリアの集大成のようにラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Cielの良いところをパッケージングした傑作アルバム。 2000年はV系サウンドの創始者とも言えるル

READ MORE

アルバム「ray」と同時に発売された6thアルバム。

「ray」はインディーズアルバム「DUNE」にも通じるダークさがあり彼らが昔からやりたかったサウンドの集大成のようなアルバムとなっているが、本作「ark」はジャンルやこれまでのキャリアに縛られず、やりたい事をナチュラルにパッケージングしたアルバムという印象である。

「ノリノリでドライブ感のあるロックチューン」「神々しい雰囲気のバラード」「ポストロックやトリップホップからの影響を反映させたニューウェイブとはまた異なるダークな質感をもつ曲」などやりたい放題。90年代末という時代もあり本作は300万枚以上のセールスを記録。90年代末〜2000年代初頭は明らかに邦楽ロックの頂点にラルクが君臨していた。

    「要点」

  • やりたい事をナチュラルにパッケージングしたアルバム
  • ノリノリでドライブ感のあるロックチューンも収録

「曲解説」

1 forbidden lover

マーチ風のブレイクビーツが斬新で「深海」のようなディープな雰囲気を持つ神々しいバラード。サビにおけるhyde(vo)のボーカルラインは過去最高レベルの神ラインであり「天までに届くエネルギー波」のように強烈な響きを持つ。また歌詞に久しぶりに「神」「瓦礫」などのワードが登場するが、初期のミステリアスな歌詞を洗練させたような仕上がりとなっている。
2 HEAVEN’S DRIVE

クールなカッティングと「春風」のようなコーラスが印象的でウネるドライブ感が魅力のロックチューン(0:35〜)hyde(vo)のエロい歌詞に絡みつくken(g)のギターフレーズはまるで「濡れた蛇」のような質感である(0:58〜,1:51〜,3:06〜)サビはドライブ感のあるロックサウンドから一変、キャッチーなホーンセクションが華やかに弾ける(2:20〜)「隠しアイテム」のようなサビ以上にサビな華やかなボーカルラインが登場。
3 Driver’s High

「イケイケのドライブ」のように疾走するロックチューン。イントロのken(g)のギターサウンドは名曲「2 Vivid Colors」と共通する哀愁感があるが、歌詞の内容は「2 Vivid Colors」とは正反対であり、かつて「列車は今日彼女の街を超えて」とナイーブに歌っていたのが嘘のように「この世の果てまでぶっ飛ばす」と宣言する。サビは「2 HEAVEN’S DRIVE」同様に非ロックな華やかに弾けるサウンドを聴かせてくれる。
4 Cradle

トリップホップのようなダークさと透明感を感じる実験的な曲。「クリスタル」のような質感の電子音が「真っ暗な密室」のような空間に僅かな光を灯し、 「蜃気楼」のように揺らめくDJスクラッチはポーティスヘッド(Portishead)のようだ(3:20〜)ダークな雰囲気と歩調を合わせるかのようにギターソロはダウナーな質感である。
5 DIVE TO BLUE

タイトル通りブルーな質感と「宙を舞う」ような浮遊感を感じるギターポップ。ken(g)得意のディレイサウンドはかつてのようなモノトーンな質感ではなく「カラフルなバルーン」のようにキャッチーであり、反面tetsuya(b)のベースラインは浮遊感のあるギターサウンドとは対照的に地を這うような質感である。
6 Larva

ポストロック系のモザイクがかったミニマムなビートと「青空」のように晴れ渡るシンセサウンドが印象的なインストナンバー。作曲は幅広い音楽に興味を持つyukihiro(dr)が担当している。
7 Butterfly’s Sleep

キュアー(CURE)の耽美的な曲を90年代的な壊れた質感で再構築したような曲。時折挿入されるストリングスは「情熱大陸」のように優雅である。ken(g)のギターは「豪雨」のような質感で音響的であるが、tetsuya(b)のベースラインはまるで「大蛇」のように立体的でメロディアス。
8 Perfect Blue

「南国」のような開放感とトロピカルさを持つポップソング。ギターサウンドはまるで「砂浜に埋もれたガラス瓶」のように透明で煌びやか。終始リラックスした雰囲気が漂いこれまでのラルクにはないタイプの曲である。
9 真実と幻想と

「宇宙」のようなディープさをもつトリップホップ風の曲。歪んだギターサウンドの断片がリスナーの脳に突き刺さりサビは「儚い願い」のように美しい。中盤以降は重層なストリングスが存在感を増し神々しい雰囲気が漂う。終盤は「氷の雫」のような電子音と「渦巻き」のようなギターリフがリフレインされる。
11 Pieces [ark mix]

「曇った早朝のビーチ」のようなブルーを感じる名バラード(2:38〜)「美しい風景画」のような曲にken(g)のアバンギャルドなノイズプレイがアクセントを加えており、曲がギリギリ破綻しないラインで成立させているバグった質感を与えている。このギターソロがなければ曲の印象は全く異なったものとなっていただろう。

アルバム「ray」と同時に発売された6thアルバム。 「ray」はインディーズアルバム「DUNE」にも通じるダークさがあり彼らが昔からやりたかったサウンドの集大成のようなアルバムとなっているが、本作「ark」はジャンルやこれまでのキャリアに縛られず、やりたい事をナチュラルにパッケージングしたアルバムという印象である。 「ノリノリでドライブ感のあるロックチューン」「神々しい雰囲気のバラード」「ポスト

READ MORE

前作までの初期三部作のサウンドの良い部分を継承しつつもポップミュージックとしての強度を劇的に高めた名作。

これまでセルフプロデュースでアルバムを制作してきた彼らが「岡野ハジメ」や「佐久間正英」などの実力派プロデューサーを招いて作成された初めてのアルバムであるが、次作以降も「岡野ハジメ」をプロデューサーに迎えている事からメンバー的にも確実な手応えを感じたアルバムであると思われる。

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)が得意としている80年代UK耽美ギターポップのような曲も極限までサウンドをシンプル化し歌詞の内容を最大公約数化する事でこれまでとは別次元のポップネスを感じることができる。「4 flower」「8 風にきえないで」などは90年代を代表する素晴らしいギターポップ曲と言えるだろう。

インディーズ時代からのファンの中には今作の「ポップな変化」に戸惑ったファンも多く存在するかもしれないが今作がなければダークで耽美的だが力強いポップネスが存在する傑作アルバム「HEART」は生まれなかったと断言できる為、ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel) のキャリアの中でターニングポイントと言えるアルバムとなっている。

    「要点」

  • 実力派プロデューサーを招いて制作されたアルバム
  • ポップミュージックとしての強度を劇的に高めた傑作
  • キャリアの中でターニングポイントと言えるアルバム

「曲解説」

1 Fare Well

前作「heavenly」に収録されている「4 ガラス玉」に通じるバラードからエモーショナルで壮大なメロディーを持つロックに移行するオープニングソング。初期3部作にはないタイプの熱量があり、曲を通して「卒業式」のようなセンチメンタルさと力強さがある。
2 Caress of Venus

これまでのラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)からは考えられないカラフルなダンスビートが印象的なアッパーチューン。ノリノリのダンスチューンではあるが80年代耽美派UKギターロックのような「海辺」を連想する雰囲気を持ち、前作までのサウンドの良いところを踏襲しつつも新機軸を試みた曲と言えるだろう。
3 Round and Round

90年代グランジを意識したであろうと思われるダークでヘヴィなロックチューン。歌詞はロックな曲にピッタリの「大人に対する拒絶」を歌っているがサビのボーカルラインは弾けており、コーラスの「round in merry world♩」は非常にポップで同年代のルナシー(LUNASEA)や黒夢の曲には絶対に出てこないテイストである。このポップに対する柔軟な姿勢がラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)の個性と言える。
4 flower

全てのティーンエイジャーに聴いてもらいたい胸キュン・ギターポップな名曲。男性の女々しさを全面に押し出した「起こされるのを待っているのに」という歌詞は当時斬新な響きをもっていた。サウンド的には彼らが得意とするメロウなギターポップを極限まで削ぎ落としたものとなっている。
5 “good-morning Hide”

「渦巻き」のようなベースラインが新鮮なグルーヴィーな曲。グルーヴィーではあるがハードロックやサイケのような質感はなくカラフルで軽やかなハウスミュージックのような雰囲気がある。終盤は「はしゃいだ後に感じるわずかな喪失感」のようなメランコリックなアルペジオが存在感を増す展開となる。
6 the Fourth Avenue Café

「雨音」のようなピアノとゴージャスなホーンセクションを導入した「アーバンな街角」のような質感の曲。ken(g)のギターサウンドは「4 flower」同様に最小限の手数でメロウなフレーズを奏でている。
8 風にきえないで

ポップなボーカルラインが弾けるギターポップ。サウンド的には前作「heavenly」にも通じるメランコリックさもあるが、 「答えを見つけた」かのようなアグレッシヴな演奏もありポップに突き刺さる。歌詞の内容は恋に恋する十代の爆発しそうな感情といったところだろうか。
10 Dearest Love

「光が降り注ぐ」ようなken(g)のディレイサウンドが印象的な眩しすぎるバラードでhyde(vo)のボーカルは叶わぬ願いのように儚い(1:50〜)レディオヘッド(radiohead)の名曲「creep」を参考にしたと思われる唐突なブラッシングノイズが挿入され(3:08〜)バイオリンが「むせび泣き」のような旋律を奏で曲に優雅な渋みを与える。中盤以降は壊れた質感のグランジギターが空間を切り裂きアクセントとなっている。

前作までの初期三部作のサウンドの良い部分を継承しつつもポップミュージックとしての強度を劇的に高めた名作。 これまでセルフプロデュースでアルバムを制作してきた彼らが「岡野ハジメ」や「佐久間正英」などの実力派プロデューサーを招いて作成された初めてのアルバムであるが、次作以降も「岡野ハジメ」をプロデューサーに迎えている事からメンバー的にも確実な手応えを感じたアルバムであると思われる。 ラルク アン シエ

READ MORE

「秋が近づく夏の海」のようなメランコリックな空気感と内省的な歌詞を持ち「ポップ」に対する挑戦を感じれられる3rdアルバム。

メランコリックではあるがポップでもあるという不思議なバランス感覚があり鳴っているサウンドは異なるがルナシー(LUNASEA)のアルバム「EDEN」に近いものがあると感じる。

「2 Vivid Colors」「7 夏の憂鬱」などには日本人の琴線に触れる歌謡性がありこれまでのラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)の曲に比べてメロディーが非常に頭に残る。ラルクサウンドのキーマンであるken(g)のギターサウンドは前作のような透明で耽美的な質感ではなく、コクがある哀愁感漂うサウンドを聴かせるがやはり煌びやかで曲に豊かな色彩を与えている。

気になるのはラストに収録されている「10 The Rain Leaves a Scar」の存在でアルバム全体に流れるメランコリックな質感もありつつもダイナミックに突き刺さる勢いを感じる曲となっている。このダイナミックな勢いは次作を暗示するものなのだろうか?

    「要点」

  • 「秋が近づく夏の海」のようなメランコリックな空気感と内省的な歌詞
  • メランコリックではあるがポップでもあるという不思議なバランス感覚

「曲解説」

1 Still I’m With You

後にリリースされるヒットシングル「DIVE TO BLUE」とも共通する軽やかさを持つポップソング。「空間を舞う」ようなギターワークとは対照的にベースラインはスローで「地を這う」ような質感である(2:12〜)タイトルである「Still I’m With You」というワードが「子守唄」のようにリフレインされる間奏パートを挟み、そのままギターソロに突入する。終盤はサビが何度も何度もリフレインされ、アウトロではken(g)が得意とする透明なディレイサウンドが登場して曲に彩りを与える。
2 Vivid Colors

エモい歌詞と「ライ麦畑」を連想する哀愁漂うサウンドが印象的なヒットシングル。(1:15〜 , 2:10〜 , 3:28〜)サビは知らない風景がビビッドに広がる歌詞を歌うボーカルラインと「田舎道を走るような列車」を思わせる軽やかでビビッドに歪むカッティングギターが絡む展開。前作までにはないポップネスを感じるサウンドと日本人の琴線に触れる「切なさ」「哀愁」を持つ歌詞が印象的でセンチメンタルな失恋をテーマにしていると思われる。インディーズアルバムのような密室感が嘘のように開放的な雰囲気を醸し出している。
3 and She Said

煌びやかなギターサウンドと連打されるオルガンが60年代サイケのようなロックチューン。wikiにはビートルズを意識した曲と書かれているがサウンドというより「迷いのない突き抜けたポップネス」がビートルズ的であると感じる。
4 ガラス玉

「真夏の夜の海」のような質感のセンチメンタルなバラードから「大空を羽ばたく鳥」のようなエモーショナルロックに移行するインパクト大の曲。「難解なパズル」のようなプログレ的な響きを持つつもメロディックなギターソロは、90年代ギターキッズにとってテクニカルの一つの基準にもなった名ソロである。終盤は「誰もいない海辺に静かに佇む男のつぶやき」のようなhyde(vo)のボーカルが存在を放つ。
5 Secret Signs

「黄金の宮殿」を連想する煌びやかサウンドとエロい歌詞を持つオリエンタルな質感の曲。シンセサウンドを大胆に導入しており、サビのバックではボーカルラインと「呪文」のようなシンセフレーズが並行し曲をミステリアスをしている(1:52〜)シンセによるソロパートまで飛び出す。
7 夏の憂鬱

日本人の琴線に触れる歌謡性を持つメランコリックソング。歌詞は過去の恋愛を引きずる男のナイーブな心情を歌っており、美化された過去に浸っている主人公が「もう秋が来るから」と強がって前に進もうとするが、やはりあなたを失った僕に降り注ぐ「夏の憂鬱」には抗えないという内容となっている。後に「夏の憂鬱 time to say good-bye」なるシングルがリリースされるが、筆者としてはアルバム収録されているオリジナル版「夏の憂鬱」のほうが素晴らしいと思う。
8 Cureless

キュアー(CURE)の耽美な曲をビートロックにアレンジしたような曲(0:40〜 , 1:46〜)愛し方を知らない主人公による嘆きが「交錯」のように響き、まるで「鏡の中の世界にいる」ような錯覚をおぼえる。サビの歌詞は「あなたを救いたいが傷つけてしまう」というなんとも切ない内容。
10 The Rain Leaves a Scar

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)が得意とする流れるような旋律を持つ耽美チューン。ザ・スミス(The Smiths)のような80年代UKギターサウンドをダイナミックに演奏したような曲で本作の中で最もストレートでアグレッシヴである。

「秋が近づく夏の海」のようなメランコリックな空気感と内省的な歌詞を持ち「ポップ」に対する挑戦を感じれられる3rdアルバム。 メランコリックではあるがポップでもあるという不思議なバランス感覚があり鳴っているサウンドは異なるがルナシー(LUNASEA)のアルバム「EDEN」に近いものがあると感じる。 「2 Vivid Colors」「7 夏の憂鬱」などには日本人の琴線に触れる歌謡性がありこれまでのラル

READ MORE

インディーズアルバムに存在したダークで密室的な雰囲気が後退して「耽美」「メロウ」などの形容詞がよく似合う2ndアルバム。キュアー(CURE)などの耽美派UKアーティストからの影響をラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)流に消化したサウンドを聴かせてくれる。

前作同様にken(g)のギターサウンドは「眩しすぎる光」を感じるものとなっており様々な情景をリスナーに連想させ、また今作から歪んだギターサウンドも導入されておりセンチメンタルな展開から歪んだパートに切り替わる曲も存在している。

hyde(vo)のボーカルラインは「耽美」「メロウ」なサウンドとは対照的に「大空」や「天空」を連想する伸びやかなものとなっている。前作的な響きをもつ曲はsakura(dr)作曲の「6 Inner Core」位であり、彼らの挑戦的な姿勢がしっかりと音に反映されている作品となっている。

    「要点」

  • インディーズアルバムに存在したダークで密室的な雰囲気が後退
  • 「耽美」「メロウ」などの形容詞がよく似合うサウンド

「曲解説」

1 In the Air

「空を舞う」ような浮遊感と「太陽」のような光を感じる空間系ギターポップ。hyde(vo)の美しい高音を活かした伸びやかなボーカルラインは、どこか「密室」のような雰囲気があった前作には見られなかったものである。イントロとアウトロで登場するアルペジオは「誰もいない早朝のビーチ」のようにメロウだ。
2 All Dead

「鏡の中の世界」のような揺らめきを感じるボーカルがインパクト大の曲。イントロ・アウトロでは「波紋のような質感の美しいピアノ」と「頭の中をグシャグシャとかき乱す歪みギター」が絡みつく。曲の中で透明感のある様々な音色のギターサウンドが登場しまるで「油絵」のような深みを感じる事ができる。時折挿入されるグランジ的なうねるギターリフが曲に締まりを与えており(2:10〜)ギターソロは前作の箱庭的な世界には収まりきらない程に叙情的で確かな熱を感じる。
3 Blame

「センチメンタルでメルヘンな思い出のような質感のパート」と「突き刺さるように疾走するパート」の対比が印象的な曲で「静」→「動」を強調した展開はある意味グランジ的である。終盤はアグレッシヴな展開で真っ白なイメージのサウンドレイヤーが存在感を放ち「宙に浮く」ような浮遊感を曲に与え、 最後は自由に弾きまくるken(g)のエフェクティヴなギターワークが「爪痕」のように刻まれる。
4 Wind of Gold

耽美的でメランコリックなUKギターポップのような曲で「誰もいない早朝のビーチ」のような雰囲気を醸し出している。淡々と鳴り響くアコギと「ガラス瓶」のようなキラメキを持つクリーンサウンドを中心に展開される(2:18〜)サビのボーカルラインの後ろで「限りなく透明なベール」のようなストリングスが鳴り響く。その後は「ガラス玉」を連想する木琴のような音がミニマムに鳴り響きアクセントとなっている。
5 Blurry Eyes

「レトロなヨーロッパの街並み」を連想する流れるようなギターサウンドがあり、強烈なサビのボーカルラインが一発で頭に刻まれるシングル曲。サビでは「センチメンタルな思い出」のようなオルゴール風のフレーズが鳴り響き曲にポップネスを与えている。アウトロは「巡る思い」のようなメロウなギターフレーズによって締めくくられる。
6 Inner Core

地下室のようなダークな質感が他の収録曲とは一線を画する異色曲(0:46〜 , 4:42〜)インディーズアルバムに収録されていても違和感がないミステリアスで歪んだ語りがルナティック。ダークで密室的な雰囲気をもつ曲ではあるがサビのhyde(vo)によるボーカルラインは密室的な質感とは対照的で「天空」のように伸びやかである(2:25〜)ギターソロはプログレバンドのように手の込んだもので「油絵」のような透明感と揺らめきを感じテクニカルである。アウトロでは「恐怖すら感じる壊れた質感の笑い声」が空間を歪める。
7 眠りによせて

「牧歌的な雰囲気を持つボサノヴァ調パート」と「グランジーに歪んだパート」が交互に展開されるラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)流グランジソング。ギターソロが終わった後は「歪んだパート」と「ボサノヴァ調パート」がミックスされたようなイメージで、ハードではあるが牧歌的な雰囲気も失われず存在するという凝った展開を見せる。
8 風の行方

「真夏の青空」のような眩しい光を感じるメロウなギターチューン(2:05〜)サビの裏ではボーカルライン以上に目立つベースラインがミステリアスに踊る。「比喩に比喩を重ねられた歌詞」はシュールな印象だが「次の恋を期待する」メランコリックな休日のようなイメージである。
10 White Feathers

「曇り空」のようなどんよりとした空気感を持ち最小限の音数で構成される空間系ギターバラード。サビのボーカルラインは「卒業式」のようなセンチメンタルと光を感じるものとなっており、悩みながら迷いながらでも少しでも前に進もうという希望をリスナーに与えてくれる(4:45〜)ギターソロはアバンギャルドで曲をズタズタに引き裂くような質感である。

インディーズアルバムに存在したダークで密室的な雰囲気が後退して「耽美」「メロウ」などの形容詞がよく似合う2ndアルバム。キュアー(CURE)などの耽美派UKアーティストからの影響をラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)流に消化したサウンドを聴かせてくれる。 前作同様にken(g)のギターサウンドは「眩しすぎる光」を感じるものとなっており様々な情景をリスナーに連想させ、また今

READ MORE

1 29 30 31 56