検索画面を消す
検索画面を消す
live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

「ハードコアパンク、ヘヴィメタルからの影響を全く感じさせない空間的なサウンド」「神秘的でマニアックに尖っている歌詞」などが印象的で、本人たちが望む望まないは別としてルナシー(LUNAEA)の伝説のインディーズアルバム「LUNASEA」と共にV系クラシックとして後続のアーティストに多大な影響を与えたインディーズアルバム。

「眩しすぎる光」のようなken(g)のギターサウンドは他のダーク系バンドでは中々聴けない類のものであり曲に不思議な開放感を与えており、ニューウェイブ的なミステリアスさやダークさを強調したサウンドであっても閉ざされた感があまりしないのはken(g)のセンスによるところが大きいと思われる。

93年リリースのインディーズアルバムではあるが後のラルクサウンドの原型が砂漠の砂に埋もれて存在している、そんなアルバム。

    「要点」

  • V系クラシックとして後続のアーティストに多大な影響
  • 神秘的でマニアックに尖っている歌詞

「曲解説」

1 Shutting from the sky

「これぞラルク!」という煌びやかさと浮遊感を感じるオープニングソング。ユートゥー(U2)からの影響を感じさせるイントロのディレイサウンドは、 ルナシー(LUNASEA)の名曲「MOON」と並びディレイを活用した名フレーズであると思う。歌詞の内容はネガティブにダークに塞ぎ込んでいた主人公が 光の世界の美しさに惹かれ「もう過去には戻れない」というニュアンスの内容。「高速のメトロノーム」のようなディレイサウンドが奏でるモノトーンな響きと 「光が降り注ぐ」ような伸びやかなギターサウンドの対比が印象的でインディーズアルバムの1曲目からして既にken(g)サウンドが完成されている。
2 Voice

耽美的なギターフレーズが空を舞うニューウェイブチューン。マイナー調のコードストロークは「酸性雨」のような煌びやかさがあり(2:55〜)ミステリアスな響きのアルペジオのバックで「天に届く光」のようなアンプのハウリングが鳴り響く。
3 Taste of love

「夜の砂漠」のような雰囲気をもつダークなギターポップ。歌詞の内容はとにかく強烈で濃厚なMの匂いがするものとなっており、絶対的な美を持つ者に対する狂おしい愛情というところだろうか(2:50〜)ギターソロは「闇を舞う紫色の蝶」のようにダークな質感で曲のミステリアスさを助長する。
4 Entichers

メランコリックで「雨が降るパリの街」のような質感の曲(1:15〜)「狂おしい」というワードの登場と共に「脅迫観念」のような黒い影が現れ転調がはじまる。中間部では不気味さを演出する鐘の音が鳴り響く。「メロウなシャンソン」のようなサウンドが不穏な音を更に強烈に引き立てている。
5 Floods of tears

「比喩に比喩を重ねた意味が分かりそうで分からない歌詞」が美しいサイケな曲。終始「ガラスの破片」のような質感のアルペジオがリフレインされ、ベースラインは「うねる波」のような存在感を放つ。ギターソロは「夕暮れの海辺」を連想するようなメロウさと輝きを放つ(4:14〜)コーラスをかけ多重録音されたクリーンなギターサウンドは「終幕」のように退廃的である。終盤は「二度と戻れない夏」のようなセンチメンタルさをもつストリングスが登場して 最後はサビのメロディーを奏でるオルゴールが静かに流れる。
6 Dune

砂の街を舞台にした禁断の愛をテーマにした耽美ギターチューン。「月」「砂丘」「宴」という言葉がリスナーの想像力を強く刺激。歌詞の内容はhyde(vo)以外のシンガーが歌うのは許されない「灼熱の恋」のようなイメージ。サウンドはザ・スミス(The Smiths)のサウンドにロック的なエッジを効かせたようなイメージで流れるような旋律が見事である。
7 Be destined

「神」「園」「十字架」というフレーズがミステリアスではあるが、サウンドはサクッとしたハードなニューウェイブといった感じの曲(2:31〜)tetsuya(b)による早弾きベースラインは「長い蛇」のような存在感がある(2:41〜)現実と空想の境目がグチャグチャになっているようなhyde(vo)の語りはルナティックで恐怖すら感じる。
8 追憶の情景

「古いアルバムをめくりセンチメンタルな思い出に浸る昼下がり」のような質感のアコースティックバラード。後の名曲「Singin’ in the Rain」と同様に「しっとりと雨が降り注ぐ街角」を連想する雰囲気がある(3:47〜)「迷子」のような質感のスパニュシュなギターソロから空間的でエフェクティブなコードストロークが鳴り響く展開に移行。終盤はtetsuya(b)のベースラインがhydeのボーカルラインに「黒蛇」のようにディープに絡みつく。
9 As if in a dream

hyde(vo)が「ラルク史上最高の曲」だと言い(wiki)、グレイ(GLAY)のリーダーTAKUROに多大な影響を与えたラストソング。「退廃的な世界に僅かな光が差し込む」というV系なら誰もが目指すサウンドを最小限の手数で描いている(1:25〜)「海面に浮かぶ光」のようなディレイサウンドがセンチメンタルな質感の曲に光沢を与えている。終盤に登場する「ネオンカラー」のような電子音には彼らの音楽的な懐の深さを感じる。

「ハードコアパンク、ヘヴィメタルからの影響を全く感じさせない空間的なサウンド」「神秘的でマニアックに尖っている歌詞」などが印象的で、本人たちが望む望まないは別としてルナシー(LUNAEA)の伝説のインディーズアルバム「LUNASEA」と共にV系クラシックとして後続のアーティストに多大な影響を与えたインディーズアルバム。 「眩しすぎる光」のようなken(g)のギターサウンドは他のダーク系バンドでは中

READ MORE

「シューゲイザー」「ポストロック」「オルタナ」「インダストリアル」などの前衛的なロックミュージックからの影響を彼らの独自のディープで耽美的なサウンドに反映させた3rdアルバム。

相変わらずのクオリティの高さを見せるが「ダビーなリズムアプローチ」「ジャジーなテイスト」が減少、 また「灼熱の砂漠」や「インド」を連想するような質感の音が多く登場しサイケデリックな表現の模索も感じ取ることができる。

この「前衛的なロックへの接近」はグループ内で亀裂を生み出しメンバーのマッシュルームが脱退する。1st 2ndアルバムで圧倒的に「クールな新感覚サウンド」を鳴らした彼らがクオリティを落とさずに次なる1手を打つことは並大抵ではなく、実際、今作は2ndアルバム「Protection」から4年の歳月を経た98年にリリースされている。

筆者としては苦悩の末に生まれたであろう今作の変化をポジティヴに受け止めている。

    「要点」

  • 前衛的なロックミュージックに影響を受けたサウンド
  • ロックへの接近」はグループ内で亀裂を生み出しメンバーが脱退
  • サイケデリックな表現の模索

「曲解説」

1 Angel

ダイナミズムを感じる歪んだオルタナなギターサウンドを大胆に導入した破壊的な曲で、ディープな質感のシンプルなリズムアプローチと「灼熱の砂漠」のような空気感が特徴である。「love you , love you , love you」というコーラスはディレイをかけたように規則正しくリフレインされる。
2 Risingson

マッシヴ・アタック(Massive Attack)クラシックとも言えるダビーなヒップホップ。「雨雲」のようなダークでディープなベースラインがゆったりとリフレインされる(2:47〜 , 3:16〜)ディープな空気感の中、アルペジオ風サウンドが耽美的な美しい旋律を奏でる。この旋律はこの曲のキーポイントといっていい位に存在感がある。中盤以降はサイケなギターサウンド風の音響も絡まり熱力を高めていく。
3 Teardrop

「インド」を連想するサイケな音響を持つミドルテンポの耽美バラード(3:38〜)シューゲイザーのような音響を持つギターサウンドが「地平線」のようにどこまでも伸びていく。終盤は「雨雲」のような質感のミニマムなピアノが曲にダークな彩りを与える。
4 Inertia Creeps

「乱反射する光」のようなイントロから「ひどい二日酔い」のような質感を持つ展開に移行するダークソング。ミニマムでサイケな残響が次から次に現れてリスナーを見知らぬ異国に導く(3:12〜)「熱帯夜」のような気怠い質感のギターサウンドが転がるようにリフレインされる。終盤はアシッドハウスのような歪んだ低音が存在感を増し曲に弾力感を与える。
5 Exchange

「夢の国」のようなもやっとした音響のシンセポップなインスト。「空に浮かぶ」ような浮遊感と「大地を思い切り蹴る」ような質感のブレイクビーツの対比が印象的であり、最後はバグった電話のコール音が唐突に登場するミステリアスな展開を見せる。
6 Dissolved Girl

トータス(Tortoise)の曲をマッシヴ・アタック(Massive Attack)がリミックスしたような曲。ダークな空気感の中を立体的で躍動感のある音が次から次に現れる展開から(2:38〜)グランジバンドもびっくりの「全てを焼き尽くす」ようなディストーションギターが炸裂(5:04〜)終幕感を感じるシリアスなアルペジオが「時を刻む針」のように静かに流れる。
8 Black Milk

「氷の世界」のような質感のトラックをバックに「女神」のような透明な声を持つボーカリストがメランコリックに囁くボーカルラインを聴かせる。時折、挿入されるソニックなDJスクラッチはポーティスヘッド(Portishead)と共通する質感である。
9 Mezzanine

「サイケな音や歪んだ音響で構成されたアバンギャルドな貼り絵」のような曲。この曲でも「太陽光線」のようにどこまでも伸びる直線的なギターサウンドやインダストリアルロックのように強烈に歪んだ音響が登場する。
11 (Exchange)

「曇りの早朝」のような気怠く透明な空気感をもつ曲。「濃厚な煙」のようなシンセサウンドがサイケな質感を曲に与える。終盤はレコードに落とされた針が「小雨」のようなノイズを奏で静かに終わる。

「シューゲイザー」「ポストロック」「オルタナ」「インダストリアル」などの前衛的なロックミュージックからの影響を彼らの独自のディープで耽美的なサウンドに反映させた3rdアルバム。 相変わらずのクオリティの高さを見せるが「ダビーなリズムアプローチ」「ジャジーなテイスト」が減少、 また「灼熱の砂漠」や「インド」を連想するような質感の音が多く登場しサイケデリックな表現の模索も感じ取ることができる。 この「

READ MORE

1stアルバム同様に圧倒的な存在感と完成度を誇る2ndアルバム。

今作は「ガラス」「クリスタル」などを連想する透明感のある音が非常に目立ち1stよりも耽美性を感じる作品となっている。また前作のような「暗闇なダークネス」ではなく「どんよりとした曇り」のような気怠い空気感をもち音を聴いていると頭の中に様々なイメージが湧く。「気怠さ」と「耽美」が同居する独自の空気感はまるで「二日酔いで迎えた曇った早朝」に「昨日のエロティックな夜を思い出す」ようなフィーリングである。2作目にして「孤高」という言葉がピッタリのクオリティを誇り、いろんな意味で完成され尽くしている。

「曲解説」

1 Protection

モノトーンなアルペジオと「ガラスの破片」のようなギターフレーズが静かにリフレインされるメランコリックなスローバラード(2:38〜)アシッドハウスのような弾力性のあるスライムビートが曲に歪み感を与える。中盤以降は美しい旋律を奏でるボーカルラインの裏で「静かな雨」のようなピアノが存在感を放つ。曲を通して「曇りの日の憂鬱な早朝」を連想するような気怠さがあり、最後は降り注ぐ雨音とピアノの旋律だけが静かに鳴り響く。
2 Karmacoma

「酩酊」のような質感のリズムと「囁く」ようなラップが「宴」のような雰囲気を醸し出すダビーなヒップホップ。リズムは「先住民の足跡」のように「ドシドシ」と強くシンプルに響き渡る(2:08〜,3:38〜)吹奏楽器が「強い風」のように神聖な質感のオリエンタルな旋律を奏でる。淡々とした展開の曲だがダレることなく常にシリアスな緊張感が保たれている。
3 Three

「神秘的で真っ白な空間」を連想する幻想的な曲。「Three」「Three」「Three」とタイトルを連呼する男の声がシュールで耳に残る。リズムアプローチは「海中の泡」のように静かであり、音響として機能している。
4 Weather Storm

「しっとり雨が降るアーバンな街角」のようなジャジーなインスト。「しっとり降る雨」のようなジャジーなピアノとは対照的なディープで分厚いベースラインが曲を引っ張る。中盤以降はストリングス風シンセサウンドが目の前に「霧」のように現れる。
5 Spying Glass

「ガラスの世界」のような揺らめきと残響が心地よいダブチューン。時折挿入されるカラフルなギターサウンドの断片はリスナーの脳を突き刺す。中盤以降は「1 Protection」同様にアシッドハウスのような弾力性のある低音が登場。終盤は全ての音が「無邪気な動物達」のように目の前に飛び出さんばかりの勢いで鳴り響く。
6 Better Things

「くぐもったベースライン」と「ドリーミーな音響」が印象的な神聖なバラード。この曲でも「ガラスの破片」のようなギターサウンドの断片がリフレインされている。中盤以降は「ノスタルジーな故郷」のようなストリングスが登場し曲に深みを与えている。
7 Euro Child

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)とも共通する「揺れるサウンドレイヤー」を持つダークなヒップホップ。「yeah、yaah」という女性コーラスはビビッドで強烈な響きを持ち「呪縛」のように脳裏に刻まれる。「二日酔いのような気怠さ」と「昨日のハイな思い出」が同居しているようなイメージの曲。
8 sly

「春のような爽やかさ」と「曇り空のような憂鬱さ」が同居しているミドルテンポの曲。クラシカルな弦楽器とストリングスが気怠い音響の中を優雅に踊る(2:56〜)「ガラス細工」のような透明なサウンドと分厚いベースサウンドが絡まりアクセントとなる。
9 Heat Miser

「クリスタル」のような質感のピアノサウンドとダビーなリズムアプローチが「霧」のような雰囲気を醸し出すインスト。直線的に「記号」のように鳴り響く分厚いベースラインがピアノの美しく耽美な旋律をより引き立てる(2:20〜)「光線」のような質感の電子音は「早朝の曇り空を羽ばたく鳥」のように自由だ。
10 LIght My Fire(Live)

ライブ音源をラストに挿入するセンスが非ロック的であり、歓声の存在もあり「賑わう市場」のような雰囲気を持つ曲である。トラックは「ビームや銃声をサンプリング」しておりストリート感がある(1:40〜)長年開いていなかった扉を開けるようなラッパが渋く響き渡る。

1stアルバム同様に圧倒的な存在感と完成度を誇る2ndアルバム。 今作は「ガラス」「クリスタル」などを連想する透明感のある音が非常に目立ち1stよりも耽美性を感じる作品となっている。また前作のような「暗闇なダークネス」ではなく「どんよりとした曇り」のような気怠い空気感をもち音を聴いていると頭の中に様々なイメージが湧く。「気怠さ」と「耽美」が同居する独自の空気感はまるで「二日酔いで迎えた曇った早朝」

READ MORE

音楽シーンに多大な影響を与えたアルバムが複数リリースされた黄金の91年にリリースされ最も幅広いジャンルのミュージシャンに影響を与えた完璧なデビューアルバム。

「ダブ」「ジャズ」「ヒップホップ」「ソウル」「ニューウェイブ」を独自の感性でミックスし「ダーク」×「ディープ」×「耽美的」な世界観を構築している。全編を通して冷気を感じるサウンドが展開されるが「ドライアイス」のような「冷た過ぎて熱いシュールな熱量」を感じる事ができる。

本作は「トリップホップ」と呼ばれるジャンルのスタート地点のような作品であり、90年代に「ダーク」×「耽美的」な質感のサウンドをもつアーティスト達が活躍できる土台を作った。

    「要点」

  • 幅広いジャンルのミュージシャンに影響を与えた完璧なデビューアルバム
  • 「ダーク」×「ディープ」×「耽美的」な世界観

「曲解説」

1 Safe from Harm

冷気を感じる神聖な空気感の中、立体的で重いベースラインが強烈な存在感を放つダークソング。時折、挿入される「氷の雫」のようなピアノサウンドが耽美な質感と透明感を曲に与えている(1:55〜 , 3:12〜)普通のギターバンドでは中々聴くことができないコクのあるディープな音色のギターサウンドが登場。ゲスト女性ボーカリストは女神のような歌声で壮大なメロディーラインを奏でており、ディープで耽美的なサウンドと素晴らしくフィットしている。
2 One Love

ダビーなリズムアプローチがまるで「二日酔いで迎える早朝」のような気怠さと透明感を演出している。「ガラス玉」のようなアルペジオが透明感と耽美な質感を曲に与えており、「ソニックに切り込むDJスクラッチ」「物悲しくも優雅な弦楽器のミニマムな音色」「軍歌のように威圧的な音響の断片」がシュールでダークな世界観を演出している。最後は「誰もいなくなった部屋」のようなセンチメンタルで透明なピアノが静かに流れる。
3 Blue Lines

渋みのあるジャジーなサウンドが「アダルトなbar」を連想するディープなヒップホップ。「雨雲」のようにダークなベースラインが存在感抜群で終始曲をリード。ストリート感のあるアグレッシヴなラップの真逆を行くクールで冷たい質感のラップは「理性的で知的な会話」のようである。
4 Be Thankful for What You’ve Got

「深い渋みをもつブラックコーヒー」のような質感のファンキーなソウル。ベースラインは「巨大な蛇」のように底でゆったりと動き曲にコクを与えている。 時折、挿入される「ガラスの破片」のようなギター音色が透明な輝きを放つ。
5 Five Man Army

「熱帯夜」のような絡みつく暑さを案じるダブチューン。男性ラッパーの歌声は「熟成されたワイン」のように深く「アラブの太陽」のようなサウンドの断片や 「酩酊」のような透明感をもつギターフレーズがサイケデリックである。終盤は「ガラス越し」のような質感のホーンが存在感を放つ。
6 Unfinished Sympathy

「大空のような壮大さと浮遊感を感じるストリングス」と「金属が擦れるようなミニマムなビート」の対比が印象的な曲で、どこまでも果てしなく続く白い空間が目の前を覆う(4:07〜)「果たせなかった約束」のようなシリアスなピアノが曲をビシッと引き締める。
9 Hymn of the Big Wheel

「ビビットで立体感のあるブレイクビーツ」と「油絵のようなドリーミーな音響」が絡まるラストソング。サビのバックではマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)彷彿の白昼夢サウンドが鳴り響き、終盤は「荒涼とした大地に吹き荒れる強風」のようなサウンドがミステリアスさを強調する。

音楽シーンに多大な影響を与えたアルバムが複数リリースされた黄金の91年にリリースされ最も幅広いジャンルのミュージシャンに影響を与えた完璧なデビューアルバム。 「ダブ」「ジャズ」「ヒップホップ」「ソウル」「ニューウェイブ」を独自の感性でミックスし「ダーク」×「ディープ」×「耽美的」な世界観を構築している。全編を通して冷気を感じるサウンドが展開されるが「ドライアイス」のような「冷た過ぎて熱いシュールな

READ MORE

アンダーワールド(Underworld)独自の「悩ましいダンスミュージック」が最高の形でパッケージングされている作品であり、これまで様々なサウンドでニューウェイブ的なダークさ陰鬱さをダンスミュージックに反映させることにトライしてきたと思うが、本作は「完璧な回答」といえるクオリティとなっている。

2002年はアンダーワールド(Underworld)同様に世界的なダンスアクトであるケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)もまた「サイケデリックな答え」のような強烈な作品をリリースしている点が非常に興味深い。

この2つの作品に共通している点はエレクトロニカやポストロックなどの新感覚に安易に流される事なく、自分たちの特徴を追求して「ストイックな答え」を出している点にあり両作共に音に全く迷いがなく直線的にリスナーの耳と身体にダイレクトに突き刺さる。知的な若者の「憂鬱な気分」だが「踊りたい気分」という歪なニーズを満たしてくれる神作と言える

    「要点」

  • 「悩ましいダンスミュージック」が最高の形でパッケージング
  • 自分たちの特徴を追求して「ストイックな答え」を出している点

「曲解説」

1 Mo Move

「時空が歪んだ」ような重低音と直線的でミニマムなビートが印象的。モノトーンで神聖な空間の中で鳴らされるミニマムなダンスミュージックという趣の曲。「祈り」のように透明なボーカルはリフのように短いフレーズ「that i’m chemical」を連呼する(4:12〜)リズミカルなパーカッションが曲に躍動感を与えダンスミュージックとしての強度を高める。
2 Two Months Off

「透明なベール」のようなサウンドレイヤーが幻想的な音響を奏でるシューゲイザーソング。夢見心地な雰囲気と躍動感のあるミニマムなビートが見事に融合されマッハの体感速度を感じる事ができる。またカール・ハイドのボーカルはメロディックで美しいメロディーを奏でている。
3 Twist

「早朝の海辺」を連想するようなミニマムなピアノがリフレインされるトラックの上を「鈍い光」のようなメタリックなサウンドやパーカッショナルなリズムが躍動する。終盤はビートが強度を高める展開となるが、そこに真っ白なストリングスが表れて全てを優しく包み込む。最後は「迷子」のように彷徨うビートだけが静かに鳴り響く。
4 Sola Sistim

「雨雲」のようなどんよりした質感と重さをもつスローなブレイクビーツを中心に展開されるダークソング。吹奏楽器の音の断片が曲にシリアスな緊張感と彩りを与えており、カール・ハイドのボーカルは浮遊感のある歪みが加えられており「ガラス越し」のようなセンチメンタルさを醸し出している。終盤は「わずかに感じる柔らかい光」のようなサウンドが曲に輝きを与える。
5 Little Speaker

潤った重力感が心地よい曲で囁くような女性ボーカルをフィーチャーしている。この曲でも「3 Twist」同様にミニマムなピアノフレーズがリフレインされている。序盤はモノトーンな質感の淡々とした展開だが(4:00〜)煌びやかでビビッドなシンセサウンドがミニマムに鳴り響きリスナーの頭の中を極彩色に染め上げる。終盤は全ての音が「油絵」のように揺れて眼に映る全てが光に包まれるサイケデリックな展開となる。最後は「スライム」のような音響の上をミニマムなシンセサウンドだけが「独り言」のように鳴り響く。
6 Trim

KID A期 / レディオヘッド(radiohead)のB sideソングのような雰囲気をもつ「曇りのち曇り」のような曲。「ガラスの破片」のような質感のミニマムなギターサウンドがリフレインされビートは極限までシンプルに削ぎ落とされている。
7 Ess Gee

「本当にアンダーワールド(Underworld)の曲なのか?」と思える位にアナログな音で埋め尽くされたサウンド。「幼い日のエモい思い出」のようなセンチメンタルな音響が静かに孤独に鳴り響く。
9 Ballet Lane

アンビエントな質感の透明なアルペジオを大胆にフィーチャーしたメランコリックチューン。アルペジオの旋律は「UK×美メロ系ギターバンド」と共通する「美しいがメランコリック」という類のものであり、シンプルではあるがいつまでも頭の中で反芻する不思議な魔力がある。
10 Luetin

アシッドハウスにをエレクトロニカ以降の氷の質感でアレンジしたようなラストチューン。ダンスを誘発する黒くディープな四つ打ちとメランコリックなストリングスの共存がなんとも言えない空気感を演出しており、アンダーワールド(Underworld)独自の「悩ましいダンスミュージック」を象徴する曲となっている。

アンダーワールド(Underworld)独自の「悩ましいダンスミュージック」が最高の形でパッケージングされている作品であり、これまで様々なサウンドでニューウェイブ的なダークさ陰鬱さをダンスミュージックに反映させることにトライしてきたと思うが、本作は「完璧な回答」といえるクオリティとなっている。 2002年はアンダーワールド(Underworld)同様に世界的なダンスアクトであるケミカル・ブラザーズ

READ MORE

1 30 31 32 56