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live at the indoor
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検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

「透明感や氷のような冷たさを感じる音響」や「ビビッドに歪んだ電子音」を大幅に取り入れた5thアルバム。

一つ一つの音の強度が格段に上がっており前作・前々作に存在した「閉ざされた感」を打破しているという印象で、エレクトロニカやヒップホップのからの影響を曲に反映させポップ・ミュージックとして明らかな飛躍を遂げていると感じる。

ただしアンダーワールド(Underworld)が元気のよい健全なダンスミュージックをやるはずもなく「ビビッドに歪んだ電子音」や「氷のような冷たい音響」がさらに活きるように「不吉な影」や「どんよりした雨雲」を連想するダークなサウンドが今作でも聴くことができる。

ダークなサウンドの登場頻度はこれまでの作品と比較して減ってはいるのだが、登場する回数が少ないほどにそのダークさが際立つという構造になっている。このダークさこそが「不機嫌なダンスミュージック」を鳴らす彼らの最大の個性と言えるだろう。

    「要点」

  • ポップ・ミュージックとして明らかな飛躍を遂げている
  • エレクトロニカやヒップホップからの影響を曲に反映させた
  • ダークなサウンドは登場回数こそ減ったがキーであることにかわりない

「曲解説」

1 Cups

前作・前々作とは明らかに異なる透明感を感じるアッパーチューン。ダークな質感のミニマムなビートの上を氷のような質感の電子音が踊る。 ボーカルは相変わらず無機質なロボット風ボイスである。中盤以降はBPMが早くなりダンスミュージックらしいアッパーさを持ち始める。終盤は「電子バリア」のような歪みと「ネオンカラーのビーム光線」のようなシンセが空間を支配する展開となり、様々な人の声を早送りしたような音響も挿入される。
2 Push

「難解なエレクトロニカ」のような立体的でミニマムなビートと冷たいピアノがリフレインされる曲。カール・ハイドのボーカルはメランコリックでダークなラップのような趣である(2:10〜)「不吉な影」のようなもやっとした電子音が遠くのほうでダークに鳴り響く。終盤は「電撃」のような電子音などが存在感を発揮するが最後は唐突に途切れるように終わる。
3 Jumbo

「夏の海」を思わせる透明でブルーな音響と「ビビッドに歪んだビート」が共存しているサウンドでどことなく三ツ矢サイダーを連想する曲。中盤からは「きらめくバブル」のような電子音がループされ目の前が光で溢れる。アナログな音は入っていないが「メロウな80年代ギターポップ」を聴いた後のような清涼感と晴れやかさを感じる。
4 Shudder / King Of Snake

「電撃」のような切り裂く電子音がリフレインされるアッパーチューン(2:50〜)清涼感を感じるピアノ風ミニマムリフが「電撃」のような電子音をさらに激しく響かせる。カール・ハイドのボーカルはマークパンサー的な「ファンキーな語り」のようなものとなっており、中盤以降はストリート感のある音の断片が挿入され曲にさらなるスピードを与えている。最後はシリアスな雰囲気が漂う独り言で幕を閉じる。
5 Winjer

「空を飛んでいる」ような浮遊感となんとも言えない不穏さが同居している曲。ビートは「鼓動をテクノ化」したような質感であり、ボーカルは囁くような呪文風ボイスである。
6 Skym

「マニアックな儀式」のような雰囲気をもつ幽玄なバラード。「地球儀を指でクルクル回す」ような質感の電子音がループされ、ボーカルラインは「異空間」のように不穏である。
7 Bruce Lee

金属的な響きを持つ無機質なアンダーワールド(Underworld)流ヒップホップ。DJスクラッチやカール・ハイドのラップも歪んでおり、まるでインダストリアルロックを聴いているような気分になる曲(3:47〜)熱量が高くファンキーな展開の裏で「どんよりした雨雲」のような陰鬱な電子音が姿を表す。この辺りのニューウェイブ的センスはアンダーワールド(Underworld)ならでは。
9 Push Downstairs

「氷の世界」のような冷たいサウンドをバックにメロディックな呪文が不穏に鳴り響くミステリアスな曲。
10 Something Like a Mama

Something Like a Mama(ママのようなもの)というタイトルとは裏腹に「何もない真っ白な空間」のような空虚さをもつサウンドが展開される。 中盤以降はビートの粒がタイトに鳴り響き、歪んだ電子音なども登場するが空虚な雰囲気は終始保たれる。
11 Moaner

「酸性雨が降るジャングル」のような質感の極彩色なアシッドハウス。リズムはディープな四つ打ちでビビッドに歪んだ電子音はリスナーの頭の中で縦横無尽に暴れる。カール・ハイドのボーカルは扇動のようなテンションとなっている

「透明感や氷のような冷たさを感じる音響」や「ビビッドに歪んだ電子音」を大幅に取り入れた5thアルバム。 一つ一つの音の強度が格段に上がっており前作・前々作に存在した「閉ざされた感」を打破しているという印象で、エレクトロニカやヒップホップのからの影響を曲に反映させポップ・ミュージックとして明らかな飛躍を遂げていると感じる。 ただしアンダーワールド(Underworld)が元気のよい健全なダンスミュー

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「BPM以上のスピード感を演出する高速ループ」や「ビビッドな電子音」など様々な情景を連想するサウンドが印象的でニューウェイブ的なダークさとミステリアスな雰囲気があった前作よりクリアーな音が多くなった4thアルバム。

カール・ハイドのボーカルは相変わらず無機質で脱力感のあるものが多いが、ラストソング「8 stagger」ではレディオヘッド(radiohead)のようなエモーショナルを感じる。またエイフェックス・ツイン(Aphex Twin)やオウテカ(Autechre)などのエレクトロニカ系アーティストから影響をうけたと思われる「冷たく透明な質感の音」や「神経質なブレイクビーツ」なども柔軟に受け入れており、アルバムジャケット同様に「ダークで陰鬱な黒」を開放的に表現したようなアルバムとなっている。

    「要点」

  • エレクトロニカ系アーティストからの影響をうけている
  • 「ダークで陰鬱な黒」を開放的に表現したようなアルバム

「曲解説」

1 juanita : kiteless : to dream of love

「深夜の首都高速をドライブする」ようなスピード感を感じる16分超えのオープニングチューン。序盤に登場するボーカルラインは一切の感情がなく「暗号」のように無機質である(3:40〜)「眩しいネオン」のような電子音が高速でループされ、体感速度を大幅に上げる(6:02〜)「回りながら落下」するような電子音が存在感を放つミステリアスな展開となり、その後はリバーヴのかかったギターサウンドの断片が登場。10分を超えたあたりから曲はアシッドハウスのようなディープさを持ち始める(12:12〜)「透明なクリスタル」のような質感のシンセサウンドが光の速さで美しい旋律を奏でる。このサウンドをバックに「人間らしい暖かい感情を持ったボーカルライン」が登場。そこに「電気的な歪み」を感じるエッジのたった電子音やアシッドハウス的な「鳥類の鳴き声にエフェクトをかけた」ようなサウンドが絡む。最後は「壊れたロボット同士の会話」のような声の断片がミステリアスに響く。
2 banstyle/sappys curry

序盤と中盤で曲の雰囲気がガラリと変わるプログレな曲。時折挿入されるカール・ハイドのボーカルは脱力感がありメロウなものとなっている。0~6分頃までは「雲の上」のような浮遊感を感じる音響とシャープなジャングル風ブレイクビーツが印象的な展開でエイフェックス・ツイン(Aphex Twin)以降の神経質な音響も登場する。6分頃〜 アナログな暖かさを感じる立体的なスラップベースがミニマムなフレーズを奏でて、そこに「さざ波」のような質感の電子音が絡まり「メランコリックな夏の海」を連想するような空気感が出来上がる(11:53〜)「シュールな世界にワープできる泉」のような質感のサイケデリックな音響がリスナーの頭の中をグシャグシャとかき乱す。終盤はこれまで曲中に登場した全ての音と雰囲気が絡まるカオスな展開で幕を閉じる。
3 confusion the waitress

「ミニマリストの部屋」を思わせるミニマムでメランコリックな質感の曲。リズムは規則正しい四つ打ちとブレイクビーツが交互に鳴らされるイメージで、 ボーカルラインは相変わらず「独り言」のようなものとなっている。
5 pearls girl

「どんよりした曇り空にモザイクをかけた」ような空気感の曲。エレクトロニカ風の神経質なブレイクビーツやバグったコンピュータボイスが時折挿入される。この曲でのカール・ハイドのボーカルはインダストリアル的に歪んでいる(5:28〜)「crazy、crazy」というワードを高速ループするシュールな展開となり、そこにバグった質感の細切れの女性ボイスも加わってリスナーをトランス状態にする。終盤は「神聖で真っ白なストリングス」が全てを包み込むがそこに神経質なブレイクビーツが「蛇」のように動き回りアクセントを加える。
6 air towel

ビビッドな音色の電子音が終始「ギターリフ」のようにリフレインされるシンプルな曲。「囁き」のような無機質なボーカルはメランコリックでメロディーを聴かせる気などまるでない。中盤以降はエレクトロニカ的な冷たい音像が曲に冷気を与える。
8 stagger

モノトーンでシリアスな空気感を持つダウナーソング。物悲しくダークなピアノ風の旋律は「氷の迷路」のようであり、カール・ハイドのボーカルはレディオヘッド(radiohead)のようにエモーショナルである。終盤〜最後は歪んだビートだけが「重い足取り」のようにスローに鳴り響く。

「BPM以上のスピード感を演出する高速ループ」や「ビビッドな電子音」など様々な情景を連想するサウンドが印象的でニューウェイブ的なダークさとミステリアスな雰囲気があった前作よりクリアーな音が多くなった4thアルバム。 カール・ハイドのボーカルは相変わらず無機質で脱力感のあるものが多いが、ラストソング「8 stagger」ではレディオヘッド(radiohead)のようなエモーショナルを感じる。またエイ

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メランコリックでダークな質感を持つ「悩ましいクラブミュージック」という趣の3rdアルバム。

「極彩色な電子音」や「ディープな四つ打ち」などはあまり鳴らされおらず、反面、メランコリックでダークなギター・アルペジオやメタリックな音響、「メロディックな語り」のような無機質でミステリアスなボーカルが非常に印象的であり、彼らが元々ニューウェイブ系バンドであったというのも納得のサウンドである。

アシッドハウス以降の「レイヴ的な開放感」や「サイケデリックな質感」をほとんど感じないダークで無機質なサウンドは当時のテクノ・ハウス畑では間違いなく浮いた存在であった思われ、キャッチーでもポップでもなく「地下室」のようなダークさを持つサウンドではあるが聴いた後でも不思議とビートや音響などが耳に残っている。 またラストソング「9 M.E」で聴ける不可思議な日本語の存在も日本人としては気になるところである。

本作は筆者の感覚でいえば「非売れ線ミュージック」であると思うのだがアンダーワールド(Underworld)は「テクノ路線のファーストアルバム」である本作でブレイクを果たす事となる。

    「要点」

  • メランコリックでダークな質感を持つ「悩ましいクラブミュージック」
  • ギターのアルペジオやメタリックな音響、無機質でミステリアスなボーカルが特徴

「曲解説」

1 Dark&Long

「地下室」のようなダークさを持つオープニングチューン。メタリックな質感のモノトーンな電子音がまるで「酸性雨」のように降り注ぎ、クールで「独り言」のようなボーカルラインは抑揚はあまりないが不思議と頭に残る。このあたりが元ギターバンドのメロディーセンスなのだろうか?!BPMは一貫してゆったりとしたテンポであえて抑制しているかのような淡々としたものとなっている。
2 mmm skyscraper i love you

13分の中に様々な質感や表情を持つミステリアスな曲。序盤はアフリカン・テイストのパーカッションがリスナーの体を揺らし「カラフルなビーム」のような電子音がリスナーの目の前を通り過ぎるように鳴り響く。ボーカルはメロディックなラップ風のボーカルラインをクールに歌う(6:20〜)エフェクティヴなギターサウンドが「ガラスの破片」のように目に突き刺さり(6:58〜)唐突に「揺らめく光」のようなサウンドが挿入されて「幻の都」のようなサイケデリック感を醸し出す(7:45〜) 非常に耳に残るシンセリフが曲に疾走感を与える。この疾走感と連動するようにボーカルラインも抑揚のあるメロディックなボーカルラインを奏でる。終盤は神聖な雰囲気のストリングスが鳴り響く中、きらめく電子音や日本語の断片が登場して、まるで「鏡の中の世界に迷い込んだ」ようなミステリアスな展開となる。
3 Surfboy

「時空を超えるようなミニマムなループ」がインパクト大の曲。「近未来の汽車」のようなイメージの電子音や少し狂った感じのする男の雄叫びなどがミステリアスな印象を与える(5:02〜)「真っ白な何もない空間」のようなストリングスが流れ神聖な雰囲気を醸し出す。終盤は「縮れた電子音」がザラついた質感を曲に与え、最後はビートだけが静かに流れる。
4 Spoonman

歪ませたホラーテイストのサンプリングボイスが「電子の海に広がる波紋」のように広がるダークなアッパーチューン。電子的な歪みと「ジェル」のような浮遊感と重さを感じる音響が全編を通して流れ、挿入されるボーカルラインは「メロディックな独り言」風であるが曲にフックを与えている。
5 Tongue

「恍惚」のような光を感じるギターサウンドをフィーチャーした陰鬱なサイケソング。時折、挿入される「鳥のさえずり」や「川のせせらぎ」は砂漠のオアシスのような安らぎを与えてくれる(2:10〜 、3:25〜)「夜の砂漠」のようなダークさと静けさを持つ秀逸なアルペジオがサビのような存在感を放つ。
8 river of bass

「物憂げな昼下がり」のような雰囲気のミニマルポップ。淡々としたリズムとモノトーンなベースラインの上を最小限の音数で構成されるメランコリックなアルペジオが静かにリフレインされる。「5 Tongue」でも聴けたがこのアルペジオの活かし方は彼らの個性の一つだと思われる。聴く時の気分によって好みが分かれるとは思うが、メランコリックなロック好きに是非おすすめしたい名曲。
9 M.E

「カラフルな光溢れる部屋」のようなサウンドをバックに「あなたの夢に私を保てる??」という不可思議な日本語がシュールなインパクトを放つラストソング。モノトーンな音色のベースラインが曲にうねりを与えている。中盤以降はジャージで美しいピアノの旋律が曲に色彩を与えておりメランコリックな質感を与える。終盤は「起きろ〜」というアニメ風のコミカルボイスが挿入される。

メランコリックでダークな質感を持つ「悩ましいクラブミュージック」という趣の3rdアルバム。 「極彩色な電子音」や「ディープな四つ打ち」などはあまり鳴らされおらず、反面、メランコリックでダークなギター・アルペジオやメタリックな音響、「メロディックな語り」のような無機質でミステリアスなボーカルが非常に印象的であり、彼らが元々ニューウェイブ系バンドであったというのも納得のサウンドである。 アシッドハウス

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90年代における「ロック」×「テクノ」のクロスオーバーの文脈で抜群の完成度を誇る傑作3rdアルバム。 オルタナやグランジ系のアーティストの曲で聴けるようなノイジーなギターリフを思わせるフレーズなども登場、アシッドハウスやジャングルなどと共通するような開放的な雰囲気を持ちつつもロック的なダイナミズムを絶妙にサウンドに反映している。

「扇動者」のようなアグレッシヴなラップ「縮れている」ように歪む低音、アグレッシブに畳み掛けるアッパーなビートなどが本作の音楽的な特徴と言える。

また「7 Narayan」「10 Fuel My Fire」では流れるようなメロディーをもつボーカルラインをフィーチャーしており、「10 Fuel My Fire」に関してはニルヴァーナ(Nirvana)に対するザ・プロディジー(The Prodigy)からの回答のような曲であり「ロック」×「テクノ」の文脈では、色んな意味で「行き着くところまでいきついた作品」であるという印象である。

    「要点」

  • 抜群の完成度を誇る傑作3rdアルバム
  • グランジ系アーティスト彷彿のギターリフのようなサウンドも登場

「曲解説」

1 Smack My Bitch Up

リスナーを扇動するような「Change My Pitch Up!Smack My Bitch Up!」というボーカルラインがメロディックな呪文のように繰り返されるアンセム。ビートは直線的でパンチ力のものとなっており「光のウェイブ」のようにうねる電子音が「性急なギターリフ」のように畳み掛けてくる(3:02〜)「エモーショナルな祈り」のような女性ボーカルが登場し恍惚のような光に包まれる。「ロック的な縦ノリ」と「クラブミュージックの横揺れ」を完璧なバランスでミックスした名曲。
2 Breathe

アーバンなドライブ感を持つ高速アシッドハウス。この曲でも「リスナーを扇動する」ようなアグレッシヴなラップが炸裂(3:30〜)歪んだベースラインとパーカッションだけの静のパートが挿入される。全編を通してサイバーな質感を持つ電子音が空間を支配する。
3 Diesel Power

「砂嵐」のようなざらついた質感の歪んだヒップホップ。ベース音は「縮れている」ように地を這うような質感のものである。
5 Serial Thrilla

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)風のハードなギターリフをブレイクビーツと絡めたハードなファンクチューン。サビではタイトルである「Serial Thrilla」が連呼され(2:25〜)「縮れた」ような質感の電子ノイズが空気を切り刻む。終盤は全てのパートが歪みを増幅し、一層ハードなサウンドとなってリスナーの脳とフィジカルを刺激する。
6 Mindfields

ディープでどっしり重たいビートと「黄金の宮殿」のようなオリエンタルなメロディーラインが印象的なミドルテンポの曲。時折、挿入されるギターノイズは「眩しすぎる光」のような質感である。中盤以降は頭の中をカラフルに染め上げる電子音が存在感を増しファンキーな展開となる。
7 Narayan

これぞUKロックという流れるようなメロディーラインがメロウに響く曲。「透明なクリスタル」のようなシンセサウンド、「陽炎」のような熱気をもつ音響が印象的で「蒸せるような暑さ」と「氷のような冷たさ」が同居しているようなイメージである(4:40〜)クーラ・シェイカー(Kula Shaker)の曲に登場しそうな「インディオなお経」風のボーカルラインが濃厚な香りを発し、終盤はこれまで大人しくしていたビートが「サンバ」のようにダンサブルに響き渡る展開となり、最後は「メタリックな雨雲」のような不穏な音響に包まれる。
8 Firestarter

「モザイクがかかった煙」のような電子音がギターリフのように鳴らされるソリッドなアッパーチューン。「hey hey hey」という少し能天気なコーラスがシリアスな雰囲気の曲にポップな質感を与えており、リズムアプローチは「これぞ!ザ・プロディジー(The Prodigy)」という高速ブレイクビーツとなっている。中盤以降は「リスナーの脳をレンガでこする」ような質感の電子音が頻繁に登場する。
10 Fuel My Fire

「ニルヴァーナ(Nirvana)の曲を洗濯機にぶち込んだ」ような渦巻きグランジソング。「サイレン」のようなサウンドやドリーミーなオルガンサウンドなどは他の曲にはない質感であり、ボーカルの声も強烈に歪んでいるがボーカルラインはキャッチーで非常に耳に残り不思議な愉快さも感じるものとなっている。

90年代における「ロック」×「テクノ」のクロスオーバーの文脈で抜群の完成度を誇る傑作3rdアルバム。 オルタナやグランジ系のアーティストの曲で聴けるようなノイジーなギターリフを思わせるフレーズなども登場、アシッドハウスやジャングルなどと共通するような開放的な雰囲気を持ちつつもロック的なダイナミズムを絶妙にサウンドに反映している。 「扇動者」のようなアグレッシヴなラップ「縮れている」ように歪む低音、

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「パンク以上にパンクなテンション」でアグレッシヴに畳み掛けるザ・プロディジー(The Prodigy)のデビューアルバム。デビューアルバム時点からすでに完成されているハイクオリティーなアッパーチューンの数々は名作「The Fat of the Land(1997年) 」にも劣らないテンションとエッジを持っており、高速のブレイクビーツがデフォルト化されているジャングルなサウンドは理屈抜きでフィジカルを刺激する。

またメロディーやアクセントとしてではなく「扇動者」のようにアグレッシヴなサンプリングボイスが印象的で多くの曲で「アニメのキャラ風のコミカルなラップ」が登場して曲にBPM以上のスピード感を与えている。

ロックとテクノのクロスオーバーで語られる事の多いザ・プロディジー(The Prodigy)だが、本作を聴く限り彼らから感じるロック感はサウンド面ではなく徹底したアグレッシヴさを貫く姿勢からきていると思われる。

    「要点」

  • 「パンク以上にパンクなテンション」でアグレッシヴに畳み掛ける
  • 高速のブレイクビーツがデフォルト化されている

「曲解説」

1 Jericho

「ヤバいモノを大量生産している工場」のような不穏さを持つアッパーチューン。ブレイクビーツは「早足で駆け抜ける」ようなBPMとなっており「ガラスの破片」のような透明な電子音が目に刺さる。「アニメ風のコミカルでアグレッシヴなラップ」がポップソングとしての強度を高めている。
2 Music Reach(1/2/3/4)

「レイヴサウンドにモザイクをかけた」ようなアッパーチューン。「1 Jericho」同様に「アニメキャラ風のコミカルなサンプリングボイス」が印象的で「ボタンのかけ違いのように微妙にタイミングがずれた」カラフルな電子音や「縮れた髪の毛」を思わせる歪んだ質感のサウンドがミニマムに響き渡る。リズムはジャングルで時代を先取りしている。
3 Wind It Up

「小室哲哉」のように手数の多いシンセフレーズが印象的な曲で、ダンスミュージックのアグレッシヴさと80年代UKギターポップのような軽やかさを持つ(1:58〜)強烈に歪んだ低音が存在感を増しアグレッシヴに攻める展開になるが(2:38〜)そこに清涼感がある「そよ風」のようなシンセフレーズが表れる。
4 Your Love

「ネオンカラー」を連想する電子音が咲き乱れるダンスチューン(1:26〜)高速ジャングルビートのバックで「真っ白」な質感のストリングスが鳴り響く(1:46〜)メタリックな音の破片が無造作に鳴り響きハイテンションな展開に移行。局面ごとに多様なサンプリングボイスが使われており、まるで「貼り絵」のようである。
5 Hyperspeed

「真っ白なキャンパスに尖ったノイジーなアイデアを全てぶちまけた」ようなバンギャルドな曲。高速ブレイクビーツで疾走する曲ではあるが「精神と時の部屋」のような神聖な音響も感じ取ることができる。女性ボーカルによるラップはまるで「扇動者」のようにアグレッシヴである。
6 Charly

「アグレッシヴでハイテンションをヒップホップを1.5倍速にしてエレクトロなビートでズタズタにした」ような曲。「アナーキーなアニメキャラ風ラップ」や「子猫の鳴き声」のような可愛い音がBPM以上のスピード感を生み出す。
7 Out of Space

1曲の中に複数の曲が同居しているかのような展開を見せるアバンギャルドな曲(0:54〜)カエルが飛び跳ねるようなサウンドの登場と共に「古典的なポップス」のような哀愁感溢れるメロディーが流れるまさかの展開。そこに「ド派手なネオンカラー」を連想する電子音が絡まり、またしても「アナーキーなアニメキャラ風ラップ」が曲を引っ張る(2:26〜)氷の質感を持つ電子音がミニマムに鳴り響く展開はまるで「氷の迷宮」のようだ(3:08〜)またしても唐突に哀愁感漂うボーカルラインが登場して意表を突かれる。
10 Fire

ピアノの連打と優雅なストリングが印象的で「散らかった部屋」のような質感の曲。「ワイルドな雄叫び」のようなサンプリングボイスはとてもパンチ力があり「キャッチーな呪文」のようなラップはやはりアニメ風に響き渡る。
12 Death of the Prodigy Dancers(Live)

「ハードコアテイストのアシッドハウス」のような曲のLive音源。随所で鳴り響くホイッスル、「扇動者」のように煽るラップにはロック的な熱量があり「スライムが飛び跳ねた」ような弾力感のある低音が縦横無尽に暴れる。

「パンク以上にパンクなテンション」でアグレッシヴに畳み掛けるザ・プロディジー(The Prodigy)のデビューアルバム。デビューアルバム時点からすでに完成されているハイクオリティーなアッパーチューンの数々は名作「The Fat of the Land(1997年) 」にも劣らないテンションとエッジを持っており、高速のブレイクビーツがデフォルト化されているジャングルなサウンドは理屈抜きでフィジカル

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