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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

アシッドハウスに影響を受けたドラッギーでサイケデリックな神作。アシッドハウスに影響を受けたロックアーティストはプライマル・スクリーム(Primal Scream)とザ・ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)さえ聴いておけば十分でしょと思っていたがそれは大間違いであった。

アシッドハウス期のプライマル・スクリーム(Primal Scream)に匹敵する脳みそをグラグラと揺らすサイケデリックサウンドが今作では鳴っている。「サイケデリックでバグっているサウンド」と「酔っ払いが即興で歌っているかのようなボーカルライン」は脳みそと体を同時に揺らすような中毒性がある。

四つ打ちをベースにしたシンプルなリズム、ディープなベースライン、そして「濃厚な霧」や「紫色の煙」を連想するギターサウンドはリスナーに様々なサイケなイメージを与えるものとなっており筆者がこれまで聴いてきたギターサウンドの中でも屈指に「サイケデリック!!」80年代末にUKで興った「マッド(MAD=狂った)チェスター」なるムーブメントの名称も決して大げさなではなく確かにMADである。彼らに影響を与えたアシッドハウス、今後是非深掘りしようと思う。

    「要点」

  • アシッドハウスに影響を受けたドラッギーでサイケな神作
  • 脳みそと体を同時に揺らすバグったサウンド
  • 酔っ払いが即興で歌ったようなボーカルライン

「曲解説」

1 Kinky Afro

「ガラス越しのビーチ」のような歪な清涼感もつサイケポップ。「春の訪れ」のような軽快なコードストロークと「ガラスの破片」のようなミニマムなリフが終始リフレインされる(1:12〜、2:18〜)「バグった光に包まれる」ようなアシッドな質感のギターフレーズが鳴り響き、アシッドハウスと共振するドラッギーなサイケ感を醸し出している。ボーカルラインは酔っ払いがアドリブ歌ったようなイメージ。
2 God’s Cop

「酔っているようなご機嫌なテンション」と酔いが覚めた後の静けさが同居しているダンサブルな曲。四つ打ちをベースにしたビートの上をミニマムな電子音とショーン・ライダー(vo)のボーカルラインが踊る(0:47〜)遠くのほうでひんやりとした質感のシンセサウンドが鳴り響き僅かな冷静さを曲に与え(1:20〜)そこに「紫色の煙」のようなサイケなギター登場しサイケデリックが空気感を支配する(2:16〜)「急に何か思いついて立ち止まった」ような唐突なテンポダウンが入り、その後はゴージャスなホーンとギターサウンドが絡みつき、脳みそをグラグラと揺らすようなサウンドを聴かせてくれる(3:33〜)スペーシなホーンと「トコ、トコ、トコ」と鳴り響く電子音だけのパートとなるが、またすぐに濃厚なギターサウンドが登場しサイケデリックな空気感を醸し出す。
3 Donovan

「遠い日の思い出」のようなセンチメンタルな展開からサイケなトリップなサウンドに変貌する曲。冒頭は牧歌的なアコーディオンのメロディー、淡々とうねるベースライン、ミステリアスでアシッドなビートで構成されるチルアウト的な曲だが(2:07〜)何かが落下したような「ドン」というドラム音を境にして、目に映る全てが揺らめくようなトリップサウンドに変貌。最後までリスナーにサイケな感覚を与え続ける。
4 Grandbag’Funeral

酩酊という言葉がピッタリのサイケなギターロック。ハードロック的なルーズさとブルーステイストがあるギターリフが響き渡るが、この曲でも「濃厚な霧の中にいる」ようなサイケ感を感じることができ(1:30〜)階段から転げ落ちるような電子音や(2:15〜)千鳥足のようなフレージングなどセンス抜群の狂った音が登場する。
5 Loose Fit

「暗闇の中を手探りで彷徨う」ような踊れるニューウェイブソング。青いライトのようなニューウェイブ的な耽美アルペジオが暗闇に光を与える(2:40〜)立体的でダンサブルなビートが前面に出て曲を引っ張る展開に移行。終盤はソウルフルな女性ボーカリストも登場し曲はよりディープな質感をもつ。
6 Dennis and Lois

アーバンなレゲエ的な雰囲気を持つポップソング。夏祭りのような賑やかな雰囲気をもつ曲だが(2:30〜)何かが消えてなくなるようなエフェクティヴな音の登場により全てのパートが熱量を上げ始め、リスナーを「霧の世界」へと導く。
7 Boh’s Yer Uncle

パーカッショナルでダンサブルなビートを前面に出したで祝祭的な雰囲気のあるサウンドとシリアスな囁きのようなボーカルラインの対比が面白い曲。少しエロティクな女性コーラスも登場して、まるでエロい夢を見た後のような気分に浸れる。
8 Step On

煌びやかでぼやけた音の数々が強烈なサイケ感を味わえるアシッドハウス(2:22〜)「黄色しか存在しない信号機」のようなカラフルな電子音の登場以降は、ファンキーな女性コーラスも登場しさらに混沌さとサイケさを増し終盤はノリノリな口笛も登場する。
9 Holiday

ディープなベースラインの上を「ガラス瓶」のような透明なサウンドと「大空を羽ばたく鳥」のような女性コーラスが踊るシンプルな曲。終盤は残響のようなエフェクティヴなギターサウンドが鳴り響く。

アシッドハウスに影響を受けたドラッギーでサイケデリックな神作。アシッドハウスに影響を受けたロックアーティストはプライマル・スクリーム(Primal Scream)とザ・ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)さえ聴いておけば十分でしょと思っていたがそれは大間違いであった。 アシッドハウス期のプライマル・スクリーム(Primal Scream)に匹敵する脳みそをグラグラと揺らすサイケデリ

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新ボーカリスト/ブルース・ディッキンソン(vo)を迎えて作成された3rdアルバム。全編に渡りブルース・ディッキンソン氏(vo)の伸びやかな高音を活かした1st 2ndよりメロディックな内容となっている。

躍動感のあるパワフルな楽曲が多いのが印象的でこのあたりボーカルリストが交代したことで、楽器隊も新たなイマジネーションを得たのかもしれない。「意外な展開」や「ヘヴィに聴こえるアレンジ」などはあまりなく1stアルバム以上に初期衝動という言葉が似合う作品になっている。

1stアルバム「鋼鉄の処女」をパンク的と評する方も多いが筆者には本作の迷いがない演奏のほうが遥かに「パンク的」に聴こえる。どこか煮え切らない印象のあった前作「killers」のフラストレーションを吹き飛ばすかのように終始ダイナミックである。彼らは今作でUKチャート1位を獲得して名実共にUKを代表するヘヴィメタルバンドとなった。

    「要点」

  • 新ボーカリストブルース・ディッキンソン(vo)のハイトーンを活かした内容
  • 迷いのないダイナミックな演奏

「曲解説」

2 Children Of The Damned

物悲しいマイナーなイントロではじまり「静のパート」とダイナミックなギターサウンドの対比がグランジライク。ライトハンドを駆使している(と思われる)ツインリードのギターソロもお見事。
3 Prisoner

高音を活かした流れるようメロディックなボーカルラインと「迷宮を彷徨う」ようなツインリードのハモリフレーズが印象的。
7 Gangland

ベースがイントロでリフ弾いたり早弾きしたりやりたい放題。ベースが目立つバンドだなと思いググってみるとなんとベースの方がリーダー。そう言えばメタリカもベース「クリフ・バートン(b)」が音楽的に重要な人物だった。ギターソロは「未来派のシューティングゲーム」のような質感でレイヤー状にレーザービームが乱発されているイメージが頭に浮かぶ。
8 Hallowed Be Thy Name

鐘の音が鳴り響き「この世の果て」のような緊張感のあるイントロで幕を開ける。全編にわたりギターソロを弾いているかのようにツインリードが暴れまくる。叙情的で「自身が勇者になった」かのような錯覚を味あわせてくれる。どこかレトロなギターソロの響きは「名作ロールプレイングゲームのボス戦」を思わせる。

新ボーカリスト/ブルース・ディッキンソン(vo)を迎えて作成された3rdアルバム。全編に渡りブルース・ディッキンソン氏(vo)の伸びやかな高音を活かした1st 2ndよりメロディックな内容となっている。 躍動感のあるパワフルな楽曲が多いのが印象的でこのあたりボーカルリストが交代したことで、楽器隊も新たなイマジネーションを得たのかもしれない。「意外な展開」や「ヘヴィに聴こえるアレンジ」などはあまりな

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「グランジ的なヨレたギターサウンド」「ジャジーな音色と展開」「ストリングスの大胆な導入」などこれまで以上に新たな要素を取り入れた作品。J-POP的な曲はシングルカットされた「7 love me, I love you」位でありアナログな質感の音が多いという印象。

新機軸にトライした作品ではあるがビーズ(B’z)独自の「ハードなポップネス」は今作も健在サビのボーカルラインは大河のようなスケールの大さが特徴であり特に「13 drive to MY WORLD」のボーカルラインは特筆。音楽的な挑戦を試みながらもビーズ(B’z)のオリジナルアルバムの中で最も売れた(300万枚)作品である

    「要点」

  • 「ハードさ」と「POPさ」が理想的なバランス
  • グランジ的なヨレた質感とジャジーな要素が新鮮
  • 音楽的にもセールス的にも最高レベル

「曲解説」

1 spirit loose

90年代以降のUSギターロックの壊れた質感を少し取り入れたラフなギターカッティングが印象的。「壊れたラジオ」のように掠れた稲葉浩志(vo)のシャウトはUSグランジの代表格サウンドガーデン(Soundgarden)にも全く劣らない迫力がある。
2 ザ・ルーズ

うねるベースラインとグルグルと目が回るようなギターリフが絡みつくイントロではじまり、ダルっとしたルーズな雰囲気と晴天のようなホーンセクションが同居している曲。90年代USギターロック的な質感を取り入れつつもポップネスは失われておらず、また稲葉浩志(vo)の過去の経験からくる「独り言風の語り」もどこかコミカル。ギターソロの余韻を残すハウリングが止むと(2:33〜)エフェクトが掛かった声で展開される独特なラップが聴ける。
3 ねがい

異国感を醸し出すリズミカルなパーカッション、教会の窓から差し込む光のようなキーボード(オルガンかも)とミニマムなコードカッティングを中心に展開されるジャジーな曲。キャッチーなサビのボーカルラインの裏ではやはりここでも「晴天のように明るい」ホーンセクションが鳴り響く(3:00〜)サビの後にベースとピアノだけのジャジーな展開となりその後、ギターソロが鳴り響く。歌詞の内容は迷路に迷い込んだ主人公が神様に願いを叶えてくれと懇願するという内容だが、神様に対してその言い方はないだろとツッコミどころ満載。
5 BAD COMMUNICATION

ミニマムなベースリフとフラメンコ調のギターフレーズが印象的でデジタルダンステイストだった原曲を70年代ハードロック風にアレンジしている(3:53〜) 「BAD COMMUNICATION!」というボーカルラインの後から、リズムが激しさを増していく展開となりハーモニカソロも登場。最後はそのまま激しさを増し熱量マックスのところで終わる。
7 love me, I love you

本作で最もポップな曲。派手でゴージャースなホーンセクションが鳴り響きギターは疾走感を助長するプレイに専念(2:02〜)これまでの弾けたポップソングとは対照的な泣きの早弾きギターソロが聴ける。「人の心は弱いし足りないところもある」と認めつつも「消去法」や「人頼みではダメ」という解決策をリスナーに提案する歌詞が秀逸で「悩みやうまくいかない要因に対して解決策を歌う」ここが彼らがメガヒットを連発した背景のの一つなのかもしれないと妙に納得。
8  LOVE PHANTOM

イントロは壮大なオペラ調のストリングスが緊張した空気感を作り、そこに乱反射する光のようなキラキラした電子音と重低音を強調したベースと唸るギターサウンドが絡みあう冒頭。男性コーラスが「LOVE PHANTOM」というタイトルワードを言った後は、いきなりサビのボーカルラインから突入するというインパクト大の曲。 よく聴いてみると重低音が効いたシンセポップがベースとなっており、そこにストリングスやキラキラした電子音、歪んだギターサウンドが鳴っている。「クネクネと動くヘビ」のように空間を動き回る松本 孝弘(g)のギターは過去最高の暴れっぷり(4:02〜)オペラ歌手の優雅なコーラスが曲をより壮大な雰囲気にして最後は優雅なコーラスコーラスと伸びやかギターが絡み合い終わる。
10 砂の花びら

ずっしりとしたベースラインとオリエンタルな雰囲気のするギターサウンドが特徴。叙情的なサビのボーカルラインの裏ではゴスペル風のコーラスが稲葉浩志(vo)本人によって歌われている。曲自体はシンセやキーボードは入っておらずアナログな質感だが、オリエンタルな空気感やゴスペル風のコーラスなど新機軸にトライした曲。
12 BIG

アグレッシヴなアコギのコードストロークが終始鳴り響き、その上を少しコミカルな世界観の歌詞を歌うボーカルラインが乗る。端的に表現するとゆずの曲をB’zがアレンジして演奏したような質感の曲で歌詞の内容はBIGになりたい男の日常について。
13 drive to MY WORLD

「アーバンな雰囲気」と「乾いた砂漠のような雰囲気」が混在した曲でシンプルなバンドサウンドが非常にダイナミックに鳴り響く。サビのボーカルラインは非常にフックがあり、唸りを上げるギターと絡むことでさらにスケールを増す。最後は叙情的で焼け付くようなギターソロが鳴り響きそのままフェイドアウトする。

「グランジ的なヨレたギターサウンド」「ジャジーな音色と展開」「ストリングスの大胆な導入」などこれまで以上に新たな要素を取り入れた作品。J-POP的な曲はシングルカットされた「7 love me, I love you」位でありアナログな質感の音が多いという印象。 新機軸にトライした作品ではあるがビーズ(B’z)独自の「ハードなポップネス」は今作も健在サビのボーカルラインは大河のようなス

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男女混成のツインボーカル、サックスプレイヤーの存在などメンバー構成の時点でユニークな存在であるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)。本作はそんな彼らの絶頂期にリリースされオリコン初登場1位を記録したアルバム。

KONTA(vo)、杏子(vo)による掛け合いのボーカルは色んな男女関係を想像させるものになっておりリスナーの想像力を刺激。

またギタリスト:いまみち ともたか(g)はパンク以降のニューウェイブ系ギターに多大な影響を受けていると思われメロウで流麗なプレイが特徴だが、海外のギタリストにはない日本人特有の直線的な質感もあり非常にユニークな存在と言える。

サウンドはミニマリズムといっていい位に余計な音が鳴っておらず静けさすら感じる。パンクでも、ハードロックでも、ダーク系ギターロックでもない独自のギターロックを展開している。

    「要点」

  • 男女混成の掛け合うボーカルラインは様々な男女関係を想像させる
  • 独自のサウンドを聴かせるギタリスト:いまみち ともたか(g)

「曲解説」

1 ト・キ・メ・キ

ミニマリストの部屋のように必要最低限の音のみで構成されているオープニングソング。時折、民族音楽のようなパーカッションも飛び出す。ギターサウンドは独特で「空気に溶け込み漂う煙」のようで不思議な静けさを感じる。
2 目を閉じておいでよ

「砕けたグラス」のような透明でエッジのたったギターサウンドを中心に展開されるハードロック風の曲(2:02〜)部屋に差し込む斜陽のような電子音が僅かな光を灯す(2:18〜)ちょいエロな歌詞とは対照的な落ち着いた淡々としているサビのボーカルラインが登場(2:45〜)光沢感がのあるベースラインとピアノからなる間奏部がアクセントになっている。
3 Y〰ゆがむ〰

ブレイクビーツ風のビートと哀愁あるメロウなアルペジオが空間を支配するルーミーな曲。時折登場する透明なピアノとエフェクティヴな残響、KONTAのメロディックなコーラスがタイトル通り「〰ゆがむ〰誰もいなくなった部屋」を連想する。
5 Late Again

「何も変わらない街」のようなサックスのメロディーが印象的な「一人遊び」を思わせるミドルテンポの曲(1:44〜)「アー、アー、アー、アー」という声と共に軽いパニックのような展開が一時的に挿入されアクセントになっているが、全体を通して同じところをクルクル回るようなイメージの曲。
6 さぁ どうしよう

ウォームな質感のベースラインがうねるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)流パンクソング。ギターサウンドは相変わらず「空気に溶け込み漂う煙」のような静けさがあり汗臭さが全くなく、ザ・スミス(The Smiths)のような流麗さすら感じる。「さぁ どうしよう」という日常の頻出ワードを音楽化したサビのボーカルラインは秀逸。
7 噂ばなしはM(マッハ)4

早足で駆け抜けるメロウなUKポップという趣の曲。ギターサウンドはクリーンで最小限の手数でプレイされているため、ウォームで小波のようなベースラインが非常によく聴こえ(1:56〜)センス抜群のエバーグリーンでミニマムなアルペジオフレーズが清涼感を与えている。ボーカルラインも含めてメロディックで派手なフレーズなどは存在しないのだが、曲を通して非常にメロディックな印象をもつ1曲。
9 君を見てるとしょんぼり

フォークソング的な湿り気を帯びたギターポップ(1:45〜)エフェクトをかけた音色を活かしたキラ星のようなギターフレーズが曲に輝きを(2:20〜)マイルドなブラックコーヒーのようなサックスが渋みを与えている。
10 もうだいじょうぶヒステリー

「曇り空の海辺」のような雰囲気をもち淡々とした展開だが世界観に浸れるメランコリックなラストナンバー。淡々とそのまま最後までいくかと思いきや(4:10〜)アウトロで「切ない思い出」のようなギターソロが登場する。

男女混成のツインボーカル、サックスプレイヤーの存在などメンバー構成の時点でユニークな存在であるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)。本作はそんな彼らの絶頂期にリリースされオリコン初登場1位を記録したアルバム。 KONTA(vo)、杏子(vo)による掛け合いのボーカルは色んな男女関係を想像させるものになっておりリスナーの想像力を刺激。 またギタリスト:いまみち ともたか(g)はパンク以降のニュ

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90年代末のロック至上主義の日本の音楽シーンに突如現れたドラゴン・アッシュ(Dragon Ash)は宇多田ヒカルと共に当時のティーンエイジャーに今までには明確な新感覚を提示したアーティストであった。

本作は彼らの3rdアルバムで前半はノリのよりHIP HOP・後半はロックやアコースティックという構成になっている。エッジのたった多様な音を盛り込んだトラックは、まるで「渋谷のセンター街を闊歩している」ようなストリートな錯覚をリスナーに与えてくれる。

HIP HOPとロックを合体させた「ラップメタル」がアメリカで流行った時代ではあるが、本作は「HIP HOPとロックを扱うセレクトショップ」のようなイメージである。本作の大ヒットにより「ミクスチャー」や「ラップ」という言葉がより身近になった。HIP HOPとロックを絶妙に配置したこのバランスは今後どのような変化を見せるのだろうか?!

    「要点」

  • ストリート感溢れるクールなトラック
  • 「HIP HOPとロックを扱うセレクトショップ」のようなアルバム

「曲解説」

2 Communication

インダストリアルな質感の硬質なビートの上をアジーテーションのようなKj(vo,rap)ラップが乗る(2:07〜)アーバンでジャジーなピアノの旋律が流れ静けさと安らぎを感じる。
3 Rock the beat

空に浮かぶ街を連想する吹奏楽器のミニマムな音色とソニックに切り刻むようなビートで構成されるトラック。歌詞は「自分たちなりのHIP HOPでシーンの頂点を目指す」という内容。
4 Humanity

80年代エレポップのような立体感のあるビートの上を歪んだシャッター音のようなフレーズがループされるストリート感MAXのHIP HOPソング。歌詞は「ニヒリストにならず前に進もう」という内容。
5 Attention

カッティングギターをフィーチャーしたファンクソングをサンプリングしたと思われるトラックの上をヘヴィで立体的なベースラインが底からグイグイと攻めてくる。ファンキーな女性コーラスも挿入されてアーバンな雰囲気を醸し出す。
6 Let yourself go, Let myself go

チープなトリックのようなループが響き渡るイケイケの曲。これまでの日本の音楽にはない新感覚を強烈に提示した1曲(3:35〜)晴れ渡る青空のように爽やかなKj(vo,rap)のボーカルラインが聴くことができる。
8 Drugs can’t kill teens

U2のような浮遊感を感じるイントロから突如、凶暴なスラッシュメタルに変貌するファストチューン。メロコアバンドのようなメロディーラインが新鮮。また何も起きない日常のような静かなパートの存在がハードでスラッシュなサウンドをより激しくしている(3:40〜)Kj(vo,rap)のボーカルが突如シューゲイザーのような囁きに変貌しビックリ。
10 Fool around

ドライブするベースラインが曲を引っ張るハードチューン。 派手なサビやギターソロなどはないがダレることなく緊張感が保たれている。
11 Freedom of Expression

メロウなアルペジオをサンプリングしたトラックからハードでダイナミックなバンドサウンドに切り替わる曲。「急停止」のようなノイズやグルーヴが時折、挿入されて曲に緊張感を与えている。
13 Viva la revolution

ヒステリックな女性の言葉の断片がループされる浮遊感のある曲。清々しい風のようなストリングスとメロウな女性ボーカルが癒しを与えてくれる。

90年代末のロック至上主義の日本の音楽シーンに突如現れたドラゴン・アッシュ(Dragon Ash)は宇多田ヒカルと共に当時のティーンエイジャーに今までには明確な新感覚を提示したアーティストであった。 本作は彼らの3rdアルバムで前半はノリのよりHIP HOP・後半はロックやアコースティックという構成になっている。エッジのたった多様な音を盛り込んだトラックは、まるで「渋谷のセンター街を闊歩している」

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