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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

90年代に活躍した女性ボーカルのギターロック・ポップアーティストの代表格ジュディ・アンド・マリー(JUDY AND MARY)。

YUKI(vo)のキュートな歌声は印象に残っていたのだがアルバムをじっくり聴きこんだことはなかったのだ。今回初めてジュディ・アンド・マリー(JUDY AND MARY)のアルバムを聴いてみたところ、90年代以降のギターノイズをいち早く取り入れたアバンギャルドとも言えるサウンドに衝撃を受けた。

しかし、そのサウンド以上に衝撃なのはこのアルバムが200万枚以上のセールスを記録しているという点である。アンダーグラウンドなシーンで壊れたノイズを取り入れているバンドは当時、もちろん存在していたとは思うが今作は壊れたノイズをふんだんに取り入れておりながらもダイレクトにフックの効いたボーカルラインが真っ先に耳に入ってきてメロディックなポップソングとして成立している。ノイジーで壊れたサウンドがYUKI(vo)のキュートな歌声をさらに魅力的に響かせている。

    「要点」

  • 97年の日本の音楽シーンで「やりすぎなノイズサウンド」
  • ノイズサウンドがYUKI(vo)のキュートな歌声をさらに魅力的に

「曲解説」

1 BIRTHDAY SONG

タイトルとは裏腹に「ロボットが壊れた」ようなノイズが鳴り響くオープニングソング。サビの後ろでも「関係ない」と言わんばかりにノイズサウンドが渦巻いているが同時に「氷のように透明」な電子音も鳴っておりノイズロックではなくノイズポップとなっている。間奏部やギターソロは非常にアバンギャルドでサイバーな空気感が流れるものとなっている。
2 ラブリーベイベー

壊れた質感を持つギターポップ「1 BIRTHDAY SONG」同様サビでも容赦無くぶっ壊れたノイズサウンドが響き渡る。 時折、挿入される愛らしいコーラスがアクセントになっている。97年の日本のJ-POPシーンでここまで壊れたノイズを前面に押し出した曲はレアだと言える
3 そばかす

時空が歪んだような心地よい違和感とキャッチーなボーカルラインを持つヒットソング。イントロ・間奏・アウトロではやはり壊れたノイズサウンドが鳴り響き(2:24〜)元気でノリの良い曲の中にジャージーでアダルトなパートが挿入される。歌詞はサウンドとは裏腹にメルヘンの極みのような内容となっている。
4 KISSの温度

アーバンなポップソングとノイズが同居している曲。部屋でくつろいでいるようなリラックス感と夢のような浮遊感を同時に感じる空気感で(1:26〜)マニアックなエフェクターがかかった歪み音で奏でられる牧歌的なフレーズは非常に癖がある。
6 Pinky loves him

少しジャージなサウンドとYUKI(vo)の元気な歌声の対比が面白い曲。「アダルトなバーに佇む男」のように淡々と静かに進行する。さすがにこの曲にノイズサウンドは登場しない。
7 くじら12号

ドライブするベースラインとジャカジャカ歪むギターサウンドを中心に展開されるヒットソング(1:27〜)サビのボーカルラインは「待ちわびた海開き」のような爽快さとダイナミズムを感じるものとなっているが、裏ではモノトーンなダンスビートが鳴り響きBPM以上のスピード感を演出している。
8 クラシック

「目の前がパッと開けた」ような開放感を感じるギターロック(1:40〜)ギターソロはモダンなサーフミュージックのような清涼感を感じるものとなっており、終盤は抑揚の効いたサビが繰り返し流れ最後は静かに終わる。
10 The Great Escape

本作を象徴するようなアグレッシヴなノイズポップ。ハードで畳み掛けるようなパンク調ではあるがYUKI(vo)のキュートな声とマッチしている。

90年代に活躍した女性ボーカルのギターロック・ポップアーティストの代表格ジュディ・アンド・マリー(JUDY AND MARY)。 YUKI(vo)のキュートな歌声は印象に残っていたのだがアルバムをじっくり聴きこんだことはなかったのだ。今回初めてジュディ・アンド・マリー(JUDY AND MARY)のアルバムを聴いてみたところ、90年代以降のギターノイズをいち早く取り入れたアバンギャルドとも言えるサ

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スピッツ(SPITZ)のキャリアの中でセールス的に最も成功した6枚目のアルバム。全曲を通して草野マサムネ(vo)のメロウで透明感ある歌声が響き渡り、どのようなサウンドやテンポであってもバカボンのパパのように「これでいいのだ!」状態でスピッツ(SPITZ)の音楽となっている。

失礼な話だが「2 涙がキラリ☆」などの曲は他のボーカリトが歌た場合、そこまで売れないのでは?!と思われるのだが草野マサムネ(vo)が歌うと一度でリスナーの頭にメロディーが刷り込まれる。「6 トンガリ’95」などはUSグランジロックに対する回答のような曲で色んな意味で「非売れ線」な曲だがこれまたポップソングとして成立してしまう。

この一度聴くと頭にインプットされる独特な歌声をもつシンガーはそう多くなく、90年代の日本の音楽シーンで考えるとパッと頭に浮かぶのは「草野マサムネ」「河村隆一」「MISIA」などだろうか。例えば、ルナシー(LUNA SEA)というバンドの場合は5人のメンバーの個性や癖を絡めて面白いものを作るというスタンスだが、スピッツ(SPITZ)は草野マサムネ(vo)の歌声を最大限活かす為に他のメンバーがサポートするというような構造になっているとじっくり今作「ハチミツ」を聴いて感じた。

    「要点」

  • 「6 トンガリ’95」はグランジロックへの回答
  • 一度聴くと頭にインプットされる独特な草野マサムネ(vo)の歌声

「曲解説」

2 涙がキラリ☆

イントロと間奏で聴ける「眩しい光」のようなギターリフが印象的なヒットソング。ヴァースの裏では「しっとりした雨」のようなアルペジオと「鐘の音」のようなカッティングが鳴り響く。歌詞の内容は「純粋さと下心の間で揺れる思春期男子の気持ち」といったところ。基本的にはメロウな曲だが不思議な熱量も感じる曲となっている。
3 歩き出せ、クローバー

「誰もいない曇りのビーチ」のような雰囲気を持つUKポップ風の曲で「サビ以上にサビ」なボーカルラインを持つメロウなBメロが素晴らしい(2:18〜)夏の幻のような陶酔感のあるギターソロが登場、ギターソロ以降はウォームに歪んだギターサウンドも鳴り響き、曇りから晴れに移りゆくようなサウンドになる。
4 ルナルナ

ザ・スミス(The Smiths)の曲をフリッパーズ・ギター(Flipper’s Guitar)が演奏したようなポップソング。「待ちきれない明日の遠足」のような早足のテンポ感と「短く切ない夏休み」のような揺らめく電子音が印象的で柔らかいストリングスが爽快な風を運んでくる(3:26〜)最後は唐突に「夏の終わりの」ようなギターフレーズが飛び出す。
6 トンガリ’95

スピッツ(SPITZ)がグランジにチャレンジした尖っている曲。終始、がっつりと歪んだギターサウンドが鳴り響くが、イントロので聴けるキラキラした電子音やサビのコーラス「ルゥー、ウー、ウー」などがスピッツ(SPITZ)らしい。サビは「尖っている」というワードを草野マサムネ(vo)が甘い声で連呼するというシュールなものとなっている。この曲をガチのUSグランジ勢が聴いたらどのような反応示すのか興味がある。
7 あじさい通り

真夏の田舎道をゆっくりと練り歩くようなスローテンポの曲。「カッティングギターが淡々鳴り響く展開」と「シャボン玉のように揺らめくクリーンなアルペジオが踊るカラフルな展開」で構成されている(2:55〜)リバーヴを掛けた濃厚な煙のようなギターソロが曲にコクを与えている。
8 ロビンソン

日本の音楽史に残るメロウなギターポップソング。イントロとサビ裏で聴けるメロウなアルペジオは簡単そうにみえて実は難しく、サビのメロディーラインは素晴らしいの一言で「本当に空を飛んでいる」ような浮遊感を感じる名曲。
10 グラスホッパー

本作の中では「6 トンガリ’95」の次に歪んでいるハードな曲。低音がよく聴こえるウォームに歪んだサウンドだが「そよ風」のような爽やかさがある。

スピッツ(SPITZ)のキャリアの中でセールス的に最も成功した6枚目のアルバム。全曲を通して草野マサムネ(vo)のメロウで透明感ある歌声が響き渡り、どのようなサウンドやテンポであってもバカボンのパパのように「これでいいのだ!」状態でスピッツ(SPITZ)の音楽となっている。 失礼な話だが「2 涙がキラリ☆」などの曲は他のボーカリトが歌た場合、そこまで売れないのでは?!と思われるのだが草野マサムネ(

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90年代の日本の音楽シーンの中で圧倒的な異彩を放ったルナシー(LUNA SEA)の4thアルバム。前作「EDEN」の開放的な空気感をルナシー(LUNA SEA)独自のダークで神聖かつ浮遊感の伴うサウンドに反映させて、とんでもない化学反応を起こした90年代を代表する神作。

また今作からオルタナやインダストリアルなど各メンバーがリアルタイムで影響をうけた音楽の要素を楽曲に反映するようになっており、これまでのルナシー(LUNA SEA)の作品にはない「モダン」な質感がある。

本作リリース以降、世の中にはルナシー(LUNA SEA)のコピーバンドが大量に発生しメンバーモデルのギターやベースが飛ぶように売れた。ロック的なパンチ力を持ちつつも既存のサウンドとは明らかに異なるサウンドは当時とんでもなく斬新であり、V系(ビジュアル系)という言葉がまだ一般に存在していなかった時代にルナシー(LUNA SEA)サウンドをカテゴライズできるジャンルは存在しなかった。

    「要点」

  • これまでのルナシー(LUNA SEA)作品にはない「モダン」な質感
  • 当時カテゴライズできなかったサウンドはまさに「V系」
  • 空間的に絡み合うツインギター

「曲解説」

1 LOVELESS

「空の上にある神殿」のような浮遊感と熱風のような熱さが同居するオープニングソング。耽美でアンビエントな質感のアルペジオと上空を優雅に飛び回るコンドルのようなロングトーンのギターサウンドが空間を構築し、重いリズムの上をミステリアスで不穏なベースラインが踊る。ボーカルラインは派手なメロディーを歌うわけではないが強力に耳に残る。これがソロでアルバムを300万枚セールスするシンガーの魔力だろうか。終盤はSUGIZO(g) のロングトーンのギターサウンドがこれまで以上に輝き最後は乱反射のようなサイケな音の洪水に包まれ終わる。
3 FACE TO FACE

全ての音から「宇宙を感じる」ミドルテンポの名曲。ヘヴィだが「2mmほど宙に浮いている」かのような浮遊感を感じるリズムの上を小さな惑星のように輝くアルペジオが彩り、空間を支配するSUGIZOのギタープレイは非常にディープで曲に深みを与えている。少しだけナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)的なインダストリアル感も感じ取れる曲なのだが完全にルナシー(LUNA SEA)独自のサウンドとなっている。2:50〜 この曲の最大の見せ場、RYUICHI(vo)の低音ボイスが「泉から次々と湧き出る」ように現れ「宇宙に雪が降った」ような奇跡のハーモニーを聴かせてくれる。
4 CIVILIZE

近未来でサイバーさと原始的なリズムアプローチが混在しているニューウェイブソング。ギターソロを境に左右非対称なサウンドが展開されるクセのある曲だが不思議なポップネスも感じる。ヴァースはトーキングヘッズ(Talking Heads)のようなアフリカンなリズムアプローチの上をサイバーでメタリックなノイズの断片が踊る近未来なサウンドだが(0:57〜)サビになると「真っ白な空間」を思わせるサウンドに切り替わる(1:30〜)透明感のあるノイズソロはアバンギャルドで曲にアクセントを与えている。94年にこのサウンドは新しすぎる。
5 GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜

残響が心地よい耽美的なアコギのコードストロークを中心に展開されるが、所々でセンス抜群の様々な音の断片が鳴り響き、様々な切ない情景を連想させる。4:48〜 ブレイクの後、独り言のようなアルペジオだけが響く展開になるが、そこに夕暮れのようなバイオリンと天使の羽ように柔らかいストリングスが絡み熱量を高めていく6:12〜 RYUICHI(vo)の感情を解き放つような渾身のボーカルラインから天まで昇るような熱量でピークを迎える。最後は「夕暮れの街に佇む鳥」のような孤独感を感じるギターサウンドが静かに鳴り響く。
7 IN FUTURE

オルタナからの影響をダイレクトに反映したファストチューン。歪んだツインギターは全く別々のフレーズを弾いており「渦巻き曇」のように上空を乱している。1:55〜 サビのボーカルラインはベタを拒絶するかのような「語り調」でIN FUTURE。2:08〜 ミニマムでメタリックな電子音が挿入される、このあたりのセンスはノーマルなバンドにはないセンスだろう。
9 TRUE BLUE

削ぎ落とされたLUNASEA流スリーコードロック。ミニマムなリフとシンプルなビートで構成されているが、これぞLUNASEAという雰囲気になっている。
10 MOTHER

荒涼とした大地に吹く北風のような荒涼感を持つ曲。全編を通して神聖な雰囲気があり、特にサビのボーカルラインはこれまで聴いた事がないタイプでまるで「神からの恵み」のようだ。(2:58〜)天を乱すような少しヒステリーなバイオリンソロが曲をよりミステリアスにしている。最後は「誰もいない荒涼とした大地に風だけが流れる」ような静けさで幕を閉じる。

90年代の日本の音楽シーンの中で圧倒的な異彩を放ったルナシー(LUNA SEA)の4thアルバム。前作「EDEN」の開放的な空気感をルナシー(LUNA SEA)独自のダークで神聖かつ浮遊感の伴うサウンドに反映させて、とんでもない化学反応を起こした90年代を代表する神作。 また今作からオルタナやインダストリアルなど各メンバーがリアルタイムで影響をうけた音楽の要素を楽曲に反映するようになっており、これ

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インディーズシーンで伝説を残した「X」が1989年にリリースしたメジャーデビューアルバム。まるで「全てのパートが歌を歌っている」かのような美しい旋律を感じることができる内容となっている。

インディーズアルバム「Vanishing Vision」はハードコアの影響が大きい激しくエッジのたったサウンドを聴かせてくれたが、今作はそれがよりクラシカルに洗練された形で表現されており、「2 BLUE BLOOD」「5 X」「7 紅」などの激しく疾走する曲であってもどこか哀愁と静けさを感じる。

彼らの音楽のキーとなっているのは間違いなく「旋律」でありそれはサウンドがハードコアであろうとスラッシュメタルであろうと関係なくリスナーの脳裏に刻まれる。また歌詞の内容も素晴らしく所々に究極の自己啓発のようなフレーズが散りばめられている。本作で強烈なインパクトを残した「X」はあっという間にロックシーンの頂点に向けて駆け上がる。

    「要点」

  • 激しさをクラシカルに洗練された形で表現したメジャーデビユー作
  • 全てのパートが歌っているような美しい旋律

「曲解説」

2 BLUE BLOOD

初っ端からMAXスピードで全力疾走するYOSHIKI(dr)の強烈なドラムプレイで幕を開ける、これぞ「X」というクラシカルな旋律を感じるハイスピードなメタルチューン。疾走するツインギターはザクザクした質感でヘヴィメタルしているが確かなメロディーを感じる事ができ、「give me some more pain!!」というコーラスが当時の彼らの尖りっぷりを象徴している(2:08〜)ボーカルラインを強調したメロディックな静かなパートが挿入され(2:27〜)ツインギターによる流麗なハモりソロが鳴り響く、USヘヴィメタルと比較すると顕著だが「歌心」を感じる旋律となっている。アウトロはただでさえ強烈なYOSHIKI(dr)のドラムが最後の追い込みとばかりに畳み掛けるプレイを聴かせる。
3 WEEK END

スローテンポなX流ロックンロール。イントロはでは「しっとりと降る雨」のような透明感あるアルペジオが鳴り響くが、その合間を縫うに登場するウォームでコクのあるギターリフとベースラインがこれから起こるカオスを予感させる。BPMは「X」にしてはスローテンポといえるものになっている(1:35〜)「2 BLUE BLOOD」同様にボーカルラインを強調した静のパートが挿入されロックンロール調の曲にアクセントを与える。歌詞の内容は「幻覚」そのものである。
4 EASY FIGHT RAMBLING

シャフルビートに乗せて展開される元気の良いハードロックソング。TAIJI(b)によるワイルドな掛け声コーラスは色んな意味で「X JAPAN」では聴けないものである。アウトロではサイレンのようなギターサウンドと早弾きベースソロが炸裂する。
5 X

「X」というアーティストの魅力が凝縮されている彼らの代表曲。相変わらずドラムプレイは強烈なものになっており「屈強なサラブレットの足音」のようだ。筆者の見解としては歌詞の内容は「究極の自己啓発である」と感じる。「見慣れた愛に流される」のか、それとも「刺激に身をさらす」のかをYOSHIKIは我々に問いかけてくる(3:18〜)静けさの中でスタイリッシュに響くTAIJIのベースラインは秀逸で「激しい雨が降り注ぐ中、ふと冷静になり夜空を見上げタバコを吸う」ようなイメージが浮かぶ。
6 ENDLESS RAIN

「しっとりと優しい雨が降る街角」のような雰囲気の名バラード。TOSHIが美しいボーカルラインを歌い上げる。歌詞の内容は「消えない傷跡」について。底でひっそりと佇むながらも存在感を示すベースラインが曲にうねりを与えている(3:22〜)サビの後に用意されている「大サビ」が登場しそのままギターソロになだれ込む。やはりギターソロには歌心があり「ボーカルが歌わないボーカルライン」を代理で歌っているような旋律であり、バックでは大波のようにベースラインがうねる。終盤はサビの美しいボーカルラインが繰り返し歌われ、「悲しさを引きずりながらも生きていく」という強い熱量を感じる。
7 紅

「孤独」そのものな静かなパートから突如スラッシュメタルに変貌する代表曲。冒頭はアルペジオとTOSHIの語り調の物悲しいボーカルラインのみで構成されるが(1:58〜)これからの狂騒を予感させるようなシンバルの音は輝度が狂ったネオンのようだ。この曲のアレンジはおそらくではあるがメタリカ(Metallica) の「Fight Fire with Fire」あたりを参考にしているアレンジだと思われるがそれにしても素晴らしい展開である。(2:03〜)激しい風が吹く街のようなスラッシュメタルに変貌するが、ボーカルラインは美しくメロディーというより旋律という言葉がぴったりである。また激しいサウンドの中で「ふと冷静になった」ような感覚を与えてくれるTAIJI(b)のベールラインがやはり圧倒的な存在感を放っている(3:20〜)「これまでの激情が走馬灯のように頭の中を走り抜ける」ような間奏〜ギターソロのラインは日本音楽史に残る名演だと思う。サビのボーカルラインはもちろん素晴らしいのだが、それ以上に少年時代に「誰でも一度は感じた事がある疎外感」を歌った歌詞に意識がいく。夏の甲子園で「紅」が演奏されるのも納得である。
8 XCLAMATION

「いにしえの宴を描いた油絵」のような実験的なファンク。不規則でパーカッショナルなリズムと冷たいジェルのようなベースラインが躍動しギターサウンドは音響的でオリエンタルなムードを醸し出す。彼らのインディーズ時代のアルバム「Vanishing Vision」に収録されてる「GIVE ME THE PLEASURE」の延長線上のような曲といえる(3:04〜)宴は最高潮のところでガラスが砕けたようなピアノの音と共に遮断され、不穏な静けさを残したままそのまま終わる。
9 オルガスム

とんでもないBPMで駆け抜けるメロディックなハードコア。サウンドは「初期X」らしい狂乱そのものな内容となっている。歌詞の内容は刹那的な快楽を歌っているように聴こえるがリスナーに行動を促すような「時の檻はやぶれない」というラインが強烈。
11 ROSE OF PAIN

残虐な歴史を音楽化したドラマティックな大作。序盤は「ゆったりと雄大に流れると大河」のような展開だが(2:20〜)激しい雨のようなドラムの登場とともに急速に熱量を帯び始める。その後は恐怖すら感じるダークなオーケストラとハードなメタルサウンドが、タペストリーように絡み合うような展開に移行する(5:48〜)ヒステリーな歌詞の登場を境にソリッドなスラッシュメタルに変貌して、これまで抑制されていたhideとPATAのツインギターが檻から出てきたライオンのように暴れ、リズム隊は悲劇的な歌詞の内容と相まって一層激しく鳴り響く(7:48〜)砂漠に現れた蜃気楼のように揺らめくベースソロとYOSHIKIのヒステリーな語りが登場してそこからギターソロになだれ込み曲は最高潮を迎える。終盤は空気を引き裂くような歪んだツインギターと「タガが外れた」ドラムが鳴り響く中、TOSHI(vo)がヒステリーな詞の世界観に入り込んで全力で歌い上げる。曲全体から強烈な旋律を感じる事ができ、各パートでひとつのメロディーを奏でているようだ。

インディーズシーンで伝説を残した「X」が1989年にリリースしたメジャーデビューアルバム。まるで「全てのパートが歌を歌っている」かのような美しい旋律を感じることができる内容となっている。 インディーズアルバム「Vanishing Vision」はハードコアの影響が大きい激しくエッジのたったサウンドを聴かせてくれたが、今作はそれがよりクラシカルに洗練された形で表現されており、「2 BLUE BLOO

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男女混成のツインボーカル、サックスプレイヤーの存在などメンバー構成の時点でユニークな存在であるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)。本作はそんな彼らの絶頂期にリリースされオリコン初登場1位を記録したアルバム。

KONTA(vo)、杏子(vo)による掛け合いのボーカルは色んな男女関係を想像させるものになっておりリスナーの想像力を刺激。

またギタリスト:いまみち ともたか(g)はパンク以降のニューウェイブ系ギターに多大な影響を受けていると思われメロウで流麗なプレイが特徴だが、海外のギタリストにはない日本人特有の直線的な質感もあり非常にユニークな存在と言える。

サウンドはミニマリズムといっていい位に余計な音が鳴っておらず静けさすら感じる。パンクでも、ハードロックでも、ダーク系ギターロックでもない独自のギターロックを展開している。

    「要点」

  • 男女混成の掛け合うボーカルラインは様々な男女関係を想像させる
  • 独自のサウンドを聴かせるギタリスト:いまみち ともたか(g)

「曲解説」

1 ト・キ・メ・キ

ミニマリストの部屋のように必要最低限の音のみで構成されているオープニングソング。時折、民族音楽のようなパーカッションも飛び出す。ギターサウンドは独特で「空気に溶け込み漂う煙」のようで不思議な静けさを感じる。
2 目を閉じておいでよ

「砕けたグラス」のような透明でエッジのたったギターサウンドを中心に展開されるハードロック風の曲(2:02〜)部屋に差し込む斜陽のような電子音が僅かな光を灯す(2:18〜)ちょいエロな歌詞とは対照的な落ち着いた淡々としているサビのボーカルラインが登場(2:45〜)光沢感がのあるベースラインとピアノからなる間奏部がアクセントになっている。
3 Y〰ゆがむ〰

ブレイクビーツ風のビートと哀愁あるメロウなアルペジオが空間を支配するルーミーな曲。時折登場する透明なピアノとエフェクティヴな残響、KONTAのメロディックなコーラスがタイトル通り「〰ゆがむ〰誰もいなくなった部屋」を連想する。
5 Late Again

「何も変わらない街」のようなサックスのメロディーが印象的な「一人遊び」を思わせるミドルテンポの曲(1:44〜)「アー、アー、アー、アー」という声と共に軽いパニックのような展開が一時的に挿入されアクセントになっているが、全体を通して同じところをクルクル回るようなイメージの曲。
6 さぁ どうしよう

ウォームな質感のベースラインがうねるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)流パンクソング。ギターサウンドは相変わらず「空気に溶け込み漂う煙」のような静けさがあり汗臭さが全くなく、ザ・スミス(The Smiths)のような流麗さすら感じる。「さぁ どうしよう」という日常の頻出ワードを音楽化したサビのボーカルラインは秀逸。
7 噂ばなしはM(マッハ)4

早足で駆け抜けるメロウなUKポップという趣の曲。ギターサウンドはクリーンで最小限の手数でプレイされているため、ウォームで小波のようなベースラインが非常によく聴こえ(1:56〜)センス抜群のエバーグリーンでミニマムなアルペジオフレーズが清涼感を与えている。ボーカルラインも含めてメロディックで派手なフレーズなどは存在しないのだが、曲を通して非常にメロディックな印象をもつ1曲。
9 君を見てるとしょんぼり

フォークソング的な湿り気を帯びたギターポップ(1:45〜)エフェクトをかけた音色を活かしたキラ星のようなギターフレーズが曲に輝きを(2:20〜)マイルドなブラックコーヒーのようなサックスが渋みを与えている。
10 もうだいじょうぶヒステリー

「曇り空の海辺」のような雰囲気をもち淡々とした展開だが世界観に浸れるメランコリックなラストナンバー。淡々とそのまま最後までいくかと思いきや(4:10〜)アウトロで「切ない思い出」のようなギターソロが登場する。

男女混成のツインボーカル、サックスプレイヤーの存在などメンバー構成の時点でユニークな存在であるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)。本作はそんな彼らの絶頂期にリリースされオリコン初登場1位を記録したアルバム。 KONTA(vo)、杏子(vo)による掛け合いのボーカルは色んな男女関係を想像させるものになっておりリスナーの想像力を刺激。 またギタリスト:いまみち ともたか(g)はパンク以降のニュ

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