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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

90年代の日本の音楽シーンの中でも指折りの個性的バンド/シャ乱Qの5枚目のアルバム。イロモノ扱いされがちなド派手なビジュアルから色んな意味でノリノリのバンドだと思っていたが、アルバムを通してじっくり聴きこんでみるとパブリックイメージとは異なり、音楽的な多彩さとジャズやソウルなどを基盤にしているアダルトな哀愁をもっている事に気付く。

ギターサウンドが全面に出てくるバンドが多かった日本の音楽シーンにおいて、ジャズやソウルから影響を受けたと思われるアダルトなサウンドに はたけ(g)のギターサウンドがアクセントになっている。この良い意味で浮いたギタリストの存在は、ジャンルは全く違うがブラー(Blur)のようなバランスであると感じる。このバランスが次作以降どうなるのだろうか?!

    「要点」

  • ジャズやソウルの影響
  • 見た目とは違い哀愁感のあるアダルトな音楽性
  • 「浮いてる」はたけ(vo)のギター

「曲解説」

1 さんざん言ってんだぜ

霧がかかった空気感が気だるい早朝を連想させるアーバンなソウル。モノトーンな質感のキーボードが「いい部屋に一人で住んでいる男」を連想させ、 チャカポコと鳴るワウギターや残響のようなギターサウンドはが高まる鼓動ように鳴り響く。(3:15〜)部屋全体を包み込む白いベールのようなシンセの上をジャジーなキーボードソロが鳴り響く。つんく♂(vo)のボーカルラインはシックで落ち着いたものになっており、歌詞の内容はホストの生々しい片思いという感じ。
2 ドラマティックに -’90 Dream-

全編にわたりディレイをかけた空間系ギターサウンドが鳴り響くニューウェブ風ポップス。 この曲のギターサウンドはラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)やルナシー(LUNASEA)に近いものがある。 (1:06〜)歌謡曲テイストではっきりしたボーカルラインの隙間を縫うように鳴らされる煌びやかなキーボードが曲に活力を与えており、 空間系ギターサウンドをフィーチャーしたニューウェイブソングは、下手するとダークで箱庭なものになる事が多いのだが、 シャ乱Qというフィルターを通すと不思議と明るく聴こえる。
3 Good-byeダーリン

激しい雨のように連打されるキーボードが印象的なジャジーなポップロック。終始鳴り響くキーボードの上をミニマムで歪んだギターリフが乗り、タイトなリズムはビシッと曲を引き締めている。(0:44〜)「ブルース調の歌謡」という趣のボーカルラインをつんく♂(vo)がしゃがれた声で歌い上げる。ブルージーで熱量のあるサビとボーカルラインがありながらも、「熱い感じ」ではなくむしろアーバンで落ち着いた印象を受ける。
4 ズルい女

夜の街やネオンを連想するトランペットの音が印象的なヒットシングル。アダルトなトランペットとチャカポコしたなギターサウンドが終始鳴り響き空気感を演出。(1:12〜)虹のようにカラフルなキーボードがアダルトでムーディーな曲に色彩を与え(1:26〜)「ズルイ女」に対する恨み節と未練を歌うキャッチーなメロディーラインが登場(1:58〜)トランペットによるソロパートが鳴り響く中、時折、ソウルフルなつんく♂(vo)のシャウトが炸裂。最後までアダルトでゴージャスなトランペットが響き渡る。
5 DA DA DA

ジャジーな雰囲気とグルーヴィなギターリフが共存するハードな曲。サウンドガーデン(Soundgarden)のようなスローでグルーヴィなギターリフが印象的でつんく♂(vo)のボーカルラインもリフのように短いものになっている。(2:53〜)他の曲とは明らかに異なる質感の泥水のようにうねりまくるグルーヴィーなギターソロが登場する。彼らなりにUSグランジを消化した曲と言えるだろう。
6 空を見なよ

「白い絨毯乗って空を飛び回る」ような空間的な広がりを感じるギターポップ。全てのパートがミニマムな音数で構成されて1つに溶け合っている。歌詞は「人生、先のことはわからないから今を生きよう」という内容。終盤はサビが繰り返しリピートされる。(3:26〜)バンドサウンドが止まり最後はピアノの調べとボーカルのみの展開となりしっとりと終わる。
7 ROBERT

リラックスした雰囲気のジャジーなポップロック。ジャージーでシンプルなサウンドにはたけ(g)のグルーヴィーなギターリフが絡む。 歌詞は「自分のやりたいことをやろう、人がどう思っても」という内容で周囲を気にして行動を起こせないリスナーの背中を押してくれる。 (1:02〜)キャッチーでポップなボーカルラインをもつサビが登場(1:30〜)夕日のような哀愁があるハーモニカソロが響き渡り曲に渋みを与え、 終盤は「人生はギャンブル」だと言い放ちシャウトを連呼するファンキーな展開。
9 SANAFE

「季節の終わり」のようなメランコリックなピアノの旋律が印象的なバラード。つんく♂(vo)のエモーショナルで繊細なボーカルラインが美しく、終始鳴り響くメランコリックなピアノの旋律は「誰もいない真っ白な部屋」のようだ(1:45〜)そこに哀愁感ただようブルージーなギターソロが鳴り響く(2:13〜) 「ダダン、ダダン」というドラムを合図に「曇り空」のような重さをもつバンドサウンドが加わり曲を重厚にして最後は静かに残響だけが残る。
10 ピエロ

カラフルなシンセと歪みギターが絡む80年代ライクなシンセロック。イントロはゴージャースなシンセで幕を開けて、そこに空間系の歪みギターが絡み空気感をさらに豪華に飾る(1:04〜)サビではシャワーのような煌びやかシンセ音が鳴り響き(2:56〜)残響が心地よいリバーブのかかったギターソロが登場。「過剰な煌びやかさ」が無条件にバブルを連想する。最後はブレイクの後、物悲しい春風のようなピアノの調べで終わる。

90年代の日本の音楽シーンの中でも指折りの個性的バンド/シャ乱Qの5枚目のアルバム。イロモノ扱いされがちなド派手なビジュアルから色んな意味でノリノリのバンドだと思っていたが、アルバムを通してじっくり聴きこんでみるとパブリックイメージとは異なり、音楽的な多彩さとジャズやソウルなどを基盤にしているアダルトな哀愁をもっている事に気付く。 ギターサウンドが全面に出てくるバンドが多かった日本の音楽シーンにお

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ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)のルーツであるニューウェイブ的なダークさが印象的なアルバムで「8 浸食 〜lose control〜」のようなヘヴィな曲であっても、ダークな質感や耽美的な要素が盛り込まれておりサウンド的に統一感がある。彼らの初期の曲を「HEART」以降のサウンドで再構築したような曲が多いアルバムなので、ある意味、インディーズ時代のアルバム「DUNE」と本作はリンクしていると感じる。

セールス的にピークにあった1999年だからこそ彼らは自分たちの原点を再確認するようなアルバムを作成したのだろうか!?「ダークな統一感」にハマれるかどうかで評価の分かれるアルバムと言える。

    「要点」

  • インディーズ時代のサウンドを再構築
  • ダークで耽美的
  • イケイケの全盛期

「曲解説」

1 死の灰

前作から本格導入したグランジ的な歪みとクリアな浮遊感が同居しているハードチューン。ルーズで「少し酔っている」かのようなヨレた質感の歪んだギターリフが終始鳴り響き、リズムはどっしりとしたシンプルな展開なっている(1:40〜)ハードなサウンドとこぶしの効いたボーカルラインをメインに構成されるサビだが、裏ではユートゥー(U2)やルナシー(LUNASEA)と共通するような眩しい光を連想する空間系アルペジオが鳴り響いており、ハードさと同時に浮遊感と眩しさも感じる(2:13〜)歪んだトーンで鳴らされるギターソロは煌びやかでありやはり眩しい光を感じる。
2 It’s the end

ザ・スミス(The Smiths)彷彿の流麗なギターフレーズが「黄昏の海辺」を連想するようなニューウェイブソング。BPMは早めだがhyde(vo)はギターフレーズに呼応するように流麗で大河のようにゆらりと流れるボーカルラインを歌い上げる、曲を通してサビのような展開。最後は流麗なサウンドが止まり、陽炎のような残響を残すギターサウンドが鳴り響く。
3 HONEY

hyde(vo)からニルヴァーナ(Nirvana)に対する回答とも言えるようなオルタナギターチューン。壊れた質感のオルタナ/グランジギターが終始鳴り響くがボーカルラインがメロウでキャッチーな点が、本家USオルタナ/グランジとは決定的な違いで。壊れたサウンドとメロウなボーカルラインのせめぎ合いがこの曲の魅力。また動きまくるメロディックなベースラインもUSグランジバンドではありえない(1:45〜)ソニックユースのような「機械が壊れたノイズ」のようなken(g)のギターソロは「ノイジーでジャンクな音質」なのだがメロディーを感じさせるのはさすがのセンスだといえる。終盤はまるでリフのようなyukihiro(dr)のドラムが鳴り響き曲を更に疾走させる。
4 Sell my Sou

アジアンの香りがするメロウなギターポップ。パーカッションを使ったラテンっぽいリズムパターンとジャジーなテイストを反映しておりギター・ベース共に最小限の手数でプレイしているが、ギターフレーズは相変わらず流麗なフレージングである(1:10〜)ファルセットを使った「蝶が舞う」ようなメロウなボーカルラインを聴かせるための曲という感じ。それくらい珠玉なボーカルラインだと思う。
6 L’heure

「誰もいないモノトーンな部屋」を思わせるインスト。トリップホップのようなダークで立体的なリズムの上を効果音のようなアルペジオが淡々と鳴り響くとう展開。時折、プライベート感あふれる英語による男女の会話が挿入される。ちょっと休憩というニュアンスの立ち位置の曲。
7 花葬

ニューウェイブ系ダーク・ギターロックの名曲。ダークで浮遊感のあるギターとストリングスが絡みあい幻想的な空気感を演出。音響構築に徹するギターとは対照的にクネるように動きまくるベースラインが印象的(2:02〜)ファルセットを使ったサビのメロディーラインはメランコリックだが一度聴くと頭から離れない中毒性があり(2:19〜)ギターソロはダークで幻想的な世界に「降り注ぐ光」のようび煌びやかな音色。終盤はサビが繰り返され最後はイントロと同様の耽美的なギタースレーズで締め括る。
8 浸食 〜lose control〜

「「地下の実験室」を思わせるダークでミステリアスなアルペジオが鳴り響く静のパート」と「ヘヴィでドライブ感のあるハードなサウンドによる動のパート」を中心にして構成される(1:05〜)「Good‐morning Mr.Fear」というhyde(vo)の呟きからヘヴィでドライブ感のある展開に変貌。ドラムはパワフルな変拍子を叩いている(1:50〜)ライド(Ride)彷彿の暴風雨のようなノイズが登場してカオスな様相を呈する。ノイズが鳴り止んだ後は「滅びた世界」のような淡々としたアルペジオとhyde(vo)の独り言のようなボーカルラインが流れる(3:33〜)またも「Good‐morning Mr.Fear」という呟きからハードな展開に変貌。終盤はハードなベースラインが強烈にウネり最後まで攻めまくる。
9 trick

冷たい金属的な響きが終始鳴り響くノイジーな曲。ループのようなミニマムなギターリフやサイレンのようなエフェクティヴなサウンド、冷たい金属的な響きがインダストリアル風でhyde(vo)のボーカルラインは所々でラップのように聴こえる(2:52〜)脳裏をギシギシ刺激するノイズソロ(?!)が鳴り響く 。このあたりもやはりインダストリアルの影響だと思われる。
10 いばらの涙

初期の耽美的な質感を「HEART」以降のサウンドで再構築したようなサウンド。冒頭は「秒針」のようなアルペジオがループされ、その上をhyde(vo)が「ファルセットで耽美的なボーカルラインを歌うパート」と「ハードでダイナミックなバンドサウンドによるパート」を中心となり構成される。時折、鳴り響く幻聴のようなギターサウンドは幽玄で幻想的な雰囲気がある(1:10〜)手数の多いドラムフレーズからエモーショナルでハードなサウンドに変貌、hyde(vo)のボーカルラインはエモーショナルで空を舞うようだ(3:16〜)ダイナミックで空間を支配するようなギターソロが登場。終盤はサビがリフレインされ全てのパートが主張する展開となり最後はハウリングが鳴り響く。

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)のルーツであるニューウェイブ的なダークさが印象的なアルバムで「8 浸食 〜lose control〜」のようなヘヴィな曲であっても、ダークな質感や耽美的な要素が盛り込まれておりサウンド的に統一感がある。彼らの初期の曲を「HEART」以降のサウンドで再構築したような曲が多いアルバムなので、ある意味、インディーズ時代のアルバム「DUNE」と

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海外渡航(イギリス・ドイツ)時に得たインスピレーションから作成された楽曲を収録した5枚目のアルバム。

これまでもインディーズ時代のアルバム「DUNE」や3枚目のアルバム「heavenly」で異国感を感じる音創りをしていた彼らだが、今作では「ダークで重厚な質感」や「叙情性のあるフレージング」などの要素を取り入れている。それに加え「ジャジーなテイスト」や「USグランジ・オルタナ」からの影響をラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)らしいメロディックな曲に反映させることによってこれまでの作品とは異なるレベルのダイナミズムや深さを感じることができる作品に仕上がっている。「歪んだマイナーコードの響きを活かしたギターロック」「景色が浮かぶメロウなポップソング」「ドイツの大河を連想するスケールの大きな曲」など様々なタイプの曲が収録されているが全ての曲のクオリティーが非常に高く本作は彼らの最高傑作と呼べる作品になっている。

    「要点」

  • ドイツ大河や古城を思わせる異国感
  • ジャジーな質感を導入
  • 最高傑作との呼び声が高い

「曲解説」

1 LORELEY

極寒のような冷たいピアノとダークで重層な雰囲気が印象的なオープングソング。ken(g)のギターサウンドが曲のダークさと緊張感を演出している。 冒頭では不穏で緊張感のあるサックスが空気を切り裂き、そこからゆったりとしたテンポの上を滑らかなhyde(vo)のボーカルラインが踊り、徐々に熱量を上げていく。Bメロの裏ではこれまであまり聴けなかったスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)のようなオクターブ奏法により歪んだギターリフを聴くことができ、サビは煌びやかなシンセとうねるベースラインの上をどこまで果てしなく続く大河のような壮大なボーカルラインが響き渡る。中世ヨーロッパのような雰囲気を持ちつつもUSオルタナ的な「エッジ」が反映されている神曲。最後は不穏なコクのあるアルペジオが静かに鳴り響く。
2 winter fall

実際に「真っ白な雪原にいる」かのような錯覚を味わえる曲。ガラスのように透明なアルペジオと優雅なホーンを中心に展開される。 メロディックで「真っ白な吐息」を連想するボーカルラインを持つサビがインパクト大(2:45〜)「雪の上に寝そべって見る晴天の青空がクルクルと回る」ようなイメージが浮かぶスケールの大きい伸びやかなボーカルラインが曲に躍動感を与え(3:08〜)ギターソロは暖炉に手をかざすような暖かさを感じる。曲を通して「どこまでも続く青空」「降り積もる雪」「凍える寒さ」「白い吐息」といった雰囲気を醸し出すフレーズや音色のみで構成されており世界観を見事に表現している。最後はhyde(vo)による「戻らない時間」のような物悲しい一人語りで終わる。
3 Singin’ in the Rain

「雨が降る都会の早朝」を連想するジャージーなピアノの旋律と微かな光のようなギタープレイがを中心に展開されるメロウな曲。 歌詞の中にもやはり「雨」が登場、歌詞の内容としては「降りしきる雨」が「雨が好きだった君」を思い起こさせるとういうもの(1:24〜)メロウな曲にぴったりな湿り気を帯びた力強いボーカルラインが曲の世界観をより確固なものとする。ボーカルラインの裏では残響のようなギターサウンドがノスタルジーな雰囲気を演出。終盤は「雨が激しくなった」ようなギターのノイズ音が薄っすらと鳴り響き、最後は水面に波紋を残すようなピアノの音で終わる。
4 Shout at the Devil

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)流グランジと言いたくなる歪んだギターロック。イントロからハウリングとhyde(vo)のカウントアップで幕を開ける激しい展開でken(vo)の開放的で歪んだギターフレーズが終始縦横無尽に暴れまわる。90年代後半はグランジ・オルタナ的な歪みを自分たちの曲に反映させる日本バンドが多かったが、この曲で聴けるken(g)のギターサウンドはジ・エッジ/U2(ユートゥー)がニルヴァーナ(Nirvana)のリフを弾いような音であり、ワウを効果的に使って飛翔感を感じるような質感になっていて個性がある(2:20〜)前作「True」までのhyde(vo)からは想像もできないようなまさにDevilなシャウトが登場する。それに続ギターソロに関してもグランジ的な壊れた質感を伴うものとなっている。終盤はリズム隊もグイグイと猛烈に攻めて最高潮を迎え最後は終焉のようなホーンが鳴り響き、僅かな不気味さを残し終わる。
5 虹

「蝶がクルクルと舞う」ようなミニマムなアルペジオが鳴り響く代表曲。言わずもがなバンド名を日本語に変換したタイトルとなっている。 イントロが終わると「いきなりサビから突入」する展開でインパクトがある。話が少しそれるが96年〜97年にかけて当時の3大バンド(L’Arc〜en〜Ciel、LUNASEA、GLAY)が揃ってサビから突入する代表曲をリリースしていることは大変興味深い。本曲は全体的にセンチメンタルな雰囲気のある曲となっており「静かで淡々としたAメロ」、「サビの爆発での予感させるBメロ」、「激しくエモーショナルなサビ」という構造になっている(2:38〜)メロウなアルペジオをバックにhyde(vo)の愛に対する悟りのような呟きが聴ける。終盤はエモーショナルなサビが繰り返しリピートされ最高潮を迎える。
7 Promised land

歪んだマイナー調の残響が心地よくハードでラフな曲なのだが不思議な浮遊感を感じる曲。よく聴いてみるとハードでラフなサウンドのバックに「柔らかい舞」のようなシンセや空間的なアルペジオが鳴っており、これがハードなサウンドなのにも関わらずハードに聴こえず浮遊感すら感じる仕掛けなのだろう(3:05〜)サイケデリックな揺れる光のようなサウンドに全体が包まれれるが、この後、光は消えてなくなりタイトで原始的なドラムが鳴り響く。終盤はフックのあるサビが繰り返されて最後はエフェクトのかかった声の残響で終わる。
8 fate

「ドイツの古城」を思わせる叙情系ギターフレーズと動きまくるベースフレーズが印象的なミドルテンポでダークな曲。マイナー調の歪んだギターサウンドが終始鳴り響き、曲を通して切ない雰囲気が漂う(1:30〜)hyde(vo)による高音を活かしたメロディックなボーカルラインを持つサビが強烈(1:50〜)残響が心地よくゆらゆらと宙を舞うギターソロが鳴り響き、間奏部では柔らかいストリングスやピアノ、煌びやかな電子音なども登場して切なさを更に助長する。終盤は柔らかいストリングスと煌びやかな電子音が更に存在感を増し最後はミニマムな電子音のループで終わる。この曲の終わり方はKarma Police/レディオヘッド(Radiohead)に近いものを感じる。

海外渡航(イギリス・ドイツ)時に得たインスピレーションから作成された楽曲を収録した5枚目のアルバム。 これまでもインディーズ時代のアルバム「DUNE」や3枚目のアルバム「heavenly」で異国感を感じる音創りをしていた彼らだが、今作では「ダークで重厚な質感」や「叙情性のあるフレージング」などの要素を取り入れている。それに加え「ジャジーなテイスト」や「USグランジ・オルタナ」からの影響をラルク ア

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グレイ(GLAY)らしいスピードチューンを中心にまとめられたベストアルバム。 エックスジャパン(XJAPAN)が解散を発表しヴィジュアル系(V系)というワードが世間にも浸透し始めた97年に本作はリリースされた。

現在、冷静に本作を聴いてみると普遍的なボーカルラインのよさとボーカルラインを第一に考えたウォームであまり主張しないギターサウンドが印象に残る。「主張しないギターサウンド」と聞くとあまり印象が良くないかもしれないが、当時はルナシー(LUNA SEA)のコピーバンドのようなバンドが大量発生していた時代で、ダークで耽美的で空間的なアプローチがヴィジュアル系(V系)シーンの主流であった。 「ヴィジュアル系(V系)と呼ばれる人たちがいるらしいけど「そっち系はちょっと、、」」という「普通の10代」にはグレイ(GLAY)の歌のメロディーラインを最優先するノーマルな方法論は圧倒的にわかりやすく、また多くの人の琴線にふれる普遍的なボーカルラインが刺さり空前の大ヒットを記録した

    「要点」

  • スピードチューン中心のベストアルバム
  • 楽曲第一であまり主張しないギターサウンド
  • ボーカルラインを活かす普通な方法論がV系では異端

「曲解説」

1 グロリアス

「分身の術」のようにブレるイントロのギターサウンドが印象的であまり歪んでいないウォームなギターサウンドによるバッキングと TERU(vo)のハスキーボイスを活かしたメロディックなボーカルラインを中心に構成される。Aメロ〜Bメロは多少サウンドの強弱はありつつも淡々としたサウンドとボーカルラインで進行するが、サビ前のCメロで急加速してリスナーに迫ってくる。サビのボーカルラインはジェットコースターのように山あり谷ありカーブありと抑揚が非常に大きいグッドメロディーとなっている(2:05〜)曲の雰囲気にマッチした耳に残る ツインギターのハモリフレーズはX JAPANからの影響を感じる?!(3:25〜)雨の街角を連想するクリーンアルペジオが流れる静パートが挿入され最後はギターリフが繰り返しリフレインされハードな質感をもったまま終わる。
2 彼女の“Modern…”

「性急でバタバタ」としたリズムとエッジの効いたギターリフが曲を引っ張る「ダイスで決める予定はとりあえず無視する」という大胆な宣言して始まるスピードチューン(0:28〜)Aメロはザクザクのギターの刻みサウンドが鳴っているが、全くといっていいほど「メタルの匂い」は感じず曲に疾走感を与えている(1:32〜)「ウ〜バイブル」という斬新な名コーラスがが今後の爆発を予感させ(1:46〜)ボーカルラインがとんでもない体感スピードを感じるサビが登場する。このボーカルラインはハモリのツインギターで弾くと強烈にハマるフレーだろう(2:17〜)サビとバトンタッチしてスピード感のあるギターソロが始まるが(2:30〜)またしてもツインギターによりハモリフレーズが顔を出す。最後までだれることなくスピード感を維持して曲は終わる。
3 BELOVED

「あの頃の僕ら」のような哀愁を終始感じるミドルテンポのバラード(1:21〜)同世代のバンドが避けそうな歌謡曲的なボーカルラインを気にせずやってしまうグレイ(GLAY)らしい伸びやかなサビ(2:20〜)ノスタルジーな叙情系フレーズが印象的なギターソロだが、ここでもやはりツインギターによるハモリフレーズが登場する。このあたりは同じツインギターでも先輩格であるルナシー(LUNA SEA)などのバンドではまずありえない展開だ。最後は「夢の終わり」のようなにアコギが爪弾かれて終わる。
5 千ノナイフガ胸ヲ刺ス

曲の冒頭でタイトルを叫ぶというかなり珍しい展開。刻まれるハードなギターリフや歌詞に出てくる「悪魔」というフレーズなど、少しメタルを意識している曲なのかもしれないが「メタル匂」は一切感じず「スピード感のあるポップネス」を体感でき、「ハードでアグレッシッヴなパート」と「宇宙の雰囲気を感じる静かなパート」によって構成される(1:25〜)キラキラしたシンセが夜空の星を連想する静かなパートが挿入されるが、サウンドとは裏腹な歌詞は「刹那的に燃え上がる恋」みたいな内容。「tonight i pray for you」(あなたのことを祈っている)という歌詞からわずかだがV系のエッセンスを感じる(2:17〜)スパニュシュギターのような異国感を感じるフレーズから始まるギターソロだが途中からヘヴィメタル的なハモリフレーズも登場して曲を引き締める。終盤はさらにスピード感を増したハードサウンドで最後まで駆け抜ける。
7 口唇

グレイ(GLAY)クラシックとも言える「スリリングな恋の駆け引き」をテーマにしたスピードチューン。サビから突入するビートルズ彷彿の展開やポリリズムの導入などがBPM以上のスピード感を演出している(0:00〜)メロディックなサビのボーカルラインから曲が始まるのだが、バックでは薄く透明なバブルのようなポリリズム的な電子音が鳴り響いている(1:14〜)2回目のサビではポリリズムの上をハードなギターサウンドが乗り「1回目のサビ」よりも更にスピード感を感じる。中盤以降は畳み掛けるようにサビを連発して最後まで攻め続ける。
9 HOWEVER

「木漏れ日」のような柔らかいピアノの旋律ではじまる名バラード。緊張感があり一人の夜を連想するジャジーなテイストがある(1:30〜)サビは壮大なストリングスとダイナミックなサウンドが絡み、「過去の叶わなかった愛情」という趣の歌詞を歌う美しいボーカルラインをより一層引き立てる(3:04〜)暖かい春風のような「フゥ〜、フゥ〜フゥウウ〜」というコーラスが曲に息吹を与え、中盤以降は壮大なストリングスが存在感を増し曲全体を包み込む。曲が終わる頃には「一人の夜」のような孤独感ではく「清々しい孤独」を感じることができる。
10 Freeze My Love

シンセを大胆に活用したスピードチューン。「見えない影に追いかけられる」ようなシンセサウンドと「誰もいなくなった部屋」を連想するようなマイナー調のギターが疾走感を演出する。ポップで「非メタル」なザクザクギターが終始鳴り響くグレイ(GLAY)流シンフォニックメタルのような曲(1:14〜)サビのボーカルラインのバックで流れる切迫感のあるミニマムなシンセフレーズはダークなギターサウンドと絡み少し不穏な雰囲気とBPM以上のスピード感を与える(2:42〜)80年代ブリティッシュ・ヘヴィメタルのバンドのような叙情性あるギターソロが飛び出す。ジャジーな音色なども取り入れ懐古主義になっていない点が素晴らしい。そして最後はやはりハモリのツインリードで締めくくられる(3:42〜)ブレイクビーツのような3連ドラムリフが登場しアクセントになっている。最後は「同じ月が照らす違う人生」というエモワードで登場し終わる。
11 KISSIN’ NOISE

アグレッシヴなアコギのストロークから始まる珍しくプログレ的な展開を見せる曲。基本的にはハードでアグレッシヴなバンドサウンドで展開されるのだが(2:00〜)唐突な転調が入り、重力がバグったサイバーな異空間に放り込まれる(2:30〜)夕暮れの街のような哀愁あるギターフレーズが登場して哀愁のある空気に包まれるがが(3:00〜)「だから!」という威勢の良いボーカルラインからハードでアグレッシヴなサウンドに戻る。終盤はギターソローも登場してハードなサウンドでそのまま最後まで走る。

グレイ(GLAY)らしいスピードチューンを中心にまとめられたベストアルバム。 エックスジャパン(XJAPAN)が解散を発表しヴィジュアル系(V系)というワードが世間にも浸透し始めた97年に本作はリリースされた。 現在、冷静に本作を聴いてみると普遍的なボーカルラインのよさとボーカルラインを第一に考えたウォームであまり主張しないギターサウンドが印象に残る。「主張しないギターサウンド」と聞くとあまり印象

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レディオヘッド(Radiohead)と共振するような「絶望」「空虚」を受け入れた上でのエモーショナルを追求したアルバム。 サウンド的にはUSグランジ的なざらついた歪みギターと「どんよりした曇り空」のようなUKサウンドを大胆に導入しており、また歌詞の内容はネガティヴィティを肯定するかのような痛々しいものも存在する。

ミスター・チルドレン(Mr.Children)というバンドは曲のイメージをコントロールするのがうまいバンドだと感じる。歪んだリフが印象的な曲であっても実はその歪みリフの頻度は少なかったりするのだ。要するにインパクトに残るタイミングで印象に残したい音を出しているという事だと思う。これまでの作品と比べるとオルタナ・グランジ的な質感の曲が多いが、曲のバランス感覚がこれまで同様に素晴らしいのでほとんどの曲がポップ・ミュージックとして成立しているという作品となっている。

    「要点」

  • 歪んだギターサウンド
  • 社会批判やエロい歌詞多め
  • 空虚を受け入れた上でのエモーショナル

「曲解説」

2 Everything (It’s you)

「深い森に迷い込む」ような幻想的なイントロで始まり、「サビが2回あるような大サビ」が特徴的な曲。言葉遊びもうまく「捨てぇ」と「stay」をかけている。 歌詞は他人にあまり心を開かない主人公が唯一、通じ合える「君に」対して恋とは違う形でもいいからと愛情を独白するというニュアンスの内容となっている。サウンドはミスター・チルドレン(Mr.Children)らしい最小限の音数で形成されるのギターロックで、サビでは鳥が大空に羽ばたくような壮大な展開となる。
3 タイムマシーンに乗って

グランジ的な金属的な歪みギターリフがインパクト大。ヴァースは酔っ払いのようなヨレた歌声で社会風刺的な歌詞を歌い上げ、サビはネガティブな歌詞とは裏腹にビートルズのようなメロディックなボーカルラインという展開。「haa、ha」というコーラスと低音が強調されたミニマムなホーンがポップな質感を与えている。このポップな質感がなければ良くも悪くもグランジ的なダーティーさが前面に出た曲となっていただろう。
4 Brandnew my lover

「3 タイムマシーンに乗って」同様、ざらつき歪んだグランジギターリフが登場する(1:00〜)アシッドハウス期のプライマル・スクリーム(Primal Scream)を思わせる光に包まれるような電子音に乗せて泥酔のようなテンションのボーカルラインが乗り(1:18〜)「人間のどうしょうもなさ」を呪文のように唱えるパートが曲にエッジとミステリアスさを加えている。サビは伸びやかでコクのある歌声で歌われるボーカルラインだが、歌われている内容は「放送禁止レベル」にエロティックさを持ちバックでは光を閉ざすカーテンのようにダーティーな歪みリフが鳴り響く。
5 【es】 〜Theme of es〜

物悲しいストリングスが「どんより曇った早朝」のような雰囲気を醸し出す曲。歌詞の内容は諦念や失望を受け入れつつそれでも希望を持って前に進むというニュアンス。AメロBメロのボーカルラインは抑揚がなく少しメランコリックだが、サビのボーカルラインは「どこまでも続く曇り空」のような広がりをもっている(1:50〜)煌びやかなトーンのギターソロが登場し曲に僅かな光を灯す。
6 シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜

曲を通して全てがサビのような極彩色のボーカルラインを持つ曲。「幸福の鐘のような音」が鳴り響くイントロから始まるキャッチーでカラフルで軽やかなギターポップソング。ネガティヴな歌詞や退廃的とも言える空気感のサウンドが続いた後だけにこの曲が登場したときのワクワク感はとても大きい(2:30〜)ボーカルラインとピアノとアコギだけが鳴る静かなパートが挿入されアクセントになっている(3:14〜)曲を更にカラフルにするサックスソロが鳴り響き曲は最高潮を迎える。終盤はサビが繰り返し歌われ甘い余韻を残したまま終わる。
7 傘の下の君に告ぐ

ザ・スミス(The Smiths)彷彿のメランコリックで流れるようなギターフレーズで幕を開け、サックスをフィーチャーしたジャジーなテイストのギターロック(0:43〜)Bメロのボーカルラインは歌われる内容(社会批判)と反比例するように能天気とも言える位の「不気味な明るさ」を感じるものになっておりシニカル(1:48〜)自暴自棄と自己嫌悪が混ざったような感情をぶちまけるシャウト(2:02〜)歪んだ歌声で絶望と諦念を吐き出し最後は「夢も希望もない」とまたもシャウトが飛び出す。その後に流れるサックスソロは荒廃した荒野のような虚無感すら感じる。最後は全ての絶望を受け入れた上で前に進もうとニュアンスの歌詞がわずかに登場する。これがこの曲の唯一の救いといっていいだろう。
8 ALIVE

「真っ白な空間」を連想するシンセサウンドと「独り言」のようなベースラインが空虚ささえ感じさせるイントロではじまり、空虚な気持ちや現状を受け入れた上で「苦笑いで前に進みわずかな光を見つけて歩き出す」ようなイメージの曲。サウンドは中盤までは空虚な質感が続くのだが、桜井 和寿(vo ,g)のボーカルはサビで大きな熱量を放ちわずかな光について歌う。歌詞は世の不条理に対して諦念に近い負の感情吐き出し、夢も希望もないけど光を探すことを忘れてはいけないという内容(4:36〜)これまで登場しなかったギターサウンドが煌びやか音色で鳴らされる。フレーズはメランコリックだが徐々に熱量をあげ光を感じることができる。終盤は確かな希望を感じるような眩しいサウンドが鳴り響く。
9 幸せのカテゴリー

アルバム「Atomic Heart」に収録されていても不思議ではないアーバンなソウルテイストのギターポップ。終始ノスタルジーと哀愁を感じるサウンドが展開され(1:24〜)サビでは今作で最もキャッチーでメロウなボーカルラインが聴くことができる。メランコリックな質感のボーカルラインが多い本作の中では異色の響き(3:16〜)ウォームなギターサウンドと煌びやかオルガンからなるソロパートが挿入される。終盤は哀愁あるサウンドをキャッチーなボーカルラインが混在して独特な雰囲気となる。
12 Tomorrow never knows

高層ビルから見下ろした夜景のようなアーバンな雰囲気の曲。煌びやかな電子音が星々のように輝くサウンドの上をサックスが縦横無尽に駆け回る。 サビのボーカルラインは歌詞の内容と相まってどこまでも続く地平線のように果てしない(3:08〜)誰も知ることのない明日を歩む事を決意した主人公の背中を強く押すような壮大なサックス(!?)ソロが鳴り響き曲は終盤を迎える。最後は全てのパートが綺麗にまとまり霧のように消える。

レディオヘッド(Radiohead)と共振するような「絶望」「空虚」を受け入れた上でのエモーショナルを追求したアルバム。 サウンド的にはUSグランジ的なざらついた歪みギターと「どんよりした曇り空」のようなUKサウンドを大胆に導入しており、また歌詞の内容はネガティヴィティを肯定するかのような痛々しいものも存在する。 ミスター・チルドレン(Mr.Children)というバンドは曲のイメージをコントロー

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