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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果278件

カテゴリー「全てのレビューを見る」のレビュー

2000年にレディオヘッド(Radiohead)が発表した今作Kid Aは音楽シーンに衝撃を与えた。本作にはこれまで彼らの代名詞であったリスナーの深部まで届くエモーショナルなボーカルラインや「静」→「動」のダイナミックなバンドサウンドがほとんど登場せず、エレクトロニカ、アブストラクトHIP HOP、ポストロックなどの文脈を大胆に導入し、彼らの描きたいイメージを音でストイックに描ききっている。

前作「Ok Computer」に存在していた「荒涼とした世界観」をさらにディープにするには、ギターロックのフォーマットだけではもはや無理があったのだろう。本作Kid Aを聴いていると終始、「何もない真っ白な空間」や「氷の世界」が目に浮かんでくる「無」の場所で音楽的自由を究極に突き詰める本作はシンプルなギターロックよりはるかにプリミティブだと思う。

    「要点」

  • エレクトロニカ以降の音響で描かれた世界観
  • 絶対零度の感情
  • 音楽史に残る問題作

「曲解説」

1 Everything in Its Right Place

ミニマムな電子音とトム・ヨーク(vo ,g)の声をサンプリングした「呪文」のような音で幕をあける。作品全編に言えることだが前作に見られた荒涼とした雰囲気をさらをディープにしたような幽玄な空気感で全てが凍りついた氷河の中でポツンと佇むトム・ヨーク(vo ,g)が目に浮かぶ「全てのものはあるべきところに」を繰り返す詞の世界も意味深。
2 Kid A

「氷」のようなアンビエントな音色は誰もいない真っ白な空間を連想させる。彼らの最大の武器であったリスナーの感情を揺さぶるエモーショナルなボーカルラインはこの真っ白な空間には存在せず、ただ風だけが流れている。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルにはまるで老人の囁きに聴こえるようなエフェクトが掛けられておりボーカルラインの断片はまるでお経のようにすら聴こえる。そこに無機質で鋭角的なポストロック的なリズムが加わるが、ギターロックバンドらしいダイナミズムとは無縁の淡々とした展開を見せる。そして最後は透明なベールのような電子音に包まれ目に映る全てが無と化す。
3 The National Anthem

サンプリングされたウッドベース(多分)のミニマムなフレーズが終始鳴り響き、不穏さや浮遊感を感じる多様な音が煙のように浮かんでは消える。ホーンセクションを大胆にフィーチャーした「夢の国に出てくる軍隊の行進曲」のような曲。
4 How to Disappear Completely

死後の世界に迷い込んだような幽玄さのある曲。誰もいない真っ白な空間であまり抑揚のないメロディーをトム・ヨーク(vo ,g)が弾き語る。その後、不穏なストリングスと「ボタンのかけ違い」のようなミニマムな電子音が出てきて曲はさらに深くなる。(3:30〜)から聴けるボーカルラインは美しくエモーショナルだが前作に感じたような熱量はなく嘆きのように聴こえる。
8 Idioteque

レディオヘッド流アブストラクトHIP HOP。「車が宙に浮いて走っている近未来の高速道路」を連想するスピード感があり「氷河期がやってくる」という脅迫観念のようなトム・ヨーク(vo ,g)の鬼気迫るラップ(?)が凄まじい。「Here I’m allowed everything all of the time」の箇所は、トム・ヨーク(vo ,g)とエド・オブライエン(g)によるハモった最高級のボーカルラインが聴ける。
9 Morning Bell

神経質なブレイクビーツと牧歌的な電子音が終始鳴り響く曲(3:05〜)トム・ヨーク(vo ,g)の声の残響が四方八方から鳴り響きカオスの様相を呈するが、やがて全ては過ぎ去り目の前には誰もいない「氷の世界」だけが広がっている。

2000年にレディオヘッド(Radiohead)が発表した今作Kid Aは音楽シーンに衝撃を与えた。本作にはこれまで彼らの代名詞であったリスナーの深部まで届くエモーショナルなボーカルラインや「静」→「動」のダイナミックなバンドサウンドがほとんど登場せず、エレクトロニカ、アブストラクトHIP HOP、ポストロックなどの文脈を大胆に導入し、彼らの描きたいイメージを音でストイックに描ききっている。 前作

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前作「The Bends」でギターロックバンドとして確固たる地位を築いたレディオヘッド(Radiohead)が、エレクトロニカやトリップホップなどの新興ジャンルからの影響をエモーショナルなギターロックに作品に反映させはじめた90年代を代表する作品。サウンド面では不穏な暗さやエレクトロニカにも通じるような荒涼とした雰囲気が最大の特徴でキャッチーとは言えない曲がほとんどを占める作品だが紛れもなくポップとして成立している。

レディオヘッド(Radiohead)は2000年にエレクトロニカやポストロックに急接近した問題作KID Aリリースするのだが、本作は「ギターロック」と「非ギターロック」の中間に位置する過渡期的作品でありある意味一番バランスが良い作品かもしれない97年〜98年は本作に触発されたかのように他のアーティストもプログレッシヴな作品をリリースし活況であった。

    「要点」

  • 「エレクトロニカ傾倒」前夜の過渡期的作品
  • 人によってはプログレに聴こえるらしい

「曲解説」

1 Airbag

「強迫観念」のような不穏な空気感が印象的なオープニング曲。前作から取り入れ始めた電子音が前面に出ており、またディープなリズムアプローチなどは、マッシヴ・アタック(Massive Attack)やポーティスヘッド(Portishead)からの影響を感じさせる。
2 Paranoid Android

冒頭は神聖な雰囲気すら漂う美しいメロディーラインで進行するが、唐突に現れる「ガッ、ガッ」というブラッシングノイズがその神聖な雰囲気を引き裂きぶっとんだ早弾きのギターソロが炸裂するというレディオヘッド(Radiohead)風プログレ曲。
4 Exit Music (For a Film)

エレクトロニカのような荒涼とした冷たさを感じる曲。トム・ヨーク(vo)のボーカルにはエフェクトがかかっており、これまでにはない悲壮感と切迫感を感じる事ができる。
5 Let Down

輪郭のはっきりしたアルペジオを中心に淡々と進行されるが(3:25〜)ミニマムで煌びやかな電子音が舞い降りてくるのをキッカケに曲は変貌しトム・ヨーク(vo)の歌声は何重にも重なり過去最高のボーカルラインを奏でる。歌詞の内容な移動によって起こる「ヒステリーで無意味な化学反応」についてらしい。
9 Climbing Up the Walls

サンプリングされたアニメのキャラクターような笑い声ではじまる曲でトム・ヨーク(vo)のボーカルにはホラー映画のような不穏さがあり、曲は時間の経過と共に徐々に熱量をあげて、「天まで届くアラーム」のようなギターサウンドの登場でピークを迎える。その後は重厚でヒステリーなストリングスも加わり曲はまさにカオスの様相を呈する。最後はトム・ヨーク(vo)の鬼気迫る絶叫で幕を閉じる。

前作「The Bends」でギターロックバンドとして確固たる地位を築いたレディオヘッド(Radiohead)が、エレクトロニカやトリップホップなどの新興ジャンルからの影響をエモーショナルなギターロックに作品に反映させはじめた90年代を代表する作品。サウンド面では不穏な暗さやエレクトロニカにも通じるような荒涼とした雰囲気が最大の特徴でキャッチーとは言えない曲がほとんどを占める作品だが紛れもなくポップ

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グランジの影響が非常に強く性急で畳み掛けるようなギターサウンドが特徴だった1stアルバムからまるで別人のような進歩を遂げた2ndアルバム「The Bends」1stアルバムの延長線上のような曲はほとんどなく、静と動はもちろん喜怒哀楽の全てをダイナミックに表現できてしまうトリプルギターサウンドが冴え渡る。

本作こそがレディオヘッド(Radiohead)の最高傑作というファンも存在する程のクオリティを誇る。ピクシーズやソニックユースに影響を受けたと思われる壊れた質感を持つ重厚なギターサウンド、アコースティックな響きを持つ新機軸、グランジ・オルタナを経たゴスのような曲など収録曲はバラエティーに富んでいる。トム・ヨーク(vo ,g)という人は明らかに「ジョンレノン」や「カート・コバーン」同様に選ばれた人間だけが持つ声をしている。

    「要点」

  • エモーショナルギターロックの傑作
  • 喜怒哀楽全てを表現するトリプルギター

「曲解説」

1 Planet Telex

上空を連想するSEからはじまるオープニング曲。前作にはないミニマムな電子音が鳴り響きギターロックと並行。空を飛んでいるかのような浮遊感を感じる事ができるサウンドになっている。
3 High and Dry

レディオヘッド(Radiohead)の曲の中でも屈指の名曲。歌詞の内容は「人と繋がるために偽りの自分を演じている主人公がいつか自分は見放されるのでは?」と怯えている曲。SNS登場以降の「人にどう思われるか?」を過剰に重視する現在人を皮肉っているかのような歌詞だが本作が発売されたのは95年。
4 Fake Plastic Trees

シンプルなアコギのストロークと微かなにあかりを灯すような電子音の上をトム・ヨーク(vo)がエモーショナルに歌い上げる名曲。
5 Bones

「踏切の音のようなギターフレーズがリフレインされ淡々と進行するパート」と「エモーショナルでダイナミックなギターロック」が交互に繰り返される曲。やはりこの曲でも空を飛んでいるかのような浮遊感を感じる事ができる。歌詞の内容は「以前、当たり前に出来ていた事が出来なくなった主人公の喪失感とそれを他人事だと思っている人たちに対する警告」のような内容。
6 Nice Dream

ノスタルジーな雰囲気のする軽やかなアコギのストロークとストリングスを中心に展開される。本曲のハイライトは(2:30〜)始まるギターソロで最小限の手数で見事なアクセントとなっている。
7 Just 8 My Iron Lung

「静」→「動」でダイナミズムを強調するオルタナ的展開は完全にマスターしたと言わんばかりの2曲。事実、このアルバムを最後に彼らはオルタナ的展開を一切使わなくなった。ジョニー・グリーンウッド(g)による壊れまくったオルタナギターソロは必聴。

グランジの影響が非常に強く性急で畳み掛けるようなギターサウンドが特徴だった1stアルバムからまるで別人のような進歩を遂げた2ndアルバム「The Bends」1stアルバムの延長線上のような曲はほとんどなく、静と動はもちろん喜怒哀楽の全てをダイナミックに表現できてしまうトリプルギターサウンドが冴え渡る。 本作こそがレディオヘッド(Radiohead)の最高傑作というファンも存在する程のクオリティを

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シューゲイザーUK代表といっていいライド(Ride)が1990年にリリースした作品。マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)がシューゲイザーの金字塔的アルバム「Loveless」をリリースする前年に本作はリリースされた。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)とはまた異なる特徴を持ち、ギターノイズがポストロック的な音響として使われている点が面白く、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)が歪んだ音を重ねて絵画を描いているのだとしたらこのライド(Ride)は「歪んだ音」を記号や暗号のように使い曲に様々な表情を与えるようなイメージであり、ジーザス&メリーチェイン (The Jesus and Mary Chain)が発明した「ぶっ壊れたノイズギター」を自由度高く曲に反映している。グランジ上陸前夜のUKでこの破壊的な音は相当な衝撃を与えたハズ。

    「要点」

  • シューゲイザーUK代表アーティスト
  • 曲にアクセントを与える音号のようなギターノイズ

「曲解説」

1 Seagull

ツインギターが全く異なるフレーズを弾いているおり、「暴風」のようなノイズギターの裏でミニマムなアルペジオが鳴るというアレンジ。ドラムは手数が多く性急でダイナミックなリズムを刻んでいる。間奏部で聴ける暴風がさらに激化し「暴風雨」と化したノイズギターはジーザス&メリーチェイン (The Jesus and Mary Chain)ばりでメロディーもなく純粋な音響として直線的に鳴り響き続ける。
3 In a Different Place

1〜2曲目の暴風のようなノイズサウンドと打って変わって「和太鼓」のようなリズムと淡々としたアルペジオという構成ではじまる曲。本曲はグランジ的な「静」→「動」のダイナミズムを活かした曲であり「静」のパートで透明感のあるアルペジオを全面に押し出す。このあたりUKバンドらしい。
4 Polar Bear

「ジェット機が通り過ぎた」ような残響が終始リフレインされ、エフェクトを駆使した「揺れる炎」のようなギターサウンドは時間の経過と共に様々な色合に変化する「移り変わる空」を思わせる。本作の中で最も「シューゲイザー」的ば「極彩色サイケデリック」を感じる曲となっている。
5 Dreams Burn Down

ザ・キュアー(The Cure)彷彿の「氷細工」のようなアルペジオが淡々と鳴り響く中、時折現れる「頭のネジが完全に飛んでいる」かのように絶叫するノイズギターが氷の世界を切り裂く。ただこれを繰り返すだけなのだが、それがただただ気持ちいいという曲。

シューゲイザーUK代表といっていいライド(Ride)が1990年にリリースした作品。マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)がシューゲイザーの金字塔的アルバム「Loveless」をリリースする前年に本作はリリースされた。 マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)とはまた異なる特徴を持ち、ギターノイズがポストロック的な音響として使わ

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90年代にリリースされた音楽アルバムの中で間違いなく五指に入る神アルバム。

幾重にも重ねられた轟音ギターサウンドがリスナーに様々なサイケデリックなイメージを想起させ極彩色なサウンドとドリーミーなポップが見事に溶け合った奇跡のような作品。本作がなければ現在の音楽シーンはまた別のものになっていたと断言してもよく「轟音を重ねて複雑なサウンドレイヤーを作り出し幻覚のような雰囲気を醸し出す」この方法論は間違いなく彼らが生み出したものであり後続のアーティストに多大な影響を与え多くのフォロワーを生み出したが、今だに本作を超えるようなサイケデリックなギターロック作品には出会えていない。マイブラが提示した「極彩色なサイケデリック」の探求はこの先エレクトロニカ勢に引き継がれる事になる。

    「要点」

  • 極彩色なサイケデリックサウンド
  • 現代音楽に多大な影響を与えている
  • 90年代のアルバムで5指に入る作品

「曲解説」

1 Only Shallow

強烈にうねる「渦巻き」のようなギターサウンドで幕をあけるオープニングソング。囁くようなビリンダ・ブッチャー(vo , g)のボーカルはうねる「渦巻き」のようなサウンドと対照的でどこまでも限りなく透明。ラスト35秒の幽玄な残響は足を踏み入れてはいけない世界の入り口に立っているかのような不穏さがある。
2 Loomer

「テレビモニターに映した出された砂嵐」のようにざらついた「静かなノイズ」が終始鳴り響き、ノイズの隙間から光をさすようなシンセと時間と共に複雑さを増していくノイズが絡み合いがリスナーから全ての感覚を奪っていく。
4 To Here Knows When

乱反射するピンク色の音のシャワーのようなサウンドで完全にアナザーサイドに足を踏み入れている。目に映るもの全てが揺らめき、狂った輝度の光の中に包まれていくような感覚を味わえる衝撃の1曲。
5 When You Sleep

何重にも重なったギターサウンドが「深海」のような安らぎをもたらしている。ケヴィン・シールズ(vo , g)とビリンダ・ブッチャー(vo , g)の囁くような声は一つに重なりリスナーを眠りの世界へと誘う。
8 Sometimes

全てを包み込むような揺らめく轟音と終焉のようなダウナーさが心地く、「時間の経過と共に表情をかえる静かなノイズ」と「囁く」ようなボーカルラインで淡々と進行する曲。1〜7曲目までの「ピンク色の極彩色サウンド」を聴いたあとにこの「静かにノイズが流れる」だけのこの曲を聴くと頭の中に様々なサイケデリックなイメージが湧き上がる。
10 What You Want

轟音ギターサウンドが疾走す曲なのだが、ギターロックを聴いているという感覚は全くなく「深い森に迷い込んだ」ような静けさと洪水のような溢れ出す光を感じる。

90年代にリリースされた音楽アルバムの中で間違いなく五指に入る神アルバム。 幾重にも重ねられた轟音ギターサウンドがリスナーに様々なサイケデリックなイメージを想起させ極彩色なサウンドとドリーミーなポップが見事に溶け合った奇跡のような作品。本作がなければ現在の音楽シーンはまた別のものになっていたと断言してもよく「轟音を重ねて複雑なサウンドレイヤーを作り出し幻覚のような雰囲気を醸し出す」この方法論は間違

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