検索画面を消す
検索画面を消す
live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果28件

カテゴリー「神作」のレビュー

鬼才/ロバート・スミスの頭の中にある「濃厚な音世界」を妥協なく描き切った神作で全編を通して「強烈でタイトなビート」を導入しており、ギターサウンドからも「強烈なサイケ」を感じる事ができる。

初期3部作同様に音数的にはミニマムではあるのが、これまでの彼らとは明らかに異なる質感のサウンドとなっている。本作で聴く事ができる「狂気じみたダークなサイケデリック」は「箱庭的でモノトーン」な初期作に「濃厚な色彩」を加えたようなイメージである。

また本作の緊迫したレコーディングでメンバーの不仲はピークに達し、本作リリース後のツアーでベーシストであるサイモン・ギャラップが脱退(wiki)する事態となった。本作に限らず「音楽的な充実」と「メンバー間の緊張感」はどうやら正比例する傾向にあるようだ。

    「要点」

  • ・収録曲は8曲と少ないのだが濃厚な内容となっている神作
  • ・ザ・キュアー (The Cure)がもつ狂気性とダークネスをビビッドに感じる事ができる

「曲解説」

1 One Hundred Years

冒頭から「神経質」なインダストリアルビートと「脳みそをグラグラと揺らす」サイケなギターサウンドが炸裂し、これまでのザ・キュアー (The Cure)の曲とは明らかに異なる濃厚さを感じる曲。ロバート・スミス(vo) のボーカルラインはリスナーを「異空間へと誘う呪文」のようにミステリアスではあるが同時に「不思議なポップネス」もあり強烈なインパクトを残している。
2 A Short Term Effect

「濃厚な中東の匂い」を感じる浮遊系サイケチューン。ロバート・スミス(vo) の声にはマニアックなディレイ処理が施されている。この曲のギターサウンドも「1 One Hundred Years」同様にインパクト大であり「酩酊」ように揺らめくサイケな音響を聴かせてくれる。この「ぶっ飛んだ」サイケな音響はマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)に近いものがある。
3 The Hanging Garden

鋭角的なビートとそれに呼応するベースラインを中心に展開されるビート・オリエンテッドな曲。「シリアスな現実」のようにタイトなリズムとは対照的にギターサウンドは「半透明の煙」のように揺らめくサイケフレーズとなっている。タイトルの和訳は「吊るされた庭」であり、内容も意味不明なものとなっている。
5 The Figurehead

退廃的なアルペジオがシリアスな雰囲気を演出する曲で、ビートは「大粒の酸性雨」のようである。音数は少ないのだが各パートが「自分の音」を迷いなく鳴らしており「ダークサイドの異端な熱量」を感じる。
6 A Strange Day

「視界にうつる全てが軽く歪んでいる」ような音響が印象的なサイケチューン。ビートは他の曲と同様に鋭角的なマシンビート風になっている。ギターサウンドはどこからどこまでが「リフ」で「ソロ」なのかの区別がつかない不思議なものとなっているが強烈に耳に残る。歌詞の内容は「3 The Hanging Garden」同様に意味を理解するのが難しい類のものだが、おそらくではあるが「現実逃避」をテーマにしていると思われる。
7 Cold

分厚いシンセサウンドを前面に押し出しており曲を通して「魔界」のような雰囲気を醸し出すゴスソング。時折挿入される「砕けたグラス」のような音が絶望的な暗闇の中に僅かな透明感を与える。
8 Pornography

「アナーキーで無秩序なタップダンス」のようなビートの上で不穏な音響とノイズが渦を巻く暗黒アバンギャルドチューン。中盤以降はロバート・スミス(vo) のボーカルも加わるが狂ったサウンドの中を「迷子」のように彷徨う。

鬼才/ロバート・スミスの頭の中にある「濃厚な音世界」を妥協なく描き切った神作で全編を通して「強烈でタイトなビート」を導入しており、ギターサウンドからも「強烈なサイケ」を感じる事ができる。 初期3部作同様に音数的にはミニマムではあるのが、これまでの彼らとは明らかに異なる質感のサウンドとなっている。本作で聴く事ができる「狂気じみたダークなサイケデリック」は「箱庭的でモノトーン」な初期作に「濃厚な色彩」

READ MORE

前作「PRESENTS」同様に素晴らしいクオリティを誇るマイ・リトル・ラバー(My Little Lover)の3rdアルバム。

アルバムジャケットと共振するような「ブルーでメランコリックな音響」を全面に押し出しており「90年代UKギターロック」「透明で冷たい質感のエレクトロニカ」からの影響を凄腕プロデューサー「小林武史」が見事にポップソングに落とし込んでいる。全ての曲で言える事だがギターサウンドは「弾きすぎない美学」を体現しており、少ない手数で曲が求めるフレーズのみを提供しており「余計な音」が一切鳴らされていない。

歌詞の内容は「これまでのマイ・リトル・ラバー(My Little Lover)」を良い意味で壊そうとしている前衛的なものが多く「4 ALICE 〜album version〜」に関してはサビの一部に記号(「*+▼☆▲△×□」「☆▼□×+▲*△ 」)が登場し「8 Private eyes」「9 ANIMAL LIFE」は前作に収録されていた「Naked」と同様にエロティクである。また「10 Fallin’ Blue」の歌詞は「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で大失恋を経験した主人公の「数年後のメランコリックな心情」を描いたようなイメージとなっている。

本作は「メランコリックな音響」を押し出したサウンドが主となっているが「透明感の塊」であるakko(vo)のボーカルが絡まる事で全ての曲が良質なポップソングとして成立している。おそらくではあるが例えどんなにアバンギャルドな音楽であってもakko(vo)が歌うと良質なポップソングとして成立するのでは?!思われる。筆者の個人的な意見ではakko(vo)は「心地よい音響」を提供する女性ボーカリストとしてJ-POP史上TOPレベルのボーカリストである。

    「要点」

  • ・アルバムジャケットと共振するような「ブルーでメランコリックな音響」を全面に押し出している
  • ・akko(vo)は「心地よい音響」を提供する女性ボーカリストとしてJ-POP史上TOPレベルのボーカリスト

「曲解説」

1 New Adventure

「真夜中のプール」のようなメランコリックを感じる気だるいオープニングソングでミニマムなマイナー調のギターコードとakko(vo)の「語り」のようなボーカルを中心に展開される。サビは淡々とタイトルの「New Adventure」というフレーズをなぞる非ポップなものである。
2 STARDUST

「宇宙」のような浮遊感を醸し出す音響が印象的である反面、サビではグランジ風の無機質なギターフレーズが淡々とリフレインされる曲。akko(vo)のボーカルは相変わらず「透明感の塊」であり「1 New Adventure」同様にメランコリックなこの曲と見事に絡み合っている。
3 CRAZY LOVE

90年代エレクトロニカの代表的なアーティスト「エイフェックス・ツイン(Aphex Twin)」を思わせるブレイクビーツが印象的なギターロックで曲を通して「春の訪れ」のようなストリングが流れる。歌詞は「狂おしい恋の妄想」というイメージで「愛の方程式 解いてね」というフレーズは積極的なのか受け身なのかよく分からない響きである。
4 ALICE 〜album version〜

リスナーを「シュールな夢の国」に誘うキラキラ系ギターポップ。「マイナー調のギターサウンドの断片」を中心に展開されるスローな曲で歌詞は「思春期のトキメキと葛藤」を言語化したようなイメージであり「いつだって恋だけが素敵なことでしょう」という華やかさと「恋だけじゃ愛にたどり着けない」というある種の諦念が混在されている歌詞は神の域と言ってもいいレベルである。サビの歌詞の一部は「リギリッラ、リギリギラ」という風に聴こえるのだが、歌詞を見るところまさかの記号であり「*+▼☆▲△×□」「☆▼□×+▲*△ 」細部にまで相当なこだわりを感じさせる。
5 雨の音 〜album version〜

「海底」のような音響が強調されたメランコリックチューンでギターサウンドには「海の中で演奏された」ような揺らめく響きがある。ボーカルラインはサウンドに寄り添うように「沈む」ような質感である。
6 DESTINY

「Eメールからはじまるラブストーリー」で話題になったテレビドラマの主題歌としても起用された壮大なバラード。「近づくほどに遠く海のように揺れる」というラインは一筋縄ではいかない運命的な恋の難解さ見事に表している。
8 Private eyes

ディープな音響を感じさせる歪んだロックチューンでタイトルの「Private eyes」というフレーズが「メロディックな呪文」のようにリフレインされる。歌詞の内容は「成り行きではじまった性行為の後」のようなイメージで「力の抜けた体がBananaのようにベッドに這う」というラインはエロティックである。
9 ANIMAL LIFE

90年代UKギターロックテイストをシンプルに反映させた曲。歌詞は意味深なものとなっており「動物の動作」について歌われている。おそらくではあるがエロティックな内容で名曲「4 ALICE 〜album version〜」に登場するライン「恋だけじゃ愛にたどり着けない」と共通する意味があると思われる。
10 Fallin’ Blue

タイトル通り「メランコリックでブルーな音響」と「氷の世界」のような冷気を感じる曲で「自分らしくない時間」「今でもね、たまに思い出す」「あなたを探している」などのシリアスで重い歌詞が非常に印象に残る。これらのラインから考察すると深読みかもしれないが「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で大失恋を経験した主人公の「数年後のメランコリックな心情」を歌っているのでは?!と思われる。
11 Days

ミニマムなサウンドで構成されるシンプルなUKギターロック。サビは「どこまでも続く曇り空」のようなイメージだが、他の収録曲がメランコリック・テイストのものが多いという事もあり不思議な開放感を感じる。

前作「PRESENTS」同様に素晴らしいクオリティを誇るマイ・リトル・ラバー(My Little Lover)の3rdアルバム。 アルバムジャケットと共振するような「ブルーでメランコリックな音響」を全面に押し出しており「90年代UKギターロック」「透明で冷たい質感のエレクトロニカ」からの影響を凄腕プロデューサー「小林武史」が見事にポップソングに落とし込んでいる。全ての曲で言える事だがギターサウンド

READ MORE

ダークな無空間の中で今井寿(g)の尖ったセンスが大爆発している神アルバム。

海外の尖ったアーティストのアルバムなども数多く聴いてきた筆者ではあるがこのアルバムで聴く事ができる「マニアックでアブノーマルなサウンド」の数々は衝撃的と言っていい内容となっている。このぶっ飛んだサウンドの提示だけでも十分に凄いのだが、バクチク(BUCK-TICK)の最大の魅力は「ぶっ飛んだサウンド」をポップソング・ロックソングに落とし込める点にあると思う。

マニアックな世界観を持つ「4 青の世界」「5 神風」「9 Madman Blues -ミナシ児ノ憂鬱-」などの曲も彼らの手にかかれば「不穏なワクワク感」を感じる曲になるから何とも不思議である。「金属的でメタリックなエッジ」「揺らめくようなサイケデリック」を多くの収録曲で感じる事ができバクチク(BUCK-TICK)サウンドをより奥深く立体的にしている。

時代が時代であれば彼らは確実に海外のコアな音楽ファンに注目されていたに違いない。

    「要点」

  • ・ダークな無空間の中で今井寿(g)の尖ったセンスが大爆発
  • ・マニアックな世界観を持つ曲もB-Tの手にかかれば「不穏なワクワク感」を感じる曲に変貌

「曲解説」

1 キラメキの中で…

ミステリアスに揺らめくギターフレーズと微かに歪んだ残響を中心に展開されるB-T独自のアバンギャルド・ソング(2:02〜)「酩酊」のような質感のサイケサウンドが揺らめき(3:03〜)「一時停止」のように直線的な残響サウンドが響き渡る。以降は全てのパートが熱量を上げサウンドがより鋭角的になる。「もう少しでキラメキになる」「誰も彼もがキラメキになる」などの歌詞は筆者のイマジネーションでは正直追いつけない類でありサウンド・歌詞共にポジティヴな意味でやりすぎな名曲といえる。
2 Deep Slow

「ローファイな歪み」と「揺らめくような空気感」を感じる曲でグランジをB-Tなりに解釈したような曲となっている。「リズムはひどく狂いはじめた」なる歌詞がとにかく秀逸でシラフでは出てこないと思われる。終盤は直線的なギターリフが更に存在感を増すが、同時にオリエンタルな雰囲気も醸し出すという展開である。
3 誘惑

「地下室で行われるデカダンスで耽美なパーティー」を連想する曲で珍しく(?!)ジャジーなテイストを加えている。ピアノの旋律の間を縫うように時折現れる「揺らめく煙」のようなギターサウンドがインパクト大でB-Tソングの中でも「異色」と言っていい質感の曲となっている。
4 青の世界

「縮れたような強烈な歪み」と「神聖な雰囲気」が同居するヘヴィチューン。冒頭の櫻井敦司(vo)による囁き「青の世界へようこそ」がマニアックな世界観をリスナーに予感させる。「渦巻き」のようなベースラインがとにかく目立つ曲でダークなグルーヴを堪能する事ができる(4:35〜)櫻井敦司(vo)のルナティックなシャウトと共にBPMが急加速してカオスな展開となる。
5 神風

「揺らめく炎」のようなアルペジオを中心に展開される曲で「悪ふざけ」のような櫻井敦司(vo)の語りがミステリアスなムードを醸し出している(2:58〜) 終幕感と妙な祝祭性が混ざったパートから、またも櫻井敦司(vo)の語りが登場。声に「半透明の渦巻き」のようなエフェクトがかけられておりぶっ壊れた感を演出(3:40〜)「センスが狂いそうだ」「センスが暴れそうだ」「回る回る世界が回る」というインパクト大のフレーズが登場。アブノーマルさをポップソングに落とし込むという点においてB-Tの右にでるアーティストはそうはいないハズだ。
6 ZERO

「スライム」のような弾力感を感じる樋口 豊(b)のスラップベースを中心に展開されるスローな曲で櫻井敦司(vo)独自の酔っ払いラップ風歌唱が登場する「ZEROになるさ」というフレーズが頻出するが「青空が優しく手招く」というフレーズからおそらくではあるが「死」をテーマにしていると思われる。
7 ドレス

「天空の城」のような浮遊感を感じる名バラード(0:00〜)冒頭のリズムアプローチはまさかのドラムンベース風。歌詞の内容は「MADの続編」のようなイメージで狂い果てた後に感じる強烈な喪失感を歌っている(2:50〜)「僕には羽がない」という諦念を淡々とメロディックに語りけるようなサビがインパクト大。曲を通してエモーショナルなフックなどは用意されていないが「強い北風」のようなエモーショナルを感じる。
9 Madman Blues -ミナシ児ノ憂鬱-

「200%の負のパワーをもつ超生物の増殖」をテーマにしたマニアック・ソング。今井寿(g)による「welcome to my territory」というフレーズがループされリスナーを異空間に誘う。本曲の歌詞はジャンプ世代の筆者からすると「ドラゴンボールのセル」や「幽遊白書の海藤」を連想する。
10 die

「夕暮れ」のような眩しさを感じるアコースティックサウンドと「引き裂く」ような今井寿(g)のノイズサウンドが不思議とマッチしているバラード。歌詞の内容はB-Tらしく「死」についてである。最後は「全てがバグった」ようなカオスな音響に包まれる展開である。
11 D・T・D

「縮れた電子音」が脳内を駆け巡り曲全体から「濃厚な東洋の匂い」を感じるマニアックチューン。メインフレーズのクリーンアルペジオは個人に「リットン調査団」と聴こえてしまう(3:21〜, 4:07〜,5:25〜)時折、登場する極彩色フレーズは「壊れたメリーゴーランド」のようである。また「醜く歪み出したこの美貌」なる歌詞を歌えるボーカリストは櫻井敦司(vo)位だろう。

ダークな無空間の中で今井寿(g)の尖ったセンスが大爆発している神アルバム。 海外の尖ったアーティストのアルバムなども数多く聴いてきた筆者ではあるがこのアルバムで聴く事ができる「マニアックでアブノーマルなサウンド」の数々は衝撃的と言っていい内容となっている。このぶっ飛んだサウンドの提示だけでも十分に凄いのだが、バクチク(BUCK-TICK)の最大の魅力は「ぶっ飛んだサウンド」をポップソング・ロックソ

READ MORE

1stアルバム同様に圧倒的な存在感と完成度を誇る2ndアルバム。

今作は「ガラス」「クリスタル」などを連想する透明感のある音が非常に目立ち1stよりも耽美性を感じる作品となっている。また前作のような「暗闇なダークネス」ではなく「どんよりとした曇り」のような気怠い空気感をもち音を聴いていると頭の中に様々なイメージが湧く。「気怠さ」と「耽美」が同居する独自の空気感はまるで「二日酔いで迎えた曇った早朝」に「昨日のエロティックな夜を思い出す」ようなフィーリングである。2作目にして「孤高」という言葉がピッタリのクオリティを誇り、いろんな意味で完成され尽くしている。

「曲解説」

1 Protection

モノトーンなアルペジオと「ガラスの破片」のようなギターフレーズが静かにリフレインされるメランコリックなスローバラード(2:38〜)アシッドハウスのような弾力性のあるスライムビートが曲に歪み感を与える。中盤以降は美しい旋律を奏でるボーカルラインの裏で「静かな雨」のようなピアノが存在感を放つ。曲を通して「曇りの日の憂鬱な早朝」を連想するような気怠さがあり、最後は降り注ぐ雨音とピアノの旋律だけが静かに鳴り響く。
2 Karmacoma

「酩酊」のような質感のリズムと「囁く」ようなラップが「宴」のような雰囲気を醸し出すダビーなヒップホップ。リズムは「先住民の足跡」のように「ドシドシ」と強くシンプルに響き渡る(2:08〜,3:38〜)吹奏楽器が「強い風」のように神聖な質感のオリエンタルな旋律を奏でる。淡々とした展開の曲だがダレることなく常にシリアスな緊張感が保たれている。
3 Three

「神秘的で真っ白な空間」を連想する幻想的な曲。「Three」「Three」「Three」とタイトルを連呼する男の声がシュールで耳に残る。リズムアプローチは「海中の泡」のように静かであり、音響として機能している。
4 Weather Storm

「しっとり雨が降るアーバンな街角」のようなジャジーなインスト。「しっとり降る雨」のようなジャジーなピアノとは対照的なディープで分厚いベースラインが曲を引っ張る。中盤以降はストリングス風シンセサウンドが目の前に「霧」のように現れる。
5 Spying Glass

「ガラスの世界」のような揺らめきと残響が心地よいダブチューン。時折挿入されるカラフルなギターサウンドの断片はリスナーの脳を突き刺す。中盤以降は「1 Protection」同様にアシッドハウスのような弾力性のある低音が登場。終盤は全ての音が「無邪気な動物達」のように目の前に飛び出さんばかりの勢いで鳴り響く。
6 Better Things

「くぐもったベースライン」と「ドリーミーな音響」が印象的な神聖なバラード。この曲でも「ガラスの破片」のようなギターサウンドの断片がリフレインされている。中盤以降は「ノスタルジーな故郷」のようなストリングスが登場し曲に深みを与えている。
7 Euro Child

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)とも共通する「揺れるサウンドレイヤー」を持つダークなヒップホップ。「yeah、yaah」という女性コーラスはビビッドで強烈な響きを持ち「呪縛」のように脳裏に刻まれる。「二日酔いのような気怠さ」と「昨日のハイな思い出」が同居しているようなイメージの曲。
8 sly

「春のような爽やかさ」と「曇り空のような憂鬱さ」が同居しているミドルテンポの曲。クラシカルな弦楽器とストリングスが気怠い音響の中を優雅に踊る(2:56〜)「ガラス細工」のような透明なサウンドと分厚いベースサウンドが絡まりアクセントとなる。
9 Heat Miser

「クリスタル」のような質感のピアノサウンドとダビーなリズムアプローチが「霧」のような雰囲気を醸し出すインスト。直線的に「記号」のように鳴り響く分厚いベースラインがピアノの美しく耽美な旋律をより引き立てる(2:20〜)「光線」のような質感の電子音は「早朝の曇り空を羽ばたく鳥」のように自由だ。
10 LIght My Fire(Live)

ライブ音源をラストに挿入するセンスが非ロック的であり、歓声の存在もあり「賑わう市場」のような雰囲気を持つ曲である。トラックは「ビームや銃声をサンプリング」しておりストリート感がある(1:40〜)長年開いていなかった扉を開けるようなラッパが渋く響き渡る。

1stアルバム同様に圧倒的な存在感と完成度を誇る2ndアルバム。 今作は「ガラス」「クリスタル」などを連想する透明感のある音が非常に目立ち1stよりも耽美性を感じる作品となっている。また前作のような「暗闇なダークネス」ではなく「どんよりとした曇り」のような気怠い空気感をもち音を聴いていると頭の中に様々なイメージが湧く。「気怠さ」と「耽美」が同居する独自の空気感はまるで「二日酔いで迎えた曇った早朝」

READ MORE

音楽シーンに多大な影響を与えたアルバムが複数リリースされた黄金の91年にリリースされ最も幅広いジャンルのミュージシャンに影響を与えた完璧なデビューアルバム。

「ダブ」「ジャズ」「ヒップホップ」「ソウル」「ニューウェイブ」を独自の感性でミックスし「ダーク」×「ディープ」×「耽美的」な世界観を構築している。全編を通して冷気を感じるサウンドが展開されるが「ドライアイス」のような「冷た過ぎて熱いシュールな熱量」を感じる事ができる。

本作は「トリップホップ」と呼ばれるジャンルのスタート地点のような作品であり、90年代に「ダーク」×「耽美的」な質感のサウンドをもつアーティスト達が活躍できる土台を作った。

    「要点」

  • 幅広いジャンルのミュージシャンに影響を与えた完璧なデビューアルバム
  • 「ダーク」×「ディープ」×「耽美的」な世界観

「曲解説」

1 Safe from Harm

冷気を感じる神聖な空気感の中、立体的で重いベースラインが強烈な存在感を放つダークソング。時折、挿入される「氷の雫」のようなピアノサウンドが耽美な質感と透明感を曲に与えている(1:55〜 , 3:12〜)普通のギターバンドでは中々聴くことができないコクのあるディープな音色のギターサウンドが登場。ゲスト女性ボーカリストは女神のような歌声で壮大なメロディーラインを奏でており、ディープで耽美的なサウンドと素晴らしくフィットしている。
2 One Love

ダビーなリズムアプローチがまるで「二日酔いで迎える早朝」のような気怠さと透明感を演出している。「ガラス玉」のようなアルペジオが透明感と耽美な質感を曲に与えており、「ソニックに切り込むDJスクラッチ」「物悲しくも優雅な弦楽器のミニマムな音色」「軍歌のように威圧的な音響の断片」がシュールでダークな世界観を演出している。最後は「誰もいなくなった部屋」のようなセンチメンタルで透明なピアノが静かに流れる。
3 Blue Lines

渋みのあるジャジーなサウンドが「アダルトなbar」を連想するディープなヒップホップ。「雨雲」のようにダークなベースラインが存在感抜群で終始曲をリード。ストリート感のあるアグレッシヴなラップの真逆を行くクールで冷たい質感のラップは「理性的で知的な会話」のようである。
4 Be Thankful for What You’ve Got

「深い渋みをもつブラックコーヒー」のような質感のファンキーなソウル。ベースラインは「巨大な蛇」のように底でゆったりと動き曲にコクを与えている。 時折、挿入される「ガラスの破片」のようなギター音色が透明な輝きを放つ。
5 Five Man Army

「熱帯夜」のような絡みつく暑さを案じるダブチューン。男性ラッパーの歌声は「熟成されたワイン」のように深く「アラブの太陽」のようなサウンドの断片や 「酩酊」のような透明感をもつギターフレーズがサイケデリックである。終盤は「ガラス越し」のような質感のホーンが存在感を放つ。
6 Unfinished Sympathy

「大空のような壮大さと浮遊感を感じるストリングス」と「金属が擦れるようなミニマムなビート」の対比が印象的な曲で、どこまでも果てしなく続く白い空間が目の前を覆う(4:07〜)「果たせなかった約束」のようなシリアスなピアノが曲をビシッと引き締める。
9 Hymn of the Big Wheel

「ビビットで立体感のあるブレイクビーツ」と「油絵のようなドリーミーな音響」が絡まるラストソング。サビのバックではマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)彷彿の白昼夢サウンドが鳴り響き、終盤は「荒涼とした大地に吹き荒れる強風」のようなサウンドがミステリアスさを強調する。

音楽シーンに多大な影響を与えたアルバムが複数リリースされた黄金の91年にリリースされ最も幅広いジャンルのミュージシャンに影響を与えた完璧なデビューアルバム。 「ダブ」「ジャズ」「ヒップホップ」「ソウル」「ニューウェイブ」を独自の感性でミックスし「ダーク」×「ディープ」×「耽美的」な世界観を構築している。全編を通して冷気を感じるサウンドが展開されるが「ドライアイス」のような「冷た過ぎて熱いシュールな

READ MORE

1 2 3 6