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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果28件

カテゴリー「神作」のレビュー

アンダーワールド(Underworld)独自の「悩ましいダンスミュージック」が最高の形でパッケージングされている作品であり、これまで様々なサウンドでニューウェイブ的なダークさ陰鬱さをダンスミュージックに反映させることにトライしてきたと思うが、本作は「完璧な回答」といえるクオリティとなっている。

2002年はアンダーワールド(Underworld)同様に世界的なダンスアクトであるケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)もまた「サイケデリックな答え」のような強烈な作品をリリースしている点が非常に興味深い。

この2つの作品に共通している点はエレクトロニカやポストロックなどの新感覚に安易に流される事なく、自分たちの特徴を追求して「ストイックな答え」を出している点にあり両作共に音に全く迷いがなく直線的にリスナーの耳と身体にダイレクトに突き刺さる。知的な若者の「憂鬱な気分」だが「踊りたい気分」という歪なニーズを満たしてくれる神作と言える

    「要点」

  • 「悩ましいダンスミュージック」が最高の形でパッケージング
  • 自分たちの特徴を追求して「ストイックな答え」を出している点

「曲解説」

1 Mo Move

「時空が歪んだ」ような重低音と直線的でミニマムなビートが印象的。モノトーンで神聖な空間の中で鳴らされるミニマムなダンスミュージックという趣の曲。「祈り」のように透明なボーカルはリフのように短いフレーズ「that i’m chemical」を連呼する(4:12〜)リズミカルなパーカッションが曲に躍動感を与えダンスミュージックとしての強度を高める。
2 Two Months Off

「透明なベール」のようなサウンドレイヤーが幻想的な音響を奏でるシューゲイザーソング。夢見心地な雰囲気と躍動感のあるミニマムなビートが見事に融合されマッハの体感速度を感じる事ができる。またカール・ハイドのボーカルはメロディックで美しいメロディーを奏でている。
3 Twist

「早朝の海辺」を連想するようなミニマムなピアノがリフレインされるトラックの上を「鈍い光」のようなメタリックなサウンドやパーカッショナルなリズムが躍動する。終盤はビートが強度を高める展開となるが、そこに真っ白なストリングスが表れて全てを優しく包み込む。最後は「迷子」のように彷徨うビートだけが静かに鳴り響く。
4 Sola Sistim

「雨雲」のようなどんよりした質感と重さをもつスローなブレイクビーツを中心に展開されるダークソング。吹奏楽器の音の断片が曲にシリアスな緊張感と彩りを与えており、カール・ハイドのボーカルは浮遊感のある歪みが加えられており「ガラス越し」のようなセンチメンタルさを醸し出している。終盤は「わずかに感じる柔らかい光」のようなサウンドが曲に輝きを与える。
5 Little Speaker

潤った重力感が心地よい曲で囁くような女性ボーカルをフィーチャーしている。この曲でも「3 Twist」同様にミニマムなピアノフレーズがリフレインされている。序盤はモノトーンな質感の淡々とした展開だが(4:00〜)煌びやかでビビッドなシンセサウンドがミニマムに鳴り響きリスナーの頭の中を極彩色に染め上げる。終盤は全ての音が「油絵」のように揺れて眼に映る全てが光に包まれるサイケデリックな展開となる。最後は「スライム」のような音響の上をミニマムなシンセサウンドだけが「独り言」のように鳴り響く。
6 Trim

KID A期 / レディオヘッド(radiohead)のB sideソングのような雰囲気をもつ「曇りのち曇り」のような曲。「ガラスの破片」のような質感のミニマムなギターサウンドがリフレインされビートは極限までシンプルに削ぎ落とされている。
7 Ess Gee

「本当にアンダーワールド(Underworld)の曲なのか?」と思える位にアナログな音で埋め尽くされたサウンド。「幼い日のエモい思い出」のようなセンチメンタルな音響が静かに孤独に鳴り響く。
9 Ballet Lane

アンビエントな質感の透明なアルペジオを大胆にフィーチャーしたメランコリックチューン。アルペジオの旋律は「UK×美メロ系ギターバンド」と共通する「美しいがメランコリック」という類のものであり、シンプルではあるがいつまでも頭の中で反芻する不思議な魔力がある。
10 Luetin

アシッドハウスにをエレクトロニカ以降の氷の質感でアレンジしたようなラストチューン。ダンスを誘発する黒くディープな四つ打ちとメランコリックなストリングスの共存がなんとも言えない空気感を演出しており、アンダーワールド(Underworld)独自の「悩ましいダンスミュージック」を象徴する曲となっている。

アンダーワールド(Underworld)独自の「悩ましいダンスミュージック」が最高の形でパッケージングされている作品であり、これまで様々なサウンドでニューウェイブ的なダークさ陰鬱さをダンスミュージックに反映させることにトライしてきたと思うが、本作は「完璧な回答」といえるクオリティとなっている。 2002年はアンダーワールド(Underworld)同様に世界的なダンスアクトであるケミカル・ブラザーズ

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デトロイト・テクノのオリジネーターの一人であるケヴィン・サンダーソンが女性ヴォーカリストを迎えて結成したインナー・シティ(Inner City)の2ndアルバム。

「都会に吹く風」のようなストリングスが印象的でアーバンなソウルやジャズのような雰囲気を持ち、デトロイトで誕生したテクノサウンドが数年の時を経て歌のメロディーと最高の形で調和したようなイメージの作品。「ポップ」とか「歌モノ」とかではなくセンス抜群のアーバンなサウンドとボーカルラインが見事に溶け合っていると言える。

90年代以降のテクノやエレクトロニカでは「ボーカルラインをどのように響かせるか?!」が作品のインパクトを分ける大きな要素であると感じるが本作はテクノサウンドにおけるボーカルのあり方という文脈に置いてお手本のような作品と言えるだろう。

    「要点」

  • 「都会に吹く風」のようなストリングスが印象的
  • テクノサウンドが最高の形で歌のメロディーと調和

「曲解説」

1 Inner City Theme

「霧の都会」のようなウェットな質感のシンセサウンドが印象的なインスト曲。きらめく電子音はしっとりと降り注ぐ雨のようだ。
2 Paradise

ミニマムなビートの粒が消えては現れるなテクノサウンド。トラックの上を「paradise」というフレーズを連呼する女性ボーカルが乗る。曲を通してアーバンなソウルミュージックのような「雨の街角」のような雰囲気がある。
3 Ain’t Nobody Better

「都会をすり抜ける少しだけ冷たい風」のようなストリングスが終始流れるシティーポップのような曲。1・2曲目では控えめであったパリス・グレイ(vo)の伸びやかで華やかなボーカルが堪能できる(1:04〜)ギターソロのような質感の煌びやかなキーボードソロが登場(2:21〜)パリス・グレイ(vo)によるハイトーン・シャウトが飛び出す。エモーショナルな曲ではあるが全体を通して終始アーバンな空気感が保たれている。
4 Power of Passion

「透明なベール」のようなサウンドが聴けるドリーミーでスローな曲。「誰もいない部屋」のように淡々としたリズムの上をメランコリックで儚いパリス・グレイ(vo)のボーカルラインが踊る。良質なドリームポップを聴いた後のような浮遊感も感じる事ができる。
5 Big Fun

カラフルな電子音が脳みそをグサリと刺激するハードなテクノ。この曲でも「少しだけ冷たい風」のようなストリングスが流れ、ボーカルラインはノスタルジーな響きを持ち哀愁を感じる(2:03〜)「一人時間差」のような面白いリズム感のキーボードソロが曲にきらめきを与える。最後は徐々にフェードアウトするように静かに終わる。
7 Good Life

流れるようなボーカルラインを持つ「春風」のようなアッパーチューン。リバーブのかかったボイスで連呼される「Good Life」が印象的で、フックのあるボーカルラインとは対照的にリズムアプローチはディープでミニマム。やはりこの曲でも風のようなストリングスが曲に清涼感を与えている。
8 Set Your Body Feel

空を飛んでいるような浮遊感を感じるソウル。透明なシンセサウンドがループされラップのような男性ボーカルがアクセントとなっている。
9 And I Do

何かに追いかけられるような切迫感があるアッパーな曲。不穏なシンセサンドと煌びやかな電子音が特徴で「ジャズを早送りしてテクノアレンジした」ようなイメージ。
10 Secrets of the Mind

ジャージーな質感を持つラストソング。分厚く立体的なシンセサウンドは「街に降り注ぐ雨」のようだ。しっとりした雰囲気とは対照的にリズムは複数のビートが絡みアップテンポ。終盤になると小爆発のような「ドゥン」という音が頻繁に挿入される。

デトロイト・テクノのオリジネーターの一人であるケヴィン・サンダーソンが女性ヴォーカリストを迎えて結成したインナー・シティ(Inner City)の2ndアルバム。 「都会に吹く風」のようなストリングスが印象的でアーバンなソウルやジャズのような雰囲気を持ち、デトロイトで誕生したテクノサウンドが数年の時を経て歌のメロディーと最高の形で調和したようなイメージの作品。「ポップ」とか「歌モノ」とかではなくセ

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アシッドハウスに影響を受けたドラッギーでサイケデリックな神作。アシッドハウスに影響を受けたロックアーティストはプライマル・スクリーム(Primal Scream)とザ・ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)さえ聴いておけば十分でしょと思っていたがそれは大間違いであった。

アシッドハウス期のプライマル・スクリーム(Primal Scream)に匹敵する脳みそをグラグラと揺らすサイケデリックサウンドが今作では鳴っている。「サイケデリックでバグっているサウンド」と「酔っ払いが即興で歌っているかのようなボーカルライン」は脳みそと体を同時に揺らすような中毒性がある。

四つ打ちをベースにしたシンプルなリズム、ディープなベースライン、そして「濃厚な霧」や「紫色の煙」を連想するギターサウンドはリスナーに様々なサイケなイメージを与えるものとなっており筆者がこれまで聴いてきたギターサウンドの中でも屈指に「サイケデリック!!」80年代末にUKで興った「マッド(MAD=狂った)チェスター」なるムーブメントの名称も決して大げさなではなく確かにMADである。彼らに影響を与えたアシッドハウス、今後是非深掘りしようと思う。

    「要点」

  • アシッドハウスに影響を受けたドラッギーでサイケな神作
  • 脳みそと体を同時に揺らすバグったサウンド
  • 酔っ払いが即興で歌ったようなボーカルライン

「曲解説」

1 Kinky Afro

「ガラス越しのビーチ」のような歪な清涼感もつサイケポップ。「春の訪れ」のような軽快なコードストロークと「ガラスの破片」のようなミニマムなリフが終始リフレインされる(1:12〜、2:18〜)「バグった光に包まれる」ようなアシッドな質感のギターフレーズが鳴り響き、アシッドハウスと共振するドラッギーなサイケ感を醸し出している。ボーカルラインは酔っ払いがアドリブ歌ったようなイメージ。
2 God’s Cop

「酔っているようなご機嫌なテンション」と酔いが覚めた後の静けさが同居しているダンサブルな曲。四つ打ちをベースにしたビートの上をミニマムな電子音とショーン・ライダー(vo)のボーカルラインが踊る(0:47〜)遠くのほうでひんやりとした質感のシンセサウンドが鳴り響き僅かな冷静さを曲に与え(1:20〜)そこに「紫色の煙」のようなサイケなギター登場しサイケデリックが空気感を支配する(2:16〜)「急に何か思いついて立ち止まった」ような唐突なテンポダウンが入り、その後はゴージャスなホーンとギターサウンドが絡みつき、脳みそをグラグラと揺らすようなサウンドを聴かせてくれる(3:33〜)スペーシなホーンと「トコ、トコ、トコ」と鳴り響く電子音だけのパートとなるが、またすぐに濃厚なギターサウンドが登場しサイケデリックな空気感を醸し出す。
3 Donovan

「遠い日の思い出」のようなセンチメンタルな展開からサイケなトリップなサウンドに変貌する曲。冒頭は牧歌的なアコーディオンのメロディー、淡々とうねるベースライン、ミステリアスでアシッドなビートで構成されるチルアウト的な曲だが(2:07〜)何かが落下したような「ドン」というドラム音を境にして、目に映る全てが揺らめくようなトリップサウンドに変貌。最後までリスナーにサイケな感覚を与え続ける。
4 Grandbag’Funeral

酩酊という言葉がピッタリのサイケなギターロック。ハードロック的なルーズさとブルーステイストがあるギターリフが響き渡るが、この曲でも「濃厚な霧の中にいる」ようなサイケ感を感じることができ(1:30〜)階段から転げ落ちるような電子音や(2:15〜)千鳥足のようなフレージングなどセンス抜群の狂った音が登場する。
5 Loose Fit

「暗闇の中を手探りで彷徨う」ような踊れるニューウェイブソング。青いライトのようなニューウェイブ的な耽美アルペジオが暗闇に光を与える(2:40〜)立体的でダンサブルなビートが前面に出て曲を引っ張る展開に移行。終盤はソウルフルな女性ボーカリストも登場し曲はよりディープな質感をもつ。
6 Dennis and Lois

アーバンなレゲエ的な雰囲気を持つポップソング。夏祭りのような賑やかな雰囲気をもつ曲だが(2:30〜)何かが消えてなくなるようなエフェクティヴな音の登場により全てのパートが熱量を上げ始め、リスナーを「霧の世界」へと導く。
7 Boh’s Yer Uncle

パーカッショナルでダンサブルなビートを前面に出したで祝祭的な雰囲気のあるサウンドとシリアスな囁きのようなボーカルラインの対比が面白い曲。少しエロティクな女性コーラスも登場して、まるでエロい夢を見た後のような気分に浸れる。
8 Step On

煌びやかでぼやけた音の数々が強烈なサイケ感を味わえるアシッドハウス(2:22〜)「黄色しか存在しない信号機」のようなカラフルな電子音の登場以降は、ファンキーな女性コーラスも登場しさらに混沌さとサイケさを増し終盤はノリノリな口笛も登場する。
9 Holiday

ディープなベースラインの上を「ガラス瓶」のような透明なサウンドと「大空を羽ばたく鳥」のような女性コーラスが踊るシンプルな曲。終盤は残響のようなエフェクティヴなギターサウンドが鳴り響く。

アシッドハウスに影響を受けたドラッギーでサイケデリックな神作。アシッドハウスに影響を受けたロックアーティストはプライマル・スクリーム(Primal Scream)とザ・ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)さえ聴いておけば十分でしょと思っていたがそれは大間違いであった。 アシッドハウス期のプライマル・スクリーム(Primal Scream)に匹敵する脳みそをグラグラと揺らすサイケデリ

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90年代の日本の音楽シーンの中で圧倒的な異彩を放ったルナシー(LUNA SEA)の4thアルバム。前作「EDEN」の開放的な空気感をルナシー(LUNA SEA)独自のダークで神聖かつ浮遊感の伴うサウンドに反映させて、とんでもない化学反応を起こした90年代を代表する神作。

また今作からオルタナやインダストリアルなど各メンバーがリアルタイムで影響をうけた音楽の要素を楽曲に反映するようになっており、これまでのルナシー(LUNA SEA)の作品にはない「モダン」な質感がある。

本作リリース以降、世の中にはルナシー(LUNA SEA)のコピーバンドが大量に発生しメンバーモデルのギターやベースが飛ぶように売れた。ロック的なパンチ力を持ちつつも既存のサウンドとは明らかに異なるサウンドは当時とんでもなく斬新であり、V系(ビジュアル系)という言葉がまだ一般に存在していなかった時代にルナシー(LUNA SEA)サウンドをカテゴライズできるジャンルは存在しなかった。

    「要点」

  • これまでのルナシー(LUNA SEA)作品にはない「モダン」な質感
  • 当時カテゴライズできなかったサウンドはまさに「V系」
  • 空間的に絡み合うツインギター

「曲解説」

1 LOVELESS

「空の上にある神殿」のような浮遊感と熱風のような熱さが同居するオープニングソング。耽美でアンビエントな質感のアルペジオと上空を優雅に飛び回るコンドルのようなロングトーンのギターサウンドが空間を構築し、重いリズムの上をミステリアスで不穏なベースラインが踊る。ボーカルラインは派手なメロディーを歌うわけではないが強力に耳に残る。これがソロでアルバムを300万枚セールスするシンガーの魔力だろうか。終盤はSUGIZO(g) のロングトーンのギターサウンドがこれまで以上に輝き最後は乱反射のようなサイケな音の洪水に包まれ終わる。
3 FACE TO FACE

全ての音から「宇宙を感じる」ミドルテンポの名曲。ヘヴィだが「2mmほど宙に浮いている」かのような浮遊感を感じるリズムの上を小さな惑星のように輝くアルペジオが彩り、空間を支配するSUGIZOのギタープレイは非常にディープで曲に深みを与えている。少しだけナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)的なインダストリアル感も感じ取れる曲なのだが完全にルナシー(LUNA SEA)独自のサウンドとなっている。2:50〜 この曲の最大の見せ場、RYUICHI(vo)の低音ボイスが「泉から次々と湧き出る」ように現れ「宇宙に雪が降った」ような奇跡のハーモニーを聴かせてくれる。
4 CIVILIZE

近未来でサイバーさと原始的なリズムアプローチが混在しているニューウェイブソング。ギターソロを境に左右非対称なサウンドが展開されるクセのある曲だが不思議なポップネスも感じる。ヴァースはトーキングヘッズ(Talking Heads)のようなアフリカンなリズムアプローチの上をサイバーでメタリックなノイズの断片が踊る近未来なサウンドだが(0:57〜)サビになると「真っ白な空間」を思わせるサウンドに切り替わる(1:30〜)透明感のあるノイズソロはアバンギャルドで曲にアクセントを与えている。94年にこのサウンドは新しすぎる。
5 GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜

残響が心地よい耽美的なアコギのコードストロークを中心に展開されるが、所々でセンス抜群の様々な音の断片が鳴り響き、様々な切ない情景を連想させる。4:48〜 ブレイクの後、独り言のようなアルペジオだけが響く展開になるが、そこに夕暮れのようなバイオリンと天使の羽ように柔らかいストリングスが絡み熱量を高めていく6:12〜 RYUICHI(vo)の感情を解き放つような渾身のボーカルラインから天まで昇るような熱量でピークを迎える。最後は「夕暮れの街に佇む鳥」のような孤独感を感じるギターサウンドが静かに鳴り響く。
7 IN FUTURE

オルタナからの影響をダイレクトに反映したファストチューン。歪んだツインギターは全く別々のフレーズを弾いており「渦巻き曇」のように上空を乱している。1:55〜 サビのボーカルラインはベタを拒絶するかのような「語り調」でIN FUTURE。2:08〜 ミニマムでメタリックな電子音が挿入される、このあたりのセンスはノーマルなバンドにはないセンスだろう。
9 TRUE BLUE

削ぎ落とされたLUNASEA流スリーコードロック。ミニマムなリフとシンプルなビートで構成されているが、これぞLUNASEAという雰囲気になっている。
10 MOTHER

荒涼とした大地に吹く北風のような荒涼感を持つ曲。全編を通して神聖な雰囲気があり、特にサビのボーカルラインはこれまで聴いた事がないタイプでまるで「神からの恵み」のようだ。(2:58〜)天を乱すような少しヒステリーなバイオリンソロが曲をよりミステリアスにしている。最後は「誰もいない荒涼とした大地に風だけが流れる」ような静けさで幕を閉じる。

90年代の日本の音楽シーンの中で圧倒的な異彩を放ったルナシー(LUNA SEA)の4thアルバム。前作「EDEN」の開放的な空気感をルナシー(LUNA SEA)独自のダークで神聖かつ浮遊感の伴うサウンドに反映させて、とんでもない化学反応を起こした90年代を代表する神作。 また今作からオルタナやインダストリアルなど各メンバーがリアルタイムで影響をうけた音楽の要素を楽曲に反映するようになっており、これ

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「日本の個性派バンドって誰かいないかな?!」と考えたところすぐに頭に浮かんできた米米CLUB。大人数のグループかつ多才なカールスモーキー石井(石井 竜也)が率いるグループという事もあり、演劇的なアプローチをするグループだという先入観があったのだが、本作を聴いてその先入観はあっさり砕け散った。

本作には「アジアン」「トロピカル」な世界にトリップできるようなカラフルな音を使った良質なポップ・ミュージックが収録されている。「テクノポップ」「シティポップ」「ファンク」「ニューウェイブ」etc。サビのボーカルメロディーをシンセなどと絡めてBPM以上の体感速度を感じるアプローチは大変興味深く、87年にこれだけの多面的なアプローチをしているグループが日本にいたことに衝撃を受けている。

    「要点」

  • 「アジアン」「トロピカル」な世界にトリップできる
  • BPM以上の体感速度を感じるサビ

「曲解説」

1 Only As A Friend

タイトで淡々としたリズムマシーンが時代を感じるプラスティックな質感のシティポップ。 (0:57〜)サビは低音を強調したリズミカルなダンスビートと清涼感のある炭酸飲料のようなシンセサウンドが重なり、 BPM以上のスピード感を感じることが出来る(2:55〜)「島国の子供たちがはしゃいでいる」ようなパーカッションや人力ブレイクビーツの重なりが挿入されその後はサックスによるソロパートが登場する。
2 sûre danse

アジアンな祭のような雰囲気を醸し出す曲。ウォームなベースリフが終始鳴り響き、ホーンの音色はこの曲に祝祭性を加えている (0:58〜)トロピカルな電子音や空間的なカッティングギターが絡みアジアンな雰囲気が出来上がりサビに突入。サビのボーカルラインはファンキーでノリノリ(1:20〜)人力ブレイクビーツのようなビートと「ハッ、ハッハッ」というコミカルな声が挿入されアクセントになっている。 (2:25〜) 夜の夜景を見ながら独り言を呟くような静かなパートがあり、その後、カラフルなホーンが鳴り響きそのまま曲はエンディングに向けて最高潮を迎える。
3 浪漫飛行

ミニマムな低音が心地よいダンサブルなテクノポップ。(0:40〜)大ヒットも納得の神レベルのボーカルラインが登場。窓から入り込む「そよ風のような」シンセサウンドが曲を柔らかく包みこむ(2:26〜)淡々と流れるビートの上を流星を連想するシンセが流れ、終盤はクラシカルなストリングスも登場し浮遊感を増す展開。
4  Collection

ザ・キュアー(The Cure)のような耽美な質感を感じるPOPチューン。真夏の夜のような静けさをもつ曲だがサビは不思議なスピード感を感じる(0:50〜)ボーカルライン自体は淡々としていて渋いがザ・キュアー(The Cure)風の空間ギターサウンドがスピード感を与えるサビ(1:46〜)少しの間、静寂が流れド派手ホーンソロが登場して終盤は呪文のように「Collection」というワードがリフレインされる。
6 Make Up

複雑でタイトなビートが反復されるファンクチューン。ゴージャスなホーンと煌びやかなシンセがバブルを連想させ、底からドンドンと突き上げるファンクなベースが脳みそを刺激する(1:18〜)サビでは七色のシンセ音色が体感速度を上げ、中盤以降は複雑なビートがよりタイトになりレッドツェッペリンのような「ドラムリフ」がファンクの強度を高める。
8  Hollywood Smile

ジャジーなピアノとソウルフルなボーカルを中心に展開される(1:24〜)どこまでも続く星空のような煌びやかなシンセが静寂を運んでくる(2:00〜)ドラムの連打から生命力の塊のような分厚いホーンソロが鳴り響きそのままエンディングを迎える。
9  Hustle Blood

スライムのように潤ったベースラインが攻めまくるシンセポップ。(0:40〜)ボーカルーラインがカラフルなシンセフレーズと絡むことにより極彩色と化すサビ(2:08〜)煌びやかな光を感じるギターソロが登場。全編を通してニュー・オーダー(New Order)に通じる音の質感。

「日本の個性派バンドって誰かいないかな?!」と考えたところすぐに頭に浮かんできた米米CLUB。大人数のグループかつ多才なカールスモーキー石井(石井 竜也)が率いるグループという事もあり、演劇的なアプローチをするグループだという先入観があったのだが、本作を聴いてその先入観はあっさり砕け散った。 本作には「アジアン」「トロピカル」な世界にトリップできるようなカラフルな音を使った良質なポップ・ミュージッ

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