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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果28件

カテゴリー「神作」のレビュー

レディオヘッド(Radiohead)と共振するような「絶望」「空虚」を受け入れた上でのエモーショナルを追求したアルバム。 サウンド的にはUSグランジ的なざらついた歪みギターと「どんよりした曇り空」のようなUKサウンドを大胆に導入しており、また歌詞の内容はネガティヴィティを肯定するかのような痛々しいものも存在する。

ミスター・チルドレン(Mr.Children)というバンドは曲のイメージをコントロールするのがうまいバンドだと感じる。歪んだリフが印象的な曲であっても実はその歪みリフの頻度は少なかったりするのだ。要するにインパクトに残るタイミングで印象に残したい音を出しているという事だと思う。これまでの作品と比べるとオルタナ・グランジ的な質感の曲が多いが、曲のバランス感覚がこれまで同様に素晴らしいのでほとんどの曲がポップ・ミュージックとして成立しているという作品となっている。

    「要点」

  • 歪んだギターサウンド
  • 社会批判やエロい歌詞多め
  • 空虚を受け入れた上でのエモーショナル

「曲解説」

2 Everything (It’s you)

「深い森に迷い込む」ような幻想的なイントロで始まり、「サビが2回あるような大サビ」が特徴的な曲。言葉遊びもうまく「捨てぇ」と「stay」をかけている。 歌詞は他人にあまり心を開かない主人公が唯一、通じ合える「君に」対して恋とは違う形でもいいからと愛情を独白するというニュアンスの内容となっている。サウンドはミスター・チルドレン(Mr.Children)らしい最小限の音数で形成されるのギターロックで、サビでは鳥が大空に羽ばたくような壮大な展開となる。
3 タイムマシーンに乗って

グランジ的な金属的な歪みギターリフがインパクト大。ヴァースは酔っ払いのようなヨレた歌声で社会風刺的な歌詞を歌い上げ、サビはネガティブな歌詞とは裏腹にビートルズのようなメロディックなボーカルラインという展開。「haa、ha」というコーラスと低音が強調されたミニマムなホーンがポップな質感を与えている。このポップな質感がなければ良くも悪くもグランジ的なダーティーさが前面に出た曲となっていただろう。
4 Brandnew my lover

「3 タイムマシーンに乗って」同様、ざらつき歪んだグランジギターリフが登場する(1:00〜)アシッドハウス期のプライマル・スクリーム(Primal Scream)を思わせる光に包まれるような電子音に乗せて泥酔のようなテンションのボーカルラインが乗り(1:18〜)「人間のどうしょうもなさ」を呪文のように唱えるパートが曲にエッジとミステリアスさを加えている。サビは伸びやかでコクのある歌声で歌われるボーカルラインだが、歌われている内容は「放送禁止レベル」にエロティックさを持ちバックでは光を閉ざすカーテンのようにダーティーな歪みリフが鳴り響く。
5 【es】 〜Theme of es〜

物悲しいストリングスが「どんより曇った早朝」のような雰囲気を醸し出す曲。歌詞の内容は諦念や失望を受け入れつつそれでも希望を持って前に進むというニュアンス。AメロBメロのボーカルラインは抑揚がなく少しメランコリックだが、サビのボーカルラインは「どこまでも続く曇り空」のような広がりをもっている(1:50〜)煌びやかなトーンのギターソロが登場し曲に僅かな光を灯す。
6 シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜

曲を通して全てがサビのような極彩色のボーカルラインを持つ曲。「幸福の鐘のような音」が鳴り響くイントロから始まるキャッチーでカラフルで軽やかなギターポップソング。ネガティヴな歌詞や退廃的とも言える空気感のサウンドが続いた後だけにこの曲が登場したときのワクワク感はとても大きい(2:30〜)ボーカルラインとピアノとアコギだけが鳴る静かなパートが挿入されアクセントになっている(3:14〜)曲を更にカラフルにするサックスソロが鳴り響き曲は最高潮を迎える。終盤はサビが繰り返し歌われ甘い余韻を残したまま終わる。
7 傘の下の君に告ぐ

ザ・スミス(The Smiths)彷彿のメランコリックで流れるようなギターフレーズで幕を開け、サックスをフィーチャーしたジャジーなテイストのギターロック(0:43〜)Bメロのボーカルラインは歌われる内容(社会批判)と反比例するように能天気とも言える位の「不気味な明るさ」を感じるものになっておりシニカル(1:48〜)自暴自棄と自己嫌悪が混ざったような感情をぶちまけるシャウト(2:02〜)歪んだ歌声で絶望と諦念を吐き出し最後は「夢も希望もない」とまたもシャウトが飛び出す。その後に流れるサックスソロは荒廃した荒野のような虚無感すら感じる。最後は全ての絶望を受け入れた上で前に進もうとニュアンスの歌詞がわずかに登場する。これがこの曲の唯一の救いといっていいだろう。
8 ALIVE

「真っ白な空間」を連想するシンセサウンドと「独り言」のようなベースラインが空虚ささえ感じさせるイントロではじまり、空虚な気持ちや現状を受け入れた上で「苦笑いで前に進みわずかな光を見つけて歩き出す」ようなイメージの曲。サウンドは中盤までは空虚な質感が続くのだが、桜井 和寿(vo ,g)のボーカルはサビで大きな熱量を放ちわずかな光について歌う。歌詞は世の不条理に対して諦念に近い負の感情吐き出し、夢も希望もないけど光を探すことを忘れてはいけないという内容(4:36〜)これまで登場しなかったギターサウンドが煌びやか音色で鳴らされる。フレーズはメランコリックだが徐々に熱量をあげ光を感じることができる。終盤は確かな希望を感じるような眩しいサウンドが鳴り響く。
9 幸せのカテゴリー

アルバム「Atomic Heart」に収録されていても不思議ではないアーバンなソウルテイストのギターポップ。終始ノスタルジーと哀愁を感じるサウンドが展開され(1:24〜)サビでは今作で最もキャッチーでメロウなボーカルラインが聴くことができる。メランコリックな質感のボーカルラインが多い本作の中では異色の響き(3:16〜)ウォームなギターサウンドと煌びやかオルガンからなるソロパートが挿入される。終盤は哀愁あるサウンドをキャッチーなボーカルラインが混在して独特な雰囲気となる。
12 Tomorrow never knows

高層ビルから見下ろした夜景のようなアーバンな雰囲気の曲。煌びやかな電子音が星々のように輝くサウンドの上をサックスが縦横無尽に駆け回る。 サビのボーカルラインは歌詞の内容と相まってどこまでも続く地平線のように果てしない(3:08〜)誰も知ることのない明日を歩む事を決意した主人公の背中を強く押すような壮大なサックス(!?)ソロが鳴り響き曲は終盤を迎える。最後は全てのパートが綺麗にまとまり霧のように消える。

レディオヘッド(Radiohead)と共振するような「絶望」「空虚」を受け入れた上でのエモーショナルを追求したアルバム。 サウンド的にはUSグランジ的なざらついた歪みギターと「どんよりした曇り空」のようなUKサウンドを大胆に導入しており、また歌詞の内容はネガティヴィティを肯定するかのような痛々しいものも存在する。 ミスター・チルドレン(Mr.Children)というバンドは曲のイメージをコントロー

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ハードロックバンド/ビーズ(B’z)の出発点のような作品。初期作にみられたダジタルなダンスビートはほとんど無くなっており、前作よりハード/ヘヴィになったギターリフが頻繁に登場する。これまで日本の音楽ビジネスの中で抑制してきたと思われる稲葉浩志(vo)の生々しい感情が爆発している「1 THE GAMBLER」「2 ZERO」「5 Out Of Control」などの歌詞は秀逸。またライブでのファンとの掛け合いを想定して創作されたと思われる「6 NATIVE DANCE」やゴスをビーズ(B’z)なりに解釈した神聖な空気感を持つ「9 月光」などの新機軸もある。彼らの代表作の一つであり当然のごとくビッグセールスを記録した作品である。

    「要点」

  • ハードロックバンドとしての出発点
  • 生々しい感情が爆発している歌詞

「曲解説」

 
1 THE GAMBLER

「重い扉が開く」ような光が降り注ぐキーボードがイントロで流れる、これまで以上にガッツリと歪んだハードなギターリフが鳴り響く中、応援歌のようなホーンセクションがギャンブラーの背中を押す。前作よりはるかに生々しいアナログな音がなっていると感じる。歌詞の内容は夢だけを握りしめる強気なギャンブラーのことを歌っているが素晴らしいの一言に尽きる。「人生どうなるかは自分次第、ただし行動を起こさないと何も変わらないけどね」とリスナーの背中を押してくれる(4:46〜)「黄金の列車」という言葉の登場とともに夜空に流れるキラ星のようなアルペジオが流れて黄金の列車が夜空を走る絵がイメージできる。終盤はアルペジオが流れ続け静かに終わる。
 
2 ZERO

「1 THE GAMBLER」のギターリフがライトに聴こえる位にヘヴィといってもいいギターリフが登場し一度聴いたら耳から離れないサビの神なボーカルラインを持つ曲。都会を連想する清涼感のあるシンセがリフレインされる中を田舎から東京にやってきた若者の苦労や葛藤を稲葉浩志(vo)がハードに歌い上げる「ギラギラした街で遊ばずにすぐ家に帰る」という選択肢にはハードロッカーとしてそれでいいのか?!とツッコミたくなる要素満載(2:12〜)これから猛スピードで駆け出す主人公が風を切るような音が流れ歌詞にも出てくる波のようにド派手なサビのボーカルラインが流れる(3:07〜)自分を鼻で笑うような自虐的なラップを歌い最後は、「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」という乾いた笑い声で締めくくられる。終盤はヘヴィなギターリフが流れる中、稲葉浩志(vo)のシャウトも炸裂する。最後は都会の狂騒を連想するようなサイレンの音が鳴り終わる。
 
3 紅い陽炎

イントロから叙情的かつラテン的な熱量のあるギターフレーズが鳴り響き曲を通して熱い炎のような熱量を感じることができるエモーショナルなバラード。テンポはゆったりとしており稲葉浩志(vo)のコブシの効いたエモーショナルな歌声を堪能できる(3:15〜)ハードな演奏がドラムの連打とともに止まり、透明で美しいピアノの旋律が顔を出すのだが、またすぐにハードなサウンドに戻る。最後は激しく揺れる炎のようなギターが鳴り響き曲は終わる。
 
4 RUN

「1 THE GAMBLER」と同様に瞬間的にマッハの速さを感じることができる。間違いなく偶然だがイントロのギターフレーズはルナシー(LUNASEA)の某曲にそっくり(2:43〜)透明感のあるクリーンサウンドによるファンキーなカッティングが登場しアクセントになる。終盤はサビのメロディが2回リフレインして最後はサックスソロが渋く締めくくられる。
 
5 Out Of Control

「昔からこういう曲がやりたかったんだよ」と言わんばかりハードロックナンバー。冒頭から稲葉浩志(vo)の強烈なシャウトが流れる激しい展開で 酔っ払いのようなヨレた感じのハードなギターリフが終始鳴り響き、また所々で挿入される稲葉浩志(vo)の高速のぼやきが90年代なムードを醸し出している(1:20〜)どこまでも伸びる階段を駆け足で降りるようなキーボードソロ(2:20〜)これまで封印していたようなヘヴィメタル的なテクニカルなギターソロが響き渡りバトンタッチする形でキーボードソロも続きさらに曲に勢いを与える。最後は稲葉浩志(vo)の強烈なシャウトで締めくくれられる。
 
6 NATIVE DANCE

ミニマムで「忍び足」のようなベースラインと光のカッターのような電子音で構成されるイントロではじまり、その後はファンキーなカッティングギターが曲を引っ張る。ポップで弾けるようなボーカルラインとは対照的な「アイ〜、アイ〜、アイ〜、アイアイ〜」という原始の宴のような展開になり、弾けたアーバンな質感と原始的な躍動感が混在する面白い曲。
 
9 月光

タイトル通り静かで神聖な雰囲気を醸し出している曲(1:13〜)白いベールのようなストリングスとそよ風のようなフルートが流れ曲を柔らかく包み込む(2:36〜) 控えめなボーカルラインとは対照的に「ドラゴンが天に向けて駆け上がる」ようなエモーショナルなギターソロが爆発(3:10〜)ギターソロが終わると白い霧と化したストリングスの中で稲葉浩志(vo) のラテンシンガーのような熱唱が聴くことができる。終盤は静けさの中、叙情的なギターが鳴り響き最後はノイズを放ち終わる。
 
10 Baby, you’re my home

カントリー調のバラードで前作IN THE LIFEに収録されている「9 あいかわらずなボクら」に通じる太陽のように眩しいボーカルラインが聴ける(2:21〜)川のせせらぎのようなオーガニックなハーモニカが曲の雰囲気をさらに牧歌的にし安らぎを与えてくれる。
 

ハードロックバンド/ビーズ(B’z)の出発点のような作品。初期作にみられたダジタルなダンスビートはほとんど無くなっており、前作よりハード/ヘヴィになったギターリフが頻繁に登場する。これまで日本の音楽ビジネスの中で抑制してきたと思われる稲葉浩志(vo)の生々しい感情が爆発している「1 THE GAMBLER」「2 ZERO」「5 Out Of Control」などの歌詞は秀逸。またライブ

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言葉本来の意味でのオルタナティヴ(代案)を体現するアーティスト/ベック(Beck)。HIP HOPのビート感、変幻自在な電子音、アバンギャルドなノイズなどあらゆる音楽の面白いところ曲に反映させるベック(Beck)サウンドは唯一無二。子供のように音楽で好き勝手に遊び、そのサウンドを冷静に楽曲に落とし込んだようなイメージなので、「ごった煮サウンド」であっても無印良品のアイテムのように「シャープでシンプルなポップミュージック」として成立している。

またこれだけ様々な要素を反映しているにも関わらず全編を通してカントリーのような牧歌的でのどかな雰囲気を一貫して感じることができる点に相当なこだわりを感じる。90年代的なジャンルのクロスオーバーを象徴するような1枚と言える。

    「要点」

  • ごった煮サウンド
  • 複雑だが「シャープでシンプルなポップミュージック」
  • 全編を通してカントリーのような空気感
1 Devils Haircut

序盤はウォームで少し歪んだリフと淡々としたビートで進行(0:46〜)「意外な登場人物が現れた」ような効果音が鳴りビートがブレイクビーツに移行。ブレイクビーツ登場以降は、「ドリーミーな電子音」や「ドアノブを回すような幽かなノイズ」などが登場し夢心地な雰囲気となるが、その空気感の中で(2:58〜)マニアックなエフェクトをかけたシャウトが登場。「僅かなグランジ匂」を残し曲は終了する。
2 Hotwax

フォーク調のギターサウンドとアナログでゆったりしたビートの上をリラックスしたベック(Beck)流のラップが乗る。ソニック・ユース(Sonic Youth)彷彿のアバンギャルドノイズが頻繁に登場し曲をカオスにする。電子加工された管楽器のような音色やDJのスクラッチのような音も挿入されるサウンドはまさに「ごった煮」(3:11〜) そんな「ごった煮サウンド」を遮るように「夕暮れ時」のような雰囲気が流れ「小鳥のさえずり」がはじまる。曲はそのままの雰囲気で最後は「沈む夕日」のようにしっとりと終わる。
3 Lord Only Knows

「老人の叫び声」のような声で幕をあける。終始鳴り続ける僅かに歪んだ音響は「夏の終わりのビーチにいる」かのようにメロウでノスタルジーな雰囲気を醸し出す(1:26〜)ビートが強調されて枯れた味わいのあるギターソロが流れる。終盤、音響の歪みが増幅され「電子の海」と化すがそこに(3:38〜)フラメンコギターのようなラテンな流れる旋律が流れる。それを皮切りにアバンギャルドノイズが流れ曲をズタズタに切り裂く。
5 Derelict

「砕けたクリスタル」のような神秘的でデリケートな電子音が流れる中をベック(Beck)の歪んだ気だるいラップが乗る(1:50〜)リズムが複雑性が増して、まるでダブ・ステップのようなリズムに一時かわる。そこに(2:05〜)中東を連想する「煙」のようなラッパの音が流れる。終盤は中東的な雰囲気が全体を支配して全てを包むように曲は終わる。
6 Novacane

「沈む夕日」のようなカントリー調ではじまるが(0:20〜)シュールな祝祭のような電子音の登場を皮切りにヘヴィなギターと神経質で小刻みでビートが登場。オルタナサウンドと歪んだラップを中心に展開される(1:25〜)デジタルな太陽光線のようなノイズが鳴り響く(2:05〜)一瞬のブレイクの後にDJスクラッチが顔を出し、そこから冒頭のカントリー調もあらわれる展開。終盤はアバンギャルドな音が順繰りに登場し鳴り響く。もはや冒頭の「沈む夕日」のようなカントリー調の姿は跡形もない。
9 Minus

ギターだけではなく音響全体が歪んでいるようなベック流オルタナソング(1:00〜)リズムがぐっとスローになり「70年代ハードロック」のような展開になるが、すぐにまた元の展開に戻る。終盤はハードなオルタナサウンドとキラキラした電子音が絡まる。
11 Readymade

ゆったりしたHIP HOPのビートと気だるくヨレたギターリフで展開される。キラキラした電子音や「軍歌」のようなラッパの音色も登場。ベックのボーカルも淡々として抑揚のない落ち着いたものになっているが、この淡々とした変化のなさがアバンギャルドな本作の中では異質。

言葉本来の意味でのオルタナティヴ(代案)を体現するアーティスト/ベック(Beck)。HIP HOPのビート感、変幻自在な電子音、アバンギャルドなノイズなどあらゆる音楽の面白いところ曲に反映させるベック(Beck)サウンドは唯一無二。子供のように音楽で好き勝手に遊び、そのサウンドを冷静に楽曲に落とし込んだようなイメージなので、「ごった煮サウンド」であっても無印良品のアイテムのように「シャープでシンプ

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90年代を代表するバンド/ニルヴァーナ(Nirvana)とレディオヘッド(Radiohead)に影響を与えたオルタナの元祖的アーティスト。極端な「静→動のダイナミズム」は彼らが生み出した方法論だとも言われており、囁くように歌われるボーカルラインから突然、狂ったような絶叫をみせる曲も存在する。 「突然何かが壊れた」ような展開は90年代以降の「狂気」の表現に必要不可欠な要素であり、ピクシーズ(Pixies)なくして90年代ロックなしと言っても過言ではない存在と言える。

またピクシーズは日本のV系バンドとも共通点がある「突然、何かが壊れたかのような」シャウトやまくしたてるようなボーカルはV系でも見られる。V系のボーカリストはピクシーズ(Pixies)を知っていたのだろうか?!それとも偶然の一致だろうか?!気になるところである。

    「要点」

  • 極端な「静」→「動」のダイナミズム
  • 90年代カリスマアーティストに多大な影響
  • V系との意外な共通点

「曲解説」

2 Tama

囁くようなボーカルラインから突如何かが壊れたかのような絶叫にかわるインパクト大の曲。絶叫と共に鳴り響く金属的な響きのギターは同じコードをずっとカッティングするという単調なものだが、ボーカルラインがあまりにエキセントリックなので「これでいいのだ」状態になる。
3 Wave of Mutilation

女性ベーシスト・キム・ディール(b)の囁きのようなボーカルとブラック・フランシス(vo , g)のメロウなボーカルが掛け合いで歌う名曲。
5 Here Comes Your Man

「少年時代の思い出」のようなノスタルジーなベースラインとメロウなアルペジオを中心に展開される。ブラック・フランシス(vo , g)が歌うメランコリックなボーカルラインは神レベルで(1:45〜)「港を出る船の汽笛」のように薄く鳴り響くギターソロが聴ける。
6 Dead

原始的で躍動感のあるリズムに「うねるドリル」のように歪む単音ギターフレーズが絡みつく。エフェクトがかけられたブラック・フランシス(vo , g)のボーカルは「ヒステリーな呪文」のようであり、どこか密室を連想するような曲となっているだが(1:17〜)ダークな空間が少しの間だけ、「春の訪れ」のような開放的な音色に包まれ。
7 Monkey Gone to Heaven

ミニマムなベースラインを中心に展開される曲で単音の歪みギターはおそろしく耳に残り曲に壊れた質感を与えている。ブラック・フランシス(vo , g)とブラック・フランシス(vo , g)のボーカルは一つに重なりメロウなメロディーを奏でる(2:05〜) 少しの静寂のあとに狂ったようなシャウトが繰り返されるまさかの展開もあるが美しくしっとりした曲。
8 Mr.Grieves

「怪盗団のテーマソング」のようなダークなギターフレーズと笑い声を含んだコミカルなボーカルラインが印象的な曲(0:40〜)リズムが加わり疾走感のある展開になるが怪しさは最後まで続く。
10 La La Love You

枯れたブルースギターのフレージングが印象的な曲で口笛も鳴り響く。ムード歌謡のようなブラック・フランシス(vo , g)のボーカルがコミカルな印象。繰り返される「I LOVE YOU」はガチなのかジョークなのか気になる。
11 NO.13 Baby

残響のようなギターがサウンドが幻想的な雰囲気を醸し出す曲。甲高いブラック・フランシス(vo , g)のボーカルラインは相変わらず素晴らしく(2:55〜)澄み渡る青空のようなギターサウンドが聴ける。
14 Silver

「恐竜の足音」のような「ズドン」というリズムの上をヨレたブルースギターとアニメのキャラクターが歌っているような可愛い歌声のボーカルがで舞う。終盤は「so long」(多分)というフレーズが連呼される。

90年代を代表するバンド/ニルヴァーナ(Nirvana)とレディオヘッド(Radiohead)に影響を与えたオルタナの元祖的アーティスト。極端な「静→動のダイナミズム」は彼らが生み出した方法論だとも言われており、囁くように歌われるボーカルラインから突然、狂ったような絶叫をみせる曲も存在する。 「突然何かが壊れた」ような展開は90年代以降の「狂気」の表現に必要不可欠な要素であり、ピクシーズ(Pixi

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2000年にレディオヘッド(Radiohead)が発表した今作Kid Aは音楽シーンに衝撃を与えた。本作にはこれまで彼らの代名詞であったリスナーの深部まで届くエモーショナルなボーカルラインや「静」→「動」のダイナミックなバンドサウンドがほとんど登場せず、エレクトロニカ、アブストラクトHIP HOP、ポストロックなどの文脈を大胆に導入し、彼らの描きたいイメージを音でストイックに描ききっている。

前作「Ok Computer」に存在していた「荒涼とした世界観」をさらにディープにするには、ギターロックのフォーマットだけではもはや無理があったのだろう。本作Kid Aを聴いていると終始、「何もない真っ白な空間」や「氷の世界」が目に浮かんでくる「無」の場所で音楽的自由を究極に突き詰める本作はシンプルなギターロックよりはるかにプリミティブだと思う。

    「要点」

  • エレクトロニカ以降の音響で描かれた世界観
  • 絶対零度の感情
  • 音楽史に残る問題作

「曲解説」

1 Everything in Its Right Place

ミニマムな電子音とトム・ヨーク(vo ,g)の声をサンプリングした「呪文」のような音で幕をあける。作品全編に言えることだが前作に見られた荒涼とした雰囲気をさらをディープにしたような幽玄な空気感で全てが凍りついた氷河の中でポツンと佇むトム・ヨーク(vo ,g)が目に浮かぶ「全てのものはあるべきところに」を繰り返す詞の世界も意味深。
2 Kid A

「氷」のようなアンビエントな音色は誰もいない真っ白な空間を連想させる。彼らの最大の武器であったリスナーの感情を揺さぶるエモーショナルなボーカルラインはこの真っ白な空間には存在せず、ただ風だけが流れている。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルにはまるで老人の囁きに聴こえるようなエフェクトが掛けられておりボーカルラインの断片はまるでお経のようにすら聴こえる。そこに無機質で鋭角的なポストロック的なリズムが加わるが、ギターロックバンドらしいダイナミズムとは無縁の淡々とした展開を見せる。そして最後は透明なベールのような電子音に包まれ目に映る全てが無と化す。
3 The National Anthem

サンプリングされたウッドベース(多分)のミニマムなフレーズが終始鳴り響き、不穏さや浮遊感を感じる多様な音が煙のように浮かんでは消える。ホーンセクションを大胆にフィーチャーした「夢の国に出てくる軍隊の行進曲」のような曲。
4 How to Disappear Completely

死後の世界に迷い込んだような幽玄さのある曲。誰もいない真っ白な空間であまり抑揚のないメロディーをトム・ヨーク(vo ,g)が弾き語る。その後、不穏なストリングスと「ボタンのかけ違い」のようなミニマムな電子音が出てきて曲はさらに深くなる。(3:30〜)から聴けるボーカルラインは美しくエモーショナルだが前作に感じたような熱量はなく嘆きのように聴こえる。
8 Idioteque

レディオヘッド流アブストラクトHIP HOP。「車が宙に浮いて走っている近未来の高速道路」を連想するスピード感があり「氷河期がやってくる」という脅迫観念のようなトム・ヨーク(vo ,g)の鬼気迫るラップ(?)が凄まじい。「Here I’m allowed everything all of the time」の箇所は、トム・ヨーク(vo ,g)とエド・オブライエン(g)によるハモった最高級のボーカルラインが聴ける。
9 Morning Bell

神経質なブレイクビーツと牧歌的な電子音が終始鳴り響く曲(3:05〜)トム・ヨーク(vo ,g)の声の残響が四方八方から鳴り響きカオスの様相を呈するが、やがて全ては過ぎ去り目の前には誰もいない「氷の世界」だけが広がっている。

2000年にレディオヘッド(Radiohead)が発表した今作Kid Aは音楽シーンに衝撃を与えた。本作にはこれまで彼らの代名詞であったリスナーの深部まで届くエモーショナルなボーカルラインや「静」→「動」のダイナミックなバンドサウンドがほとんど登場せず、エレクトロニカ、アブストラクトHIP HOP、ポストロックなどの文脈を大胆に導入し、彼らの描きたいイメージを音でストイックに描ききっている。 前作

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