検索画面を消す
検索画面を消す
live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果75件

カテゴリー「良作」のレビュー

男女混成のツインボーカル、サックスプレイヤーの存在などメンバー構成の時点でユニークな存在であるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)。本作はそんな彼らの絶頂期にリリースされオリコン初登場1位を記録したアルバム。

KONTA(vo)、杏子(vo)による掛け合いのボーカルは色んな男女関係を想像させるものになっておりリスナーの想像力を刺激。

またギタリスト:いまみち ともたか(g)はパンク以降のニューウェイブ系ギターに多大な影響を受けていると思われメロウで流麗なプレイが特徴だが、海外のギタリストにはない日本人特有の直線的な質感もあり非常にユニークな存在と言える。

サウンドはミニマリズムといっていい位に余計な音が鳴っておらず静けさすら感じる。パンクでも、ハードロックでも、ダーク系ギターロックでもない独自のギターロックを展開している。

    「要点」

  • 男女混成の掛け合うボーカルラインは様々な男女関係を想像させる
  • 独自のサウンドを聴かせるギタリスト:いまみち ともたか(g)

「曲解説」

1 ト・キ・メ・キ

ミニマリストの部屋のように必要最低限の音のみで構成されているオープニングソング。時折、民族音楽のようなパーカッションも飛び出す。ギターサウンドは独特で「空気に溶け込み漂う煙」のようで不思議な静けさを感じる。
2 目を閉じておいでよ

「砕けたグラス」のような透明でエッジのたったギターサウンドを中心に展開されるハードロック風の曲(2:02〜)部屋に差し込む斜陽のような電子音が僅かな光を灯す(2:18〜)ちょいエロな歌詞とは対照的な落ち着いた淡々としているサビのボーカルラインが登場(2:45〜)光沢感がのあるベースラインとピアノからなる間奏部がアクセントになっている。
3 Y〰ゆがむ〰

ブレイクビーツ風のビートと哀愁あるメロウなアルペジオが空間を支配するルーミーな曲。時折登場する透明なピアノとエフェクティヴな残響、KONTAのメロディックなコーラスがタイトル通り「〰ゆがむ〰誰もいなくなった部屋」を連想する。
5 Late Again

「何も変わらない街」のようなサックスのメロディーが印象的な「一人遊び」を思わせるミドルテンポの曲(1:44〜)「アー、アー、アー、アー」という声と共に軽いパニックのような展開が一時的に挿入されアクセントになっているが、全体を通して同じところをクルクル回るようなイメージの曲。
6 さぁ どうしよう

ウォームな質感のベースラインがうねるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)流パンクソング。ギターサウンドは相変わらず「空気に溶け込み漂う煙」のような静けさがあり汗臭さが全くなく、ザ・スミス(The Smiths)のような流麗さすら感じる。「さぁ どうしよう」という日常の頻出ワードを音楽化したサビのボーカルラインは秀逸。
7 噂ばなしはM(マッハ)4

早足で駆け抜けるメロウなUKポップという趣の曲。ギターサウンドはクリーンで最小限の手数でプレイされているため、ウォームで小波のようなベースラインが非常によく聴こえ(1:56〜)センス抜群のエバーグリーンでミニマムなアルペジオフレーズが清涼感を与えている。ボーカルラインも含めてメロディックで派手なフレーズなどは存在しないのだが、曲を通して非常にメロディックな印象をもつ1曲。
9 君を見てるとしょんぼり

フォークソング的な湿り気を帯びたギターポップ(1:45〜)エフェクトをかけた音色を活かしたキラ星のようなギターフレーズが曲に輝きを(2:20〜)マイルドなブラックコーヒーのようなサックスが渋みを与えている。
10 もうだいじょうぶヒステリー

「曇り空の海辺」のような雰囲気をもち淡々とした展開だが世界観に浸れるメランコリックなラストナンバー。淡々とそのまま最後までいくかと思いきや(4:10〜)アウトロで「切ない思い出」のようなギターソロが登場する。

男女混成のツインボーカル、サックスプレイヤーの存在などメンバー構成の時点でユニークな存在であるバービーボーイズ(BARBEE BOYS)。本作はそんな彼らの絶頂期にリリースされオリコン初登場1位を記録したアルバム。 KONTA(vo)、杏子(vo)による掛け合いのボーカルは色んな男女関係を想像させるものになっておりリスナーの想像力を刺激。 またギタリスト:いまみち ともたか(g)はパンク以降のニュ

READ MORE

洋楽のポップ・ミュージックを日本語でやる洋楽邦楽(感覚で言ってる)の先駆者的なユニット/フリッパーズ・ギター(Flipper’s Guitar)。

「60年代ロック」「サイケ」「ネオアコ」「ギターポップ」「ドリームポップ」「ジャズ」「ソウル」などを「無印良品的なミニマリズム」で再構築したような無駄のない良質なポップが彼らの魅力。シンプルなギターポップである1stアルバムと実験的でサイケな3rdアルバムの中間にある本作は、音楽的に過渡期と言える作品となっている。

    「要点」

  • 洋楽ギターポップな邦楽
  • 様々な音楽を無印良品的なミニマリズムで再構築
  • 過渡期的な作品

「曲解説」

2 Camera! Camera! Camera!

ファミコンのシューティングゲームを思わせるスペーシなシンセとブレイクビーツが鳴り響き、ギターポップ版のアレンジとは違う良さがある彼らの代表曲で歌詞は過去の刹那的な恋愛感情といったところ。ニュー・オーダー(New Order)と共振するビート感と享楽性も感じる。(2:58〜)祝祭のようなストリングスが無機質な曲に有機性を与える。最後はソニックユースのギターノイズをサイバーな質感でエディットしたようなノイズが鳴る。
4 Summer Beauty 1990

ラテンなギターワークとパーカッションが印象的なメルヘンなポップ。「パパッ、パパパ〜」というメルヘンなコーラスと「よく晴れた昼下がり」のようなピアノの旋律が「はじめてのおつかいをする少女」のように初々しさを醸し出す。小山田コーネリアス圭吾(vo,g)の声がアニメティックといってもいいくらいにキュート。これを大人になったご本人が現在聴くとどう思うか?!非常に興味がある。
5 Haircut 100/バスルームで髪を切る100の方法

誰もが一度は経験したことがある「バスルームで髪を切る」という経験を「洗練されたヨーロッパの街並み」を連想するギターポップに乗せて歌う。夢見心地なオルガンやシックなホーン、「カラフルなバルーンが揺れる」ようなワウギターがカラフルな雰囲気を作り出している。(2:30〜)バタついたドラムの連打は平凡な日常に起こったトラブルのようだ。
6 Colour Field

雲の上に乗っているような浮遊感を感じるサイケポップ。小山田コーネリアス圭吾(vo,g)による夢見心地なコーラスで幕を開ける。ミニマムなアコギのフレーズのループが終始鳴り響き、ボーカルラインは珍しく歌謡曲のようである。(1:40〜)中盤以降から登場するオルガンが曲に更なる浮遊感を与えており、終盤は雲が動き出したようなスピード感を感じることができる。
9 Knife Edge Caress

オレンジ・ジュース(Orange Juice)を彷彿とさせる夏休みのようなギターポップ。小沢 健二(g,vo)によるコーラスのかかった清涼感のあるギターサウンドが終始鳴り響き、ドラムはシンプルでミニマムなビートを刻み、ベースはモノトーンな質感で曲を引き締める。言いたいことがたくさんあるけど時間が足りないと言わんばかりに最後まで早歩きのようなテンポ感で進む。
12 Camera Full of Kisses

「何もやることがない日曜日」のような雰囲気のドリームポップ。(2:15〜)何重にも重なる小山田コーネリアス圭吾(vo,g)のコーラスが幻想的な空気感を作りうたた寝を誘う。(3:35〜)「夢の中で見た雲ひとつない青空」のような電子音が曲にカラフルなポップネスを与える。最後は徐々にフェードアウトしてサウンドが薄れていき「終わった」と思った矢先、RPGゲームの隠しアイテムのように「続くストーリの予告編」のようなサウンドが流れる。

洋楽のポップ・ミュージックを日本語でやる洋楽邦楽(感覚で言ってる)の先駆者的なユニット/フリッパーズ・ギター(Flipper’s Guitar)。 「60年代ロック」「サイケ」「ネオアコ」「ギターポップ」「ドリームポップ」「ジャズ」「ソウル」などを「無印良品的なミニマリズム」で再構築したような無駄のない良質なポップが彼らの魅力。シンプルなギターポップである1stアルバムと実験的でサイケ

READ MORE

日本におけるギターロックの雛形を作ったボウイ(BOØWY)のラストアルバム「PSYCHOPATH」。今作は「グラム」「パンク」「ニューウェイブ」など様々な音楽からの影響を感じるが、基本的にはシンプルなボウイ(BOØWY)流ロックンロールアルバムであると感じる

アルバムを通してモノトーンで曇ったような空気感が流れ、シンセや電子音などにあまり頼らずに4人の音だけでどれだけのものができるか?!という点にトライしていると思う。ラストアルバムというのは「原点回帰的な作品」か、「贅肉を削ぎ落としたシンプルな作品」となる傾向があると思うのだが、今作は後者に該当する。最後の曲「12季節が君だけを変える」のギターリフはこれ以上削ぎ落とせないところまで削ぎ落とされており、「この4人で出来ることは全てやり尽くした」と宣言するようなラストアルバムとなっている

    「要点」

  • 削ぎ落としたシンプルさ
  • モノトーンで曇った雰囲気
  • この4人で作った最後のアルバム

「曲解説」

1 LIAR GIRL

どんより曇った小雨が降る街角を連想するようなシンプルなロックンロール。イントロでも登場するガラス細工のようなシンセのループが終始鳴り響き、 布袋 寅泰(g)は湿り気を帯びた暗さがあるコードバッキングをリフレイン、リズム隊はシンプルなエイトビートを構築している。(1:42〜)サビは氷室京介(vo)と布袋寅泰(g)による掛け合わせによるボーカルラインだが、メロディーというより言葉のリフのようだ(2:10〜)「目の前がパッと開ける」ような煌びやかなギターソロが登場。終盤はタイトルである「LIAR GIRL」という布袋寅泰(g)のコーラスが何度もリフレインされる。
2 ANGEL PASSED CHILDREN

シャッフルビートが印象的なシンプルな曲で「1 LIAR GIRL」に近い空気感を連想する。ギターはシンプルなバッキングをリフレインしている (1:08〜)クイズに正解したような能天気な効果音の後に氷室京介(vo)による「ニュースキャスターのシャウト」が飛び出し、そしてこれまで黒子のようにバッキングに徹していた布袋寅泰(g)の煌びやなトーンのギターソロが登場する。終盤はリフのように短いサビのボーカルラインが何度も何度もリフレインされる。
4 GIGOLO & GIGOLET

ダークで立体的なギターリフとどっしりしたリズム隊が印象的な曲。サビのボーカルラインはやはりメロディーというよりリフ的なものとなっている。 (1:13〜)少し不穏な響きのするベースソロが登場、アクセントとしてチープなリズムマシンが合いの手を入れる(1:27〜)「うねるアラブの蛇」を連想するアクの強いトーンで奏でられるギターソロがインパクト大。
5 RENDEZ-VOUS (LIVE IN HAMBURG JULY 1987)

氷室京介(vo)と布袋寅泰(g)2人の掛け合いによるサビのボーカルラインがインパクト大。ライブハウスの歓声風SEがイントロやその他の箇所で挿入され、リスナーをライブハウス「HAMBURG」にトリップさせる。(1:58〜)「蛍光塗料が塗られたネズミ花火」のようにくるくると回るギターソロが曲に色彩を与えている。終盤はサビが何度もリフレインされ、歓声風SEで締め括られる。
7 PLASTIC BOMB

タイトなリズム隊とモノトーンな布袋寅泰(g)のギターリフによるノリノリのパンクチューン。インパクト大の名コーラスがサビ以上に目立つ布袋寅泰(g)が主役の曲。(0:13〜)布袋寅泰(g)によるロボット風のコーラスは「リエパパ、リエパパ」と聴こえる。(0:30〜)サビ以上にサビな布袋寅泰(g)によるメロディックなコーラスが登場して、そのままサビに突入。終盤はやはり布袋寅泰(g)によるコーラス「Let’s go」が繰り返しリフレインされる。
8 PSYCHOPATH

布袋寅泰(g)によるクリーンでエッジの効いたカッティングギターが曲を引っ張る。この曲もやはり曇ったモノトーンな空気を支配、曲を通して「メロディックな独り言」のようなボーカルラインが流れる。(2:03〜)壊れたおもちゃのような効果音風のギターソロとギターソロの途中から電撃のような電子音が登場。終盤はモノトーンな空気感にペンキで色を塗るような2度目のギターソロが鳴り響きそのままフェードアウトする
12 季節が君だけを変える

布袋寅泰(g)が氷室京介(vo)に詞の書き換えをはじめて依頼した曲(wiki)で全パートがミニマムで必要な音しか入っておらす見事に削ぎ落とされている。その中でも特に「夢の終わり」のようなシリアスなカッティングギターが秀逸。このフレーズを聴くための曲といっても過言ではない。

日本におけるギターロックの雛形を作ったボウイ(BOØWY)のラストアルバム「PSYCHOPATH」。今作は「グラム」「パンク」「ニューウェイブ」など様々な音楽からの影響を感じるが、基本的にはシンプルなボウイ(BOØWY)流ロックンロールアルバムであると感じる アルバムを通してモノトーンで曇ったような空気感が流れ、シンセや電子音などにあまり頼らずに4人の音だけでどれだけのものができるか?!という点に

READ MORE

90年代の日本の音楽シーンの中でも指折りの個性的バンド/シャ乱Qの5枚目のアルバム。イロモノ扱いされがちなド派手なビジュアルから色んな意味でノリノリのバンドだと思っていたが、アルバムを通してじっくり聴きこんでみるとパブリックイメージとは異なり、音楽的な多彩さとジャズやソウルなどを基盤にしているアダルトな哀愁をもっている事に気付く。

ギターサウンドが全面に出てくるバンドが多かった日本の音楽シーンにおいて、ジャズやソウルから影響を受けたと思われるアダルトなサウンドに はたけ(g)のギターサウンドがアクセントになっている。この良い意味で浮いたギタリストの存在は、ジャンルは全く違うがブラー(Blur)のようなバランスであると感じる。このバランスが次作以降どうなるのだろうか?!

    「要点」

  • ジャズやソウルの影響
  • 見た目とは違い哀愁感のあるアダルトな音楽性
  • 「浮いてる」はたけ(vo)のギター

「曲解説」

1 さんざん言ってんだぜ

霧がかかった空気感が気だるい早朝を連想させるアーバンなソウル。モノトーンな質感のキーボードが「いい部屋に一人で住んでいる男」を連想させ、 チャカポコと鳴るワウギターや残響のようなギターサウンドはが高まる鼓動ように鳴り響く。(3:15〜)部屋全体を包み込む白いベールのようなシンセの上をジャジーなキーボードソロが鳴り響く。つんく♂(vo)のボーカルラインはシックで落ち着いたものになっており、歌詞の内容はホストの生々しい片思いという感じ。
2 ドラマティックに -’90 Dream-

全編にわたりディレイをかけた空間系ギターサウンドが鳴り響くニューウェブ風ポップス。 この曲のギターサウンドはラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)やルナシー(LUNASEA)に近いものがある。 (1:06〜)歌謡曲テイストではっきりしたボーカルラインの隙間を縫うように鳴らされる煌びやかなキーボードが曲に活力を与えており、 空間系ギターサウンドをフィーチャーしたニューウェイブソングは、下手するとダークで箱庭なものになる事が多いのだが、 シャ乱Qというフィルターを通すと不思議と明るく聴こえる。
3 Good-byeダーリン

激しい雨のように連打されるキーボードが印象的なジャジーなポップロック。終始鳴り響くキーボードの上をミニマムで歪んだギターリフが乗り、タイトなリズムはビシッと曲を引き締めている。(0:44〜)「ブルース調の歌謡」という趣のボーカルラインをつんく♂(vo)がしゃがれた声で歌い上げる。ブルージーで熱量のあるサビとボーカルラインがありながらも、「熱い感じ」ではなくむしろアーバンで落ち着いた印象を受ける。
4 ズルい女

夜の街やネオンを連想するトランペットの音が印象的なヒットシングル。アダルトなトランペットとチャカポコしたなギターサウンドが終始鳴り響き空気感を演出。(1:12〜)虹のようにカラフルなキーボードがアダルトでムーディーな曲に色彩を与え(1:26〜)「ズルイ女」に対する恨み節と未練を歌うキャッチーなメロディーラインが登場(1:58〜)トランペットによるソロパートが鳴り響く中、時折、ソウルフルなつんく♂(vo)のシャウトが炸裂。最後までアダルトでゴージャスなトランペットが響き渡る。
5 DA DA DA

ジャジーな雰囲気とグルーヴィなギターリフが共存するハードな曲。サウンドガーデン(Soundgarden)のようなスローでグルーヴィなギターリフが印象的でつんく♂(vo)のボーカルラインもリフのように短いものになっている。(2:53〜)他の曲とは明らかに異なる質感の泥水のようにうねりまくるグルーヴィーなギターソロが登場する。彼らなりにUSグランジを消化した曲と言えるだろう。
6 空を見なよ

「白い絨毯乗って空を飛び回る」ような空間的な広がりを感じるギターポップ。全てのパートがミニマムな音数で構成されて1つに溶け合っている。歌詞は「人生、先のことはわからないから今を生きよう」という内容。終盤はサビが繰り返しリピートされる。(3:26〜)バンドサウンドが止まり最後はピアノの調べとボーカルのみの展開となりしっとりと終わる。
7 ROBERT

リラックスした雰囲気のジャジーなポップロック。ジャージーでシンプルなサウンドにはたけ(g)のグルーヴィーなギターリフが絡む。 歌詞は「自分のやりたいことをやろう、人がどう思っても」という内容で周囲を気にして行動を起こせないリスナーの背中を押してくれる。 (1:02〜)キャッチーでポップなボーカルラインをもつサビが登場(1:30〜)夕日のような哀愁があるハーモニカソロが響き渡り曲に渋みを与え、 終盤は「人生はギャンブル」だと言い放ちシャウトを連呼するファンキーな展開。
9 SANAFE

「季節の終わり」のようなメランコリックなピアノの旋律が印象的なバラード。つんく♂(vo)のエモーショナルで繊細なボーカルラインが美しく、終始鳴り響くメランコリックなピアノの旋律は「誰もいない真っ白な部屋」のようだ(1:45〜)そこに哀愁感ただようブルージーなギターソロが鳴り響く(2:13〜) 「ダダン、ダダン」というドラムを合図に「曇り空」のような重さをもつバンドサウンドが加わり曲を重厚にして最後は静かに残響だけが残る。
10 ピエロ

カラフルなシンセと歪みギターが絡む80年代ライクなシンセロック。イントロはゴージャースなシンセで幕を開けて、そこに空間系の歪みギターが絡み空気感をさらに豪華に飾る(1:04〜)サビではシャワーのような煌びやかシンセ音が鳴り響き(2:56〜)残響が心地よいリバーブのかかったギターソロが登場。「過剰な煌びやかさ」が無条件にバブルを連想する。最後はブレイクの後、物悲しい春風のようなピアノの調べで終わる。

90年代の日本の音楽シーンの中でも指折りの個性的バンド/シャ乱Qの5枚目のアルバム。イロモノ扱いされがちなド派手なビジュアルから色んな意味でノリノリのバンドだと思っていたが、アルバムを通してじっくり聴きこんでみるとパブリックイメージとは異なり、音楽的な多彩さとジャズやソウルなどを基盤にしているアダルトな哀愁をもっている事に気付く。 ギターサウンドが全面に出てくるバンドが多かった日本の音楽シーンにお

READ MORE

前作から登場した「グランジの質感」を更に色濃く反映した作品だが強烈な歪みや壊れたようなジャンク感を見せてくれる一方で、エレクトロ音楽的やHIP HOPなどのビート感などを柔軟に取り入れている。

過去最高に「ハード」「ヘヴィ」なサウンドになっておりキャッチーなメロディーでPOPな雰囲気があるのは「7 Do me」位になっている。これまでの彼らの曲はハードなリフが鳴っていたとしても、ボーカルラインのバックではJ-POPのフィールドを意識したサックスやキーボードが曲に色彩を与えていたのだが、「好きな人だけついてきてね」と言わんばかりに本作ではJ-POPフィールドを意識した色彩が圧倒的に少ない。この作品を一言で言うなら「分岐点」だと思う。

    「要点」

  • J-POP要素が少なくハードな作風に移行した分岐点
  • HIP HOPやエレクトロニカ風のビートが登場

「曲解説」

 
1 DEEP KISS

「鞭のようにしなる」強烈に歪んだギターリフが強烈でパワフルなドラムと「脳にくるファンク」なベースからなるリズムも過去最高にハード。静→動のダイナミズムを活かした展開をもっており90年代USグランジからの影響を感じることができる。ダイナミックなサウンドが炸裂するリフオリエンテッドな曲。
  2 スイマーよ!!

サイバーなビートとアーバンでミニマムなベースラインが特徴の曲で電子の海を泳ぐような心地よい重力感を感じる(2:05〜)エイフェックス・ツイン(Aphex Twin)風の切り刻まれるビート(2:18〜)ソニック・ユース(Sonic Youth)風の壊れたノイズなど、これまでのビーズ(B’z)の曲にはまず出てこないサウンドが登場。wikiによるとゲストミュージシャン徳永暁人(b)によるアレンジらしく、見事にゲストミュージシャンの個性と化学反応を起こした曲。
3 Survive

イントロはノスタルジーな気分に浸れる陽炎のようなギターサウンドが流れる。その後は夕暮れの草原のような牧歌的なアコギのストロークとのびやかに歌われるボーカルラインを中心となる構成(2:48〜)機嫌の良い鳥のような快調なシャウトが響き、その後はコクのある伸びやかなギターソロが流れる。終盤はイントロ同様ノスタルジーな雰囲気になり静かに終わる。
4 Liar! Liar!

「迷宮に迷い込んだ」ような立体的な電子音と重低音が効いたビートが曲にスピード感を与えており、ギターサウンドはチューニングを下げて低音が強調されている。ボーカルラインはメロディーというよりハードロックのリフのようで、当時の日本のメジャーシーンの中では異質だったと思われる。曲全体として音の塊を投げつけるようなハードな質感となっている。
6 FIREBALL

グランジ的なヘヴィさとうねり感を前面に押し出した曲。流砂のようにドロっとしたうねるベースラインが混沌とした雰囲気を醸し出しており、ギターサウンドはザラついた歪みサウンドで破壊力がある。初期からのファンはこの曲にどうリアクションを示すのだろうか?!最後まで歪みの残響は残り続ける。
7 Do me

「壊れたおもちゃ」のようなアバンギャルドなギターサウンドで始まり、軽く歪んだカッティングとご機嫌なホーンセクションを中心に展開されるノリノリな曲。本作の中で最もポップな曲でグランジを消化したビーズ(B’z)流ポップソング(2:48〜)最後に「弾き足りない」と言わんばかりに松本 孝弘(g)がコクのある歪みギターを弾きまくる。
9 CAT

アーバンな質感と中国的な哀愁を混在させたようなサウンドは「上海の高層ビル群をすり抜ける髪の長い少年」を連想する(1:25〜)珍しく空間的なクリーンなアルペジオが登場、曲に浮遊感を与えている。アーバンで浮遊感を感じる質感のサウンドとなっているが、対照的に稲葉浩志(vo)のボーカルは相変わらずパワフルでサウンドとボーカルに心地よいミスマッチがある。
11 Shower

SEでは砕けた氷の破片のような音が鳴り、空間的でスローなアルペジオが「雲に乗っている」ような夢心地な浮遊感をリスナーに与える。曲は夢見心地なのだがサビでは稲葉浩志(vo)の力強いボーカルラインが歌われる。「9 CAT」同様にサウンドとボーカルに心地よいミスマッチがある(4:18〜)最後はアンプのフィードックが孤独に鳴り響く。
  12 Calling

イントロはHIP HOPのビートと松本 孝弘(g)のコクのある伸びやかなギターサウンドで構成される(1:08〜)哀愁感漂うピアノの調べとストリングスをバックに稲葉が繊細でエモーショナルな歌を歌い上げる(2:16〜)壮大でエモーショナルなサビのボーカルラインが歌われ、その後に泣き叫ぶようなギターソロが登場。中盤以降もピアノの調べが流れるクラシカルな展開からサビに移行し最高潮を迎える(4:25〜)終盤は転調してイントロのHIPHOPビート×ハードなサウンドが鳴り響き少しずつフェードアウトしていく。HIP HOPのビートとハードサウンドの掛け合わせは、USミクスチャー勢のようなストリート感のあるサウンドになるのだが、ビーズ(B’z)の場合は松本 孝弘(g)独自のギタートーンもあり独自の雰囲気になっている。この曲のイントロはUSハードバンドと日本のハードバンドの比較ネタとして面白い。

前作から登場した「グランジの質感」を更に色濃く反映した作品だが強烈な歪みや壊れたようなジャンク感を見せてくれる一方で、エレクトロ音楽的やHIP HOPなどのビート感などを柔軟に取り入れている。 過去最高に「ハード」「ヘヴィ」なサウンドになっておりキャッチーなメロディーでPOPな雰囲気があるのは「7 Do me」位になっている。これまでの彼らの曲はハードなリフが鳴っていたとしても、ボーカルラインのバ

READ MORE

1 10 11 12 15