検索画面を消す
検索画面を消す
live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果75件

カテゴリー「良作」のレビュー

前作「GO FUNK」で提示したファンクサウンドと「悪ふざけ」のようなぶっ壊れた歌詞をハードに叩きつけた5thアルバム。

「ポップスとしての強度」や「前衛性」といった文脈においては傑作であった前作「GO FUNK」と比較するとやや劣ると感じるが、本作も他のアーティストではありえない「米米CLUB的やりすぎ感」が満載のアルバムとなっている。サウンド面で気になる点は「気怠いハードロックテイスト」を「3 FUNK FUJIYAMA」「8 Javaza Hat」などで取りれている点である。「グランジ上陸前夜の89年」に米米CLUBは「ハードミュージックの次なる一手」を模索していたのかもしれない!というのは深読みだろうか。

本作には神作「KOMEGUNY」で聴けた「トロピカル」なポップネスは微塵も存在しておらず「絶対に同じ事なんてするもんか?!」というアーティストとしての強烈なこだわりが感じられる。

    「要点」

  • ・ファンクサウンドと、「悪ふざけ」のようにぶっ壊れた歌詞をハードに叩きつけた5thアルバム
  • ・「気怠いハードロックテイスト」を「3 FUNK FUJIYAMA」「8 Javaza Hat」などで取りれている

「曲解説」

2 Funk-a-ねーちゃん

「この大バカ者!」という強烈なワードで幕をあける米米流ハードファンク。 「グイグイ攻めてくる」立体的なベースラインと「涼しげでアーバン」なカッティングギターを中心に展開される曲なのだが、ジェームス小野田(vo)のボーカルがあまりに強烈なので正直サウンドが耳が回らない。唇を高速で揺らす「ブルブルブルブル」という音をここまでリフレインする曲は筆者が知る限りこの曲だけである(3:16〜)リズムアプローチに南米の打楽器風のダンサブルなものが加わり、そこにサイケな光が顔を出す。終盤は「スーパーファンキー・レイディー」という「ファンキーの極み」とも言えるフレーズが祝祭性マックスのサンバティックなサウンドの上で「嫌になる位」にループされる。
3 FUNK FUJIYAMA

「ルーズで気怠いハードロックバンドがコミカルなファンクにチャレンジした」ようなイメージの曲。「強烈な和の匂い」を放つ歌詞は一度聴いたら頭から離れない類のもので「サムライ」「寿司」「芸者」「腹切」など外国人に受けそうなジャパニーズフレーズをふんだんに盛り込んでいる。最後はジェームス小野田(vo)による「イヤッホー」というご機嫌なシャウトで幕を閉じる。
4 Beautiful

「黄昏のオフィス街」のような雰囲気が濃厚なファンクバラードで「ガラス細工」のように繊細なカッティングギターが曲にアーバンな質感を与えている(2:06〜)「3 FUNK FUJIYAMA」での悪ふざけが嘘のようにサックスソロが渋く響き渡る。歌詞は「カフェの窓から雨に濡れ佇む君を見つめる」というナルシスティックな内容となっている。
5 Let’s Go!

ボーカルラインとリズムの速度が「心地よくズレている」ギターポップでタイトなファンクサウンドと清涼感があるピアノサウンドが混ざり合っている。歌詞は「あっ玉の中confusion」という意味不明なラインがインパクト大でリスナーに「混乱した時はrice show timeに夢中になろう」と提案するナチュラルに狂った内容となっている。
8 Javaza Hat

濃厚なブルージーを感じるハードロックサウンドをフィーチャーした曲でオールドスクールなヨレたギターリフが鼓膜に絡みつく。ドラムサウンドは非常にパワフルで「本当に外国のハードロックドラマーが叩いた」ようなクオリティーとなっている。
9 Kung-fu Lady

「耽美ニューウェイブ的なミステリアスな音響が強調されたヴァース」と「華やかホーンサクションをフィーチャーしたサビ」を中心に展開される曲。ギターソロはマニアックなエフェクトをかけたサウンドとなっており「サイケなおもちゃ」のようなイメージである(2:42〜)タイトル(カンフー)にちなんだ「アチョー」というシャウトがコミカルに響き渡る。
10 俺をもとめてる~Everyone Is Searching For Me

「ピクニック」のようなワクワク感と「夢の中」のような浮遊感が同居したアーバンなポップソング。前作「GO FUNK」がオリコン1位になり嬉しすぎて作った曲(wiki)との事で自意識過剰なタイトルは明らかにネタであろう。
11 Forever

ジェームス小野田(vo)がコミカルな声でクサイ愛情表現を過剰にシリアスに歌うなんとも言えない曲。ベースラインは一癖あるこの曲の中でも「寸分の狂いなく淡々とそしてダークに時を刻んでいる」。
14 ア・ゲ・ハ

リラックスしたアコースティックギターの音色がカールスモーキー石井(vo)のボーカルを優しく包み込むバラード。歌詞は「アゲハ蝶のように夢に向かって飛んでいけ」とリスナーにエールを送る内容であると思われる。

前作「GO FUNK」で提示したファンクサウンドと「悪ふざけ」のようなぶっ壊れた歌詞をハードに叩きつけた5thアルバム。 「ポップスとしての強度」や「前衛性」といった文脈においては傑作であった前作「GO FUNK」と比較するとやや劣ると感じるが、本作も他のアーティストではありえない「米米CLUB的やりすぎ感」が満載のアルバムとなっている。サウンド面で気になる点は「気怠いハードロックテイスト」を「3

READ MORE

イギリスのロック専門誌である『ケラング!』が最高得点5点をつけた(wiki)ザ・マッド・カプセル・マーケッツ(THE MAD CAPSULE MARKETS)の8thアルバム。

hideや今井寿(BUCK-TICK)など前衛的な音楽を常に求めている同業者に大絶賛されたノイズサウンドは、当時日本よりも海外で熱烈な支持を受けた。彼らの音楽的な特徴を挙げるとインダストリアルロックの創始者/ミニストリー(Ministry)やドイツのデジタルハードコア・アーティスト/アタリ・ティーンエイジ・ライオット(Atari Teenage Riot, ATR)からの影響があげられる。全編にわたり「不穏」で「マシーン」を連想する無機質な冷たさがあり健全なラウドミュージックとは明らかに異質である。

暴走するビートや「狂った扇動者」のような破壊的な絶叫とラップをこれでもかと畳み掛けるサウンドは痛快の域であるが、彼らが「コアなだけのノイズまみれアーティスト」であれば本作が日本のオリコンTOP10に入る事は難しかったハズである。「3 | ̄|_ (PULSE)」「12 MIDI SURF」ではメロディックパンクのようなフックのあるボーカルラインが聴くことができる。この時折登場する「歌心あるメロディーライン」の有無が海外インダストリアル・デジタルハードコア勢と良くも悪くも違う点であると筆者は思う。

    「要点」

  • ・hideや今井寿(BUCK-TICK)など前衛的な音楽を常に求めている同業者に大絶賛されたノイズサウンド
  • ・時折登場する「歌心あるメロディーライン」の有無が海外インダストリアル・デジタルハードコア勢と良くも悪くも違う点

「曲解説」

1 TRIBE

絶叫を交えたハイテンションなボーカルラインがインパクト大のデジタルハードコア。リズムはタイトなボディーブローのようなドラムとシンプルで無機質な四つ打ちによって構成されている(2:34〜)「不法侵入者を知らせるセンサー」のようなノイズサウンドの登場からループ風のギターソロに突入するという展開をみせる。
2 OUT/DEFINITION

暴走するビートと「狂った扇動者」を思わせるラップがマニアックな雰囲気を醸し出しているインダストリアルチューン。ギターリフはラウドではあるが「マシーン」のような冷たさがある(1:35〜)間奏部では「ドットにモザイクをかけたようなビート」が挿入されアクセントとなっている。
3 | ̄|_ (PULSE)

メロディックパンクのようなボーカルラインとストリートテイストが色濃いアグレッシヴなラップを中心に構成されるハードなパンクチューン(1:40〜)転調が入り「これまでとは違うメロディーライン」が展開されるが、その後は「何事もなかった」かのように元の展開に戻るという凝られた展開をみせる。
7 ISLAND

陽気なバイブを感じるマッド流歪んだポップソングかと思わせておいて、突如、狂ったようなハードーコアチューンに変貌するインパクト大の曲。歌詞の和訳を見たところおそらく「呑気な休日」をテーマにしていると思われるが意味深な内容となっている。
8 RESTART!

狂気的な複数の絶叫が空間的に絡まるハードチューンでリズムは「冷徹なマシーン」のようなインダストリアルビートである。
9 JAG

タイトなドラムと潤ったブリブリのベースラインが不穏な空気感を演出している曲。ボーカルはラップというより「怪しげな呪文」のようである。最後は空間系エフェクトをかけた単調なギターサウンドだけがミステリアスに響き渡る。
12 MIDI SURF

「3 | ̄|_ (PULSE)」同様にメロディックパンク風のサビのボーカルラインが印象的な本作のラストチューン。ギターリフは「記号」のようなイメージであり音響として機能している(2:08〜)「カラフルなスライムが目の前に大量発生した」ような潤った音響に包まれるアバンギャルドな展開をみせる。

イギリスのロック専門誌である『ケラング!』が最高得点5点をつけた(wiki)ザ・マッド・カプセル・マーケッツ(THE MAD CAPSULE MARKETS)の8thアルバム。 hideや今井寿(BUCK-TICK)など前衛的な音楽を常に求めている同業者に大絶賛されたノイズサウンドは、当時日本よりも海外で熱烈な支持を受けた。彼らの音楽的な特徴を挙げるとインダストリアルロックの創始者/ミニストリー(

READ MORE

イギリス出身のボーカリスとKen Lloyd(vo)とのちにhydeと共にヴァンプス(VAMPS)を結成するK.A.Z(g)を中心に結成されたオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)の3rdアルバム

このオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)は、日本より先にアメリア西海岸でライブを行う(wiki)など「向こうのハード系アーティスト」が日本で活動しているようなイメージのアーティストであり、音楽性も「他のハード系アーティスト」とは明らかに異なる「ナチュラルな洋楽感」を感じるものとなっている。

90年代後半の日本の音楽シーンにおいて「グランジ的な気怠さやノイズ」を曲に反映したアーティストは勿論存在していたのだが、彼らの多くは自分達の音楽に「ひと癖加える為」の手段として「グランジ的な気怠さやノイズ」を起用していたような印象があるのだが、このオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)というアーティストは、USグランジ・オルタナなどと一切の距離を置かずに「自然に湧き出るもの」というスタンスでナチュラルにUSハードサウンドを聴かせてくれる。

    「要点」

  • ・イギリス出身のボーカリスとKen Lloyd(vo)と後にhydeと共にヴァンプス(VAMPS)を結成するK.A.Z(g)を中心に結成
  • ・USグランジ・オルタナなどと一切距離を置いていない

「曲解説」

1 YOU

サイバーで歪んだ音の断片が「DJスクラッチ」のようにリフレインされるヘヴィロック。ヘヴィなサウンドの中に所々「不気味な静けさを感じる静のパート」が挿入されており、ヘヴィなサウンドが一層ヘヴィに響き渡る仕掛けとなっている。「FXXK YOU!」を連呼するKen Lloyd(vo)の怒りに満ちたシャウトは当時隆盛を極めていたUSヘヴィロックと共振する。
2 COME ALIVE

「静」→「動」のダイナミズムを強調したグランジ的な展開とK.A.Z(g)の「どんよりした曇り空」のようなギターサウンドが印象に残る曲。Ken Lloyd(vo)のボーカルラインは「泥水」のような質感で曲にダーティーな質感を与えている。
3 CRAZY

レディオヘッド(radiohead)の2ndアルバム「The Bends」からの影響を感じるシンプルなエモーショナルロック。K.A.Z(g)のギターサウンドは「気怠くスロー」であり主張は控えめなのだが独特の存在感がある。Ken Lloyd(vo)のボーカルは「痛み」と「喪失感」をエモーショナルに表現しており、歌詞は「君の不思議な薬でしか止まることのない痛み」についてである。
4 30

「スペーシーな音響のループ」と「ハイテンションなグランジロック」が並走するサビがインパクト大の曲。Ken Lloyd(vo)のボーカルはやはり怒りに満ちている。
6 ALIEN

「気怠い黄昏」のようなアルペジオを中心に展開されるダークなバラード。多重録音されたKen Lloyd(vo)のボーカルが幻想的な雰囲気を醸し出している。
7 GIRLIE BOY IMITATION #6

重低音が強調されたヘヴィリフが躍動するハードチューン。K.A.Z(g)のギターサウンドはあまりエフェクターを使っていないウォームな響きだが不思議とヘヴィに響き渡る。この不思議なヘヴィ感はトニー・アイオミ/ブラック・サバス(Black Sabbath)を彷彿とさせる。
8 NO MEDICATION

「地下のダークな実験室」のような音響を感じるサイバーなロックチューン。DJスクラッチや「動物の鳴き声にエフェクトをかけた」ような効果音がアクセントとなっており、サビは「USロック以上にUSロックな響き」である。
9 PLASTIC WINGS

「ザクザクした刻みリフ」と「空間を構築する立体的なアルペジオ」の対比が面白く、メランコリックだが疾走するタイプの曲でスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)からの影響を感じられる。Ken Lloyd(vo)のボーカルは耽美的なファルセットを活用している
11 GOODBYE

退廃的でダークなUKロックをパンク調に演奏したようなタイプの曲。K.A.Z(g)のギターサウンドはシンプルではあるが「マイナー調のディープなコードワーク」「直線的なオクターブ奏法」を効果的に使い存在感を放っている。
12 YOUR YESTERDAY

クラシカルな弦楽器の調べが「黄昏の港町」を連想するバラード。「僅かな望み」のようなアルペジオがセンチメンタルな響きのKen Lloyd(vo)のボーカルを優しく包み込む。

イギリス出身のボーカリスとKen Lloyd(vo)とのちにhydeと共にヴァンプス(VAMPS)を結成するK.A.Z(g)を中心に結成されたオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)の3rdアルバム このオブリヴィオン・ダスト(Oblivion Dust)は、日本より先にアメリア西海岸でライブを行う(wiki)など「向こうのハード系アーティスト」が日本で活動しているようなイメージのアー

READ MORE

河村隆一自身が初主演した映画「ピカレスク 人間失格」のサウンドトラックのような立ち位置のソロ3rdアルバム。

1st 2ndアルバムは「ルナシー(LUNASEA)ではできない表現」や「J-POPのフォーマットでどの位、通用するのか?!」などがテーマであったと思うのだが、本作は太宰治の小説「人間失格」のストーリーからインスピレーションを受けたシリアスな作風となっている。「クラシカルな弦楽器を中心に奏でられる静なサウンド」と河村隆一のコクのある歌声によって構成されるシンプルで上質な曲が多く、歌詞には「道化師を演じて」「仮面をかぶる午後は」などのフレーズが登場し「心地よい憂鬱さ」を感じる。

またこれまで距離を置いてきたと思われるルナシー(LUNASEA)的サウンドも僅かではあるが取り入れており「1 So Deep」に関してはルナシー(LUNASEA)彷彿のダークな残響が心地よい曲となっている。1st2ndアルバムで確立した?!ラブソング=河村隆一というイメージを見事に打ち砕く作品となっている。

    「要点」

  • ・太宰治の小説「人間失格」のストーリーからインスピレーションを受けたシリアスな作風
  • ・歌詞には「道化師を演じて」「仮面をかぶる午後は」などのフレーズが登場し「心地よい憂鬱さ」を感じる

「曲解説」

1 So Deep

不穏なノイズサウンドとクラシカルな弦楽器の優雅な調べが絡みあう冒頭から「ルナシー(LUNASEA)彷彿のダークな残響」が心地よいギターロックに移行する曲。これまでの河村隆一の作品にはないダークテイストが新鮮なエモーショナルソングとなっている。
2 かけがえのない人

「メロウな昼下がり」のようなピアノの旋律とクラシカルな弦楽器の調べのみで構成される上質なサウンドにのせて、河村隆一が「素敵なあなた」に対して愛を独白する静かなバラード。「愛」といっても1st 2ndアルバムのメインテーマであった「恋愛」とは少しニュアンスが異なり、人間性をディープに見つめた「愛」を歌っている。歌詞の中に「道化師を演じて」というフレーズが登場、アルバムタイトルにもなっている太宰治の名作「人間失格」からインスピレーションを得た曲である事は間違いない。
3 愛欲のまなざし

「2 かけがえのない人」同様にピアノとクラシカルな弦楽器のみで構成された上質なサウンドだが、歌詞は「人間の暗部」にスポットが当てられており「愛する人さえ汚していく自身の性欲」に対する嫌悪感を歌っていると思われる。
5 liar’s hymn

「異国感が強調された不思議な響き」を感じる河村隆一の多重コーラスがインパクト大の曲。多重コーラスが音響として圧倒的な存在感を放っている為、歌詞の内容は正直頭に入ってこない。「眩しい光に照らされた教会」を思わせるシンセサウンドと中間部移行から導入される「ボリビアの高地の街」を連想する独自のテンポが不思議な静けさを演出している。
6 うたかた

「春の訪れ」のようなサビのボーカルラインがビビッドに響き渡る曲。サビ前にはこれまで距離を置いていたと思われる「ロック的に壊れたノイズ」が挿入される。
7 Stop the time forever

「重層で全てを優しく包み込む」ストリングスをバックに河村隆一の熱唱が響き渡るエンディングソング(3:23〜)マーチ風のドラムが挿入される事をキッカケに曲は徐々に熱量をあげていくが上質な音響は常に保たれている。「仮面をかぶる午後は」というフレーズは「人間失格」的である。

河村隆一自身が初主演した映画「ピカレスク 人間失格」のサウンドトラックのような立ち位置のソロ3rdアルバム。 1st 2ndアルバムは「ルナシー(LUNASEA)ではできない表現」や「J-POPのフォーマットでどの位、通用するのか?!」などがテーマであったと思うのだが、本作は太宰治の小説「人間失格」のストーリーからインスピレーションを受けたシリアスな作風となっている。「クラシカルな弦楽器を中心に奏

READ MORE

メランコリックな90年代UKロックからの影響をダイレクトに音楽化した1stアルバムから1年後にリリースされた2ndアルバムで「曇り空」「雨雲」という形容がよく似合う彼等らしいギターサウンドにサイケデリックロックやアコースティックの要素が加えられている。

2000年前後は彼等が多大な影響を受けたであろう90年代UKギターロックアーティスト達が「アーティストエゴを大爆発させた」プログレ・アート作品をリリースし音楽シーンに大きな衝撃を与えたのだが、このような状況下に置いても彼等は愚直なまでに「ルーツミュージックからの影響を自分たちなりに鳴らす」という方向性でボーカル・ギター・ベース・ドラムというミニマムな形式に拘り自分たちの可能性を模索した。

「メロディーラインの素晴らしさ」という点においては前作に1歩譲るが、彼等らしい拘りが詰まったUKロックアルバムとなっている。

    「要点」

  • ・前作同様、愚直なまでにルーツミュージックからの影響を自分たちなりに鳴らしている
  • ・「9 そのスピードで」では「冷たい花を蹴り散らす」だけでは物足りず「泥だらけの靴を蹴っ飛ばす」

「曲解説」

1 BYE! MY BOY!

「雨雲」のようなダークさを感じる音響が印象的なUKギターロックで前作に収録されている曲より低音が強調されたサウンドとなっている。歌詞は「永遠を誓った二人が永遠にSA YO NA RAする」というセンチメンタルな内容である。
2 愛の❤️愛の星

「瑞々しい光」と「メランコリックな質感」がタペストリーのように絡まる曲。歌詞は不安や憂鬱な気持ちからネガティヴに塞ぎ込んでいる主人公をなんとか救いたいという内容であり川瀬智子(vo)の母性を感じる。サウンドは「ありふれた晴れた午後」のようなイメージである。
4 CALL MY NAME (ENGLISH VERSION)

インド音楽に傾倒しているUKサイケロックからの影響が感じられる曲でザ・ブリリアント・グリーン(the brilliant green)らしい気怠いギターロックと「泥酔した時に見る月」のように揺らめくオルガンサウンドが絡まる(3:25〜)ギターソロは「鼓膜に絡みつく」ような濃厚なサイケサウンドとなっている。
5 Maybe We Could Go Back To Then (76 VERSION)

「湿り気を帯びた土道に足跡を残して歩く」ような暗さを感じるアコースティックソングでシンプルなコード進行と川瀬智子(vo)の「気怠い囁き」のようなボーカルのみで成立している。
7 FUNNY GIRLFRIEND!!

ゆったりと曇ったUKギターサウンドを中心に展開される王道ブリグリチューン。歌詞は「チューイングガムで風船を作りながらアイスクリームを食べる」シュールでクレイジーな友達についてである。
9 そのスピードで

「冷たい花を蹴り散らす」だけでは物足りず「泥だらけの靴を蹴っ飛ばす」というバイオレンスなフレーズで幕をあけるヒットシングル。歌詞は「小さな物語をなくした夜に天使に魔法をかけられた」という意味深なものとなっている。

メランコリックな90年代UKロックからの影響をダイレクトに音楽化した1stアルバムから1年後にリリースされた2ndアルバムで「曇り空」「雨雲」という形容がよく似合う彼等らしいギターサウンドにサイケデリックロックやアコースティックの要素が加えられている。 2000年前後は彼等が多大な影響を受けたであろう90年代UKギターロックアーティスト達が「アーティストエゴを大爆発させた」プログレ・アート作品をリ

READ MORE

1 4 5 6 15